たまには地球がチート臭くても良いのではないかと   作:ヤマトとトマトはなんか似てね?

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でも、登場するのはやっぱりオッサンたちの罠W

少しこの世界線でのイスカンダル行の背景とかが見えてきます。




第09話:” 時にはイスカンダルの話をしようか? ちょびっと90年代テイストを添えて”

 

 

 

(困ったもんだな……)

 

 それが沖田十三の偽らざる本音であった。

 

(ガミラスという国家はやることなすこと、全て裏目に出てるのかもしれん)

 

 だが、同情するつもりもない。

 真に同情すべきは、ガミラスに非がないのに侵略された被支配民であり、その死者たちだ。

 かくゆう地球連邦とて、多い年には戦死者/行方不明者を1万人近く出したこともあり、また開戦以来の死者数は累計で3万人以上に上っている。幸い民間人の戦死者がいないことだけは幸いだが、それだけだ。

 そうであるが故に許すつもりも全くないが……

 

「イスカンダル人という種族は、厳密には存在しないらしい」

 

 藤堂はいきなりそんなことを切り出した。

 

「……どういう意味です?」

 

「イスカンダルというのは本来はただの星の名前で、そこに人間のような知的生命体は住んでいなかったらしい。少なくとも()()()()までは」

 

 そこに嫌な沈黙が生まれた。

 つまり、イスカンダル人を名乗る彼女らは、イスカンダルで生まれた種族ではないというのだ。

 その理由は、

 

「イスカンダルからの使者は、決してイスカンダル人以外の種族名を名乗らない。本来の自分達の種族の禁忌であり、決して口外してはならない……そういう重い鉄則があるのだそうだ。それは彼女達の先祖を知るはずもない我々にも適応されるらしいな」

 

 残念ながら明らかに面倒そうな話であった。

 

「何をやらかしたんですか?」

 

「大マゼラン星雲には、大量の星屑……”明らかに自然に砕けたのではない星の残骸”が数多あるそうだが、そのほとんどがイスカンダルの先祖が原因らしいな」

 

「いや、本当に何やったんですかっ!?」

 

 実は昔、「盗んだ宇宙船(バイク)で飛び駆けて、校舎の代わりに惑星をぶっ壊す系の宇宙女暴走族(レディース)だったのだろうか?」と思わず危惧してしまう沖田であった。

 因みにその危惧は大外れというわけではない。

 

「かつて大マゼラン星雲に確固たる汎銀河国家を築きかけたのに、今はたった一つの星の上に本来の名を捨て別民族(じん)として隠棲している……おおよその察しはつかないかね?」

 

 イキった民族(ゾク)が、ちょーしこいて全国(マゼラン)統一しようとしたら、恨み買いすぎて格下に徒党組まれて返り討ちにあった……90年代のマガ○ン系連載作品かな?

 きっとイスカンダルは、「不運(ハードラック)”と”踊(ダンス)”っちまった」に違いない。

 

「つまり、イスカンダルは恨みを買うことの恐ろしさを知っていると?」

 

 藤堂は静かに頷き、

 

「そして、ガミラスの使う半永久機関式超光速航行装置、いわゆる”ゲシュタム機関”は元々イスカンダルの技術であり、ガミラス星が不安定だであることを知っていたイスカンダルが、『早く新しい住処を見つけられるように』とガミラス人に授けたものだったらしい」

 

 ガミラスは、確かにイスカンダルの願い通りに新たな住処を探している。ただし、事実を国民に隠ぺいするため()()()()()()()()にして罪なき星々を蹂躙しながらだ。

 しかも、戦争の大義名分は”イスカンダル主義の全宇宙への拡大”

 

 『イスカンダルの慈悲と救済の元、人は初めて真なる永遠の安寧と繫栄を享受できる』

 

 事実、ガミラスは国民にそう宣言し、侵略を繰り返しているのだ。

 自分達がしているのは侵略ではなく救済だと主張して。

 

 

 

「……考えうる限り最悪の状況ですな。主にイスカンダルにとってですが」

 

「そして、更に(タチ)が悪いのは、ガミラス占領下の支配体制は、必ずしも抑圧的ではないらしいんだ」

 

「……本質的には領土拡張が目的ではないでしょうから、あえて強固な支配体制を確立する必要はない?」

 

「そうだ」

 

 藤堂は肯定し、

 

「確かに自分達を『高貴なる青い肌』と称し人種的優越種とみなしてるから高圧的で鼻持ちならない態度はするだろうが……だが、彼らが征服した星の中には上流階級が市民に対し、あるいは同じ星に住む異民族や少数民族に対し悪質で前近代的な迫害、弾圧、搾取、差別を行っていた国も多いと聞く。それら”虐げられていた民”にとり、旧支配階層を完膚無きにまで叩き潰したガミラスは解放者であり、確かに救世主であるのさ」

 

 残念なことに事実であった。

 ガミラスの支配など問題にならないほど酷い体制を引いていた国はごまんとあった。

 ある星では、上流階級の人間が下層の人間に「何をしても罪には問われない」、気ままに平民の幼女や女児を連れ去り、散々犯して殺した挙句、その死体をゴミ捨て場に投げ捨てたとしても「当たり前」とされる国があった。

