永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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多分彼女が1番早いと思います。


深夜のトレセンにはランダムでデスエンカが発生します

クリスマスの夜のトレセン学園。寮の学生同士でお話ししたり、家族に電話をしたり、彼氏がいるなら抜け出してこっそりと会ったりしているのでしょう。

 

そんな楽しいクリスマス。わたくしは両肩を抑えられる形でたづなさんに拘束されているという、なんとも嬉しくないハプニングを味わっていました。

 

それにしてもピクリとも動かない。脚にいくら力を入れても立ち上がることが出来ませんわ!

 

「無駄ですよ。その体勢で肩を押さえられたら立てないんです。知りませんか?合気道のようなものです」

 

は、初耳ですわ・・・具体的にはどのような原理なんですの?

 

「椅子から立ち上がるには、上半身を前に出して重心を動かさないといけないそうです。指一本で額を押さえるだけでウマ娘の脚力でも立てなくなるんですよ?」

 

わぁお。流石理事長秘書。合気道まで使いこなすとはまさに才色兼備ですわね!いよっ!完璧美人秘書のたづなさん!

 

「ふふっ。ありがとうございます」

 

ですが・・・前に出せなければ下ならどうです?!

 

わたくしは勢いよく尻を前に滑らす事で、ベンチから身体が前に滑り落ちる。まるでマトリックスの弾を避けるかのようなポーズになってしまう。

 

ですがこれで押さえつけていた肩が一気に下へとズレて肩の拘束が弱まる。肩を押さえられた状況から脱出完了ですわ!

 

「それでここからどうするんですか?」

 

肩の代わりに胴を押さえられた、あっという間にさらに状況は悪化した。うーん参りましたわ。

 

-------

 

もう逃げようとしないと約束をする事で、とりあえずベンチへと座り直すことが許された。

 

ですがたづなさん?約束したのにガッチリと手を掴んでいるのはなんでですの?わたくしはもう逃げませんわ。観念しましたわ。

 

「昼の約束をもう忘れているようなので、今した約束も忘れるかと思って」

 

昼のは納得のいく説明がなかったのでノーカンです。わたくしは納得がいかないのなら諦めません。また今度もここに来ますので。あと寒いのでコンポタ買っていいですか?

 

「本当に分かっています?今怒られているんですよ貴方は?」

 

分かっていますわ。ですがわたくしは正しいことをして怒られたのなら胸をはれと習ったので。相手が誰であろうと、恩に対する感謝はきっちりしないといけませんわ。感謝のために身体を張るわたくしが間違っているはずがないですので!

 

「・・・深夜に出歩いたことは見なかったことにします。だからもうあの人には関わらないでくれませんか」

 

嫌です納得がいきませんの。それにお礼にクッキーを渡すだけですわ。そのくらいいいじゃないですか。

 

「貴方達生徒にとって、アレは害にしかなりません。帰りなさい」

 

お断りしますわ。納得がいく説明がない限りは。

 

「その必要はありません。いいからとっとと寮に帰って下さい」

 

じゃあ寮まで運んでくださいね。わたくしは歩きませんので。

 

その言葉を聞いたたづなさんは深くため息をつく。そしてわたくしはたづなさんの肩に荷物のように抱えられる。えーそこまで話したくないんですの?そこは妥協して、しょうがないと言いながら事情を話してくれるところじゃないんですか?

 

わたくしはたづなさんに抱えられる形で寮へと帰ることになった。それにしてもウマ娘1人軽々と抱えてよく歩けますわね。本当に人間ですの?

 

抱えられながらわたくしはたづなさんに話しかける。なぜ話せないのかとか、名前くらい教えてくれてもいいじゃないですかとか、クリスマスなのにひとりで何やってるんですかとか。

 

最後の質問をした時にちょっと黒いオーラが立ち上ってきたので、黙り込む。怖いわけではありませんわよ?そのぐらいの慈悲はわたくしにもあるだけです。

 

代わりに頭を回す。唸れ悪知恵の時だけ回るわたくしの脳みそ!このままではたづなさんからは情報は引き出せそうもないので、なんかこう・・・交渉材料を探す!

 

・・・あれ?そういえばたづなさんいつもと靴が違いますわね。普段のオフィスレディな感じの靴じゃない。学園のウマ娘が履くような使い込まれたランニングシューズですわ。

 

明らかに走ることに特化したシューズ。いつものグリーンの秘書姿なのにそれだけが明らかに浮いている。とりあえず聞いてみる。

 

たづなさん靴変えました?そのシューズイケてますわね。これからランニングですか?

