永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
書いたかどうかは忘れましたが、シンボリルドルフは小さい頃にシンザン会長に会ったことがあります。彼女はエミュレートが難しいです。
私は奉仕作業として生徒会の書類整理を手伝っていた。副会長と一緒に書類の重要度によって区分けし、山のように積まれた書類から、緊急性の高そうなものをシンザン会長に手渡していく。
生徒会室では書類の擦れる音と、ペンが走る音が響いている。奉仕期間も一週間が経った、今日私はあの2人とは別々の作業に従事していた、いつも煩いのと、いつも他人を揶揄うことばかり考えている2人がいないため、今日は静かなものだ。
「そういえばルドルフくん。君は探し人は見たかったのかい?」
唐突に書類にサインを入れていたシンザン会長が訪ねてくる。探し人・・・・?ああ、あの時の彼女のことか。
誰のことかと一瞬考えたが、思い当たる節は1人しかいない。私は黙って首を横に振る。彼女もトレセン学園に入学していると思っていたが、今のところはそれらしき人物は見つかっていない。
「そうか・・・彼女には借りがあるからね。私も会ってみたかったんだけどなぁ」
シンザン会長は残念そうにしている。だがこれは藁をも掴むような話なので仕方がないこととも言える。ただ数時間会っただけ。顔も名前も知らないウマ娘を探し出すなんて不可能に近いことなのだ。
今でもはっきりと覚えている。私が小さい頃トレセン学園を訪れ、シンザン会長と初めて会った日。その立役者となった彼女。
いい思い出か、悪い思い出かと言われれば多分いい思い出なのだろう。折角だから少し思い出してみよう。彼女の話、トーマスちゃんの話を。
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あれは私が今よりもっと幼かった頃。まだシンボリルドルフではなく、ルナと呼ばれていた時の話。
私はその日トレセン学園の感謝祭に訪れていた。シンザン会長がまだ会長でなかった頃。憧れていたシンザンさんに一目でもいいから会ってみたかったのだ。過保護にも着いてきたお付きの者たちを振り切って、あの日私は1人で学園を回っていた。
「ねぇ。どうしてそんな変なお面をつけてるの?」
そこで出会った水色のパーカーを着て、妙なキャラクターお面をつけた同年代のウマ娘の少女。彼女とは三女神の像の前で出会った。私たちは出会って数分で仲良くなり、互いに名前を名乗り自己紹介した。彼女はトーマスと名乗り、私と友達になった。
その時は知らなかったが、トーマスというのはそのお面の名前だったらしい。どうも機関車に顔がついた奇妙なキャラクターらしい。
「きょうはこれがわたしのかおなの!」
彼女は元気よく答えた。よくわからなかったが彼女が言うには、感謝祭で付けていけば目立つはずということらしい。なんでも有名なキャラクターだから記憶に残りやすいはず、と言っていた。
「覚えてもらうなら自分の顔の方が良くない?絶対その方がいいよ!」
「ううん。これですっごいいたずらしたら、きっとわたしはでんせつになれるんだよ!いちくーるのれぎゅらーより、いっかいのでんせつだよ!」
どうも彼女の尊敬する人の言葉らしい。私はその人のことを知らなかったが、きっと立派な偉人の言葉なのだろうとその時は納得した。
その時は私は無邪気なものだったのだ。私より背が低く、どこかたどたどしく話す彼女に、私は立派に接しなければならないと精一杯だった。
「るなちゃんはどーしてかんしゃさいにきたの?レースをみにきたの?」
「ううん。シンザンさんに会いに来たの」
「じゃああっちのきっさてんだね!いっしょにいこうよ!」
そうしてシンザンさんの所属するトレセン学園トップチームが開いている喫茶店にやってきた。ここは普通の喫茶店とは違う。出入り口に大きく書かれているのは『食い逃げ喫茶』と言う文字。
