永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
うへ、うへへ・・・うへへへへ。
トレーナーのダイエットを始めてからわたくしも甘いもの断ち。以前から砂糖の過剰摂取生活には苦言を呈されていたのでそれはもうしょうがない。
ただここ数日かなりやばい。わたくしの鋼の意思が決壊寸前なのですわ。駄菓子・・・ケーキ・・・はちみー!ああ糖分が足らない!
そんな状態で迎えた放課後。わたくしの目の前でブルーが煽りながら見せつける様にニンジンケーキを取り出しやがったのです。わたくしは砂糖ォォ!!そいつをよこせェェ!!と声を挙げたところから記憶がない。
そんなことかあったわけで現在のわたくしはぐるぐる巻きで拘束され教室の床に転がされているわけです。何処からかロープなんて出てきたのでしょう。このクラスには謎が多い。
「何が謎が多いだ。しっかりと反省しろ」
わたくしを取り押さえたらしいルドルフからの鋭い指摘。ルドルフは少し乱れた髪を手櫛で整えている。あと胸元のリボンが曲がっていますわよ。
本日のMVPであるルドルフはブルーからニンジンケーキを戦利品として受け取っている。ルドルフは暴れ回るわたくしの前に颯爽と現れては華麗にロープで拘束したらしい。わたくしは覚えてはいませんけど。
詰め込めるものは徹底的に詰め込むタイプのルドルフ。以前に弓術は齧った事があるとは聞いたことはありますけど・・・まさか縛術も教えられるんですかね?それともシンボリ家はみんなそうなんでしょうか?
クラスメイト一同はやっぱすごいよシンボリ家はと言っている。チヤホヤされるのもルドルフは慣れた様。クラス全体が落ち着いたのを確認した後は転がるわたくしには歩み寄り声をかけてくる。
「そろそろ落ち着いたかミカド・・・当分の間糖分をとってないだけだろう?」
これがなければなぁ。
ルドルフはふふっと自分の駄洒落に笑っていた。その愉快な頭をひっぱたいてやろうかと思いましたが・・・わたくしは拘束されて床を転がるのみ。それにそんな元気もありませんからね。
この苦しみは貴方には分からんでしょうねぇ!!ペンを持つ手が震えてますのよ!これは糖分不足から来る禁断症状!おそらくは末期症状的なアレなのですわ!
無様に転がるわたくしの悲鳴に近い声は誰にも届かない。まるで敗残兵。うううはちみーとガムシロップのカクテルが飲みたいよぅ。
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わたくしが暴れたと言ってもルドルフにより瞬時に制圧されてしまったので特に罰則はありません。精々担任にまたかよみたいな顔をされつつ苦言を呈されるくらいです。でももしお説教をくらうなら・・・その際には教室にニンジンケーキを持ち込んだブルーも巻き添えにしましょう。
まあこの程度クラスではいつものことです。問題児ばかりの我がクラス特に珍しくもないいつもの日常とも言えますわね。今日も何事もない平和な一日でしたわ!
「その平和な1日なのは問題の後片付けを私やバトラー君が請け負うからだというのはわかってるのか?」
トラブルはシンボリルドルフ先輩にお任せというキャッチフレーズが何故か新入生にも広がってますからね!あといつも巻き込まれているバトラー先輩というも結構有名ですから。
でも個人個人には負うべき役割というものがあると思いませんか?散らかす人片付ける人逃げる者追う者。人は生まれ持った役割という枷からは逃れることはぁぁぁあ!!
言葉の途中でテーブルに置いていたわたくしの大事な大事なチョコレートがルドルフによって奪われ、その口へと吸い込まれて行った。
トレーナーからの要望により解禁されたわたくしのチョコレートが!暴れて問題起こすくらいなら食べろという命令もとい指示で買ってきたチョコレートが!
久々に食べるからゆっくりと味わうつもりだったのに!1日2粒までって決めてたのに!たったの2粒しかないのに!一口くれと言って丸ごと一つ奪うような横暴ですわ!
「詫び代の代わりだ。今後問題を起こすたびに一粒づつ貰っていく事にする」
だから明日は大人しくするんだぞと言ってルドルフはチョコレートを食べる。しかもこれあまり美味しくないなという余計な一言のおまけ付きで。
ぐぬぬ勝手に決めるとか何という暴君なのでしょうか!これはもはや戦争しかありますまい!それに問題は・・・そこまで起こしていませんし!
