永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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引き続き商店街です。バンダナ先輩によって怪しい店に連れてこられた4人の運命はいかに・・・


ガラスの靴より、ミカドちゃんの赤いシューズ!

バンダナ先輩について行った先はなんというか。

 

「その、先輩がアルバイトをしているのはここなんですか?」

 

ルドルフが戸惑いながら尋ねるのも当然ですわ。一言で言うと・・・うっさんくせーですわ!商店街の路地裏の怪しいお店にしか見えませんわ!

 

看板もなんですのこれ!ジャンキージョイントって!ヤクでも扱っているんですかこの店は!

 

「まぁこの店の名前は俺様もどうかとは思う。まぁマニア向けの店なんだ。その界隈じゃよだれを垂らすようなモン扱ってんだよ」

 

学園でここ知ってる奴はレアだぜ、といい先輩は勝手知ったると言わんばかりに店に入っていく。わたくし達も後に続く

 

分厚い扉を潜るとこじんまりとした店内に入る。外からは想像もできないくらい清潔に保たれたフロア。中でも目を引くのは壁にあるウマ娘用の靴。沢山のシューズが壁にかけられている。

 

店長を呼んでくるから待っとけと言って、バンダナ先輩は裏に行ってしまった。

 

それにしてもここシューズショップですの?外からそうは見えませんでしたわ。商店街にもレースシューズ専門店がありましたのね。 

 

ありとあらゆる生活必需品が揃う商店街の唯一の泣き所。それはシューズ専門店がない事ですわ。蹄鉄などの消耗品や手入れ道具は学園の購買で買えますし、駅近くにある全国チェーンの大型ショップには品揃えで勝てないのですわ。

 

扱うところがないわけではありませんが、人間用の靴屋に併設されている程度。一応カタログで取り寄せはできますが、それなら学園にもカタログ取り寄せはありますし、学割適応されますからね。何より実際履かないと分からないこともありますし、商売としては成り立ち辛いのでしょう。

 

「これ・・・凄いよ。アルテジャーナの最上位モデルだ」

 

ブルーはなんか黒くてシャープな靴を手に取って驚きの声を上げている。そんなに凄いんですの?正直わたくし履ければなんでもいいタイプですの。いつもセール品か店員のオススメを買ってますわ。

 

「それはそれでどうなんだ・・・」

 

ルドルフが呆れた声で何か言ってくる。しょうがないじゃないですか、シューズの専門誌って何書いてるか全然わっかんないんですわ。なんですのあの雑誌!ウマ娘なら黒に染まれって!煽り文から黒い靴くらいしか情報がわからないんですわ!

 

でもブルーはシューズには相当煩いので、多分凄くいい物なんでしょうね。わたくしも何か見てみましょう。あっ!あのグリーンのシューズ派手派手ですわね!

 

とりあえず手にとって見る。うーん、靴のことはよくわかりませんが、確かに見るからにいい物ですわね。安かったら買ってもいいかも知れませんわね。えーと・・・いち、じゅう、ひゃく、せん、まん・・・。

 

わたくしは手にとったシューズをスッと元の場所に戻す。ちょっと手が震えていたかもしれませんわ。こんな高いシューズ触ったことありませんわ・・・わたくしのシューズが5足は買えますわ。

 

「それはNWロードスターだよ。硬くて堅牢なシューズで有名なメーカーだよ♡」

 

やはり全然聞いた事ないメーカーですわ。そんな名前のメーカーは駅前の店で見た事ないですわよ。本当に有名なんですの?

 

ルドルフ、やよいちゃん聞いたことあります?えっない?そうですか。

 

「おお、お客さん素人じゃないな」

 

そう言いながら裏からバンダナ先輩と一緒に小太りのおっさんが出てくる。店長さんなのでしょうか。

 

「カモって言ってたが結構な目利きじゃないか。ヒシ、話が違うぞ」

 

バンダナ先輩、貴方・・・。

 

悪びれもせずウインクしてくるバンダナ先輩。反省なしですわ!このわたくしを無知な情弱扱いとは許せませんわ!

