永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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若かりし頃のおハナちゃんよくわかんないので、勝手にテイストを考えます。実にうまテイスト。うまテイスト派はバ鹿だな。


I'm just running in the 80's

わたくしはそれはもう全速力で足をぶん回していた。

 

レースは中盤という段階でわたくしは既にトップスピードに入りかかっていた。

 

先程驚いた顔のルドルフを抜き去り、少しずつ、少しずつですがマルゼンスキー先輩の背中が近づいていました。恐らく誰も予想しないであろう特攻じみたスパート。

 

もはやコーナーでもスピードは抑えない、明らかに外に膨らんででも速度を維持する。一度減速すればもう立て直せないでしょう。華麗と言っていいほど美しくコーナーを曲がるマルゼンスキー先輩を、まるでレースを知らない素人のように追う。

 

明らかに常軌を逸したロングスパートは今のところは順調に行っていました。このまま追いついて叩き合いに持ち込めば、作戦通りになるのですが・・・

 

 

それでもマルゼンスキー先輩には届かない。

 

 

マルゼンスキー先輩に追いつくためのラインが見えない。いや見えてたとしても、もはやラインをなぞることができない。

 

 

ストレートで距離をなんとか縮めても、コーナーを膨らむせいで思った以上に距離が詰められない。

 

消耗が激しい、だが息を入れるわけにはいかない。息を入れた瞬間ぶっちぎられる。間違いない。

 

わたくしは後半で潰れる。決定的にスタミナが足らない。夏休みの特訓で多少強化したがまるでお話にならない。このまま何もせず、何もできずに終わってしまう。

 

 

コーナーで・・・何かをしないとっ!なんともなりませんわ!

 

次のコーナーまでそもそもスタミナが持つかは考えない。もはやスタミナの心配をする場面は過ぎ去ったのだ。

 

行けるところまで行く。限界が来るまで脚を回す。ペース配分なんてない。死ぬ気で回す。いや死んでも回す。練習だからとかそういう言い訳はいりません。限界まで攻めると自分で決めたのですわ。

 

だが何かが足りない。スタミナでもスピードでもない、コーナーの差を埋められるだけの何か。そしてそれは都合よく自分の中には転がってはいない。

 

 

わたくしの中にあるのは覚悟だけだ。

 

 

--------

 

「概ね予想通りね・・・」

 

東条ハナは目の前で行われるレースを見ながら独白する。

 

新人達がもがいているのは、まるでマルゼンスキーが走った今までのレースのビデオを見ているようだ。

 

かつての競争相手も誰も彼もがマルゼンスキーに対抗しようと策を尽くした。尽くし尽きたと言ってもいい。

 

その上であらゆるレースを、競争相手を。練りにねった作戦もその全てを蹂躙して今のマルゼンスキーがある。

 

残酷なまでの才能の違い。実力を競うなら順当なまでに予想通りなのだ。

 

脚部不良という足枷さえなければ、世界を蹂躙すらできたであろうその才能。

 

鈴をつけようとしたのも、後ろ残りに期待して足を溜めるのも。自滅覚悟のロングスパートという思い切りの良さには驚いたが、結局その全てに意味がない。

 

マルゼンスキーは完成したのだ。とうの昔に。

 

 

「悔しいものね、何度見ても」

 

東条ハナは才能に溢れたトレーナーだった。トレーナーとして実力、新しい作戦を考えつく柔軟性。そして新人でありながら飛び切りの才能をもつマルゼンスキーを担当するという運も併せ持っていた。

 

彼女の風のように自由に駆ける姿を初めて見たとき、そのあまりの輝きに私の目は焼かれた。

 

そんな彼女の担当を新人トレーナーである私が勝ち取った時、私は飛び上がりそうなほど喜んだ。

 

色んな事を試した。自分の持ちうる全てを試した。最新の論文を読み漁ったし、先輩に頭を下げて教えを乞うた。海外から来ていたウマ娘に突撃して話を聞きに行ったことすらある。

 

そしてそれは彼女の為には生かせなかった。

 

彼女は生まれながらの強者だった。私がしてあげられることは僅かだった。1番の貢献は私が思いついた作戦をマルゼンスキーに伝えたことだろう。彼女の為の作戦ではない。マルゼンスキーの競争相手が勝つ為に何をしてくるかを考えるのだ。

 

私の思いついた作戦が、彼女が何も考えず自由に走るだけで蹂躙される。そして今は思いつかないのだ、いくら考えても。彼女に勝つ為の策が。

 

マルゼンスキーは完成していたのだ。私と出会うよりも前に。

 

彼女の力になりたかったはずなのに、私は必要ない。彼女の自由に走る姿に目を焼かれた私が、その彼女を汚すことしかできない。

 

それが悔しくてたまらない。

 

彼女はそんなことはないと言うだろう。そんなことは分かる。でも私はアイツみたいにはなれない。あの放任主義とも思えるアイツのようには。

 

私は弱い。能力も才能も、そして心も。彼女に頼られるのが嬉しいのに、いつもそれを叶えるだけの力がない。だというのに彼女を手放すという選択肢だけは取れない。

 

ダービーの時だってそうだ。夢見る舞台に立てずに彼女が悔しくて唇を噛み締めるのを慰めることしかできなかった。

彼女の同期が出るダービーが、世代で2番目を決めるレースと呼ばれているのを知って絶望した顔をしたとき、私は見ていることしかできなかった。

 

  

あの時だけだ彼女が弱音を吐いたのは。

 

『おハナちゃん・・・私、もう消えちゃいたい』

 

無力な私は何もできなかった。

 

 

あの時から彼女の何かが変わってしまった。ダービーの時期が来るたびに、時折何処かに消え去ってしまいそうな雰囲気をするようになった。

 

だから彼女の頼みは断れなかった。上から散々催促されてはいたが、チームを作るつもりなんて私にはなかった。少なくとも彼女が引退するまでは彼女だけのトレーナーとして専念するつもりだった。

 

だけどあの日、迷いの晴れたあの子の顔を見て私は決心した。

 

私たちのチーム。リギルは世界で1番のチームにする。誰よりも強い私のマルゼンスキーが誇れるようなチームにすると。

 

 

目の前で繰り広げられるレース。彼女が作るいっそ暴力的とも言える状況に何とか対応しようとする新人達を見る。

 

彼女は強い。貴方達が勝てなくても誰も責めないでしょう。

 

だからこそ足掻きなさい新人達。

 

万策尽き果てたとしても走りなさい。どれだけ離されてももがきなさい。たとえ勝機が万が一しかなくても、其れに賭けなさい。

 

そしてできることならーーー彼女を独りにしないで。

 

 

 

 

 

 




おハナちゃんトレーナーで半分以上消費とかまじかよ。レース終わんない。てかアプリから入った勢だから話し方よくわかんない。なのに何で東条ハナ出したんですか?でも最強パ組みたいし・・・。なら先にウマ箱買えよ。

おハナちゃんはこの時、自信喪失してますが実際はマジで有能です。マルゼンスキーが脚部に爆弾があるから、それに合わせたトレーニングとスキルで彼女をガチガチにチューンしてます。そのおかげで彼女は今も現役でいられるのに、いや彼女は最初から速かったんだとか的外れにも程がある。まだ彼女は若いんですよ。若さゆえの勘違いなんですよ。
上層部はそれに気付いているから、無理やりにでもチーム育成させて自信をつけさせようとしてるんですね。

あと気がついたらおハナちゃんトレーナー、マルゼンスキーガチ勢になってる!なんで!
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