永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
わたくしは休憩を挟みつつも何度も河川敷を駆けていました。
そのうちに少しづつブレンボちゃんの履き方がわかってきて、もっと攻めた走りをしてみたりとなかなか充実した時間を過ごすことができていました。
いやそれどころか途中から調子が上がってきたのか、疲れが何処かにふっとんでしまい、永遠に走ってしまいたいくらいでした。
途中なぜか河川敷にルドルフとブルーがやってきました。どうしましたのお二人でデートでもしてますの?
そう思って2人を見るとルドルフは・・・なんというか怒ってます?耳が後ろ向きになってますわよ?何か嫌なことがありましたか?相談くらいなら乗りますわよ?
ブルーはブルーでやたらといい笑顔ですし、妙に対照的ですわね。まぁいいですわ悩み事があるならとりあえず走っておけば、大抵のことはなんとかなりますの!ルドルフも走ります?
「迎えにきたんだとりあえず帰るぞ。お前には山ほど説教がある。楽しみに待っておけ」
・・・あっ学校サボったことを怒ってますのね!あれはそう!おばあちゃんが3度目の葬式でいだだだだた!千切れる!千切れる!
「そういえば教官がすっごい怒ってるらしいよ。あのクソガキはどこだ?ってクラスに来たし♡連行するまでに愉快な言い訳を考えておいた方がいいよ」
わたくしはその言葉を聞いて・・・いや聞かなかったことにしましょう。教官怒ると怖いんですよね。あのー2人とも言い訳手伝ってくれません?
「ダメだ」
「ダメだね♡」
・・・・わたくし、ほとぼりが覚めるまでここに住みますわ!あっやめ!引っ張らないで!あー!
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わたくしが学園に引きづられて帰ると、それはもう・・・お説教のフルコースでした。
担任に怒られ、教官に怒られ、寮長に怒られ、シンザン会長に怒られた。あと何故かまたたづなさんにも怒られた。
途中からもはや魔女裁判めいてきており、わたくしには弁護士を呼ぶ権利はありませんでした。言い訳しようが喚こうが止まらないお説教の嵐にわたくしは泣いた。
というよりたづなさんだけ怒り方の方向性がなんか違う気がしました。ロクでもない大人に近づくのはやめなさい!と怒っていましたが、わたくしにはとんと思い当たる節がありませんでした。
解放されたのはもう外も真っ暗になった時間帯。説教部屋となった談話室から解放されると、外にはルドルフとブルーが待っていた。お説教が終わるのを待っていてくれたんですね。わたくし酷い目にあいましたのよ2人とも・・・グスッ。
「自業自得だ。皆心配していたんだからありがたく思っておけ」
「サボるにしても言い訳もっと考えておくべきだったね♡」
ううう!確かに空手の稽古があったという言い訳は通りませんでしたから・・・。
罰則で反省文とクリスマスの準備のお手伝いと、1週間走るのを禁止されてしまいましたわ。ウマ娘に走るなだなんて、息をするなと言っているようなものですわ!どうしてくれるのです。ようやくコツを掴みかけてきたのに・・・。
「あの新しい走り方か。あんな危なかっしい走り方は危険すぎる。すぐに辞めた方がいい」
嫌ですわ。あの走り方でなくてはブレンボちゃんの良さを活かせないのです。それに危なかっしいのは新フォームが習熟できていないからですわ、何度も走れば安定する気がしますの。
「ルドルフちゃん。ミカドちゃんが言って聞くわけないよ♡大丈夫だって、おハナちゃんトレーナーとこれから練習を詰めていけばいいじゃん♡」
その通りですわブルー!今までよりも危険なのは百も承知!ですがリスクから逃げては何も掴めないのです!
おハナちゃんトレーナーからは明日の放課後トレーナー室に来るように言われましたし、今日は帰りましょう!
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翌日、クラスで一悶着ありました。唐突に休んでしまって驚いていたクラスメイト達。まあ悩みも解決しましたわ!と言えばよかったねーでそれはそれでおしまい。
問題は放課後のトレーナー室。おハナちゃんトレーナーの呼び出しに従って急いできました。トレーナー室を訪れた時、おハナちゃんはこちらに気づいた様子もなく動画を見ていた。
おそらくブルーかルドルフが昨日の河川敷での走りを撮って送ったのでしょう。パソコンのモニターにはブレンボを履いたわたくしが駆け抜けて行く様子が映し出されていた。
おハナちゃんトレーナーがわたくしが来ていることに気がついて椅子を回して振り返る。こちらに顔を向けたおハナちゃんトレーナーは・・・うわぁ眉間がよっていますわ。
「貴方、頭おかしいんじゃないの?」
あ、あって早々ご挨拶すぎません?挨拶ってのこうするのですわ。こんばんはおハナちゃんトレーナー!
