永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
トトロは一旦下がれ!ルドルフを出す!
ルドルフの様子がおかしい?
「ええ、だからクラスでのあの子の様子を聞きたくて」
いつものようにウッドチップコースでトレーニングをしていると、おハナちゃんトレーナーが珍しくわたくしを訪ねてきた。
と言ってもあのルドルフが自己管理を怠るとも思えないのですが。うーんクラスの様子は特に問題はありませんでしたけど。ご飯もきちんと食べてましたし。
「トレーニング自体はしっかりとしてるのよ。ただ何というか・・・ふわふわしてるのよ」
ふわふわ・・・予想外のワードがおハナちゃんトレーナーから飛び出してきましたわね。ある意味ルドルフとは1番縁遠い形容詞ではありますわ。
うーんトレーニングの途中ですが、そんな事言われたら気になって集中出来そうにありませんわね。トレーナー!一時中断ってありですか?
『・・・・クールダウンをしっかりとしろ。スケジュールは調整しておく』
よし!おハナちゃんトレーナーは先に戻って構いませんわ、クールダウンが終わったら向かいますので!
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ということがあってターフグラウンドが隠れて見渡せる場所に来たのですけど、どう思いますか実況のブルーさん。
「うーんこのままじゃよくわからないかも♡」
わたくしはとりあえずダートで練習していたブルーを引っ張って来た。トレーニングをしているふわふわルドルフを見に行きましょうと言えば一発でしたわ。
あっブルーのトレーナーの・・・刈り上げのキャンディ舐めてる人には許可は貰いましたわ!
「沖野ちゃんだよ。ちゃんと名前は覚えてあげてね」
沖野・・・。いきなりわたくしの脚を触った割には普通の名前ですわね。ブルーは変なことされてないんですの?もしそうなら相談くらいには乗りますので。
そう、沖野トレーナーはブルーを迎えに行った際にいきなり後ろからわたくしの脚を触った変質者・・・なのでしょうか?触らないとわからないことがあるのならやぶさかではないですが。
いきなりでびっくりして、危うく沖野トレーナーの首から上を刈り取るところだった。ブルーが沖野トレーナーにタックルする勢いで遠ざけなければ、わたくしのローリングソバットにより一つの尊い命を散らしていたでしょう。
「触られた事には怒ってないんだね」
別に減るもんでもないですし。それになんというかあの人は大丈夫な感じがしますの。変な事を考えてるわけではないと思います。
でもいきなりはびっくりするのでやめて欲しいですわ。ウマ娘の後ろから脅かすなんて命が幾つあっても足りませんわよ?命知らずもいいところですわ。
沖野トレーナーはいきなり触って悪い悪いと謝って来ていた。危うく死にかけたというのに冷や汗ひとつ流さないのは肝が太いのか鈍感なのか。逆ギレしないのは評価できますけどね。
なんというかあの人はウマ娘バ鹿一代のような感じがしました。おハナちゃんとは違った意味で良いトレーナーだと思います。ブルーはいいトレーナーを捕まえましたわね。
「・・・まぁ悪い人じゃないんだけどねぇ♡」
でも及第点はあげれるかな♡と言ってブルーはターフの方に集中する。辛口評価のブルーがこういうと言うことは、沖野トレーナーは相当できるのでしょうね。
おハナちゃんトレーナーの紹介という時点で実力には一切不安はありませんけどね!あの人は過保護ですから!
