永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
それから数日が経ち土曜日、学園はお休みですがわたくしは学園の小さな談話室にいました。理事長の娘さんが今日わたくしに会いに来るのですわ。
それにしても了解を取って数日で来るなんて本当に急な話ですのね。もうちょっと後の話しかと思っていましたわ。
そんな日の朝早く、理事長の娘さんがわたくしより少し遅れて談話室へとやってきた。
「感謝ッ!急な申し出を受けてもらって助かる!ありがとうミカド!」
感謝と書かれた扇子をバサリと広げ、わたくしよりも随分小さい身長ながら威風堂々と振る舞う少女。
菫色のフリルの入った洋服。白いラインの入ったオレンジ色の髪に、リボンのついた幅広帽を被っている。その上には何故か・・・ネコチャン!!ああ猫ちゃん可愛いですわねぇ!!
理事長の娘であるらしい彼女はものすごく豪快で快活な気質で、走り出したら止まらない性格なのですわ。おそらくわたくしを案内役に指名したのも数日前に思いついたのでしょう。それにしても・・・
わぁやっぱり、理事長の娘ってやよいちゃんでしたのね。そりゃわたくしが指名されるわけですわ。以前からの顔見知りで友達ですもの。
あの時会ったのは夏休みの中頃ですから・・・大体一月ぶりくらいでしょうか?元気そうですわね。頭の上の猫ちゃんも変わりがないようで。
「壮健ッ!君も変わりがないようで何よりッ!」
それにしてもなんかすごい前のような気がしますわねちょっと前なのに。猫ちゃんを探してトレセン学園の中を走り回るなんて、なかなかない機会でしたわ。あの日の貴方の顔はいつ思い出しても受けますわ。しおしおになってましたもの。
あの日は夏休みのトレセン学園、しおしお顔で1人でとぼとぼ歩いていたのをわたくしとブルーが捕まえたのですわ。なおルドルフは実家で灰色の夏休みを満喫していたので居ませんでしたわ。
夏休みで人の少ないトレセン学園に、明らかに生徒ではない少女が歩いていたら、わたくしなら声の一つもかけますわ。なんせかんかん照りのクッソ暑い日でしたので。
その日もやよいちゃんは帽子をかぶっていましたが熱中症になったら大変ですものね。汗だくで顔が赤かったし声をかけてなかったら大変なことになっていたかもしれませんわ。
なんでも連れていた猫ちゃんが大きな音に驚いて何処かに走り去ってしまったそうなのだ。突然のことで、追いかけようとした時にはもう行方がわからなくなってしまったのですわ。
そんな事情を聞いたわたくし達が猫ちゃん大捜索包囲網を引いたのだ。帰郷してなかったクラスメイトや合宿に行けず暇そうな先輩方、トレセン学園の職員までを巻き込んでの大騒動となった。今思えばお祭りみたいなものでしたわ。まさか猫ちゃんがあんなところにいたなんて思いもしませんでしたが。
まあ居なくなった猫ちゃんをずっと1人で探して歩き回っていた少女が、まさかまさかの理事長の娘さんだったのは、このわたくしの慧眼をもってしても見抜けませんでしたが。
「謝罪ッ!あまり学園内では目立たないようにしようと思っていた!」
わぁ手遅れ。わたくし達すげー目立ってましたわ。なんせ100人規模で動いたのですから。最後に大騒動の引き金になった猫ちゃんを抱えたやよいちゃんを中心にみんなで写真を撮ったのだ。
わたくしの部屋の壁に掛けられたコルクボード、そのボードの目立つところにピンで貼り付けた1枚の写真。全員汗だく泥まみれの集合写真ですわ。クラスメイトのカメラマニアの子がすごくいい感じに撮ってくれたわたくしお気に入りの1枚。あの子みんなにも配ってましたし、多分みんな覚えていますわよ。
「うむッ!私にとっても大切な思い出だ」
私も部屋の写真立てに入れているぞッ!というやよいちゃん。今度カメラっ子ちゃんに伝えておこう。多分すごい喜びますわ。
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施設案内とのことですが、わたくし何をすればいいのでしょうか。普段使う設備でも紹介すればいいのですかね?
「要望ッ!出来る限り生徒や施設員に近い話が聞きたい!」
なるほど、学園の生の声を聞きたいのですわね。確かに理事長になると忙しいらしいですし、なかなかそういう機会がありませんわね。現理事長もあまり理事長室から外には出られないそうですし。役職のない今のうちにやっておくのは賢いかもしれませんわね!
うーん、そうなるとやはりアレになるのでしょうか・・・
「アレとは!?」
わたくしとブルーそれともう1人で、シンザン会長から頼まれて生徒会直属の御用聞きのようなものをしていますの。生徒会室前に設置した要望箱に寄せられた内容を解決する便利屋もといトラブルシューターですわ。
少なくともその要望箱には学園の目の届かない細かい不満とかがギッチリ詰まっていますの。それに一度目を通すといいかもしれませんわね。とはいえ次期理事長が解決するような大きい仕事はないとは思いますが。
「・・・了承ッ!素晴らしい案だミカド!小さな不満でも学園に寄せられた声は無視する訳にはいかない!」
バッと扇子を広げ得意げな顔をするやよいちゃん。扇子にはいつのまにか承認と書かれている。いつのまにか持ち替えたのかさっきと文字が変わっている。
うーんそれにしてもやよいちゃん、結構気負っていませんかね。少し気がかりですわ。もっとゆるーく構えてもいいと思いますけど。就任前からそんなペースだと持ちませんわよ。
ともかく今日はリギルの地獄の練習はお休みですし、トレセン学園トラブルシュートの日にしましょう。久々に3人で問題を解決するのも悪くありませんわ。いややよいちゃんも入れれば4人ですわね!
あいつらを呼びましょうそうしましょう!そうと決まれば電話をかけますわ。
それにしてもちょうどいい機会ですわ。ちょうど貴方に紹介したい子がいましたの。御用聞きの3人目の子は、貴方と似たような夢を持っていますの。
「驚愕ッ!本当かミカド!」
目を見開きびっくりするやよいちゃん。まあそういう反応ですわよね。なぜかわたくしの周りにはああいう夢を持つ奴が集まるみたいですの。
シンボリルドルフというちょっと変わった奴ですわ。多分やよいちゃんと気が合うと思いますわ。
秋山やよいちゃんに登場していただきました。彼女は今は理事長職ではありません。
一応2章の「ああ、皇帝陛下!お許しください!」で猫探しの前振り書いておいたんだけど、伏線というよりは猫探し回がボツになって設定だけは生きてるだけなんです。
オリキャラを大量に投入しなくてはいけなくなってしまったのでね。僕には話を制御できない。