永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
「よーし!次のグループはゲートに入れ!」
わたくしはいそいそとゲートに入る。
おかしい・・・絶対におかしいですわ。何かが間違っている。
わたくしはコースに設置されたゲート設備の中で自問自答していた。
ガコ
「・・・・・・。」ダッ!トットット
「よーし!戻ってこい!」
「・・・・・・。」トコトコトコ
昼食が終わって小一時間経ってから、新入生は運動着に着替えて運動場に集合した。地元の運動公園ではまず見られない、よく手入れされたターフにすこし高揚感を覚えていた。
ジャージを着た妙齢の女性教官の指示の元、柔軟体操とすこしのランニングを終わらせたあと、設置されたゲートに前で整列していた。
みんなはレース会場で見るような巨大なゲートを見て、憧れのトレセン学園のターフで走れると目を輝かせていたが、今では全員とは言わないが、大半が目が死んでいる。
今日レースじゃありませんの!?ゲートの出入りしかしてないんですけど!
わたくしはまだそこまでゲートに不快感はありませんけど、ウマ娘は本来狭いところが大っ嫌いなのです。
3割ほどは教官の指示に従えず、ゲート前で立ち止まったり入るのに抵抗したりしていますわ。
あっ、ゲート前で抵抗していたウマ娘が教官に無理やり押し込まれましたわ。いくら大人と子供といえ、ウマ娘に力で勝つなんて教官はきっとウマ娘ですわね。帽子をしてるので耳は見えませんけど。
レースの練習とは名ばかり。先ほどの教官の話では、今日は終わりまでゲート訓練らしい。無情ですわ。
いや、これでも温情を掛けてくれているかもしれないですわね。
現状この運動場には新入生しかいない。ターフのある運動場は人気が高く、授業を除けば新入生が使える機会はないそうです。
もしコースを使うことができても、大抵は人気のないダートコースや、ウッドチップコースが御の字。予約で順番待ちのターフコースが回ってくることなど滅多にないそうだ。
そのため新入生の間の授業はレース理論や筋トレが中心となる。気持ちよく走れるのはその後だそうです。
学年が上がるか、チームに所属することができればチャンスがあるかもしれませんが、今のところはそれも望めませんわ!
それにできることならゲートを使いたい。ゲートなしでやればいいと思われるかもしれませんが、せっかくここまでの設備が揃っているのなら、使いたいというのが人情というものでしょう。
だが授業が終わった後は、すぐ入れ替わりで上級生のチーム練習があるのだ。予約制である運動場のチーム練習時間を削ってまで、レース出走予定のない新入生に使わせてくれるだろうか・・・・まぁ無理ですわねぇ。
・・・ということはアレしかありませんわね。
わたくしが決心を固めると同時に、シンボリルドルフがゲート練習から帰ってくる。退屈なはずのゲート練習なのに、そのような素振りは全く見せないのだから、こいつはなかなかの役者である。
シンボリルドルフ、先ほどの賭けレースの話忘れていませんわね?
「忘れてはないが・・・これでは今日は走れないだろう」
シンボリルドルフも先ほどのレースの話を考えていたのだろう。そしてわたくしと同じ結論に達したのだろう。今日はこのままだとそのチャンスは来ないと。
だけれどもわたくしは諦めの悪いウマ娘。不可能の先をいきますわ。そこで今から授業をジャックしますわ。手伝いなさい
「は?・・・いやいやいや、君は何を言っているのか分かっているのか?」
シンボリルドルフが呆れたような、残念なものを見るような目つきで聞き返してくる。おい、こいつなんかやべーこと言い出しだぞ見たいな顔はやめなさい。
「思いっきり走りたい気持ちはわかるが、今は諦めたほうがいい」
どうしても走りたいなら、上級生のチーム練習が終わる夕方ならどこかのコースが空いているかもしれない。シンボリルドルフはそうやってうまいこと宥めてくるが、それは聞けない相談ですわ。
何故ならわたくしは!今!走りたい気分なのですから!
わたくしの頭からは先ほどの賭けのことは二の次になっていた。ゲート練習ゲート練習ゲート練習がなんぼのもんですか!つまらないゲート練習はもううんざりですのよ!わたくしは思いっ走りたい!このフラストレーションを発散しないとどうにかなってしまいそうですわ!
しかしレースは1人では成立しないのですわ。なので渋るシンボリルドルフをどうにかして説得しなくてはならない!回れわたくしの頭脳!唸れわたくしの舌!
ヘタレ・・・
「・・・・いま、なんて言った?」
根性なしのヘタレと言ったのですわ!
やーい!のーみそカチカチ!チキンやろう!名家のお嬢様!お家に帰って華でもいけてるのがお似合いですわ!
そうやって説得していると、シンボリルドルフの纏う雰囲気が変わった。
先ほどまでの穏やかな凪のような雰囲気から一変し、荒れ狂う嵐のような激しさを感じますわ。
シンボリルドルフは静かに闘志を燃やしていた。そして絞り出すように声を漏らす。
「誰にも、ヘタレだなんて言わせない・・・!」
あれ?なんか思ってたより効いてますわ?なんか地雷踏んじまったかしら・・・。
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2人がバチバチと睨み合い
「———ふぅん。」
新入生にあるまじき、横紙破りの計画を
「アハ♡面白いこときーちゃった♡」
近くにいた青い髪のウマ娘が聞いていた。
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次回!ミカドランサーvsシンボリルドルフvs謎の青いウマ娘vsダークライ!