永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
ワケガワカリマセンワ!
たづなさんと一緒に資料室の奥へと向かう。たづなさんは何度も断られたら終わりですからねと念を入れてくる。わかっていますわ!一度で仕留めろという話ですわよね!
違いますと言いながらたづなさんに頬を引っ張られる。痛い痛い。
そうやってたどり着いた資料室の奥、たづなさんはカードキーを取り出してリーダーに通す。そして横へと開いた扉から奥へと入っていく。わたくしもそれに続く。
たづなさんはトトロの人の仕事場の扉をノックする。返事が中から聞こえ、わたくし達は部屋へと入る。
入ってきたたづなさんを見て、トトロは面倒くさそうな顔を顔をしたかと思えば、たづなさんの後ろにいるわたくしを見て意外そうな顔をする。なんですかねそんなに意外でしたかね?
「あっ売れ残りウマ娘だ」
お前マジで引っ叩きますわよトトロぉ!!
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ぎゃーぎゃー怒り出したい気持ちを抑えてわたくしはまず簡単な挨拶を済ませる。挨拶をしないのはすごく失礼ですからね!
こんにちはわたくしはミカドランサーですわ!この前はお世話になったのに言いそびれてしまいましたので!ありがとうございますトトロの人!
トトロってなんだよと言いながら、トトロは感謝の言葉に思い当たる節を探すように考えを巡らせている様子。ああ、あのシューズの事かと言って納得したようでどういたしましてと返してくる。
そしてトトロは怪訝そうにたづなさんへと問いかける。
「で、理事長秘書はお礼を言わせる為だけに彼女をここに?わざわざ其方から釘を刺した事を忘れたのか?」
「・・・貴方に仕事を頼みにきたんです」
「いや無理だよ見てくれ机を。この嫌がらせみたいな量の仕事が残っているんだ」
机の上には大量の書類、いや机のそばのファックス機からは今も大量に紙が吐き出されている。なんかよくわからないですが・・・あっこれアメリカ語で書いてますわ!
「英語だ。それは海外から取り寄せる機材の仕様書だな。1週間以内に翻訳しなくちゃならないんだ」
はえー大変そう。
「ああ大変なんだ。だから手短にな」
そう言ってトトロは椅子に深く腰かける。面倒ごとはさっさと済ませたいと言わんばかりの態度にたづなさんはおかんむりですわ。
「大丈夫です。この仕事は断ってもらっても構いませんよ」
なに?と言ってトトロの人は少し興味を惹かれたのか背もたれにもたれかかった体勢から、少し身体を前に倒し聞く体勢になる。
たづなさんが続きを話そうとするが、わたくしが止める。先程からたづなさんがいやに喧嘩腰なのでわたくしが引き継ぎますわ!このままではわたくしが話し出す前に決裂しそうですからね!
グイッとたづなさんの前に出てトトロの人に話しかける。ここが正念場ですわ。気合入れないと!
トトロの人!わたくしのトレーナーになって欲しいんですの!
「・・・聞き間違いか?トレーナーになって欲しいと聞こえたんだが私の耳はおかしくなってないよな?」
あってますわ!トレーナーになってください!
トトロは心底困ったと言わんばかりの表情。予想外過ぎると言いながらたづなさんの方を向き問いただす。
「理事長秘書、君はこれを知っていて彼女をここに?」
「ええ」
たづなさんの返事を聞いて、ぽかんとした表情をしていたトトロは突如腹を抱えて爆笑した。
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自分が笑われたと思ったのか、たづなさんはぶちぎれる一歩手前の状態。そしてわたくしは置いてきぼり。
「いやいや悪いねそれで彼女を連れてきたと。つまりこの前私から無理やり聞き出した事は綺麗さっぱり忘れたわけだ」
「・・・全く忘れていませんよ。ですので是非断っていただきたいくらいです」
なるほどなるほどと言いながら考え込むトトロの人。
「もし私がこの話を断ったらどうなる?」
「その時は別のトレーナーに担当してもらいます。そういう約束ですので」
こいつは本当に予想外だったなとポツリを呟いてトトロの人はさらに考え込む。そして考えがまとまったのか、トトロの人は顔を上げてこちらに問いかけてくる。
「あー。ミカドランサーいくつか聞いていいか?」
はいなんですかね。質問は何でも受け付けてますわ。
「君は理事長秘書からどのくらい私のことを聞いている?」
えーと・・・以前は企業のチームで働いてて、そこでトレーナーをしていた事。強いウマ娘を何人も育てていたけど、最後は担当ウマ娘を潰した事。あとはそれなりに名の知られたトレーナーという事くらいですかね!
