永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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ここをラスボス前のセーブポイントとする!


ニュービー ベイビー バイバイビー

4月は出会いと別れの時期。今年も初々しい新入生が勢揃いですわね。いやぁもう一年なのですね!一年前はわたくし達が新入生としてシンザン会長の演説を聞いていたのに、時が経つのは早いものです。

 

とはいえわたくし達ジュニアのペーペー達は入学式に参加する事はない。セレモニーに全員参加するのは不可能なのです。なので大半の生徒は今日は臨時休日なのです。

 

トレセン学園の在校生は2000人近く。それに教員陣、保護者、そしてメディア関係者まで来ているのですから。マンモス高にふさわしい立派なセレモニーホールがあるとはいえ、流石にホールには全員は入りきらない。

 

わたくし達の出番はターフグラウンドのレース。その時までは暇なのです。だからわたくし達はこっそりと窓から入学式を覗き見をしているというわけです。

 

有名人のマルゼンスキー先輩やミスターシービー先輩は席があるのですがね!トレーナー陣の席にはおハナちゃんトレーナーもいる!でもうちのトレーナーはいませんわ!他に知っているのは・・・バンダナ先輩バンダナしてないですわ。珍しい!ノーバンダナ先輩ですわ!

 

ルドルフはレースの為の準備を朝一から行うつもりではいましたが、わたくしが半ば無理やり覗き見に引っ張り込んだ。そもそもレースは午後ですしスタートゲート以外出すものないですわ。何時間前から準備するつもりなんですかね?

 

それにしてもルドルフ。あの新入生代表で挨拶しているミホシンザンって子、シンザン会長は知り合いですか?なんか名前が似てますけど・・・。

 

横を向いて隣にいるルドルフに話しかける。が、無視される。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!

 

うーん今朝からずっとルドルフが怖い。ルドルフを落ち着かせる為に誘ったのですが失敗だったでしょうか?レース前とはいえまだ6時間くらいありますのよ。ゆっくりしましょうよ。

 

「無駄無駄♡ルドルフちゃんは今日の為にえらく気合入っているからね〜。」

 

レースが楽しみだね♡とブルーが茶化してくる。ええいブルーは今回は参加しないからといって気楽なものですわ。この後この状態のルドルフをわたくしはいてこまさないといけないのに。

 

午後から始まる新入生歓迎エキシビジョンマッチ。この時点で波乱の予感しかしない。あまりにもガチすぎるでしょう。負けたら腹を切ると言わんばかりの気迫ですわ。

 

「・・・そのくらいの気持ちで走るつもりだ」

 

ルドルフがポツリと言う。言葉から本気の重みを感じる・・・。これはガチのやつです。

 

ブルーなんてびっくりしてマジかよこいつみたいな顔をしていますわ。本気でやるのは構いませんけど、新入生の前で切腹とかトラウマになるので本当にやめてくださいね。

 

勝っても負けても讃え合う模範となる姿を見せるのが先輩の仕事って、ルドルフが前言っていたじゃないですか?それにルドルフは去年の新入生代表なのですから、カッコよくないといけませんわよ。

 

どうどうと言いながらルドルフを宥める。普段冷静な癖に熱くなったら全然冷めませんのよこいつ。それでも合理的な判断をするのが怖いのですけどね!熱くて冷静ってなんですの。メドローアですかね?わたくしは今日のレースで消滅させられるかもしれない。

 

でもわたくしの言葉を聞いてルドルフは少し冷静になったのか気迫が落ち着く。ふぅミッションコンプリートですわ。

 

とりあえずシンザン会長の演説と新入生代表挨拶も終わりましたし退散しましょう。レースまだまだ時間がありますので何処かでゆっくりとしておきましょう。それとも休むの下手くそ勢と言われたいのなら別ですけど。

 

 

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学校が休みな以上学食ことカフェテリアは今日は休み。まぁ併設している購買は申し訳程度に空いています。文具を忘れた新入生の救済措置のようなものです。去年わたくしはジャンプをこっそりと購入しているのを思い出しました。

 

覚えていますかルドルフ・・・あの初めて話した日の事を。

 

「忘れるはずが無いさ。あの日のことは良く覚えている」

 

ええわたくしもよく覚えていますわ。教科書を忘れた貴方にわたくしが机を寄せて教科書を見せていだだだだ!頭が割れる割れる!

