たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
別の言い方をすると、「出しゃばって嫌われるのが怖い」というw
「なんのことはない。”姉さんはともかく、私は
「ママじゃない?」
地球人の高官が不思議そうに首をかしげると、
「かみ砕いていえば、ガミラスっていうのは1000年前の種族丸ごと命を救ってもらった恩義ってのから明らかに逸脱した”
若き
「独裁国家は確かに多数決で物事を決めるわけじゃないかもしれないけど、国民の支持という意味では民主主義よりシビアだよね? 民に見限られた独裁者の末路は総じて悲惨だ」
カンバーランドの皇帝は必ずしも独裁者という訳ではないが、”群れの長”……「唯一無二の最終意思決定者」という意味では似通った部分もあるため、感覚的に分かりやすかった。
「だからデスラー総統は”イスカンダル主義の拡大”を大義名分にした。どこまで真剣にそれを信じるかは個人差があるけど、”実際にイスカンダルに救われた”ガミラス人は、無意識で『イスカンダル主義が広がれば、多くの国が
「国民を力で弾圧して、無理やり従わせる可能性は?」
「ないね」
彼女は言い切り、
「多少の弾圧はするだろうけど、全てを力で押さえつけるような下策は、少なくとも自国民にはしない。一時的な鎮圧はできるかもしれないけど、怨恨は拡大生産されて燻り続け、いつか臨界点を超える。大衆に見限られた独裁者がどうなるかは、アーシアンの方が詳しいんじゃない?」
「ははっ。言えてますな」
と苦笑する地球人の高官。
「ともかくボクが言いたいのは国家上層部、それもほんの一握りしか知らない『引っ越し先を探す』を隠したままガミラスが武力による領土拡張を継続できるのは、イスカンダル主義やイスカンダルへの信仰ありきってことなんだ。デスラー総統はそれを利用してるに過ぎない」
「ふぉふぉ。良い見識じゃな?」
「だけどここで考えてほしいのは、『イスカンダルのメリットは
加えてガミラスが例えどれほど戦争に勝ち、領土拡張しようとイスカンダルには一銭たりとも入ってこないのが現状だ。
少なくともビジネスモデルとしては絶対に成立しない。
「まあ、確かにイスカンダルにはメリットも利益もねーわな。むしろ、ガミラスのやり口に反発する連中の恨みを買うデメリットばっかだ」
「そこだよ。ネコのおっちゃん!」
「だから、おっちゃんはやめろっつーの」
「イスカンダルを連邦法になぞらえると、やってることは
容姿だけは立派に”メスガキ”の現ルドルフに”こわっぱ”とか発言されるとと微妙な気分になるが、
「理屈では……少なくとも損得勘定で表せない何かだって言いたいのかしら?」
「そうなんだよ。ゼントランのねーちゃん」
”おば……”という単語を最初から選ばないあたりが実に如才ない。きっと先代や先々代の
この娘、十中八九「世間を知らない頃」に先代や先々代を「おばちゃん」だの「ばあちゃん」だのと呼んだとと思われる。
人間というのは地球人に限らず、自ら痛い目を見た方が良い教訓になるものだ。
「それを言うなら”メルトラン”です。あと、公式には我々はカールチューン人であり、それ以上でもそれ以下でもない。メルトランは我々の古語で”女”、同じくゼントランは”男”という意味でしか無いと覚えておいた方が良いわよ?」
「はーい。それで男と女っていうのは、ここで重要な意味を持つんだ。さて、さっきも話題に出た”損得勘定より上にくる判断材料”ってなんだと思う?」
「どこぞの議員なら迷うことなく”愛”と断言するだろうな」
おそらく元ネタは『まおゆう』だろう。
「まあ、槙原のおっちゃんならそうかもねー」
実は今上ルドルフと槙原康介には面識がある。それもまだ現ルドルフが頭角を現す前の……先代の時代だから彼女的にはそれなりに古い付き合いだ。
まあ、あの男がカンバーランドに行く理由など一つしかないだろうが……
正直、割と気が合うし、テレサなんてホーシアンの生存本能にダイレクトアタックをかけてくるような「居るだけで命の危機を感じる規格外の超弩級にヤベー奴」がバックにいなければ、是非ともコナをかけたかったところだ。
ちなみにカンバーランドに通ったのにホーシアンに執着されなかったのは上記の理由だ。
より野性に近いせいか、ホーシアンはそのあたりの”命にかかわる直感”は地球系よりも鋭い。
「でも、多分それ正解に近いと思うよ? ボクの見立てだと、イスカンダルが『メリットがなくデメリットしかないのにガミラス寄りの言動をする』のは、おそらく国家としての意思というより”
そして彼女は言葉を慎重に選ぶように、
