永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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お気に入り100件記念!今日の二話目〜♪前話見てない人は戻ってね♡
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やあ、(´・ω・`)ようこそ、バブリーハウスへ。

この紅焔ギアはサービスだから、まずは喰らって大差負けして欲しい。
うん、「絶対に勝てない」んだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、彼女のステータスを見たとき、ミカドちゃん達はきっと言葉では言い表せない 「チョベリバ」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中でそういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思ってこのレースをしかけたんだ。

___________じゃあ、トレーニングしようか





バブリーハウス

こ、これ程とは・・・思いませんでしたわ・・・

 

干からびたカエルのように、わたくしはターフにべチャリと倒れ伏す。先輩と楽しくレースと思っていたのに、これじゃまるで殺戮ショーですわ。まさにボコボコですわ、ボッコボコですわ。

 

なぜか気分良くスキップでもしそうなほど上機嫌。そんなマルゼンスキー先輩とは対照的にわたくし達は全員ターフに倒れこんでいた。

 

普段は絶対そんなことをしないルドルフも仰向けに倒れ込み息をするだけで精一杯のようですわね。先輩に全ての力を振り絞らされましたわね。ブルーも最初はやる気ないような素振りでしたが、息切れの仕方から本気で走ったようですわ。

 

中盤まではなんとかなりそうな感じはありましたが、最終直線でマルゼンスキー先輩のスパートにグングン離されていった。前半でスタミナ削れていればここまでの差にはならなかったとは思いますが。もう終わってしまったレースの結果は変えられません。

 

マルゼンスキー先輩のトレーナー。なんてエグいことを教えてますの・・・垂れない潰せない逃げウマなんて悪夢と変わりませんわよ。

 

少なくともこちらの戦術は全て粉砕された。強制的に地力勝負に持ち込まれたのだ。先輩、デビュー前の新人に大人気なくないですか?わたくし泣きますわよ?ドン引きするくらい泣き喚きますわよ。

 

「おハナちゃーん!わたし勝ったわよー!」

 

こちらに歩いてくるおハナちゃんトレーナーに手を振るマルゼンスキー先輩。元気に振る舞う先輩はまるで童女のようですわ。

 

「大きな声を出さなくても聞こえている。いい走りだったぞマルゼンスキー」

 

当然っ!と言って胸を張るマルゼンスキー先輩。本当仲が良いのですね2人とも。先輩と話していたおハナちゃんトレーナーは、今度はこちらに向き直り話しかけてくる。

 

「君たちはどうだった?彼女の走りを間近で見て」

 

どうと言われましても・・・あー!悔しいですわ!めっちゃ悔しいですわよ!

 

「凄かったよ。怪物なんて呼ばれてるのは伊達じゃないんだね♡」

 

「ああ、正直どう走れば勝てるのか分からなかった」

 

素直に讃えるんじゃありませんわ!2人とも!

 

確かにわたくし達は紙一重で負けましたわ!

 

ですが!仮に負けたとしても、これは勝ちの途中ですわ!

 

見てなさいマルゼンスキー先輩!これからもっともっと強くなって今度はわたくし達が貴方をボコボコにしてやりますわ!

 

・・・なんですごい嬉しそうなんですの先輩?おーい?聞いてますのー?

 

 

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先ほどまで行っていた練習が終わり、私はトレーナー室で先程の3人の感想をマルゼンスキーと話し合っていた。

 

あの後3人組はマルゼンスキーのトレーニングに参加したり、レースの感想を話し合ったりとそれなりに実りのある時間を過ごせたはずだ。

 

 

「面白い子達でしょ?」

 

本当にそう思う。デビュー前とは信じられない内容のレースだった。体つきから本格化もまだなはずだ。トレセン学園に入学してまだ半年と経たないはずだ。

 

そんな彼女達がマルゼンスキーとレースができるはずがない。怪我しかねない全開のトップギアは封印していたとはいえ、予想を遥かに上回る健闘ぶりだった。

いやトップギアを封印していたというのは正しくないだろう。彼女はデビューから公式レースでトップギアを一度も使ったことがない。練習で1.2回使ったことがあるだけで、それ以降私の許可なしでの使用は禁止している。少なくとも彼女を本気にさせることが出来るウマ娘とは戦ったことはない。