わたくしもブルーに倣ってターフグラウンドで練習しているルドルフを注視する。マルゼンスキー先輩と併走しているが・・・うーんこれは、ふわふわしている。
練習メニューをこなしている時は集中できていますが、練習の合間合間の空白時間がいつもと違う。浮き足立っている。
ルドルフは弱みを見せるのが嫌いなタイプですのでそういう変調は隠そうとするのですが、割と雰囲気で調子の良し悪しかよくわかる。
調子がいい時は程々にリラックスをし、寒い駄洒落を飛ばしたりする。調子は最高ださあ行こうとか言い出した時は絶好調のそれです。
ですが絶不調の時はこうなんというかピリピリする。あんまりルドルフは人前では出さないようにしていますが、静電気が溜まったセーターのような感じ。言葉にはしづらいですが居心地の悪さを感じるのです。あと皮肉とかを飛ばしたりする。
前者はわりとよく見るが後者は滅多にない、というか一度しか見たことがない。半年以上前の灰色の夏休みの頃でしょうか。懐かしいですわねぇ。
「あぁ・・・ピリピリしてたよねあの時。あの時は夏祭りで機嫌直してくれたけど、今回はどうかな♡」
うーん。今のルドルフは機嫌が悪い感じでもないんですわよね。練習中は集中も切れていませんし。でもふわふわしてますわね。地に足がついていない感じ。
「してるねぇ♡」
ブルーも同じ意見らしい。初めて見るタイプのルドルフですわね。一体何があったのでしょうか?
取り敢えずわたくし達は隠れ見る事をやめて、直接話を聞こうと立ち上がった。
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わたくし達がとりあえずリギルの練習に殴り込むと、ルドルフはなんとも言い難い顔をしていた。親友が来たのだから歓迎しなさい。ほらマルゼンスキー先輩みたいに。
今日もちょべりぐなマルゼンスキー先輩と挨拶のハイタッチを交わしたわたくし達は、取り敢えずルドルフにもハイタッチを要求する。こら嫌そうな顔をしない。
ハイタッチ!ハイタッチ!と言いながらルドルフの周りを回っているとアームロックを喰らう。痛い痛い!ノーノー!これハイタッチじゃありませんわ!
「私たちは練習中だぞ。お前達こそ練習はどうした?」
ブルーは休憩中〜♡と言いながら要領良くアームロックの射程外へと逃れている。わたくしは・・・ああ、逃れられない!
「全くお前達は。いいか?あと2ヶ月もすれば後輩達が入学してくるんだ。先立ちとして後輩の見本となれるようにだな・・・」
ルドルフは器用にアームロックを掛けたままお説教へとシフトする。悠々閑々とか泰然自若とかいつものように聞いたこともない四文字熟語を並べてくる。何を言っているのかよくわかりませんが、取り敢えず解放してほしい。
「はいはいそこまで。ミカドランサーとブルーインプは私が呼んだの」
ブルーはわたくしが呼んだんですけどね!いやでもおハナちゃんトレーナーならわたくしが呼ぶのを予想してそう。もうパターンみたいなものですし。
取り敢えずおハナちゃんトレーナーの声によって、わたくしはルドルフのアームロックの魔の手から解放される。あー痛かった。
「東条トレーナー。練習の賑やかしにももう少し適材があると思いますが」
ルドルフがそれはもう失礼な事を言う。
わたくしは賑やかしじゃありませんわよ!このメーンイベンターに向かってなんたる言い草!そこに直りなさいルドルフ!教育的指導!ああ痛い痛い。
再びルドルフに捕まったわたくしはそのままの体勢でおハナちゃんトレーナーの話の続きを聞く。
「シンボリルドルフ。貴方になにがあったのか聞くつもりはないけど、はっきり言ってかなり浮ついているわ」
おハナちゃんトレーナーがど直球で指摘を入れる。ルドルフは毅然に反論する。
「練習は集中して出来ていると思いますが」
「ええ練習中はね。それにはっきり言って貴方オーバーワーク気味なの」
私に内緒で自主練してるでしょ?とおハナちゃんトレーナーが言うとルドルフは少し気まずそうに目を逸らす。
あっそうなんですの?よく気がつきましたわねおハナちゃんトレーナー。わたくし全然気がつきませんでしたわ。
「少しくらいの自主練をしても融通が効くメニューは組んでるつもりだけど、それならいっそしっかり休んだ方が効率がいいわ。取り敢えず今日はもう上がっていいから、3人で何処かに遊びにでも行きなさい」
なるほど。ルドルフをしっかりと休ませる為にわたくし達を呼んだのですね。自主練しないように見張っておけという事ですわね。
本来チーム員でない者に頼むことではないのでしょうが、親友とおハナちゃんトレーナーそしてマルゼンスキー先輩の為ならば、わたくし達にお任せですわ!
実は・・・ルドルフも結構焦っています。