「確かユリーシャ・イスカンダルって前にこんな言い回しをしてなかったけ? ”イスカンダルは生徒数100万人の女子校みたいなもの”だって。それを聞いたときは面白い表現だなって思っただけだけど、あれが母国に関するもっと深くて重い意味を込めた『痛切な皮肉』だとしたら……?」
答えたのは地球人の
「生徒は生徒会などの自治組織は運営できるが、基本として学校の運営や経営には口を出せない。
するとルドルフは頷き、
「正確には、最高経営権は持っているのはスターシャ女王”一人”だろうね。あの利害関係を無視した政策から考えても、オブザーバーは居ても合議で運営を決定してるとは思えない。そしておそらく、ユリーシャ・イスカンダルみたいな例外は別にして、大半の生徒……国民は、内政はともかく外交的な参政意識は高くないと思う。それも無理もない話だ。現状のデータをどう洗っても、地球連邦を除けば”まともに外交できる相手国”は『あのガミラス』だけだ。多分、その状況はここ1000年大きく変わらなかったんじゃないかな?」
そして周囲を見回す。自分に注目を集める仕草が実にうまい。これも彼女が皇帝たる所以なのだろう。
「”全宇宙の救済”なんて古代アケーリアス文明の二番煎じみたいなホラ吹いて、あちこちにこっそりちょっかいをかけてたみたいだけど……実を結んだ国はないみたいだしね。むしろイスカンダルがちょっかいをかけたせいで、余計な戦乱が起きて自滅した国もあるみたいじゃない?」
その名を”ビーメラ”というらしい。
「そんな状況で外交に熱心になれって方が無理な相談だよ。ちょっかいをかけた国はパッとせず、おそらくはガミラスの覇権主義で潰されるか、その前に自滅してるかってオチしかなければね。だからスターシャ女王の意思が国の外交的な意思となっていても不思議じゃないんだ。国民も女王自身もそう思ってるんじゃないかな?」
「おい、クソガキ……お前、自分が何を言ってるかわかってるか? それはつまりイスカンダルってのは、」
指導者というより冒険者上がりのギルマスっぽいキャーティアンの男に彼女は頷き、
「多分、立場上ボクが一番感覚的に理解できるよ。イスカンダルは、どう言い繕うがその本質は『ガミラスと同じ”
***
一同が薄々そうじゃないかと思ってきたことを、他でもない連邦で唯一”皇帝”の肩書を持つ者に言われてしまえば、俄然真実味を増してくる。
「ふぉふぉ。中々に愉快な見解じゃな? して、イスカンダルが独裁国家とし、ユリーシャが独裁者スターシャ女王に造反したとして、今回の行動の真意とはなんじゃ?」
今まで静かに聴いていたウサギの長老が問えば、
「元に戻るけどね、ユリーシャ・イスカンダルはガミラスの信仰の対象、いや”
「それだけじゃないわね。姉はともかく、自分は”ガミラス一辺倒ではない”と
「そして、『姉より自分を窓口にした方が地球にとって利益が大きい』アピールってか? あの女、一石で何羽の鳥を落とす気だよ?」
「可能な限り……でしょうな」
地球人の高官は、そう締めた。
「さて、皆さんの意見を総合すると、少なくとも”ガミラスとの停戦”自体は妨害する気はないと見てよろしいので?」
「だろうね。『ガミラスが”奴隷に身を墜とした自分”を見て逆上し、交渉決裂』するならそれでもかまわない程度には思ってるだろうけど、積極的に潰す気はないと思うよ? メリットがないから。その程度でしかないなら、遅かれ早かれボク達にではなくガトランティスにやられそうだしね」
「ふぉ。むしろユリーシャとしては”和平の功労者”としての冠を、”地球側に立ったイスカンダル人”として欲しいじゃろうからのう。なにせ一介の大尉の牝奴隷じゃ。だれもその在り様を疑わんじゃろう」
「だとすると、”奴隷”ってのも存外予防線なのかもな? アレ、嫌らしいことに女王を引き釣り下す気ねーだろ?」
「ないわね。イスカンダルに縛り付けられるなんて、あの娘にとって呪いにしかならないでしょうから」
「自分は女王を凌ぐ実権の入手を画策したまま、”権威は現女王に
「”それならば、手は打ちやすい”でしょ?」
ウインクする若き皇帝に苦笑しながら、
「ええ。その通りですな。これで無数にある『対ガミラス
こうして老若男女どころ種族や母星の差はあれど、同じ種類の悪漢たちの茶会は続いていくのだった。
政治の話をすると、妙に長くなりますねーw
でも、これでも書きたい内容をかなり削った結果です。
まあ、でも……今まで曖昧にしてきた「地球から見たイスカンダル」をガミラスとの接触前に「善良とは言えない人々から見た視線」で書いてみたかったんですよ。
地球は間違いなく原作より強いですが、何もその強さの秘密は軍事力や人口だけじゃない……みたいな?
追記
名前を付けずに書くのは難しいっす。
ちゃんとキャラの書き分けできてるかな?
ちなみに地球系の高官はモブなので複数いますw