「そう私はウマ娘を何人も潰している。その上で私を選んだ理由は?」
わたくし、最近負け続きなので腕のいいトレーナーが欲しいのです。あと多分・・・貴方はウマ娘を潰したりそういうのは好き好んでするタイプじゃないと思ったので!
「・・・次だ。君は勝つ為ならどこまでのリスクを負える?」
勝たなくてはならないのなら、リスクなんて考えてられないですわ。格上に勝つなら脚がぶっ壊れるくらいのリスクはあって然るべきですわ。
その質問のわたくしの答えを聞いて、後ろのたづなさんから怒気が溢れ出したのを感じます。ですがこればかりは訂正するつもりはありません。
「最後の質問だ、君は何のために勝ちたい?」
勝ちたいからです。ウマ娘はいやわたくしは勝つ為に生まれてきたからです。
いや・・・この答えは正しくない気がします。わたくしは思いつく限りの事を羅列のように吐き出す。
トレセン学園は強いウマ娘が山ほどいます。地元では負けなしだったわたくしもここでは1番ではありませんでした。
マルゼンスキー先輩に、ミスターシービー先輩に、ブルーに、そしてルドルフにわたくしは負けました。勝つと決めて戦って、それでも負けた事がわたくしは許せない。
あの人達はみんないい人だし尊敬している。そして何よりも強い。だから勝ちたい。
きっと世界にはわたくしよりも強いウマ娘が沢山いるのでしょう。わたくしもいつか挑むつもりですが、今のままではまるで足りない。
わたくしは・・・宇宙一強いウマ娘と呼ばれたい。世界中の人に強いウマ娘は誰かと聞いても、わたくしの名前を挙げるような。
わたくしはそんな栄冠が欲しい。わたくしはキラキラしたい。負けっぱなしは性に合わない。自分の価値を証明したい。
その為には貴方が必要だと思ったのです。ですので力を貸してください。
わたくしは思いつく限りの事を話しました。嘘は一切ないです。言葉は稚拙かもしれないけれど、それでも勝ちたいんです。
わたくしの言葉を聞いてトトロは・・・何か眩しいようなものを見るような目をしていた。かつて過ぎ去った何かを思い出すようなそんな表情。
トトロは黙り込み部屋には沈黙が満ちる。誰も何も話さない。何分か考えて整理がついたのかトトロが沈黙を破り口を開く。
「・・・わかった受けよう」
渋々と言った様子でトトロは頷いた。
わたくしはトトロをトレーナーに引き込むことに成功した。いやっほう!
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ミカドさんは了承を取れたのが嬉しかったらしく、それはもう喜んでいました。今にも踊り出しそうな様子で。
取り敢えず落ち着けと言ってこの男が一旦ミカドさんを仕事場の外に退出させました。
ミカドさんが退出し、この男と部屋で二人きり、普段から面倒は嫌いだと言っているこいつが、トレーナーになる事を引き受けるとは思わなかった。
ミカドさんが頼み込んでも絶対に断ると思っていた。だから一度会わせて諦めさせようと思っていたのに。問いたださなくてはならない。
それで何のつもりですか。今度はなにを企んでいるんですか?
「企むだなんて人聞きが悪いな。今度は上手くやるさ」
この男の信頼できない所はここだ。過去の出来事を、潰したウマ娘の事をまるで他人事のように話す所が心底気に入らない。
睨め付けるように見てしまう私の視線をこの男は正面から受け止める。それを気にもしないそぶりで、まるで人を小馬鹿にしたように挑発してくる。
「・・・私はな、昔からおもちゃは壊してばかりだったんだ」
「だからずっと思っていたんだよ。壊れないおもちゃが欲しいってね」
その言葉を聞いて私は頭の血管が切れそうになる。私はこの男に掴みかかりそうになった。
だがかろうじて踏みとどまる。騒ぎの音を聞きつけてミカドさんが踏み込んでくるかもしれない。
ミカドさんは・・・きっとこの男を庇う。だから私は釘を刺す事しかできない。
ひとつだけ言っておきます。これは忘れないでください。
「何だ?」
彼女をわざと潰すような事をすれば、私が貴方をぶっ潰します。
「・・・覚えておくさ」
そう言ってこの男は机からスペアのカードキーを取り出し、私に手渡した。
トトロのスカウトに成功しました。今後はデビューに向けてのトレーニングを行います。
トトロは捻くれています、今の彼のいうことは信頼してはいけません。
ミカドちゃんは本人達にははっきりと伝えていませんが、そりゃあもう負けたことにメラメラしてます。
特にルドルフにはライバル意識もりもりです。ミカドちゃんがトレーナーに拘ったのはその為です。
おハナちゃんトレーナーに鍛え上げられたルドルフを倒すには、一流のトレーナーじゃないと無理なんです。腕前という点ではトトロは120点です。1番ベストな選択をしています。なお