永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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箸休め回です。箸君、君いつも休んでない?

タイトル通りです。全3話。今回はルドルフが主役でミカドちゃんがサブに引っ込みます。


カイザー's ギャンビット

トレセン学園はハロウィン騒動を通り過ぎて、少しずつ寒くなってきました。

 

だが冬とはまだ言えない。まだまだ秋の名残りを感じる季節。

 

芸術の秋、勉強の秋、食欲の秋。運動の秋。皆さんやり残したことはありますでしょうか?このトレセン学園には今年から新しい秋が追加されました。

 

それは戦争の秋。秋は真っ赤に色づいた紅葉のように、血みどろの季節となったのです。

 

このトレセン学園の小さな戦場では血を血で洗う、まさに惨劇ともいうべき戦争が何度も何度も繰り返し起こっていました。

 

黒色の鎧に身を包んだ黒軍はまさしく百戦錬磨。数々の戦に勝利した歴戦ばかり。彼らは一箇所に集まり防御陣を組んでいた。

 

対する白軍はそんな黒軍を取り囲んでいる。白軍は実戦不足ながら、黒軍を切り崩さんと目をギラギラとさせ機を窺っています。

 

だが黒軍の陣はまさしく鉄壁。かのスパルタ帝国のファランクスのように一糸乱れのない防御陣営の前に白軍は手をこまねいていた。

 

するとなんということでしょう。鉄壁の防御陣営に焦れた白軍の騎士が飛び出して行きました!

 

まるで名乗りを上げるかのように堂々と敵陣の前に飛び出す。やあやあ我こそは!ああ討死!!

 

あっけないほどにあっさりと打ち取られた白軍の騎士を皮切りに、どんどん白軍の兵隊が削り取られていく。

 

黒軍は数的不利に陥った白軍をじわじわと追い詰める。白軍の王は、自軍すら見捨て脱兎の如く逃げ出す。ああ逃げ切れない!黒軍の騎士がまさに雷鳴の如く白軍の敵陣に切り込み、白軍の王を討ち取った!!

 

 

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呻き声を上げながらわたくしは身悶える。テーブルに広げられた一枚のチェス盤。ルドルフな用意したこの折り畳み式のチェス盤の上では、わたくしが軍師を務めた白軍がものの見事に崩壊していた。

 

対する黒軍の軍師を務めたルドルフはちょっと得意顔ですわ。むむむなんか遊ばれたような気がしてなりませんわ!

 

「はい負け〜♡なんで負けたか明日までに考えておいてね♡」

 

横で見ていたブルーがニヤニヤしながら煽ってくる。むがぁぁぁうっさいですわ!ブルーあなたも負け越してるでしょうに!

 

「ふふっ。ミカドお前は筋は悪くないけど、少し攻めっ気が強すぎるな」

 

こちらに先程のゲームの指摘を飛ばしてくるルドルフ。リラックスしているのか、ゆらゆらと尻尾を揺らしてどこか上機嫌そうですわ。

 

わ、分かっていますわよ!あそこは長期戦だっていうのでしょう!?でも長期戦は不利とみたわたくしの判断は間違っていませんわ!

 

「静かに負けるか、派手に負けるかくらいは選びたいもんね♡」

 

・・・・うぐぐぐぐ。もっかい!もっかいですわ!次はわたくしが黒を使いますので!さあ次こそは貴方をけちょんけちょんにしてやりますわ!

 

「その言葉、何回目なんだ・・・」

 

呆れたように呟くルドルフ。でも打つ気は満々ですのね、慣れた手つきで駒を並べ直していきます。貴方の連勝記録をストップするのは、このわたくし!ミカドランサーですわ!

 

さぁ我がブラックミカド軍団!あの白軍をやっておしまいなさい!

 

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ハロウィンの終わり頃からトレセン学園で始まったチェスブーム。学園のそこかしこでチェス盤を置いている生徒がちらほらと見える。

 

なぜそんなものが流行ったのかは謎ですが、まぁブームなんてそんなものでしょう。本当に唐突過ぎて意味不明ですが、わたくしは取り敢えずこのビッグウェーブに乗りますわ。

 

とにかく謎のチェスブームに乗っかってやってみたものの、これがなかなか楽しいものですわ。普段はアナログゲームなんてやらないのですがこれもなかなか趣がありますわね。

 

わたくし将棋には少しだけかじったことがあったので、まぁ駒の動きを覚えた後は、少なくとも初心者だらけの学園内では、それなりに強いほうなのではと考えていました。

 

一方ルドルフはチェスには幼少からそれなりに覚えがあるそうなので、わたくしは少し揉んでやりますわと挑みかかりました。

 

まぁボコボコにされたんですがね!

