永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
「困憊ッ!・・・今日1日で1週間分は疲れたぞ」
シンザン会長への報告も終わり、生徒会室から小さな会議室に移動した。シンザン会長からお茶菓子をせしめてきたので、それを食べながら時間をつぶすことになった。
何とか疲労状態から回復し甘いものに舌鼓を打つやよいちゃん。今日はもう帰るらしいが、迎えのものが来るまではここで待つらしい。
美味しそうに食べるやよいちゃんはこうしてみると本当に幼く見えますわね。童顔のブルーよりもさらに幼く見えますわね。ルドルフなら・・・親子に見えるかもしれませんわね!
「・・・流石にそこまでではないだろう」
ルドルフがそれって私が老け顔って意味か?という顔をしている。顔というよりも振る舞いがあれなんですわよ。貴方本当に同学年なのですか?実は留年してたりしませんかね?
「留年しそうなのはお前だろう。追試のプロなんだからな」
ギ、ギリギリ何とかなってますわよ!わたくしはやれば出来る子なので!追試だってお手の物ですわ!
「じゃあもうノートを見せなくても大丈夫だな」
どうしてそんなこというのですか!やめてお願い!ルドルフが助けてくれないとわたくし死んじゃう!後生ですから!わたくしを捨てないで!
「これはあれだね♡痴情のもつれってやつだよやよいちゃん」
ブルー!何てこというのですか、まるでわたくしが女々しく縋りつく惰弱な輩のように!でもルドルフ!そんな嫌そうな顔されるとなんか傷つきますわ!
「疑問ッ・・・ブルー、彼女はいつもこうなのか?」
「うーん割と平常運転だね♡」
猫探しの時は頼りになったのだが、とやよいちゃんはぼやく。わたくしはいつも頼りになりますわよ!そんななんか思ってたイメージと違うなーみたいな顔をしないで!
「なら普段から他人に泣きつく癖は直すんだな」
なんか今日みんなひどくないですか?わたくしだって精一杯頑張ってますのよ!マルゼンスキー先輩だってミカドちゃんはいつも頑張ってるねって言ってくれますのに!
「あの人は甘やかしすぎだと思うな♡特にミカドちゃんに対して♡」
確かにあの人が怒っているところとか想像できませんわね。いつも優しいマルゼンスキー先輩ですもの!まるでわたくしみたい!
「お前は自己評価が甘すぎる」
ガフッ!
「だ、大丈夫かッ!ミカド!」
ううう・・・ここでわたくしを甘やかしてくれるのはやよいちゃんだけですわ。わたくし挫けそう。
ん?やよいちゃんを見てたら何か忘れているような・・・なんだっけ?思い出せませんわ。
「全くお前は普段からだな・・・・」
ルドルフが何が言っているようですが、頭の中の引っ掛かりが気になって聞く気にならない。うーんうーん。
「・・・・おい、聞いているのか」
ちょっと待ってほしいですわ。なんか大事なことを忘れてるような。もうちょっとで思い出せますの!
そうやって思い出そうとしていると、無視された形になるルドルフがイライラしてきた。テーブルを指でトントンしているルドルフ・・・ルドルフ?
そうだやよいちゃん・・・ルドルフですわ!やっと思い出した!こうしちゃいられませんわ!ブルー!ちょっと外に出ますわよ!
ルドルフはやよいちゃんと話し合いなさい!わたくし達は外で少し時間を潰しますので!やよいちゃんは頑張ってね!じゃあ!
そう言ってわたくしはブルーの掴んで外へと飛び出した。
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弾丸のように扉から飛び出していったミカドとブルー。はぁ、なんであいつはあんなに落ち着きがないんだ。全く・・・
やよいちゃん、話し合いなさいとあいつは言っていたが何か私に話すことでもあるのかい?
