永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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ミカドランサーは賢く愚か。丸く収まったと思った?また激おこフェイズは終わっていません。

投稿遅れて申し訳ない3回も書き直したよ。難産でした。


ミカドランサーはブチギレる

生徒会室でとりあえずわたくし達の置かれている現状について話し合う。場の空気ははっきり言って最悪です。

 

チームを作るという目的を失い、泣きそうな顔の正座したマルゼンスキー先輩。

 

なんとか場を盛り上げようと空回りする、止めなくてはならない立場のシンザン会長。

 

口を挟まず静かに立っている、裏からバックアップしてくれていた悔しそうな顔のたづなさん。

 

悪いのは横紙破り破りをしたこちら側。そんなことは百も承知。苦けれど飲み干すしか無い、そんな気分ですわ。

 

悔しいですが認めるしかない。チームリギルは・・・わたくし達のチームは終わってしまった。納得するしかないのですわ。ルドルフもブルーも納得はしていなさそうですが・・・もう諦めている様子。

 

ですが正座をしたマルゼンスキー先輩の放った言葉にわたくしは冷静ではいられなくなった。

 

あまりにもあんまりな知りたくもなかったし、聞きたくもなかった事。

 

チームリギルはわたくしの同期の間では有名な話ではありました。マルゼンスキー先輩の作る超新星に同じ学年から3人が選ばれた。

 

少なくともクラスのみんなは祝福をしてくれました。

 

ですが上級生の中では、そのリギルが不成立となるかもしれない噂が実は前からあったそうです。その原因は・・・おハナちゃんトレーナーが、それに見合う器ではないから。

 

マルゼンスキー先輩がここまでキレた訳がわかってしまった。

 

事実無根で誰が言ったかもわからないくだらない噂話。

 

何故おハナちゃんがそんなことを言われなくちゃいけないの?あの人がどれだけ頑張っているのかも知らないくせに。

 

そう言ったマルゼンスキー先輩は血が出るほど拳を握りしめていた。

 

 

頭がグルグルする。

 

何故です?何故そんなことが言えるのですか?

 

わたくしの中でぐちゃぐちゃになってしまいそうなほど込み上げる何か。

 

プチン。

 

ああそういうことでしたのね。やっと理解しましたわ。

 

これは、これがきっとそういうことなのですね。

 

今、わたくしはブチギレている。

 

おハナちゃんトレーナーを軽んじた者への報復。誰も知らなくていい自己満足かもしれません。

 

暴力では意味がない。走りだ・・・彼女の鍛え上げたわたくし達の走りで、学園をひっくり返してやる。

 

わたくし達の・・・チームリギルの最初で最後の仕事。

 

それがチームリギルへの最後の花道。

 

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先ほどからとんでもなく頭が回る。わたくしはあまり本気でブチギレたことはない。こういった袋小路な状況はあまりありませんので。

 

ただ初めて知りましたわ。わたくしはブチギレたときもっと熱くなるのだと思っていたのですが、恐ろしく冷静さを保てている。

 

燃え盛る激情を冷酷に使う。目的のために。

 

わたくしの目的は・・・おハナちゃんトレーナーの名誉を守ること。

 

その為には強さを証明しなくてはならない。指導を行なったおハナちゃんトレーナーの功績になるような劇的な強さ。

 

その為には勝たなくてはならない。マルゼンスキー先輩の才能のおかげなんて、そんな言い訳が通じないくらいの強敵に。

 

シンザン会長にわたくしが思いついたアイデアを頼みこむが断られてしまった。

 

無理がすぎる。無謀すぎる。早まるのはやめなさい。ですがとってつけたような言葉ではわたくしは諦めません。

 

マルゼンスキー先輩、ルドルフもブルーもたづなさんもあまりに突拍子のないわたくしの発言に驚いている。

 

わたくしの立てた計画はこうだ。

 

理事長でも理事会にでも頼み込み、たったの1日だけどうにかしてわたくし達全員をチームリギルを正規メンバーとして成立させる。

 

その日のうちに模擬レースにチームリギルとして参加し、学園のトップチームを集めそれを倒す。

 

マルゼンスキー先輩だけではない。マルゼンスキー先輩が勝つだけでは意味がない。わたくし達新人が勝たなくてはならない。

 

たった1日で消えてしまうわたくし達のリギル。ですがその一日で伝説を打ち立てる。

 

だからこそ相手が弱くては意味がない、この魔境とも言えるトレセン学園の実力者に勝つことで、リギルの強さを証明する。

 

デビュー前の新人にはあまりにも厚い壁。クラシック級ならまだしも、シニア級なんて魔境もいいところ。気合だけでどうこうできるとも思えません。

 

ですがそれ以外に思いつかない。たった1日でリギルの強さを知らしめることなんて、それ以外にはないはず。

 

本来こういう作戦を考えるのはルドルフの仕事なのですが、もうルドルフもブルーも諦めることを認めてしまっている。

ですが少しでも道が開ければ、必ず2人の魂に火はつく。だからこそわたくしがこじ開ける。無茶を通す。

 

その為には協力者がいる。学園長からの信頼の厚いこの2人を・・・わたくしがなんとか説得しなくてはならない。

 

シンザン会長は先程はああは言っていたが、最終的には協力してくれると思います。そろそろわかってきてますわ。この人は無茶を押し通す人が好きですので。

 

ですが・・・問題はたづなさん。この人は学園側の人間ですもの。たづなさんは止めるべき立場に立っているのですから断るのは当然なのですわ。でしたら無理やりにでも説得すればいいのです。