「クラスで起こる問題の半分以上はミカドちゃんが原因だと思うけどなぁ♡」
喧しいですわ。それにしてもこのチョコレートの埋め合わせはどうしてくれましょうか。とりあえず残り一粒のチョコレートまで搾り取られる前に食べてしまいましょう。ぱくり。
食べ慣れたわざとらしいとすらいえるチョコ味。高級感とは正反対のチープな駄菓子のような味。しかし久々に食べた暴力的甘味はわたくしの脳内に白いスパークを飛ばす。
楽園がそこにはあった。人類もウマ娘も愚かで世に争いは絶えない。ですが今わたくしは限りなく真理に近い啓蒙を得た。甘いものこそが世界に平和をもたらす。脳に砂糖を得よ。
この味を何と表現すればいいのかはわからないですが、総じていうならば・・・ちょこおいしい。
しかしその幸福な時間もやがて終わる。わたくしは舌をモゴモゴさせて歯の間に残っていないか確かめても何も出てこない。
思わず深ーくため息をついてしまう。本来であればもう一粒あった筈なのに・・・明日からはもっと真面目にしよう。一粒の代償があまりにも大きすぎる。
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一粒取ってしまったのは少し可哀想なことをしてしまったかも知れないな。だがこっちが頭を悩ませているのに能天気なのが少し・・・腹が立ってしまった。
後ろを歩くミカドは百面相をしているかと思えば一転、しょぼくれて肩を落としトボトボ歩く様はいつもの覇気が全くない。
ミカドが甘味断ちを始めてかなり経つ。自制心なんてかけらも持ち合わせていない割には長く持っている方だとは思う。最初はトレーナーから食生活の改善指導かと思っていたので口を挟まないようにしていたが、どうやら甘味断ちは自主的に行っているらしい。
始めこそ自主的な改善には少し感心したが唐突な甘味断ちからの悪影響が最近出始めた。一言で言えばミカドの情緒が不安定気味になっていた。
具体的にはランニング中にずっとはちみーはちみーと呟いていたり、バニラエッセンスを振りまいたり、ヒップホップで食べていくと唐突に言い出したりと思い返せばキリがない。
だがミカド本人に甘味断ちを緩めるように言っても聞かないのは分かっていた。変なところで頑固な奴なので意地を張るのは目に見えている。
そこでブルーと相談して一計を案じ、問題行動を誘発させる計画を立てた。甘味断ちの悪影響をミカドのトレーナーに教える事とミカドのガス抜きを兼ねた狂言。
事前に根回しをしていたので計画はスムーズに事が運んだ。ロープが教室に転がっていたのもその為だ。結果としてミカドのトレーナーからの緊急指導が入り、その日のうちに甘味禁止から制限まで緩める事ができた。
少しでも甘いものを口にするようになれば、ミカドのこの情緒不安定さもあと数日で落ち着くだろう。私は内心でホッと胸をなで下ろした。
「甘いものの香りがしますわ!」
は?と言いながら呆然とする私たちを置き去りに、ミカドは茂みを飛び越えあっという間に校舎の角を回って行ってしまった。
そして聞こえてくる幼い少女の叫び声。心底確認したくないと心の底から思いつつも、私は急いでミカドの後を追いかけ校舎の角から様子を伺う。
「驚愕っ!!あわわわ変質者か!誰か助けてー!」
「何だか高級っぽい甘いものの香りがしますわ!なんてことを!なんてことをしてくれるのですかこの子は!誘っているのですか!」
見覚えのある不審者によって後ろから抱きかかえるように押さえ込まれた私の小さな友人。何故ここにいるのかはわからないが久々の再会なのになんとも間の悪い。これには私も苦笑い。
さっき回収しておいてよかったと思いながら私はロープを鞄から取り出した。当分の間は持ち歩くことにしよう。私は手早く不審者をぐるぐる巻きにする。
「どうやら少しばかり冷静さを失ってしまっていた様です。安心してください今のわたくしは冷静です。ですのでルドルフ今のはセーフですわよね?」
正気に戻りぐるぐる巻きになった不審者もといミカドが懇願するがそうもいかない。お前はいい友人だが・・・残念だよ、己の行いを呪うんだな。
アウトだ。明日もチョコレート一粒だな。
なんだか更新が開いてしまいました。
健康的に問題があって仕事がうまく行かなくて、そしてやるべきことが山のようにある・・・という事情は一切ありません。ネタが思いつかなかっただけです。
でもこの時期ソシャゲ周回がきついのは本当。なんとかウマ娘のイベ周回が終わった。あとfgoとニーアとプリコネやらなきゃ・・・