永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
感謝祭でみんなでいろいろな場所を回っていると、そろそろ次の予定の時間となりましたわ!
さあ!本日の大目玉!感謝祭エキシビジョンレースの時間ですわね!ブルー!ルドルフ!あれの準備できてますか?
「ばっちり♡」
「これを準備するのは手間だったぞ。だがいい出来だ」
よし!さあグラウンドへ行きましょう!マルゼンスキー先輩が待っていますわ!
「疑問ッ!あれとは?」
ふふふ、内緒ですわやよいちゃん!まあすぐにわかりますわ!
さあ!いざトレセン学園ターフグラウンド!!後輩として先輩をしっかりと応援しなくてはッ!
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グラウンドに着いたわけですが・・・うっわすごい数の人ですわね!
普段は集まっても学生だけなのですが、感謝祭ともなるとすごい数の人だかりですわ。うーん前が見えない。やよいちゃんちゃんと着いてきてます?
「おおおお・・・困難ッ!前が見えない!」
ダメみたいですわね。ほら手を繋いで。逸れるとこの中から見つけるのは無理ですわ。えーと約束の場所は・・・あっ、あそこですわ!おーいバトラー、おハナちゃんトレーナー!場所取りありがとうございますわー!
クラスの何人かでお話ししていたバトラーがこっちの声に気づいて手を向こうも手をブンブン振っている。いやぁ持つべきものは友達ですわね!きちんと場所取りしてくれてましたのね。
おハナちゃんトレーナーも手を振っている。バトラー達とお話ししていたみたいですわね。
ニコニコしながらいーよー、と言ってくるバトラーには感謝ですわ。みんなもありがとうございます。これでマルゼンスキー先輩を最前列で応援できますわ。
みんなは初対面・・・ではないですわね。ほら、猫探しの時のやよいちゃんですわ。貴方達も覚えているでしょう?
ひさびさの猫探しぶりの再会に仲良く話すやよいちゃんとバトラー達。それにしてもあいつら遅いですわね。おハナちゃんトレーナー、ルドルフ達はまだ来てないのですか?
荷物を預けているので迷われるのは困るのですが。あっ来ましたわね遅いですわよ2人とも。
「ミカドちゃんが・・・先に着いてるよ」
「馬鹿なッ・・・ありえるのかそんな事が」
ちょっと2人とも!どういう意味ですの!わたくしが先に着いたら何かおかしいのですか!
「そうは言ってもお前は集合する時いつも最後だろう」
・・・・さあそんなことより応援の準備をしますわよ。荷物!なくしたりしてないでしょうねルドルフ!
わたくしの言葉を聞いてルドルフは持ってきていた荷物を広げる。中に入っていたのは一枚の横断幕。
ふふん!今日の為に作った特製横断幕ですわ!マルゼンスキー先輩に内緒でみんなであーでもないこーでもないと言いながら作った自信作。こいつをセットしますわ!
牛串が売り切れてなければ、わたくし達のうち1人だけ抜けて応援に行くつもりでしたけど、これでよかったですわね!みんなで応援したかったですし!人生はまさにさ、さ・・・最高なウマ娘ですわね!
「それをいうなら塞翁がウマ娘だな」
そうとも言いますわねルドルフ!さあ今日大一番のエキシビジョン最終レース開幕まったなしですわ!
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感謝祭では様々なレースが行われる。本番さながらのレースもあれば、借り物競争などの半分遊びのようなレースもある。順番や内容自体はその年々で細かく変更されるが、一つだけ変わらない共通点がある。
感謝祭のレースの締めで行われる最終プログラム。その年の学園を代表するウマ娘が混成して行われるドリームマッチ。その勝者のみが感謝祭最後のライブで踊る事ができる。
その1人として私はレースに参加することになった。2000人のトレセン学園在学生から・・・いや日本を代表するウマ娘のレースと言っていいわね。
もちろんみんな選手生命を賭けるほどの気迫ではないでしょうけど。本番さながらと言っても本番ではないし。
けれど感謝祭の1番のイベント。このために学園を訪れたという人も珍しくはない。全てのレースファンが夢見る戦いがあと少しで始まるわ。
私はかがみ込みシューズを確認する。うん!脚の調子も悪くない!今日もチョベリグね!
「やあ、マルゼンスキー。今日はよろしくね」
一緒に走るシンザン会長がにこやかに声をかけてくる。うん会長も調子が良さそうね。良いレースにしましょうね!