目の前の幼い少女を見る。理事長の娘であり、次期理事長になることが決定している幼い少女。
いくら幼いとはいえ、本来ならそのような立場の人にちゃん付けはいかがなものかと言ったのだが、彼女のたっての希望でこのままということになった。
そんな彼女と2人きりになって、この狭い会議室は沈黙で満たされていた。やよいちゃんは俯いたまま何も話さない。まるで迷っているかのように。
「ミカドはいい奴だな・・・」
下を見ながらポツリと言葉を漏らすやよいちゃん。そうしてしばらくの沈黙の後、意を決して彼女は顔を上げる。
そこには幼い少女はいなかった。瞳に決意を宿した1人の少女。大人になったわけではない、少しでも大人になろうとする強い意志を持った瞳だった。
何か大事なことを話そうとしている。私は自然と背筋が伸び、黙り込む。一言も聞き逃さないように。
この決意に口を挟むわけにいかない。
「・・・ルドルフ、君に聞きたいことがある!」
・・・・・。
「ミカドに聞いた。君の夢は全てのウマ娘誰もが幸福になれる世界を作る。その夢に相違はないか!」
はい。その通りです。
「そうか・・・そうかッ!」
何かを噛み締めるように頷く彼女。そして彼女は手に持っていた扇子をばさりと開く。扇子には字が大きく二文字書かれていた。
その文字は『宣誓』
「ルドルフッ!君には聞いてほしいことがある!」
・・・・。
「私は!君の夢を心から尊敬する!支えたいと思う!」
彼女はそう言うと深く息を吸い込んだ、決意を胸に満たすように。
「私にも・・・秋川やよいには叶えたい夢がある!私は、あらゆるウマ娘に平等な機会を与えたい!」
彼女の持つその夢は━━━
「私にはその手段がある!トレセン学園次期理事長という立場を、その夢のために使うつもりだ!」
━━━私の願う理想とあまりに似通っていて━━━
「私が思う幸福とは!どんな時でも、どんな立場でも機会を得られることだと思う!」
━━━凄く綺麗で、眩しくて━━━
「でも・・・私1人じゃ無理だ!助けがいるんだ!」
━━━でも困難で、とても遠くて━━━
「だからッ・・・!だから!ルドルフッ!君に手伝って欲しいんだ!」
━━━それを口に出すその重さも、私はよく知っていた。
その夢、その意志、その決意。彼女の中にあるその全てが私の魂に響いた。
・・・・ああ本当にミカド。お前ってやつは本当に
_____はい。その夢を私にも背負わせてください。
この子を私の前に連れてきてくれてありがとう。
本当に友達想いなやつだよ。お前は。
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ただいまですわー!缶ジュース買ってきましたわ!バンダナ先輩に奢らせたから遠慮なく飲んでいいですわよ!
わたくしとブルーが缶ジュースを山ほど抱えて会議室に戻る。会議室は話し合いが終わったのか静かなものでしたわ。
「ミカド、今は静かにな」
ありゃ?やよいちゃん寝ちゃったんですの?まあ今日一日なかなかハードでしたからね。疲れてたんでしょう。それで聞きましたの?
「ああ」
そうですのね。いい子でしょう?やよいちゃんは。
「そうだな・・・なあミカド」
ん?なんですの?
「ありがとう」
よくわかりませんが、どういたしまして!
ということで三章の山場となる回でした。どうしてもこのシーンを入れたくて、ゆっくりと進めているようなものです。
夢を語るっていうのはまあ恥ずかしいことですね。その人の1番大切なものですからね。だからこそ尊いんですけどね。
ルドルフとブルーがやよいちゃんに対して態度が変わらないのはミカドちゃんが平常運転だからです。
会議室から飛び出し自販機の前。財布を会議室に忘れたことに気づいたミカドちゃん。カラオケに行こうと通りがかったバンダナ先輩は嫌な顔をしながらも奢ってくれました。ミカドちゃんに千円札渡したら自販機でボタン連打した挙句、おかわりを要求してきたのでゲンコツ入れました。