 

わたくしの言葉を聞いて少し反応がある。歩みはそのままですが、こうやって密着していて初めて分かるくらいの動揺。

 

まるでレースで使うようなシューズですわ!誰かとレースするかのようですわね!

 

さらに動揺。んーなんかこれ使えるでしょうか?再び沈黙があり気まずくなったのかたづなさんが口を開く。

 

「何ヶ月か前に不法侵入があったんです。その備えですよ」

 

な、なるほど・・・トレセン学園にもそういうのがいるのですね。ですがそういうのは警備員の仕事なのでは?

 

「これは個人的な問題なんです。夜間警備員達には迷惑はかけられませんから」

 

個人的・・・とんと予想がつかない。なんでたづなさんが追いかけるみたいなことになっているのでしょうか?もう少しとっかかりが欲しい。ああ、横にルドルフがいてくれたらすごい頼りになるんですが!

 

・・・たづなさんがシューズを履いて、その不法侵入者とどう関わりがある?個人的・・・秘書としてでなく?警備にはどうして任せられない?そもそもどうして動揺するんですの?不法侵入者が知り合い?いやなんか違いますわね。

 

わたくしが黙り込んでしまったのを気まずく思ったのか、たづなさんは話題として話し出す。

 

「トレセン学園に唐突に現れたニンジャらしいですよ。バ鹿らしいですよね?」

 

ニンジャ?・・・ああトレセン七不思議のあれですか。なんか急にクラスの話題になったのを覚えていますわ。あれって本当なんですの?

 

「流石に本物のニンジャではないと思いますが、侵入者があったのは本当ですよ。覆面をしたウマ娘で夜間警備隊から逃げ切ったんです」

 

夜間警備隊って警備のおっちゃん達とは違いますの?お化け探しの時のウマ娘の警備員のことですの?

 

「ああ、そういえば生徒には知られていないんですね。トレセン学園の不法侵入者はウマ娘であることも多いので、それの対応をするための特殊警備隊です」

 

・・・なるほど通りであのお化け探しの時のあの人達は、やたらと速そうだったのですね。あの2人は相当走れますからね。それから逃げ切ったんですかそのニンジャは。

 

「ええ、今年で唯一逃亡を許してしまった侵入者です」

 

唯一?えっ・・・それって・・・

 

「最後は壁を走って学園外に逃げていったんです。嘘じゃないですよ?」

 

 

わたくしのことでは?

 

 

-------

 

 

再びわたくしは黙り込む。今まで知らなかったのですが、わたくしは・・・ニンジャだったようです。いやいやわたくしはニンジャじゃないですわよ。どうしてそうなった!

 

思わず混乱してしまう。学園七不思議にわたくしがランクインとか予想外すぎますわ。意味がわかりません。あわわわ落ち着けわたくし。スンッ。はい落ち着きました。

 

話を整理するとたづなさんは個人的理由でニンジャ・・・わたくしを追っている。その為にわざわざシューズまで用意してクリスマスにまで見回りをしてる?えっ確かにあの時追いかけまわしてきたのはたづなさんですが、普通そこまでします?

 

いや、でもこれ・・・交渉に使えるのでは?上手いことやれば交換条件でトトロの情報を引き出せるのでは?

 

いや焦るなわたくし・・・ああ混乱してきた!ルドルフ、ブルー助けて頭が爆発しちゃう!情報が錯綜していますの!

 

でもとりあえずわたくし=ニンジャとバレるのはヤバい気がする。それはきっと言ったらダメなNGワードですわ。

 

つまりわたくしがニンジャとバレないように、小出しに情報を出して、なおかつわたくしが持つのがニンジャの重要っぽい情報を持っていると思わせることができればなんとか・・・

 

・・・うん無理ですわ!わたくしがニンジャだとぽろっと言ってしまいそう!

 

交渉は諦めましょう!わたくしでは無理!でもニンジャは交渉に使えそうですので、今度ルドルフに頼んで策を授けてもらいましょう!

 

とりあえずわたくしはその準備として、たづなさんから可能な限りニンジャについて聞き出すことにした。

 

 

 

 




たづなさんはアホのミカドちゃんを捕まえましたが、ニンジャは取り逃がしました。

というわけでたづなさんとのクリスマスデートが終わりました。

でもこのあと無事寮長に怒られた模様。
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