永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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やよいちゃんそれ本当にいい考えなんですか?後ろの秘書さん青筋浮かべてますよ?


提案ッ!私にいい考えがある!

店長とバンダナ先輩に見送られながら店を出る。名残惜しいですがお金もないのに冷やかし続けるのもあれですからね。

 

外に出ると空はもう夕暮れ色になりかけている。平時ならそろそろ子供が家に帰る時間でしょう。夕暮れの赤い空を見ていると先ほどの靴が頭の中によぎる。

 

バンダナ先輩もシューズが好きらしく、あの時のわたくしの気持ちに賛同してくれましたわ。わたくしがシューズショップの店員は似合わないと言ったら頭にウメボシくらいましたが。

 

でも先輩はこの店を知って1週間もしない内に、バイト代はなしでもいいからここで働かせてくれ、と店長さんに頭を下げたらしい。今は好きなものに囲まれて仕事をするのは楽しいそうですわ。あっ、ちゃんと店長はバイト代は出してますわよ?

 

それにしてもあの赤いシューズ、確かにブレンボでしたわね。ひと目見た瞬間引き込まれましたわ。わたくしあんな気持ちになったのは始めてで、どうすればいいのか全然わかりませんわ。

 

思わず振り返って店を見る。あの入る前にみた胡散臭い店の名前の看板が名残惜しい。あの靴をずっと見ていたい・・・いや!お金を貯めて、買って部屋で見ればいいんですわ!

 

そう決意しながら3人に付いていく。なんていうか夢見心地でふわふわとして足元が定まらない。うーんわたくしまっすぐ歩けてます?

 

「大丈夫か?フラフラしてるぞ」

 

ルドルフが心配そうにしている。フラフラしてる自覚はありますわ。少し何処かで休みませんか?わたくしちょっと落ち着きたくて。

 

そう言うと少し悩んだルドルフによっていい場所があると道案内される。たどり着いたのは駅と商店街の境くらいにある落ち着いた場所。少し寂れた喫茶店。

 

ルドルフ行きつけの喫茶店らしい。コーヒーが美味しいのと、落ち着いた内装でいわゆる純喫茶のような店ですわ。まぁわたくしコーヒー飲めませんけど。

 

わたくしがいつも行く駅前の喫茶店とはかなり違いますわね。あっちは学園の生徒とかも沢山来ますし。もっとガヤガヤと混雑していますわ。

 

時間帯的に喫茶店はかなり空いているので、お客さんもわたくし達以外は誰もいない。マスターが暇そうにカップを磨いている。

 

「ミカドちゃんそろそろ正気に戻って欲しいな」

 

今のわたくしそんなに変ですかね。たしかにふわふわしていますが。そう言って注文したアイスココアを飲む。ふぅ少し落ち着いてきましたわ。

 

冷静になってふと考える。それは先ほどのお店でのやり取りですわ。あの赤い靴を買うって勢いよく店長さんに言っちゃいましたけど、よく考えたらわたくしお金が全然ないですわ・・・

 

いや仕送りを節約した分があるにはありますが、少なくともあの靴を買える金額はない。中古車買える金額は学生には重いですわ。うーん親にねだったらゲンコツをくらいそうですわね。

 

「確かにあの金額は学生には厳しいと思うぞ」

 

やよいちゃんがミルクセーキを飲みながら言う。流石に静かな喫茶店ではいつものように声は張り上げない。

 

こう、なんか都合よく儲かる仕事とかないですかね?ちょっとくらい危険でもいいので誰か紹介してくれません?

 

「やっぱり冷静じゃないだろ。少し落ち着け」

 

ルドルフ・・・でも、でもぉ!欲しい欲しい欲しい、すっごい欲しいんですわ。

 

「学園としても危険なアルバイトは許可できないぞ」

 

うううやよいちゃんまでぇ・・・レースで勝てば賞金が入るそうですが。そのレースで履くためのシューズが欲しいんですわ。こんなのジレンマですわ。

 

「まぁあのブレンボは学生向けじゃないよ♡海外のトップチームが使うようなシューズだし」

 

ブルーがいうのならそうなんでしょうが・・・あれめちゃかっこいい。あれ履いてクラシックレースに出たいですわ。きっと凄い目立ちますわ。

 

そうだ!マルゼンスキー先輩におねだり・・・やっぱやめですわ。あれは自分のお金で買わなきゃダメなやつですの。今回に限っては。

 

うーんうーんやっぱり学園のお手伝いで稼ぐしかないのでしょうか。こうドカッと稼げてなおかつ危険がない仕事ないでしょうか。

 

「そんなのあるわけないでしょ♡」

 

「その通りだ。何事も地道が1番だ」

 

「提案ッ!私にいい考えがある」

 

そうですわよねそんな都合のいい案があるわけ・・・・

 

やよいちゃん今なんと?稼げる仕事があるんですの?どどどどう言うことですの!やよいちゃん!詳しく!詳しく教えてください!!

