たまには地球がチート臭くても良いのではないかと 作:ヤマトとトマトはなんか似てね?
翅川特使の勘違い系(?)と焦りを楽しんで頂ければと。
あとキーマンw
(ところで、何でさっきから私の耳と尻尾をジッと見てるんだろ? あとおっぱい)
情報将校と名乗った青年の視線に、最初に感じたのは疑問だった。
(おっぱいをガン見してるってことはちゃんと女として私を認識してるってことよね? ニャルほどー♪ 私もまだまだ雌猫としてイケるってことよね?)
ここ数年、外務省に入って以来、仕事が楽しくて気がつけば婚期が気になるお年頃になってしまった翅川巽さんであった。
彼女はちょっと内心で上機嫌になりながら、
「私の耳と尻尾、そんなに気になりますか?」
胸について触れないのは、別に武士の情けとかではない。
キャーティアン、というか獣人系は全体的にそうだが、「オスが性的に見ること」は失礼にあたらない。むしろその逆で、”アピール成功”を意味するのだ。
それは些細でも生存競争に勝ち残り、次の世代に命を繋ぐチャンスが一つ増えたことを意味する。
相手がガミラス人だろうと雄であることに違いはない。
ついでに言えば、この場は外交の予備交渉の場、発言の優先権は少なくとも地球側は文民側にあった。
ガミラスには理解しがたいかもしれないが、こと交渉に関して最優先は年若の翅川であり、次いでご意見番(あるいは政府のスポークスマン)の槙原康介議員、最後に軍人である沖田十三だ。
古代守、真田志郎、古代薫に至っては「意見を求められたら、それぞれの立ち位置と見識で答えるオブザーバー」が基本だ。
***
それにしても、翅川も外交官らしく、目線が存外にえげつない。
地球の基準に照らし合わせるのなら、外交権を持たされているのは文民(文官)であるローレン・バレル特使だけのはずだ。
だが、ガミラスでは軍人の社会的地位が地球連邦と比較しても高い。
ならば、ハイデルンと名乗った少将が発言権が優先されてもおかしくないが、その雰囲気と態度から察するに政治的交渉事に年齢の割には経験が少ないように視える。
(おそらく生粋の軍人、現場の叩き上げかもね)
おそらく随行してる二人の佐官も似たり寄ったりだろう。政治ではなく戦争向きの人材だ。軍人なのだから当然かもしれないが。
尉官の二人……自分より確実に若いであろう少女達は、階級が低すぎて比喩でなく「話にならない」。
一見すると数合わせに見えるが、
(少尉の方は、中尉の存在を目立たせない……階級が低い者がここに居るのも数合わせの当然と思わせるカモフラージュってところかな? 中尉はどうやらジレル人みたいだし)
約半世紀前に1000万人のジレル人がテレサの
16万8千光年彼方の地球連邦にこれだけいるのだから、地理的に近いガミラスに生き残りがいても何の不思議もない。
(
よくよくジレル人っぽい中尉を見ると、微妙に目が泳いでいる。
(フフッ。もしかして、心が読めなくて焦ってるのかな? お生憎様。こっちはとっくに対応済みよ)
と心の中で舌を出す。
地球連邦の用意した惑星”ニモイ”を新たな母星としたジレル人は、種族と歩んだ歴史からとても
前にも書いたかもしれないが、「自分達の精神感応力で再び迫害され、安住の地を失う」ことをひどく恐れるのだ。
無論、地球連邦は”
そもそも、「心が読める」程度で恐れていては、身体能力に遥かに勝り価値観が微妙に異なる獣人系などと共存、同じ星どころか隣の部屋に住むことなんてできやしない。
それを平然とするのが今の地球系人類だ。
だが、ジレル人は種族の大半を他惑星の住民に母星ごと焼かれた凄惨な過去が未だ民族的トラウマとして残っていて、自分達の技術力を誇示し「連邦市民として価値のある存在」であることを示す……という建前の元、非常に多種多様な”
当然、”ヤマト”にも大は艦全体に作用し軽度の阻害から、一切の精神的干渉を排除する段階まで可能なフィールド式の艦載型から、小は個人携行できるキーホルダーやバッジになってるものまで最新型が完備されていた。
というか、”ヤマト”の建造計画が立ち上がった当初から、それらの装備の充実を強く訴えたのは、他の誰でもないジレル人だ。
彼ら彼女らの主張はこうだ。
『万が一ガミラスの手先になったジレル人がいて、ヤマトに破壊工作でも仕掛けてきたら……自分達にもとばっちりがきそうで怖い。嫌だ』