「・・・ええ、こんばんわ」
眉間にシワを寄せたまま、目元を押さえながらおハナちゃんトレーナーは挨拶を返す。それで・・・どうですか?わたくしの新フォームは!速いでしょう!
「ええ、速さに関しては文句のつけようがないわ。けど貴方?レースとタイムアタックが違うものってわかってる?」
何を言っているのですかおハナちゃんトレーナー、そんなの当然でしょう。ようは誰よりも早くゴールにたどり着けばいいのなら、速く走れるに越したことはないですし、ようはぶっちぎってしまえばいいでしょう?
一瞬ポカンとした顔をしたおハナちゃんトレーナーは、椅子から立ち上がると、わたくしの方にツカツカと近づいてくる。
わたくしの前に険しい顔で立ったおハナちゃんトレーナーは勢いよくわたくしの頬を抓りあげる。いだだだだた!
「まっすぐ走れていない!コーナーは大きく膨らんでいる!明らかに脚への負担が大きい!そもそもこのフォームではロクな駆け引きが出来ない!これでどうレースをするんだ!言ってみろ!!」
そ、それはこれから考えるんですわ!だから耳元で大きい声を出さないでください!それに駆け引きをしないのはマルゼンスキー先輩も一緒じゃないですか!
「あれは脚質が逃げだから成立するのであって、貴方はそうじゃないでしょう!」
そりぁわたくしは差しですけどぉ、あの走り方じゃないとブレンボちゃんが使えないんですもん・・・。
「・・・貴方が正規のチーム員なら、今すぐそのシューズを禁止しているところよ。貴方がしている走りはそういうものなの」
つねり上げていた手を話し、わたくしの頬をつねったことを謝りながらおハナちゃんトレーナーは諭すように語りかける。
でも、でもわたくしはブレンボちゃんを履いてレースをしたい。ようやく履き方がわかってきたのに、この子をお蔵入りはあんまりですわ。
「どうしても?」
・・・・どうしても。
おハナちゃんトレーナーは呆れたようにため息をつく。いくつかの条件を提示して、それを満たすまではレースでの使用は禁止する。認めるならフォームの完成まで付き合ってくれると。
条件は4つ。
1つ目、レースに参加できるレベルになるまで練習以外では履かない。レースの駆け引きもしっかりと身につける。
2つ目、練習は必ずおハナちゃんトレーナーの目に届くところで行う。つまり自主練習の禁止。
3つ目、きちんとケアを行うこと。脚に異常が出た場合最悪ブレンボちゃんを履くのをやめる。
4つ目、指示にはきちんと従う。これを破ればリギルのチーム入りの話はなしとする。
ブレンボちゃんを諦めるかもしれないという条件が入っていたので、わたくしは少し悩みました。ですがおハナちゃんトレーナーの強い視線にたじろいでしまい、わたくしは渋々頷きました。
そこからはおハナちゃんトレーナーの横に座って練習メニューを詰めて行く。以前のフォームよりも安定性が落ちているので、うっかり限界値を超えてしまわないように、一から測り直すらしいですわ。
また当分の間、走った後は毎回脚のチェックをおハナちゃんトレーナーが見てくれるらしい。ありがたいですけど、いいんですの?おハナちゃんトレーナーも仕事があるんですよね?
「貴方を放っておくと壊れるまで走りそうだもの。遠慮するなら以前のシューズに戻してほしいわ」
・・・・お世話になります。
よろしいと返してくるおハナちゃんトレーナー。皆心配しすぎではないですかね。わたくし自分の調子くらいは自分で見れるんですが。
「そういえばこの新しいフォームは自分で考えたの?明らかに今までのフォームとは方向性が違いすぎるわ」
実は昨日の夜学園でトトロにあって教えてもらったのです。名前は聞きませんでしたが、ほら、学園に居るでっかい人!あれだけ目立つならおハナちゃんトレーナーも知ってますわよね!
「・・・・・私、そんな人知らないわよ」
えっ。じゃああの人誰ですの!
おハナちゃんトレーナーの話し方難しい。激昂する時は少しだけ話し方を変えています。