 

トップギアなしでも今年のクラシック級でマルゼンスキーとの勝負の土俵に登れるウマ娘だけで一握りなのだ。勝てるウマ娘となると日本にはいない。

 

 

だがシンボリルドルフの最後の競り合いには舌を巻いた。冷静に俯瞰するようなレース運び、勝負勘の良さ。そして最後のコーナーでの粘り強さはマルゼンスキーにすらないものだ。おそらく本格化を迎えてもっと大人数のレースになれば、マルゼンスキーすら喰いかねない。

シンボリルドルフは世代最強と呼ばれるのは目に見えている。それに他の2人も明らかに同年代より頭2つ3つは抜けている。しかも私の見る限り3人とも伸びしろがかなりある。

 

・・・・金の卵というやつか。

 

「うーん。これは私もウカウカしてられないかも!」

 

こんなに楽しそうな彼女を見るのは久しぶりだった。走っている最中も楽しくて楽しくてしょうがなかったのは遠目でも良くわかった。

 

楽しそうね。そんなにあの子たちが気に入ったの?

 

「ええ!彼女達はきっとここまで来てくれる。そんな気がするの」

 

その予想は間違いではないだろう。あれほどの原石を磨けば、どれほどの輝きを放つのか想像もつかない。もし昨晩までの私にこの話をしても、絶対に信じられない話だ。マルゼンスキーにいずれ匹敵するであろう才能を一度に3人も見つけてしまうなんて。

 

マルゼンスキー。レース見学の件だけど、彼女達は次の予定は入っているの?

 

「まだ決まってないはずよ。どうして?」

 

あの子たちに言っておいて。貴方たちが望むのなら2週間みっちりしごいてあげるって。

 

私の言っていることを理解したマルゼンスキーは飛び上がりそうなほど喜んだ。

 

「モチのロン!バッチリ伝えておくわ!」

 

マルゼンスキーは嬉しそうに笑う。かつての陰は全くない。そうして彼女はご機嫌な様子でバイビーと言いながらトレーナー室を後にする。

 

 

1人きりになったトレーナー室。先ほどまでの騒がしさはない。

 

私も前に進まなくてはな・・・。チーム設立をするのだから、まずはここから始めよう。新人らしく一歩一歩。

 

新人たちの青臭さに当てられてすっかり思い出してしまった。初めてトレセン学園に来た日のことを。そう今の私の心はあの頃に戻っていた。がむしゃらにあの子と走った日々を。出来なくても出来る限りのことをする。どうして忘れてしまっていたのだろう。

 

きっとあの子も思い出したのだろう。夢を持ってターフを初めて踏んだ日のことを。後悔をするため振り返るのではなく、前に進むために後ろを振り返るようになった。どこか噛み合ってなかった私とあの子の歯車が、今日久しぶりにぴったりと噛み合った気がする。

 

 

まずは彼女達の教官からデータを貰おう。そう考えて私は席を立つ。

 

まったく、今日は長い夜になりそうね。

 

久しぶりの大仕事の予感に私は高揚感を覚えていた。

 

 

 




おハナちゃんの自己評価が低いのは、マルゼンスキーを追い詰めるくらいの強敵がいなかったからです。おハナちゃんの作戦立案能力が必要な場面が一度も来なかったんですね。作戦を看破して、適当に走るだけで勝ってくるとか怖い。
本気でレースに挑んだこのコンビはシンザン会長も勝てません。マルゼンスキーには頼りになる相棒と、作戦を遂行する為の頭脳、そして秘密のトップギアがあります。ただトップギアに入れるとそのかわりレース人生が終わってしまいます。ギアというよりレブリミットに近いですね。エンジンブローしてオシャカです。
少なくとも、このマルゼンスキーに作戦で挑んだ場面でほぼ負けなんです。ガチガチチューン済みサイレンススズカなら勝ち目はあります。どちらが先に逃げるかという作戦を投げ捨てた勝負だからですね。


そんなわけでレース回終了です。2章も終了です。次回エピローグ!プリン先輩の辛辣な狂言回しにご期待ください。
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