永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
これに合わせて第一章のシンボリックシンボリルドルフを少しだけ変えました。本当に少しだけだから見返さなくても大丈夫です。
そんなわけで片付けも終わりましたわ。諸々の手続きはおハナちゃんトレーナーが請け負ってくれるそうです。マルゼンスキー先輩は午後のイベントの出番が近いらしく、名残惜しそうに去っていった。
学園祭のスターも大変ですのね。チームの宣伝のために沢山イベントに参加しているとは聞きましたが、これじゃあマルゼンスキー先輩と一緒には回れませんわね。
わたくし達は回り始める前に、更衣室で制服に着替える。一応念入りに脱臭スプレーをかけておく。これで焼肉の香りとかしてませんわよね?
さてどこに行きましょう。パンフは貰ってきたので、回りたいところがあるなら聞きますわよ。おっ挙手して気合が入ってますわねやよいちゃん。どうぞ。
「提案ッ!シンザン会長の店に行ってみたい!」
シンザン会長のチームといえばあれですか、喫茶店ですわね。感謝祭の前に少し挨拶してそれっきりでしたわね。2人はよろしいですか?
そんなわけでシンザン会長の喫茶店。食い逃げ喫茶へと向かいますわ。ピーク時間ではないのですがここは少し並ばないといけないくらいでしょうね。
「それにしてもこの食い逃げ喫茶って発想、頭おかしいと思うな♡」
ブルーの目線の先の看板には伝統の15周年と書かれている。壁にある掲示板には食い逃げに挑戦した敗北者達の名前がずらりと並んでいますわ!15年の累計でおそらく400人近い名前がありますわね。
その横のボードには現在成功者数1人と大きく書かれていた。15年で逃げ切ったのは1人だけですわね。何故かトーマスのお面が吊るされており、お面は外してくださいと書いていますわ。ふふふ。
おやルドルフ、どうかしましたか?そんな顔は珍しいですわね。
「・・・なんでもない。以前この店に来た時の事を思い出してな」
おや初めてではないのですか奇遇ですわね。わたくしも一度だけ友達とここに来たことがありますわ。ルドルフのことだから食い逃げはしなかったのでしょう?
「ああ。そういうお前は食い逃げに挑戦してそうだな」
ええ!あの時はお財布持ってなかったのでえらく焦りましたわ。ポケットに200円しか持ってなかったので・・・まぁなんとかなりましたが!
話の途中で順番になったので席に案内される。シンザン会長は・・・いませんのね。あの時よりもさらに有名になってしまったので、午後のイベントに引っ張りだこなんでしょう。
席に座ると昔の記憶が蘇る。こうやって初めて感謝祭に訪れた時の事を思い出す。いやーそれにしても懐かしいですわ。こうやって友達と席についたんでしたわ。
あの時から誰一人として食い逃げに成功してませんのね。ヘタレのルナちゃん元気にしてますかね。てっきり学園にいると思っていたのですが・・・。
そう思いながらも口には出さない。再会の約束は2人だけの約束なのですから。あと食い逃げしたってバレたら真面目なルドルフに何か言われそうですもの。
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席につき年季の入ったメニュー表を開く。ルドルフとやよいちゃんはロールケーキと紅茶。ブルーはコーヒーを。わたくしはクッキーとミルクを頼む。
何故クッキーとミルクなのかとルドルフが聞いてきましたが、そりゃあ1番安いからでしょう。わたくし今は節約期間中なので。ブレンボちゃんを買うまではウマチョコも我慢してますのよ?
納得顔になったルドルフが紅茶を飲む中、話は自然と感謝祭の話になる。午後のイベントとか今後どうするかとか。そういった取り留めのない話。
そうやって時間を潰していると、外の方から黄色い歓声が聞こえてきた。なんでしょうスターウマ娘でも通ったんですかね?正面の扉からやってきたのは・・・あっシンザン会長!
シンザン会長はこちらに気づくと嬉しそうに近づいてきた。こんにちはシンザン会長!てっきり午後のイベントで出ずっぱりなのかと思っていましたわ。
「あはは全てのイベントに出るわけじゃないからね。次の出番は最後のエキシビジョンレース。だからこちらに戻ってきたのさ」
そうなのですね。マルゼンスキー先輩みたいに出ずっぱりなのかと・・・いやそういえばリギル立ち上げのために宣伝して回ってると聞きましたわ。
「まあね。彼女が前を向いてくれたのは僕も嬉しい限りだ。彼女は東条トレーナーと一緒に挨拶回りをしているのさ」
なるほど・・・それとシンザン会長。気づいていますか?