 またある星では、反抗的な少数民族や異民族を公開処刑する様をエンターテインメントとして全土に放映する国もあった。

 

 別に全ての被支配地がそうであったわけではない。

 だが、そういう者達が少なくない数存在したことも紛れもない事実だった。

 例えば、ジレル人の、ミーゼラ・セレステラとミレーネル・リンケ……幼女二人が刑務所の中で収監とは、と思う人もいるかもしれないが「五体満足で生きていただけマシ」とする見方もある。

 違う星なら、「貴族の屋敷で手足を切り落とされ性欲処理用の道具としてコレクションされる」なんて結末だって十分にありえたのだ。

 

二等臣民……我々にとってはロクでもない響きだが、何等であろうがガミラス人として生きれる事が幸せだとする人間もいることが、余計に状況をややこしくしてるのさ。それが救済だとね」

 

 沖田はまたしてもため息をつきそうになったが、酒を流し込むことでそれを抑え、

 

「読めてきました……イスカンダルが望むのは”どうにもならない現状の打開”ですか? イスカンダルの技術ではガミラスは救えず、そうであるが故にガミラスは領土拡張……侵略戦争を止められない。そして、ガミラスの所業はいずれ自分達にも向かう……何せ技術の大本、ガミラスが星々を渡り戦争を繰り広げる技術を与えたのは自分達で、見方によっては黒幕ととらえられかねない。何しろ実際に救済された民はおり、ガミラスはそれを表向き『全てはイスカンダルと、その意向をくんだデスラー総統の慈悲ゆえに』と喧伝する」

 

「イスカンダル信仰はガミラスにおいて半ば国教以上の”社会通念”に近い。イスカンダルの慈悲を総統がそれを実行に移すことに、なんら矛盾も疑問も生じないのさ」

 

 二人は酒を呷り、同時に猪口を置いた。

 そろそろ答え合わせの時間だった。

 

「なればこそ()()()()()()()()()()停戦、ならび和平が成立したという”実績”が必要だと」

 

「ガミラスに既に敗戦した国には不可能な所業だろうからね。そして我々は今のところガミラスに敗戦する予定はない」

 

 イスカンダルの掌で踊らされてるような気がしなくもない……それが表情に出ていたのだろうか?

 藤堂は沖田に、

 

彼女たち(イスカンダル人)は本気だよ? 最初の使者、ユリーシャ・イスカンダル第三王女殿下は一体何を手土産に持ってきたと思う?」

 

「想像もつきませんが……」

 

「ゲシュタム機関の、いや地球でいう”波動機関”の心臓部……正真正銘()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、その現物と製造方法”さ」

 

「なんとっ!?」

 

 それは地球連邦が喉から手を出すほど手に入れたい、垂涎の技術だった。

 『戦場で出会えば十中八九は勝てる』という戦闘力の優位性がある地球連邦の戦闘艦艇だが、唯一の泣き所がガミラス艦に明確に劣る機動力、それも通常空間のそれではなく”超光速航行(ワープ)性能の差”だ。

 出会えば勝てるかもしれないが、まず出会うのに苦労する。

 事実、特に会戦当初はその航続距離の長さと速さに翻弄され、頭を抱えたことが記憶に新しい。

 地球連邦の戦闘艦艇はスタートレック方式の「通常空間におけるワープ速度」はこの8年でワープ9.9(光速の3053倍)からワープ9.975(光速の5754倍)へとほぼ倍加しているが、”空間歪曲型超光速航法(トランス・ワープ)”の一種である”フォールド航法”は、現状ではほぼ頭打ちになってしまっている。

 つまり、1回の次元跳躍で飛べる距離はざっと200光年(オーバーロードさせれば1回に限り500光年の緊急ワープは可能とされるが、機関爆発のリスクがある上に、オーバーホールしなければ機関が使い物にならなくなる)で、機関への負荷を考えれば一日一回が限度。

 つまり地球連邦の戦闘艦艇は、ノーマル・ワープとトランス・ワープを併用する事により距離を稼ぐのだ。

 

 対してゲシュタム機関を搭載するガミラス艦は、一度の跳躍距離はフォールドと大差ないものの、機関への負荷が小さく一日に数度のワープ(ゲシュタム・ジャンプ)が可能だという事が鹵獲艦から判明した。

 

 地球はこの”光速を超える領域の機動力の差”で何度も翻弄され、星や星系を占領されることはなかったが、それは「たまたま結果的に」そうなっただけだと地球連邦は認識しており、事実危ない場面は何回もあった。例えば、、領域内に侵略の橋頭堡となる前線基地を作られかけたことすらあるのだ。

 そうであるが故にリバースエンジニアリングでの自国開発を急いだが、今の所目立った成果はあがっていなかった。

 実際、会戦してしまえば高確率で勝てるが、相手に攻勢イニシアティブを握られ、また追撃戦に移行した時も簡単に逃げられてしまうという何とも歯痒い思いを地球連邦軍はしてきたのだ。

 

「我々が話を聞くという態度を示しただけで、彼女たちはそれを提供すると言うんだ。ガミラスという先例、そのリスクがあるにも関わらず地球連邦に賭けるとね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最低、あと1回はオッサン回かも……

ロリとかペドとかショタとかケモ耳とか贅沢は言いません。
先生、すごく女の子が書きたいです(末期的禁断症状

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