永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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体調崩しました。ミカドちゃんも私も。


ミカドちゃんも落ち込むことはあるのですわ。

12月も中頃で今年もあと少し。クリスマスが足音が近づいてくる。

 

世間一般ではクリスマス商戦で大売り出し。トレセン学園もそれは例外ではありません。学園全体が忙しさと楽しさをごちゃ混ぜにしたような雰囲気でした。

 

メインホールには巨大なクリスマスツリーが飾られ、今も今日とて飾り付けをしてます。感慨深いものですね。今年もいろいろありましたからね。

 

そう思いながらメインホールからわたくしたちは出て行く。あら、雪が降っていますわ。ここいらはあまり降らないと聞いていましたが、珍しいこともあるものですね。明日には積もるかも知れませんね。

 

・・・・・・はぁ。

 

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ミカドランサーのいるクラスはいつもよりずっと静かだった。いつもの喧騒に慣れきったクラスメイト達は居心地が悪そうにしている。

 

学園全体はクリスマス目前でどこか浮ついた雰囲気だというのに、明らかにこのクラスだけが浮いている。原因は今日一日ずっとおとなしい学園の問題児、クラスの脳みそお祭りウマ娘ことミカドランサーである。

 

今日のミカドランサーはなにも問題を起こしていない。昨日も一昨日も。声も荒げていないし、怒られていないし、授業中も真面目に話を聞いている。

 

1週間前はえらく上機嫌だったのに、ここ数日明らかに様子がおかしい。気落ちした様子です上の空。いつもの癇癪は鳴りを潜めている。

 

クラスメイトはミカドランサーがずっと考え事をしているのか、もしくはなにも考えていないのかよくわからない。そんなミカドランサーから事情を聞き出そうとするかどうかを決めあぐねていた。

 

教員達は問題児が大人しくしていてくれるのはありがたいとは感じてはいたが、これはなにかどでかいことを引き起こす前兆としか思えない。問題を起こすなら早くしてくれと胃をキリキリさせながら考えていた。

 

ミカドランサーの隣の席、問題児の目付役ことシンボリルドルフは机を指先でずっとトントンしている。不機嫌な様子でちらちらと時折隣の席へと目をやるが、ミカドランサーは我関せずとぽけーっとしていた。

 

勿論ミカドランサーを友人だと思っているシンボリルドルフは、明らかに様子のおかしい彼女から事情を聞き出そうとした。だが本人から何でもない、気にしなくていいと言われてしまった。

 

ブルーインプにもシンボリルドルフは相談したが、事情はわからないがおそらく放っておいても問題ないと彼女は言っていた。ブルーインプはミカドランサーを見守る姿勢のようだがシンボリルドルフは違う。

 

悩み事があるならどうしてさっさと私達に相談しに来ないんだ!シンボリルドルフはそう声を大にして言いたかった。

 

シンボリルドルフはクラスの噂好きのメイショウバトラーから、それとなくミカドランサーの周りにある噂について調べてもらった。

 

と言ってもめぼしい成果は全くない。ミカドランサーがなんらかのトラブルに巻き込まれているのかと思っていたが、どうやらそうではないようだ。

 

ここ数日のミカドランサーは授業が終われば寮に帰ってジャージに着替え、外で自主練をして門限までには帰ってきているそうだ。自主練の場所も近くの河川敷であり、あそこで学園のウマ娘が自主練をするのは珍しいことではない。

 

シンボリルドルフは予定を変更し、とりあえず今日の放課後は河川敷へと向かうことにした。

 

 

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「心配性だね♡ルドルフちゃんは」

 

ブルーを誘い、一緒にミカドが練習している様子を見にいくことにした。なんだかんだで付いてくるブルーも、恐らくは言葉にしていないだけで心配だったのだろう。

 

ここ数日、ミカドが大人しいせいでクラスメイトの調子が悪くなったらどうするんだ。みんなソワソワして授業どころじゃないんだぞ。教師からもなんとかしてくれと言われてしまったんだ。

 

私の言葉を聞いてブルーはニヤニヤしていた。

 

「そういうことにしといてあげるね♡」

 

うるさい。

 

そうしてブルーと2人で商店街を抜けて河川敷の方へと歩いていく。ここはいつもなら練習している学園の生徒がチラホラいるはずだが、今日は珍しく1人しかいない。

 

そんな河川敷は学園のグラウンドほどではないが、走ることに不自由はない。見通しがよく十分な幅と長さ、そして少しだけカーブがあるのだ。

 

 

 

ミカドはそんな河川敷を走っていた。恐らくは全力に近い速度だな。まったく・・・ここでの全力走行はダメなのは知らないわけではないだろうに。

 

だが・・・妙だ、何かがおかしい。

 

その走りには強い違和感があった、いつものミカドと何かが違う。いつものミカドじゃない。必死というにはあまりに練習然としていない、鬼気迫ると言ってもいい。

 

「へぇ。やっとあのシューズ履いたんだ♡てっきりケースに入れてずっと飾るのかと思ってたけど」

 

ブルーが目ざとく見つけた違いを聞いて、私はミカドが履いているそのシューズに目を凝らす。普段履きの赤い靴ではなく、みんなで感謝祭で頑張って買った、あいつのお気に入りのシューズ・・・ブレンボ。

 

以前ミカドにいつ履くのかと聞いたら、明日には履きますわ!といって延々先延ばしにして、出し惜しみをしていたはずだが、ついに使ったのか。

 

・・・・ああ、そういうことか。

 

「遅いね。フォームが崩れているよ」

 

確かにその通りだ。いつものようにフォームが噛み合っていない。まるで空回りしているかのようで、身体をコントロールできていないのは間違いない。

 

いつもより踏み込みが浅く加速力がない。河川敷のカーブでは身体が外へと流れている。特に下り坂では顕著だ、転んで怪我をしそうな危うさすらある。

 

履き慣れたシューズから、新しいシューズに変えたら走りに違和感が出ることはよくあることではある。けれどあそこまで露骨に調子が悪くなるものなのか?

 

少なくとも私もシューズを今まで何度も履き替えてきたが、大抵は2、3回走れば違和感は取れる。だがミカドの消耗している様子を見るに、恐らくそんな回数では収まらないくらい走っているのは明白だ。

 

だがミカドが何に悩んでいるのかがこれでわかった。そしてなぜ相談してこないのかも。あいつらしいと言えば、あいつらしい中もしれないが。

 

あいつは基本的にカッコつけなのだ。恐らく私達に知られたくなかったのだろう。

 

自分がスランプになっていることを。

 




ちょっと体調が思わしくないので、明日更新できるかわかりません。
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