ターフグラウンドには、すでに参加選手勢員が集まっている。観客席に手を振る者、レースに集中する者。
会場に押しかけた大勢の観客に注目されて囲まれている独特の感覚。重賞を走る時ほどのものではないけれど、やっぱり心地いいわ。
地面の調子を確かめるように脚を動かす。今日の感謝祭の為に、整備班が気合を入れてメンテナンスをしたターフ。良バ場。
空を見る。夕暮れ一歩手前といったところね。走っている最中には日の光の問題はなさそう。
そうして周りを見回していると、観客席の1番前に見知った顔があった。
そこには信頼するトレーナーと可愛い後輩たち。そしてその前には1枚の横断幕が掛けられている。こう書かれている。
"Maruzensky first, the rest nowhere"
学園のスクールモットーをもじったであろう、その横断幕。エクリプスの部分を私の名前に改変しているだけのもの。きっと私へのサプライズなのだろう。あの子たちいつのまに用意したのだろうか。私、全然気がつかなかったわね。
私に見られている事に気付いたミカドちゃんがブンブン手を振っている。
ルドルフちゃんはミカドちゃんを諫めながらも、一緒に小さく手を振っている。
ブルーちゃんとやよいちゃんがこちらに向かって声をあげている。
その後ろでおハナちゃんは苦笑しているのがわかる。
みんなに応援されている。信じてくれている。私に勝てと言っている。・・・・むん!お姉さん頑張っちゃうわ!
こちらからも手を振り返していると、ついにレースが始まる。参加選手がゲートの前に移動する。
周りは強敵、学園のスター達。弱いウマ娘なんて1人もいない。いくら私でも油断ならない相手ばかりだけど。
勿論負けるつもりはない。いつものように勝ちに行く。
1人、また1人とゲートに入っていく。私の番になる。ゲート前で一度立ち止まり深呼吸。
ゆっくりとゲートに入り、少し音が静かになる。
でも何故だろうか、心臓がエンジンのようにドクドクと熱く跳ねている。先ほどよりも滑らかに。今までよりも高らかに。
脱力しているはずなのに、気力が滾り全身にガソリンが流れているみたいに沸騰しそう。
こんな気持ちでゲートが開くのはいつぶりだっけ。少し暗くなった視界の中で思い出に浸る。
選手全員がゲートに収まったことがアナウンスにより伝えられる。私は前傾姿勢になり、いつでもスタートが切れる体勢になる。ゲートが開くのを今か今か待ちわびる戦意が周りに溢れ出す。
固唾を飲んだ観客たちにより会場は一瞬静寂で満たされる。そのすぐ後ガコンとゲートが開く。目の前が一瞬で明るくなる。私は脱力したまま身体を前に倒す。
おハナちゃんと何百何千回も練習した通りに、私の身体は誰よりも早く駆け出す。先頭を取るために。
心の中で誰よりも信頼するパートナーに謝罪する。
おハナちゃんゴメンね。ここぞという時以外は無理な走りはするなっていってたわよね。
今日はその"ここぞという時"よ。誰にも一度だって先頭は譲らない。たとえ相手がシンザン会長でも。だって後輩には先輩として格好いいところを見せたいじゃない。
私たちの先輩は凄いんだって自慢させたい。胸を張らせたい。チームリギルを誇りに思って欲しい。
だから今日は、今日だけは———絶対に勝つ。
さあ、かっ飛ばすわよ!!
次回!激闘マルゼンスキー vs シンザン
初めて実況付きレースを書こうと思います。私に書けるかな?書けるかなじゃない書くんだよ!
タイトルのMy "LP One-Twelve" is idling‼︎よくわからない方が多いと思います。直訳しても意味不明だからね。LP One-Twelveも検索しても出ないから解説しときます。
直訳すると"私のLP One-Twelveはアイドリングしている"になるんですが、このLP One-Twelveは正しくはLP112です。
このLP112はとある車のプロジェクトネームです。LP1と12を繋げた言葉なんです。
1台目のLPカー(エンジン縦置きミッドシップレイアウト)の意味で、12は12気筒エンジン搭載を意味します。
そしてこのプロジェクトネームをもつ車は、ランボルギーニ・カウンタックです。
つまり意訳すれば"私のカウンタックはいつでも走りだせるわ!"となるわけですね!解説のいるタイトルだけど、かっこよくない?かっこいいよな?かっこいいって言え!
次回レース!いけ!たっちゃん!ぶちかましてやれ!