 

「ミカド、喫茶店では静かにしろ」

 

はっ!ごめんなさいルドルフ。そうでしたわたくしのしたことがびっくりしてしまってついつい。・・・で?やよいちゃん詳しく話してもらえますか。

 

「ミカド!今月の末にトレセン学園で何があるか知っているか?」

 

今月の末に何かありましたっけ。・・・あっ感謝祭!

 

「実はリギルのチーム申請が仮とは言え通っている。出店許可が下りれば感謝祭にお店を出すことができる」

 

確かに感謝祭でお店を出せば売り上げ次第でうまくいけばあの靴も買えるかもしれませんわね。

 

でもやよいちゃん、わたくし達チーム見学でおハナちゃんに面倒を見てもらっているだけで、別にチームリギルに所属しているわけではありませんわよ?

 

「実は君たち3人は現状リギル所属ということになっているとたづなが言っていた。流石にマルゼンスキー1人だけではチームとしての仮申請すら通らないからな」

 

えっそれ聞いてない・・・。ルドルフ、ブルー貴方達は?

 

2人は黙って首を横に振る。ええい担当ウマ娘があれならトレーナーも問題児じゃないですの!やりますわね!

 

でもおハナちゃんトレーナー・・・いくらマルゼンスキー先輩が可愛いからって流石にそれ通すの無理がありますわよ。だから理事長に直談判してましたのね。

 

でももう感謝祭まで1ヶ月切ってますわ。間に合いますの?ほら申請とかいろいろあるのでしょう。申請期限終わってるんじゃないんですの?

 

「こっちはお母様から聞いた話で、本当は言ってはいけないんだが・・・期限ギリギリの滑り込みで、チームリギル名義でマルゼンスキーが感謝祭の申請を出したそうなのだ」

 

えっ何それやっぱり聞いてない。

 

「・・・聞いてないな」

 

「・・・初耳だね♡」

 

わぁお2人ともドン引きしてますわ。あの人達本当に見切り発車ですわね!でも今回はナイスゥ!!流石マルゼンスキー先輩!おハナちゃんトレーナー!これからもついていきますわ!

 

「それ本当に言っても良かったのか、やよいちゃん」

 

「うむっ!よくはないな!万が一マスコミに漏れたら間違いなく大騒動だ」

 

感謝祭はマスコミも大勢出入りしますからね。そこでマルゼンスキー先輩が新しいチームを立ち上げたなんて明らかになったら、次の日の新聞の一面記事ですわね!

 

もしかしたらわたくし達に対するサプライズなのかもしれませんが、それにしてもサプライズの規模がデカすぎますわ。あの人自分が日本を代表するスーパースターの自覚あるんですかね。

 

ああ、おハナちゃんトレーナーにシメられるマルゼンスキー先輩が今から目に浮かぶようですわ。またほっぺた引っ張られてそうですわね。

 

でもこれで・・・なんとかなりそうですわ!先ほどまでの湯だったようなふわふわ感は吹っ飛びましたわ。目的の定まったわたくしは一味違いますわよ。

 

そう言ってわたくしはアイスココアを一気に流し込む。そしてダンッとグラスを机に置く。

 

では皆さん、これより感謝祭がっぽり大儲け作戦を始めますわ!頑張りましょう!わたくしのブレンボちゃんを買うために!

 

「だから静かにしろ。マスターが見てるぞ」

 

あっすいません。そんな目で見ないでくださいマスターさん。アイスココアもう一杯頼みますので。えへへ。

 




てなわけでマルゼンスキーが企んでた計画が後輩達にバレました!

いや企んでるってのはおかしいかな?マルゼンスキー先輩はチーム作ったらチームメイトで何かしたいなーとか、普段から考えてたんでしょうね。

結構マルゼンスキー先輩暴走しているように見えますが、しっかり暴走してますよ。いやぁほんと浮かれているんでしょう。おハナちゃんの苦労が偲ばれます。おハナちゃんもはっちゃけてるんですけどね。

苦肉の策で無理やり仮申請を通したら、今度はマルゼンスキーがそれに悪ノリして申請出しちゃったんです。

こんな横紙破りばっかりしてたら、いつかしっぺ返しを喰らうぞ!ミカドちゃんみたいに!
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