永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
今回は短めですね。通称メガトンコーナー回です。
初めはただの思いつきでしたわ。
快速にかっ飛ばすマルゼンスキー先輩に追いつくにはコーナーをなんとかしなければならない。
しかし内ラチ沿いを走ろうとしても身体が外に流されてしまう。
発想の逆転ですわ。コルペなんとかの回転ですわ。
もっと内側、つまり内ラチのさらに内側を目指して走れば遠心力なんかがうまいこと働いてなんやかんや結果的に内ラチ沿いに走れるのでは?
他人に聞いたら間違いなく正気を疑われる思いつき。ですがミカドちゃんは思いついたら即実行。わたくしの胴体は既に進行方向ではなく内ラチ側に向いている。身体が後ろに、コースの外側に向かって引っ張られる。
わたくしの歯車は空転する。足りないギアはそれ以外で無理やり補う。脚を回せ!覚悟を決めろわたくし!
とりぁぁぁ!と叫び声をあげながらの狂気のコーナリング。やりましたわ!なんかよくわかりませんが上手いこと曲がれてますわ!足の負担がかなりやばいですけど。もはや暴走を超えて自殺に近い曲がり方ですが、なんとかなりそうですわ!
すぐ横の内ラチがビュンビュンと後ろに吹っ飛んでいく。できうる限りの全速力でコーナーで追い上げ、ついにマルゼンスキー先輩を射程範囲に捉える。
ふふん。先輩振り向いてびっくりしていますわね。まさか追いつかれるとは思わなかったですの?
甘い甘すぎますわよ先輩、わたくしは不可能を可能にする。先輩は自分の同期相手に無敵を誇ったようですが、貴方の同期にわたくし達はいませんでしたよね?
mikado RancerのRは、最強神話のアールですのよ!あれ?Rでしたっけ?Lだったような?
ともかく!無敵vs最強・・・いい響きですわ!勝つのは最強。少年ジャンプにもそう書いてありますわ!
さあわたくしが潰れる前に叩き合いですわ!先にこっちがぶっ潰してやりますわ!
あっやべ、脚がなんかいきなりコントロールが効きませんわ!
あー!あー!思ったよりも攻めすぎ!このままじゃ内ラチに突っ込みますわ!あー!回避!回避ー!
殺人的カミソリカーブに失敗し、遠心力に負けたミカドランサーはぬわぁぁぁぁなんでぇぇえと断末魔を上げながら大外に流されて失速する。
内ラチ沿いから外に向かって弾き出されていくミカドランサー。その影から誰がが飛び出した。
ミカドランサーの後ろで足を溜めていたシンボリルドルフがマルゼンスキーに襲い掛かった。
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何をやっているんだアイツは・・・
はちゃめちゃな速度でコーナーを曲がろうとした挙句、大外に吹っ飛んでいくミカドランサーを見ながらシンボリルドルフは冷静に考える。
しかしミカドランサーが行った暴走は結果的にシンボリルドルフに利をもたらしていた。彼女に牽引される形で、シンボリルドルフは軽い疲労程度でマルゼンスキー先輩を射程範囲に捉えた。
安心しろミカド、仇は取る。
シンボリルドルフは体をさらに前に倒す。脚を広げて歩幅を拡張する。シンボリルドルフの全開走行時の走法だ。
シンボリルドルフが最も得意とする豪快なストライド走法。
キレのある加速力を犠牲に最高速を求める為のフォーム。
コーナーはどちらかと言えば不得手なフォームではあるが、ことシンボリルドルフにはそれは当てはまらない。
体の角度だけで重心と慣性をコントロールする。速度を殺さないように、いやむしろより速く走る為に。まさにシンボリ家の、シンボリルドルフの真骨頂。
シンボリルドルフはコーナーという弧線のプロフェッサーなのだ。
・・・ッ!!やはりキツイな。お婆さまの言った通り私にはまだ早かったか?だが・・・
先程までミカドは明らかな無理をしていた。圧倒的な格上相手の練習。負けてもしょうがないと諦めるのは簡単だが。それでも彼女は勝つ為に大きなリスクを取った。私は彼女のそういう所を心から尊敬する。
普段の振る舞いからは考えられない彼女の持つ勝利への執念。ああ本当に本当に・・・彼女は私の心を熱くする。
勝負の分水嶺はこの最終コーナーを抜けるまでだ。最終直線では恐らく向こうが圧倒的有利。だからそれまでは脚は緩めない。何があっても。
マルゼンスキー先輩がもはや手の届く距離まで近くに来ている。
いつまでも逃げられるとでも思ったのか?
勝負だマルゼンスキー先輩。貴方はここで捕まえる。
もはや逃げることは叶わんぞと言わんばかりに外から抜きにかかる。圧倒的な格上であろうと関係ない。私は貴方に勝つ。
歯を食いしばり汗が噴き出す。全身全霊の速度でマルゼンスキー先輩の横に並ぶ。前へ!前へ!ほんの少しでも前に!この人の前に!
視界が光に焼かれたような明滅し、頭の中がバチバチと音を立てている気がする。己の限界すら踏み超えてルドルフは雄叫びをあげる。
横並びになった内側のマルゼンスキー先輩を横目で見る。
えっなんで、笑って・・・?
最終コーナーが終わる。怪物はするりと抜け出す。
マルゼンスキーが加速する。
勝負は決した。
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マルゼンスキー杯 トレセン学園 1600m 右
1着マルゼンスキー 1.35.4
2着シンボリルドルフ 4バ身
3着ブルーインプ 1バ身
4着ミカドランサー 2 1/2バ身
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なんで?なんで?なんで?勝てないじゃーーーーん!
ミカドちゃん勝ちフラグ立てたし、ルドルフだって勝つ気満々だったじゃーーーん!
このやろう!先輩のステータスはイカれてるんじゃないだろうな!
ふぅすまない。私の可愛いミカドちゃん達が負けて取り乱してしまいました。ミカドちゃんがなにしたかっていうと、初心者がぶっつけ本番で慣性ドリフトかましてアンダー出ちゃって板金行きを想像してください。バカかと思いますが、それしか勝ち筋ないからしょうがないね。
でもレースにはなってたんですよ。デビュー前でマルゼンスキー先輩と勝負になるだけで異常なんですよ。
あとミカドちゃん。君の場合最強神話のRじゃなくてLだよ。でもその詠唱すると事故るからやめようね