どうやら食い逃げを推奨しているのだろう。このチームの伝統らしく10周年と書かれている。壁にある掲示板には食い逃げに挑戦したチャレンジャー達の名前がずらりと並んでいる。10年の累計の数字らしく、おそらく300人近い名前がある。
その横のボードには現在成功者数0人と大きく書かれていた。10年で逃げ切れた者がいないらしい。
「へぇ〜くいにげしていいんだって!るなちゃんやる?」
トーマスちゃんはそう言ってくるが、どう考えても逃げ切れるわけがない。私も脚には自信があるが、追ってくるのは日本最速のチームなのだ。どんなに脚に自信があっても絶対無理に決まってる。
ふーんとつまらなさそうに生返事をするトーマスちゃんと一緒に、案内されて私たちは喫茶店の中に入った。
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席に案内された私はジャケットを椅子にかける。机の上に置かれていた年季の入った手作りのメニュー表から注文をした。私はロールケーキと紅茶、トーマスちゃんはクッキーとミルクだ。トーマスちゃんはクッキーに舌鼓を打っているが、私はそれどころではなかった。
「・・・ねぇ、るなちゃん」
トーマスちゃんがシンザンさんに会いに行かないのかと聞いてくる。
「い、いや。もうちょっと待ってからにしようかなって・・・」
尻込みしている私を見て、トーマスちゃんは呆れたように言った。
「るなちゃんってへたれだね」
「わ、私はへたれじゃないもん!」
私の声に反応して席に座っていた何人かがこちらを見る。思わず私は顔を赤くして縮こまってしまった。その様子を見ていた彼女は確信を得たように言う。
「やっぱりへたれだね」
「違うもん・・・違うんだもん・・・」
へたれじゃないもんとぶつぶつ呟くことしかできない私を見て、トーマスちゃんは近くで給仕をしていた学生の人に声をかけた。
「ともだちのるなちゃんが、しんざんさんのふぁんなんです。るなちゃんといっしょにしゃしんをとってもらってもいいですか?」
いきなりそんなことを言い出すものだから私はすごく焦ってしまった。その時の私はパニックになってしまい、よくわからないことを口走っていたような気がする。
彼女の言葉を聞いた方は、ちょっと聞いてくるねと言ってキッチンのあるであろう裏側に入って行った。そしてすぐに戻ってくると奥の部屋で待ってくれているよと告げてきた。
「えっ、ちょ。む、無理。無理無理無理だって。まだ心の準備が・・・」
「しらなーい♪」
彼女は無邪気な声をだして私の背中をぐいぐいと押してきた。シンザンさんが待っている部屋に私を押し込んだのだ。
「ねっ、いっしょに居て!1人じゃ無理。おねがいぃぃ」
「きこえなーい♪」
彼女は絶対お面の下でニヤニヤしていたはずだ。そんな彼女は私を一人で置き去りにした。もはやその時の私に立派にやるという意地はなく。自分より背の低い子に縋り付く醜態を晒してしまっていた。
「じゃあわたしそとでまってるから、おわったらよんでね」
「待ってよ。1人にしないでよぉ!」
彼女はじゃーねーと言ってすぐに出て行った。彼女に押し込まれた部屋はおそらく休憩用の部屋で、そこにはテレビや雑誌の向こう側でしか見たことのない、私の憧れの人がテーブルに座っていた。
「やぁ。私のファンなんだってね。こんな可愛い子がファンなんて嬉しいなぁ」
「はっ、はひ!」
ささ、座って座ってと言うシンザンさんの言葉に従い、ガチガチになりながら私はテーブルについた。緊張で何も考えられなかった。
「知ってると思うけど僕はシンザン。君の名前を聞いてもいいかな」
「る、私はるなでしゅ!」
もう頭が真っ白になってしまった私は、自分の名前を言おうとして噛んでしまった。顔を真っ赤にして下を向いてしまった私に、シンザンさんは緊張を解こうとクッキーや飲み物を勧めてくれたり、いろんな話をしてくれた。
どのレースが1番良かったと思うとか、駅前の美味しいお菓子の話とか。学校であった事件の話とかそういった取り留めのない話。