例えそうなったとしても連邦は”同じ連邦市民”であるジレル人にそんな感情を向けるような教育もしてないし、そもそもそんなメンタリティもかつてならいざ知らず、ジレル人と異なり自らの自業自得で滅亡しかけるという経験をした今はないが、そこで中々安心しないのがジレル人だ。被害妄想と言ってはいけない。
実は今のヤマトのサイコ・ディフェンス能力なら、原作で行われた「古代アケーリアス文明の遺跡でオーバーブーストしたミレーネルの思念体攻撃」すらも容易に退ける。
宇宙ホタルなんぞ、あっと言う間に無効化だろう。
そして今回も、ヤマトに乗り込んできたガミラスの面々を監視カメラで見た途端、技術科のスポックス・バーナム・グレイソン少佐が直ちに艦載阻害装置を”自動調整(相手の感応強度によってジャミング出力を上げる)”モードで立ち上げ、また直接会う面々だけでなく艦内の全員に携帯型阻害器のスイッチをオンにするよう進言し、それが受け入れられたのだ。
彼はとても慎重な気質なのだ。
あと驚くべきは、艦内にそこそこ……数十名のジレル人が乗り込んでいるのに、誰も「心を読まれる可能性を気にせず」、阻害装置のスイッチを入れてなかったことだろう。
その
「いや、ジロジロ見て済まない。我々にはないモノだからつい」
とキーマン。尻尾と耳のことなのか、胸のことなのか微妙な言い回しだ。
しどろもどろにならないの肝の太さはは褒めたいところだが、
「それはそうでしょうね」
だが、相手に切り込む隙を与えたのはいただけない。
さっきも似たようなことを言ったが、翅川には外交官として食っていくだけのえげつなさが、ちゃんと標準搭載されている。
バレルという本命を攻める前に、「消去法で選んだキーマン」を交渉の攻め口にする気らしい。
「ところでガミラスの”支配民”には、”
攻城戦は、何もジャガーノートで正門を叩き壊すだけが手段ではない。
裏門から攻め込むのもありなのだが、
「獣人系? それは?」
(えっ? ちょっとまって……これってもしかして)
「イスカンダル・ルートで情報伝わってませんか? あなた方が”テロン”と呼ぶ地球連邦の構成とか人種とか人口とか……そういう基本情報です」
するとキーマンは少し考え、
「いえ。我々がイスカンダルからもたらされた情報で、”
”びしっ”
その瞬間、翅川だけでなく地球側一同が固まった。
だが、翅川の脳ミソだけが著しく過回転する。絶対に後で糖分補給が必要だろう。
そしてその結論……
(あの”
***
さて、翅川巽という若き外交官の思考を少しトレースしてみよう。
まず、ユリーシャ・イスカンダルという少女が、「ガミラスの今後の為に地球との交渉仲介を買って出た」姉のスターシャ女王と違い、「ガミラスにさほど好意的とは言えない」ことは理解していた。
だから、「彼女の調べた情報を意図的に隠蔽する」事は、実は予想できた事態ではあった。
何しろ、イスカンダルに伝わった情報は、ほぼ筒抜けになると地球連邦では理解していたからだ。
だから、表向きにユリーシャ・イスカンダルに与えられた情報は、「ガミラスに知られても問題のない情報」に真偽を混ぜてというところだ。
ユリーシャ・イスカンダルの「本当の情報収集能力」は未知で、地球人の知らないテクノロジーでどれほど抜かれたかはわからないが、それでも別に構わないとしていた。
というのも、彼女の不断の言動やそこから趣味嗜好を観察する限り、「本当に地球が困る情報」は吸いださないと判断できたからだ。
つまり、”交渉相手の逆鱗に気安く触れるほどアホの娘
以上のように制限された中においても、それでも「もたらされる
(ま、まさか、外交に苦慮することになるほど情報を出し渋ってたなんて、完全に規定外だわ……)
翅川に限らず、地球連邦外務省は「ある程度、地球連邦の情報が漏洩している(ガミラスがある程度、知っている)事を前提」に、その漏洩度合いに応じて外交の基本交渉となる複数プランを考えていたのだ。
しかし、
「困った。流石にこれは予想の斜め下の事態だニャ……」
思わず
ただし、約一名が大きく瞳を見開き、視線の熱量を更に増大させた事は特筆すべきことだろう。
最近、翅川を「想定の斜め下の事態」にエンカウントさせ、焦らせるのがお気に入りですw
そしてやらかしてたユリーシャw
そりゃあ、「知らなさすぎる」のも外交的には難しいでしょうて。
しかも、この娘の場合は絶対に「わざと」でしょうから。
そして滾るキーマンw
翅川が無自覚で煽りすぎるのでそのうち、”阿良々木君化現象”を起こすか分からない不安が……