 

思わずたづなさんを見る。たづなさんになんとか出来るか聞いてみましたが、案の定すまなそうな顔をして断られる。

 

でも多分できなくはないはず。1日だけという条件であれば、理事長の説得は不可能では無いとわたくしは思います。

 

学園側もわたくし達を力で抑えつけている自覚はあるはず。そうはしたくはないでしょうし、反発を招くのは覚悟の上の筈。

 

だからきっと後ろめたさも感じているはず。この件に関して、今後一切蒸し返さないといえばそのくらいのわがままは通せる。

 

わたくしの問題児っぷりは承知のはずですもの。この件を断るのと面倒になるかもしれない。そう思わせれば多分いける。

 

ここからたづなさんをこちらに引きこんで全面協力体勢を敷く。それを足がかりにして理事長を説得する。全てはたづなさんの機嫌次第。

 

学園の意向に逆らうというデメリットを打ち消す程のメリット。それを提示さえすれば転んでくれるはず。ですがそんなものわたくしには・・・

 

いやあれはどうでしょうか。

 

奥の手と言ってもいい、最後の最後まで使わないようにしていたとっておき。アレを使うのなら今なのでは?正直言ってヤマ勘もいいところなのですが、もしわたくしの考えが正しいのなら・・・

 

わたくしはたづなさんの目を見る。覚悟は決まった。

 

 

 

たづなさん・・・わたくしはニンジャの正体を知っています。

 

 

 

わたくしの言葉にたづなさんの目が見開かれた。

 

 

 

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模擬レースの告知のポスターが張り出されてから開催まであと2日。クラスメイトにチラシまで作らせて配ってもらっている。上級生のめぼしい人には直接わたくしが配りにいった。

 

後で聞かされたおハナちゃんトレーナーにはしこたま怒られたが、もう既成事実化してしまったので諦めてくださいと言って説得した。

 

模擬レースの開催を決定してから1週間後というとんでもスケジュールながら、割と生徒達には好意的に受け止められている。

 

模擬レース自体は公式のレースと違って、開催ギリギリまで締め切りを引っ張れますがなかなかの弾丸スケジュールですわ。

 

たづなさんをニンジャで釣り上げてなんとか味方へと引き入れることができました。理事長をたづなさんがどう説得したのかはさっぱりわかりませんが、チームリギルはたったの1日だけですが成立することとなった。

 

勢い余ってニンジャカードを切ってしまいましたのでわたくし気が重い!どうしましょう・・・。後日話を詰めるという事でなんとか矛を収めて貰いましたけどレース明けが今から怖い。ルドルフに助けてもらおう。

 

けど休日返上して働いてもらったたづなさんへは感謝の言葉しかありませんわ。なんでも直接判子を貰うために理事長と一緒に理事会の定例会議でわざわざ議題にあげてくれたらしい。

 

特例も特例。ですがこのままだと間違いなく尾を引くことになると言って説得してくれたそうです。

 

向こうもストップをかけたのは覚えていたらしい。それだけで物事がうまく収まるのならということならと、一日だけの記念チームという名目で通ったらしい。

 

公式レースには絶対に出場しないという契約書まで持ち出した大事にはなってしまいましたが、これでなんとか入り口にまでこぎつけられた。突貫では有れども看板だけは正規チーム。

 

 

模擬レースは3本。ルドルフの得意な芝の中距離、わたくしとマルゼンスキー先輩が芝のマイル。そしてブルーがダートの中距離。

 

新学期になり、初めての本格的な模擬レースですから注目度は高い。それに感謝祭のエキシビジョンレース以降マルゼンスキー先輩が観客の前では走ったことはなかった。

 

感謝祭最終エキシビジョンレースで優勝したマルゼンスキー先輩に挑める数少ない機会を逃すまいと模擬レース、特に芝のマイルにはかなりの申し込みの連絡が入ってくる。おそらくは抽選になるでしょう。

 

中距離とダートもかなりの申し込みがある。並んだ名前はどれも聞いたことのある実力者ばかり。わたくしの望み通りの状況ができつつありますわ。

 

とはいえ此処から勝つのがいかに困難なことか。わたくし達はまさに断崖に飛び込むネズミになった気分ですわ。突然の模擬レースなので、スケジュールの調整が効かず参加できない方が大勢なのですが、シニア級の参加者もチラホラいるのです。

 

わたくしはそんなことを考えながら、締め切り間際に迫った模擬レースに向けての最終調整をしていると、ジャージ姿のウマ娘が声をかけてきた。

 

 

「マルゼンスキーが出るならアタシもマイルの模擬レースに出たいんだけど、受付ってまだ間に合う?」

 

 

 

今シリーズ最強の1人とも呼び声の高い、いまやトレセン学園で知らぬもののいないスーパースター。クラシック級ながら、ドリームシリーズへの内定も決まっているとの噂すらある。

 

追い込みの怪物、天衣無縫、いま最も熱いウマ娘。

 

ミスターシービーが模擬レースのチラシを持ってそこに立っていた。




ミスターシービーを劇的に登場させる。そう思って第1章からずっと機を伺ってました。でもなかなかここじゃないなって思って登場頻度が減っていました。

だからここしかないと思って今回登場させました。

ミカドちゃんはミスターシービーに憧れています。同じレースで走るのなら嬉しさで踊り出すくらいです。でも今回は違います。全力で勝ちを掴みにいかないといけない場面です。
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