永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話   作:ぐっちSKG

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ライバルの間に挟まるダークライ(幻影)


特攻娘ミカドちゃん vs 雷帝ルドルフ vs ダークライ

トレーナーと準備を重ねたスペースガール作戦は、それはもう完璧と言っていいほどの上手くいった。

 

加速始めあたりから恐ろしく頭が冴えて集中できている。あれでしょうか?スポーツ選手がなるとかいうゾーンのような物でしょうか。

 

現れた幻影と競り合うわたくしは、既にクラシック級でも上位に入る加速力を誇る。ルドルフの走法も他の競走相手の思惑も全て振り切り、わたくしは全てを粉砕する事に成功した。

 

前方を走るルドルフの外側から追い抜きにかかる。もはや壁となるものはなくルドルフただ1人。問題はありませんわ。

 

もはや状況はルドルフとの一対一。であるならば勝率はわたくしにある。元々フィジカルではわたくしが優っている。ルドルフはポジションすら捨てて必死に加速をして逃げ切ろうとするが、逃しはしない。

 

だがここからゴールまで残り2ハロン。その間中わたくしの追撃をかわし切るのは不可能。それは貴方もよくわかっているでしょう?

 

懸命に逃げるルドルフにあっという間に追いつく。そして追い越し、突き放す。ルドルフは大した抵抗すらできずに置き去りにされた。

 

ここからルドルフがいくら頑張っても追いつかない。ルドルフには逆転の目など存在しないと確信した。残る一ハロンはわたくしのウイニングラン。ただこのまま走るだけでいい。

 

ふふん勝ちましたわ(確信)。

 

--------

 

 

ミカドとのレース。この勝負をずっと楽しみにしていた。この日の為にトレーニングを積み、東条トレーナーと何度も作戦を話し合った。

 

私はこの勝負を誰よりも待ち望んでいたから。

 

あいつはこのレースで必ず何かをしでかす。そう思ったから対策は万全と言っていいほど準備を重ねた。東条トレーナーからは警戒しすぎではないかと言われたほどだ。

 

最初から仕掛けて来ると思っていたが、その反面レース開始のスタート時はミカドは大人しいものだった。中盤で一度仕掛けてきた時もあいつの加速を止めることが出来た。だが慢心はない。必ずもう一度来るという確信があった。

 

残り3ハロンを過ぎた時、後ろから唐突に威圧感を感じた。ついであの炸裂音。あいつが加速し始めたとしか思えない警戒し対応しようとする。

 

だが間に合わない!にわかには信じられない加速。ミカドの加速の想定がシービー先輩とのレースなのに、あの時よりもさらに速い!

 

ロケットじみた想定を遥かに上回る加速。網を掛けるのが間に合わなかった。あいつはあっという間に私ごと全員をなぎ払い、先頭へと躍り出た。

 

負けた。完敗だ。その考えが脳裏を過ぎる。必死に振り払う。

 

最悪と言ってもいい状況だった。ミカドに絶対に持ち込ませてはいけない状況へと持ち込まれた。これを回避する為に私と東条トレーナーは策を練りに練ったというのに。

 

『シンボリルドルフ、貴方はミカドランサーとの競り合いでは勝てないわ。だからそうならない状況を作ることだけを考えなさい』

 

ミカドから少しずつ引き離されながら、東条トレーナーとのミーティングでの一幕を思い出す。分かっていた!絶対に仕掛けてくると分かっていたのに!!後悔の念だけが私の中にあった。

 

あいつは振り返らず先頭を駆け抜ける。泣きそうになる。悔しさと口惜しさで喚き散らしたくなる。

 

それでも頭は回る。勝てないと分りながらも必死に足掻く。これでは勝てない。あれは駄目だ。勝率は薄いのではなくゼロ。いつものあいつに通用する作戦は尽く通用しない。

 

だって、あいつはいつものあいつじゃない。

 

目をそらしていた。冷たい理性が容赦なく指摘を入れる。

 

あいつが加速し始めてからの違和感。明らかに普段と違う。最初は何が違うのかは分からなかった。だが抜き去られた時に確信していた筈だ。横を駆け抜けた時あいつは私を見ていなかった。分かっていたんだ。

 

ミカドお前は・・・、だ れ を み て い る ?

 

作戦を立て直す為に必死に回していた頭が一気に冷える。奥歯が砕けそうになるほど歯が食いしばる。考えを纏めなければならないのに、それ以外のことを考えることが出来ない。

 

こんな屈辱は初めてだった。断じて許す事はできない。それは・・・それだけは、それだけは絶対に!

 

今お前と走っているのは私だ!お前は今誰と走っている!ふざけるな!ふざけるな!そんな事は許さない!!