「うん勿論だよ。さっきうちの子達に秘密のサインを送ったさ」
いきなり真剣な顔になったシンザン会長にルドルフとやよいちゃんは驚く。やよいちゃんは大きな声で何か聞こうとした口をわたくしが手で抑える。もがもか言ってますわ。
「一体どうしたんだ?何かあったのか」
ルドルフが戸惑いながら聞いてくる。ルドルフは気づいてなかったのですわね。そんなの簡単ですわ。ここは食い逃げ喫茶ですわよ?食い逃げを狙っているのがいるのですわ。
その声を聞いてやよいちゃんは目を白黒させて押し黙る。
「ふーんミカドちゃんもよく分かったね♡あの子なかなかチャレンジャーだよね」
おやブルーは気が付いてましたのね。ルドルフ、貴方はこの店に入ってから気が抜けすぎですわよ?店員も気づいて出入り口付近で待機してるでしょう?
「・・・全然気が付かなかった」
ちょっと落ち込むルドルフ。まぁ少しソワソワして出入り口を何度も確認しているくらいですからね。でもああいうのは気取られたら負けなんですわ。あの子失敗しますわねこれは。
「勿論だとも。うちの伝統はそう簡単に崩せないさ」
うわぁシンザン会長が普段しない顔をしてますわ。ネズミをいたぶる猫みたいですわ。
「形はどうあれ、僕のチームに挑戦するんだからね。である以上全力で迎え撃つ」
じゃあ君たちは楽しんでねといい、シンザン会長はお店の裏側に戻っていく。
人もウマ娘も動くものを目で追ってしまうもの。スターウマ娘のシンザン会長とあれば尚更でしょう。人目を引きながらゆっくりと歩く姿はまさしくスーパースター。
誰もが注視する浮かれた空気の中、黒い小さな影が動く。黒いパーカーを纏った小さなウマ娘がご馳走様!と言いながら勢いよく出入り口から飛び出していった。それを追うように店員にも飛び出す。
「うーん♡あの子逃げ切れると思う?」
ブルーがコーヒーを飲みながら尋ねてくる。まあ無理でしょうね。ほら帰ってきましたわ。
5秒にも満たない攻防の末、捕らえられてギャーギャー騒ぐウマ娘が店員に俵担ぎされながら帰ってくる。そしてそのまま店の裏へと消えていった。おそらく名前を聞き出されて、敗北者リストに名前を加えられるのでしょうね。
ホールを取り仕切っていた店員から騒ぎになった事への謝りが入り、ドリンク一杯をサービスしてくれた。わたくしはメニュー表を開く、さてどれにしましょうか。
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いやぁ、あんなレアなイベントまで見れるなんて今日はついてますわね!
会計をしながらわたくしとブルーは盛り上がる。
「食い逃げをイベント呼ばわりするのはどうなんだ・・・」
ルドルフの呟きにやよいちゃんもコクコクと頷く。分かってませんわねぇ2人とも!どう考えても不可能なことに挑戦する無謀なチャレンジャー・・・そんなのいつ見ても楽しいものに決まってますわ!
わたくしが店員にご馳走様でした頑張ってくださいと言うと、はにかみながらお礼を言ってくる。やっぱりシンザン会長のチームは教育が行き届いてますのね。爽やかですわ。
店の外に出るといつものボードと看板。ボードには相変わらずデカデカと成功者1人の文字。そして看板に貼り出された歴代敗北者一覧表。わたくしはその一覧表を覗き込む。
「何をしているんだ?」
いや、先ほどの敗北者の名前が気になったので。ルドルフは気になりません?そういうの。えっならない?そうですか・・・まぁわたくしは見るんですけどね!
こらルドルフ!人を悪趣味呼ばわりしない!えーとなになに?
キンイロリョテイ・・・いい名前ですわね覚えておきましょう!
キンイロリョテイちゃんとニアミスです。彼女は元々は食い逃げするつもりはありませんでした。
ただ入口の成功者1人を見るとね。血が騒いじゃうんです。おもしれぇ!やってやるよ!ってね。
0人だと多分食い逃げしませんでした。彼女は誰かと競う事が第一なんです。彼女は会ったこともない成功者第1号にライバル意識を燃やしてしまったんですね。それでご覧の有り様だよ!
この話に合わせて少し過去の話を変えました。シンボリックシンボリルドルフの回。つまり過去編食い逃げ喫茶回です。
大したことじゃないです。トーマスのお面をルドルフが持って帰ってないことにしました。つまりシンザン会長預かりになってます。この話で吊るされているお面はトーマスちゃんが被っていたものです。
実は皆さん気づいてないかもしれませんが、ミカドちゃんがトーマスなんです。ふふふ。気づなかったでしょう?
再開の約束は果たされてるんですね。2人とも気づいていませんが。気付けよ2人とも!こんなんアンジャッシュだ!