 

ルドルフの戦術はまさに変幻自在で、こちらが攻めれば攻めきれず。守れば守りきれず。わたくしが守りを捨てて突撃すれば、返す刀で王の首を落とされる。

 

なにがちょっと覚えがあるですか。普通にクラスで一番強いのは間違いありませんわ。わたくしもブルーも挑みかかってはひねられる。ただルドルフが後でどうしたらいいかを教えてくれるので、少しずつ強くなってる・・・かなぁ?

 

わたくしとルドルフの戦績は通算13戦12敗1分け。この分けはちょっとしたイカサマがバレたのでノーコンテストで引き分けです。まぁルドルフにアームロックを喰らったので差し引きマイナスといったところでしょうか。

 

デジタルゲームならわたくしの方が有利なのですがね。やはり経験者相手にはなかなか勝てないものですわ。今度ルドルフとブルーを誘ってテレビゲームでもしましょう。わたくしのザンギエフがきっと仇を取ってくれるでしょう。

 

それにしてもおっそいですわね。あの子が来ないと要望箱の依頼が終わらないのですが。わたくし達待ちぼうけで暇なのでチェス盤を広げていますが、このままじゃ来る前にルドルフの連勝記録を止めてしまいますわよ?

 

「チェックメイト」

 

ぎにゃゃゃゃあ!!じゅ、13敗目ぇぇえ!!

 

わたくしの黒軍が崩壊してジタバタをしていると。困ったときのバトラーがようやく来た。遅いですわ頼んでいた調べ事はちゃんとわかりましたの?

 

バトラーは遅れちゃってごめんねと言いながらポケットから取り出したメモ帳を広げる。彼女にはわたくし達の依頼のお手伝いをしてもらっていました。噂好きのバトラーにぴったりの依頼だったのでまぁ適材適所というやつですわね。

 

先日から要望箱に増えてきた依頼。トレセン学園七不思議に関する調査ですわ。七不思議の一つ'トレセン学園にはニンジャが潜んでいる'を皮切りに、七不思議の再調査が要望に上がってくることが増えたのですわ。

 

そして七不思議の一つ'夜に出没する幽霊のチェスマスター'を調査して欲しいとの依頼を受けて、わたくし達は調査をしています。

 

お化けだのトトロだのニンジャだの、七不思議の個性が光りますわね。本当に無駄に個性的ですわ。

 

バトラーからの報告を聞いて分かった事は、このチェスブームは七不思議の幽霊のチェスマスターを知った生徒が起こしたブームらしい事。チェスが強くないと会えない事、そしてチェスマスターの会い方を知っていそうな生徒の名前でした。

 

いつもながらバトラーはいい仕事をしますわね。きちんと仕事ができるなんて偉い!ジュースを奢ってあげますわ!9杯でいいですか?

 

どうやら1杯でいいらしい。謙虚ですわね。

 

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バトラーの情報を頼りにやってきたのは、幽霊のチェスマスターを知っていそうな生徒のいる場所。学園のチェス愛好会の部長のいるクラスへとやってきました。というかそんなものがあったなんて知りませんでしたわ。

 

上級生のクラスに乗り込むなんてこう、ドキドキしませんか?わたくしは・・・たまにしますわね。時々バンダナ先輩のクラスに乗り込んだりしますし。まぁ今回は顔見知りでよかったですわ。以前のカボチャ事件で知り合った相手でしたし。

 

そんなわけで!たのもーーー!

 

「その掛け声なんとかならないのか・・・」

 

呆れたように呟くルドルフの声を聞きながらも、わたくしはなんだなんだと扉のところまできた上級生に要件を伝える。

 

生徒会直属のトラブルシューターですわ!アンパン先輩いますか!

 

 

 

 




次回からルドルフが狂言回しになります。

というわけでまたオリキャラ。でもこの子は今回の話くらいにしか登場機会がないです。チェス回なんてそうそうないからね。

アンパン先輩は史実馬アンパサンドから取っています。アンパサンドは記号の'&'の名前なんですが、チェス用語のアンパッサンと絡めています。要は駄洒落ですね。

アンパサンドは東京ダービー1位やジャパンダートダービーで2位という好成績を残した馬です。あとファル子にボコられました。アンパサンドに7馬身付けるってなんだよ・・・ファル子強すぎる。
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