 

言い切る前にルドルフによってわたくしの後頭部が締め上げられる。まさに頭蓋骨締め!なんて暴君なんですの!

 

「ん?どうだ思い出したか?教科書を忘れたのは誰だったかな?」

 

じょ、冗談です!冗談ですから!頭が変形しちゃう!あー!ぬらりひょんみたいになっちゃう!

 

一通りわたくしが苦痛の声を上げた事に満足したのか、ルドルフは手を緩めてわたくしを解放する。解放されたわたくしは一目散にブルーの後ろに避難する。ちょっと冗談言っただけでこれですもの。気が立ちすぎてますわよ。

 

おーよしよしとブルーが頭を撫でて慰めてくる。でも痛い痛いでちゅね〜♡とあやすのはやめて欲しいですわ。わたくしは赤ん坊ではないのです。そういうのは卒業したので。

 

ドSのサドルフもといルドルフは、まるで情けないものを見るような目線をわたくしに送ってくる。失礼な!いつものようにぎゃーぎゃー抗議して、そしていつものように流される。

 

そうこうしながら学園を巡る。2人との一年の思い出を振り返る様に。

 

感謝祭で牛串屋台を出していたスペースを通る。学園の存亡をかけたとは名ばかりのバンダナ先輩達の立てこもりのあった学食前、裏手で野菜を剥いた時のことを笑い合う。

 

チェス愛好会の部室の窓が外から見える。お化けに無残にも負けてしまったルドルフが、わたくし達を相手にチェスの研究をし始めて纏めてボコボコにされたことを思い出す。

 

チームルームのある場所を通る。マルゼンスキー先輩とおハナちゃんトレーナーがリギルの為に駆け回っていたことを思い出す。そういえば我慢大会してたアホな先輩はどうなったのかと考える。

 

夏休みにやよいちゃんの猫を探し回った時の話をする。ルドルフは実家で灰色の夏休みで仲間外れだったので、その場にいなくてもわかるくらい劇的に話す。ブルーに話を盛りすぎだと突っ込まれる。

 

たった一年でも楽しい思い出ばかりですわね。思い出すたびに次の話題がさらさらと口から出てくる。輝かしいわたくし達の一年の軌跡。

 

でも話していれば時間は過ぎる、あっという間に。

 

うーんそろそろいい時間ですわね。名残惜しいですが、じゃあ・・・行きましょうかルドルフ。

 

「そうかもうそんな時間か・・・」

 

先程までの朗らかないつもの空気が一瞬で消えて無くなる。そしてまるで鉄火場の様な雰囲気が溢れ出してくる。グツグツと燃えたぎり、熱した鉄の様に熱い。

 

わたくしの身体中の神経は研ぎ澄まされバチリとスイッチが入る。毛先に流れる風の動きまで理解できるようになる。

 

わたくしのスイッチが入るのと同時にルドルフも雰囲気も一転し、顔にはギラギラとした笑みを浮かべる。こいつもやる気十分、調子もかなり良さそうですわね。

 

ルドルフとブルーと一緒にわたくしはターフグラウンドへと向かう。

 

この一年で一番と言ってもいい鮮烈な思い出。ゲート練習をぶった切って行った無許可のレース。この腐れ縁の始まりの日のように。あの日からずっと追いかけていたものを今日こそ捕まえる。

 

ルドルフは友達だし親友だけど。今日だけはそれは考えない。もちうる全力で叩き潰す。

 

わたくしとあいつ、どちらが上かを決める為に。

 

 




次回レース!気合入れて書くのでちょっと時間かかるかも。
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