 

だが私を追い抜いたミカドが振り返る事はない。いくら念じても無駄な事はわかっている。今まで培った戦術は全て破られた。そうである以上逆転の目はない。

 

 

だから・・・私は躊躇なく'それ'を使うことを決めた。

 

 

私は本能的に'それ'の使い方を理解していた。何故ならそれは自分の本質だからだ。だが幼少より恥ずべき物として長年鍵をかけて封印していた。理由はもう思い出せないが。

 

閉じ込めていた扉を躊躇なく開け放つ。'それ'は昔のように変わらずそこにあった。戦意のように熱くなく、理性のように冷たくない。もっと暗くてドロドロしている。

 

鍵を破って開け放たれた扉の奥には、ルドルフの身体に宿る暴君としての血が蠢いていた。

 

私に流れる血に委ねる。暴力的な感情と高揚感が溢れてくる。笑いが止まらないくらい愉快な気持ちになる。

 

私に対して何かを感じたのか急にミカドが振り返る。目が合う。あいつの眼は動揺しているのか揺れている。ミカドはおそらく何か焦っている。そんな表情をしている気がする。

 

再びあいつは前を向き、必死に後方を振り切ろうとする。そこに余裕は一切ない。

 

 

どうしたミカド。お前は今先頭で一番有利な場所にいるんだぞ。

 

 

どうしてそんなに切羽詰まった表情をするんだ?

 

 

お前は笑わないのか?それとも笑い方が分からないのか?

 

 

こうするんだよ。

 

 

 

--------

 

 

 

えー。皆さん、残り一ハロンで問題が起きました。わたくしと競り合っていた幻影が突如として消失しました。いえ消失したというのは正確はありません。消し飛ばされました。

 

原因は・・・凄まじい速度で追いかけて来るルドルフでしょう。わたくしと競り合っていた幻影ルドルフが、後ろから本物ルドルフの雷撃によって跡形もなく粉砕された。わたくしも衝撃の余りゾーンから帰ってきてしまいました。マジびっくりしました。

 

あの幻影が何なのかはよく分かっていませんが、わたくしのイメージするライバルの走りとかそういう物だと思います。その幻影がかき消されたという事は、わたくしのイメージをルドルフが超えた事以外にあり得ない。

 

思わず振り返って後方を確認する。そこで見たルドルフは恐ろしく怖い。今まで見たことのない速度を出して追撃してくる。

 

普段冷静なあいつが雷撃を纏い普段よりも力強く豪快に地面を踏み締めている。目は血走り苛烈をわたくしを追いかける。しかもなんか頬が釣り上がり僅かに笑っている。すごく怖い!

 

わたくしを無慈悲な雷撃が打ち付ける。全身に鳥肌が立つ。幻覚なのかそうでないのかもう判断がつかない。

 

ルドルフは明らかに今までの限界を飛び越えている。まるでわたくしがミスターシービー先輩と競り合った時のようですわ。ルドルフ!わたくしを使って限界を超えやがりましたわね!

 

スパートで追い越しさえすればどうとでもなる。その考えは甘かった!リードはわたくしにありますが、ルドルフに後ろから食いつかれている。

 

ルドルフは少しづつ詰めてくる。少しづつ足音が近くなっている。嘘でしょう?!先頭が維持できない!すぐ横に並ばれた!ここから差し返されるとか冗談じゃありませんわよ!

 

楽に勝てるとは思っていませんでしたが、ここまでとは流石に想定外です。ていうかわたくしの必殺技を初お披露目でぶっ潰すとか本当にふざけんな!なんかむかついてきましたわ!

 

ムカムカする。幻影を粉砕したからって調子にならないでください!だったら貴方と競り合えばいいだけですからね!!

 

残り半ハロン、100mを切っています。ここからが本当の勝負ですわ!僅かとしか言えない残りの距離を、全てを賭けて走る。魂まで燃やし尽くして限界をもう一度超える!

 

わたくしが勝つ!ルドルフ!!ついて来なさい!!

 

 

 

 

ほんの僅かなゴールまでの距離。ミカドランサーとシンボリルドルフは互いしか見えなかった。2人にとって2000mの内最後の半ハロンを除いて残りは余興に過ぎなかった。

 

100mにも満たない距離で2人は互い魂を削り合い、競い合った。駆け引きの一切ない純粋な真っ向勝負。ライバルと言うに相応しい内容だった。

 

そして何秒かの競い合いの末、2人は並んでゴール線を飛び越えた。




レース回終了。次回エピローグです。久々にプリンをぶち込むぜ!

シービー先輩とのレースでミカドちゃんは覚醒しました。なのでルドルフも覚醒イベントを挟まないと不公平だと思いませんか?

今後賢王ルドルフ√か暴君ルドルフ√になるかはミカドちゃんの選択によって決まります。へいミカドちゃん!地雷原で踊れ踊れ!天使とダンスだ!
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