 

「ここ、凄い品揃えだね♡大型店でもここまでマニアックなものは置いてないよ」

 

そうなんですの?駅前のおっきなお店ならここの何十倍も商品がありますし、ここにあるものは全て置いてそうな気がしますが。ほらlight-sportsとか凄い品揃えですわよ。

 

「ここにあるシューズって日本じゃ代理店がないものばかりなんだ。だから個人輸入じゃないと手に入らないんだよ」

 

「おお!分かってくれるか!私が直接外国に買い付けに行ってるんだ!」

 

ブルーの言葉に店長は機嫌が良くなる。うーんこれは2人ともシューズマニアですのね。話が弾んでいる。ブルーがここまで機嫌がいいのは珍しいですわね。

 

それにしても代理店がない・・・輸入物のシューズですのね。でも輸入物って高級ブランドばかりではないのですか?ほらエルメスとかもレースシューズ出してるでしょう?

 

「ここの品揃えはどちらかというと新興メーカーの物が中心かな。日本じゃ知名度はないけどいいものばかりだよ♡」

 

「性能は日本のトップメーカーにも負けないよ。わたしの靴もHenry & Cubisのシューズで、これも日本じゃ買えないんだよ。これちょっと重いけどすごく頑丈なんだ」

 

普段からは考えられない早口っぷりにわたくしびっくり。尻尾もブンブン振ってとんでもなくテンション上がってますわ。ブルーの知られざる一面ですわ。

 

・・・そういえばブルーのお父さん。シューズの卸売会社の社員だったんでしたわね。英才教育でもされたのでしょう。確かブルーのお母さんに、ラリー用のシューズを売ったことが出会いって聞きましたわ。

 

店長とブルーの話が弾んでいる間、わたくし達はなんというかついていけない。あのメーカー最近頑張ってるとか、日本に代理店ができたとか、ニューモデルがどうとか言われても何言ってるかわかりませんわ。

 

ルドルフもやよいちゃんも手持ち無沙汰なのか靴を手にとって見ている。2人も良くわからないのか時折バンダナ先輩に商品について聞いている。

 

うーんどうしましょう。いいシューズなのかも知れませんが、正直高くて手が出ないんですわよね。靴なんてそれなりにかっこいいのであれば何処の奴でもそう変わらないでしょうに。

 

そう考えながらも店内を歩き回る。手に取っては戻すことを繰り返す。なんというかいまいちピンときませんわ。こんなに値段も高いし学生には絶対買えませんわね。

 

そうやって時間を潰していると、壁にある一足の赤いシューズが目に入る。あれはーーーーー。

 

 

--------

 

「ごめんごめん♡ちょっと店長との話しが長引いちゃった。」

 

「いや、こっちはこっちで珍しい物を見れた。いい店だなここは」

 

「杞憂ッ!私も実にいい時間を過ごせた!」

 

・・・・・・。

 

「ミカドちゃんもごめんね♡シューズに興味ないから退屈だったでしょ。・・・ミカドちゃん?」

 

・・・・・・。

 

「ミカドちゃん?・・・ミカドちゃん!」

 

へっ!あっ、ブルーですの。話は終わりました?長かったですわね。

 

「どうかしたのかブルー?いきなり大声を出して」

 

「ルドルフちゃん。なんだかミカドちゃんの様子が変なの」

 

わたくしは変ではありませんわ失礼な。

 

「いや凄い変だったよ。声をかけても反応しないし心ここにあらずって感じだったよ」

 

大丈夫?とブルーは心配そうに見てくる。でもわたくしはシューズを見ていただけですわ。集中していたんでしょう。

 

「シューズ?あの赤いシューズのこと?」

 

ええ、何故かあれのことが気になってしまって。

 

「おおあのシューズか。わかるぞあれはいい物だ。まぁ売れんがね」

 

店長さん、売れないって非売品ということですの?