最初は緊張しすぎて上手く受け答えできないかったが、あっという間に緊張がほぐれ、私からも話を切り出すことができるようになってきた。いつかこの学園に来たいこと。シンザンさんみたいなかっこいいウマ娘になりたいこと。たくさんあった話したい事の一部しか話せなかったけど、シンザンさんは頷きながら聞いてくれた。
私は永遠に続いて欲しいと思うような、そんな夢のような時間を過ごすことが出来た。
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楽しい時間は直ぐに過ぎてしまう。最後に一緒に写真を撮って終わりとなった。
ふわふわとして現実感がないまま、シンザンさんに連れられて私はふらふらと席に戻る。
最初に座っていた席にトーマスちゃんは待っているかと思ったけど、彼女はどこにもいなかった。すると給仕をしている学生の方が、お友達なら御手洗いに行ったよと教えてくれる。
じゃあ今度は私が待っていようと思い席に座ると、テーブルの上に何が置いてあることに気がついた。なんだろうこれと思い、それをテーブルから拾い上げる。シンザンさんも気がついたらしく、私の後ろからそれを見ていた。
それはトーマスのお面と、何度も折り畳まれた紙切れだった。私は特に何も考えずに紙切れを広げた。紙切れはおそらくメモ用紙をちぎった物で、その紙にはこう書かれていた。
『ごちそうさまでした。だいいちごうより』
メモの意味を考えていたのだろう。シンザンさんが首を捻っていた。しかし突然ハッと何かに気づいた顔になったシンザンさんは、飛び出すように教室の扉から外に出る。
シンザンさんは外の掲示板を見てやられた・・・と声を漏らす。
私も後ろからついて行き、シンザンさんが見ているものを一緒に見上げる。そこには入ってきた時と同じ、掲示板にこれまでの食い逃げ成功者と書かれたボードが貼ってあった。
ただ違うのは成功者0人と書かれていたところが、1人に書き換えられていた。
この日、トーマスのお面は伝説になったのだ。
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あの後は大変な騒ぎだった。うちの伝統がぁぁぁ!と叫ぶ学生が何人も出て大変だった。シンザンさんもショックを受けてはいたが、最後にはもう笑うしかないよねはっはっはとやけくそ気味に笑っていた。
私は特に共謀しているとは思われなかったらしく、トーマスちゃんの分のお金を払わされたりはしなかった。シンザンさんにトレセン学園で待ってるよと言われながら店から送り出された。
シンザンさんに会うという目的は果たしたのだが、まだ学園内に彼女がいるかもしれない。一言言わないと気が済まないと思い、その後は感謝祭をお面片手にふらついていた。
だが途中でお付きの者に見つかってしまい、車に押し込まれて帰路に着くことになってしまった。帰ったらお説教だなぁと思いながら車の中で手持ち無沙汰にしていると、ジャケットのポケットに何かが入っていることに気が付いた。
それはメモ用紙をちぎったであろう、折り畳まれた紙切れだった。
嫌な予感がしつつもその紙を開く。紙にはこう書いていた。
『へたれのるなちゃんへ。とれせんがくえんでまたあおうね。とーますより』
「だから私はへたれじゃない!」
ーーーーと、まあそんな話しだ。彼女を見つけたら一言言ってやろうと思っていてね。誰かそれらしい人を見つけたら是非とも私に知らせて欲しい。
ヘックチ
ミカドランサー「くしゃみが出ましたわ!風邪かしら?」
ブルーインプ「それはないかな〜♡噂されてるだけだと思うよ」
ミカドランサー「どうしてそう思いますの?」
ブルーインプ「バ鹿は風邪をひかないっていうもんね♡」
ミカドランサー「ああん?」
ミカドランサーちゃんは子供の頃はですわ口調ではありません。まぁ特に関係ないんですよ?ほんとですよ?
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これ以降は気にしないでください。個人的なものです。
いつか立ち返った貴方のために、約束のために残しておきます。
おかえりただいま2人とも -8月17日