 

「いや高いんだよ。惚れ込んで何年か前にイタリアから買ってきたんだけど高くて全然売れないんだ。ものは抜群なんだがうちの牢名主みたいなものさ」

 

ふーんおいくらくらいですの?あれ値札がついていませんの。

 

私の言葉を聞いて店長が値段を言う。その値段を聞いてブルーもルドルフもやよいちゃんも驚く。

 

少なくとも中古車を買うよりは安いですわね。すぐには無理ですが必ず買うので取り置いておいてください。

 

「ちょっとミカドちゃん!本当に大丈夫?!」

 

シューズに全く興味がなかったはずのミカドが、いきなりとんでもなく高価なシューズを買おうとしている。明らかに正気ではない様子のミカドにブルーが心配して声を荒げる。

 

「ああ・・・アンタ魅入られたのか。じゃあしょうがないな。いつまでも取り置いておくから安心してくれ」

 

ありがとうございます店長さん。できるだけ早く代金は準備しますので。

 

「疑問ッ!魅入られたとは?何か曰くのあるシューズなのですか?!」

 

やよいちゃんが店長に尋ねる。様子がおかしいミカドが心配なのかミカドと赤いシューズに目線が行ったり来たりいている。

 

「いや曰くなんてないさ。うちは真っ当なものしか置いてないからね。でも・・・」

 

店長は一息入れてから話し出す。

 

「この店には私が惚れ込んだものしか並べない。私が買い付けたシューズ達は大手メーカーにはない物があると思っている。だからわざわざ外国から取り寄せているんだ」  

 

「ここにあるものは手作業だとか、小さい工場の職人が作ったものばかりだ。素材とかも最新技術のものじゃないし、精度だって大型機械で作る量産品には絶対に敵わないだろう」

 

 

そう言って店長はおもむろに近くにあったシューズを、まるで壊れ物を扱うかのように優しく手に取る。その仕草は道具としてではなく芸術品を扱うかのようで、そこには深い畏敬の念が籠もっているように感じた。

 

 

「だが設計とか素材とかを超越した製作者の魂。私はここにある全てのシューズに、そう言う物が宿っていると信じている。身に付けると不思議と誇らしくなって身が引き締まる。まぁ勝負服みたいなものだね」

 

「そういったものを扱っていると時折あるんだ。値段が幾らだろうと絶対に欲しくなってしまう。うちの業界じゃそれを'魅入られる'って言うのさ」

 

いいことをいいますわね店長!あの赤いシューズ・・・何故か心が惹かれますの!値札を見る前に決めてしまいましたの!

 

あの赤いシューズを見たときに全身に鳥肌が立ってしまった。あのため息の出るほどかっこいい赤いシューズ。わたくしのものだ。どうしても、どうしても欲しい!絶対に諦められない。

 

わたくしの言葉に店長は嬉しそうに頷く。

 

「あのシューズは私の店でもとびきりだ。特にあのーーーーブレンボはね」

 

 

 




こういった俺の好きなもんだけ集めたぜって店。ほんと好き。でもジャンキージョイントはないよな。初期遊戯王のジャンキースコーピオンって靴屋をオマージュしてます。エアマックス狩り回のやつです。でもこの店長はいい人ですよ。

靴のサイズの問題は・・・まあサイズもピッタリですよ!なんせ運命の出会いなので!

ブレンボの元ネタはイタリアのブレーキメーカーです。ミカドちゃんの元になったランエボに標準搭載されたブレーキですね。

ブレンボはポルシェとかフェラーリ、ランボルギーニみたいなスーパーカーや、日本車だとGTRとかスカイライン等に搭載される超高級ディスクブレーキで、知名度的に世界一有名じゃないかな?とにかく見た目がカッコいい!性能もヤバいんですね。

ランエボに載せよーぜ!ってなった三菱社員がイタリアのブレンボ本社に行ったら、当時はブレンボ本社は製品の知名度に比べてすごく小さな会社で、手作業で一台一台車に合わせて作っていたそうです。

それにしてもブレンボ標準装備とか正直狂ってるよ。よく三菱上層部許可したな。まあ当時の三菱は熱かったからな!そりゃあバーニャくらいの情熱があったんですよ!

私もなーこういった運命の出会いを経験してみたい。いつもいつも欲しいけど値段がなーとか言って諦めてしまう。
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