永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
「新参者のくそったれどもは、ファンクラブとしての活動を汚し!誇りを貶めた!その上あろうことか我らが特別顧問を引き抜こうと行動を取っている!もはや許せん!!」
やれー!ぶっ殺せー!という声を放つ群勢を前に、ファンクラブ会長が勢いよく吠えている。なんですかねこれ。このファンクラブってこんな殺伐空間ですの?わたくし知らないんですけど。あとファンクラブ会長、貴方そんな事言うタイプでしたっけ?
取り敢えずわたくしは新旧の仲介の為に旧ルドルフファンクラブまでやってきたのです。こちらにはわたくしの顔がききますからね。様子見という奴です。
「奴らは日本のウマ娘にあるまじき連中だ!奥ゆかしさと慎みというものを母親の腹の中に忘れてきたようだ!後から出てきて公式ファンクラブだと?!なんという恥知らずだ!反吐が出る!」
そしてその考えの甘さを思い知らされた。彼女たちはこっそりと見守るという信条の非公式ファンクラブ。そして後から来た新ファンクラブが公式ファンクラブになろうと躍起になっているという状況だった。
確かにそんな状況ならもしわたくしでも面白くはないでしょう。しかしまさかここまで新旧で溝が深いとは・・・。
それにこの子達血の気が多すぎる。なんで決起集会なんてやってるんですか。思ってた以上にやばすぎる。これじゃあまるでトレセンの火薬庫じゃないですか!
「奴らはもはや獣だ!飢えた痩せっぽっちの新入りどもに狩りの仕方を教えてやる!!特別顧問!号令を!」
やめて!わたくしに話を振らないで!もしわたくしがゴーサイン出したらどうなるんですか!
そんなわけでわたくしは核発射ボタンを押す大役を任されていた。
もうやだ。
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今はその時ではないとか適当に意味深なことを言って取り敢えずわたくしはその場を逃れた。なんとか時間を稼いで手を打たなくては・・・というか勝手に人を特別顧問にしないで欲しいですわ。
集会会場から出て全力ダッシュ。廊下を全速力で駆け抜け蹴破る勢いで生徒会室のドアを開けた。
シンザン会長助けてください!このままではトレセン学園が崩壊しますわ!わたくしの手には負えません!実はゴニョゴニョで!
ファンクラブ。決起集会。抗争。最終戦争。核の冬。黒歴史が来る。そんな感じのキーワードを言ったような気がします。焦っていたので上手く言えたかわかりませんがとにかくやばい。
「えぇ・・・」
シンザン会長はわたくしの口から聞いたあまりにあんまりな状況にドン引きした。でもほら!なんとか手は打てますよね?!ねっ!?ほらバンダナ先輩とかいるじゃないですか!
困ったときの問題児のまとめ役、バンダナ先輩のお力ならこんな状況でもなんとかなる筈ですわよね!いつだって頼りになる先輩ですもの!
「彼女でも流石に新入生相手を纏めるのは不可能だよ。それに・・・彼女は外せない用事とやらで今学園にはいないんだよ。あはは参ったなぁ」
シンザン会長は薄っぺらい笑い声をあげたあと、立ち上がり締め切っていたカーテンを少し開けて外を見ている。いや会長!おそらきれいだなんて言ってないでなんとかしないと!
シンザン会長の肩を掴んでがったんがったん揺さぶっても芳しい返事は返ってこない。虚空に向かってあの時無理矢理にでも引き込んでおけばよかったなぁ・・・と呟いている。
もうダメだ畜生!なんでシンザン会長もバンダナ先輩も肝心な時に役に立たないんですの!わたくしは騒動を起こすのは得意でも収めるのは苦手なんですのよ!あわわもうおしまいですわ。わたくし地元のトレセンに里帰りさせていただきます!あいたぁ!
「落ち着け」
後ろから振り下ろされた拳骨の痛みでわたくしは身悶えする。振り返るとそこにはいつのまにかルドルフが立っていた。何故かマルゼンスキー先輩とおハナちゃんトレーナーもいる。
「おっはーミカドちゃん。元気してる?」
おっはーですマルゼンスキー先輩、おハナちゃんトレーナー。シンザン会長なら壊れてますわよ。ほらあれ。
みんなでわたくしが指差した先に目線を動かすと、そこにはもうやだぁ!と言ってへたり込んだ会長の姿が!
うわぁかなり重症ですわちょっと退行してる。わたくしも最近なにかと忙しい何も考えず走りたいよとこの前愚痴られましたから・・・。ストレス社会とはかくも恐ろしいものなのですね。あっマルゼンスキー先輩が駆け寄って行った。
わたくしは取り敢えずシンザン会長を見ないことにしつつ2人に問いかける。
ルドルフとおハナちゃんは何故ここに?遊びにきた感じではなさそうですわよね?
「ええ、あの自称ファンクラブはこっちも困っていたのよ。直接話し合ってきたからシンザン会長にも話を通しておこうと思ったのだけど・・・」
あれじゃねぇと言って窓際におハナちゃんトレーナーは目をやる。そこではマルゼンスキー先輩がシンザン会長を慰めている。
マルゼンスキー先輩がシンザン会長をよしよしする光景はなんかアレですわね!アレです!わかるでしょう?保護欲ぅ・・・ですかね?そんな感じです。
ですがこれ以上シンザン会長にストレスを与えると、本格的に赤ちゃんから帰って来れなさそう。あまり刺激の強い報告とかは後にしたほうがいいと思いますわ。
「大した内容じゃないわ。正式なファンクラブにしてくれるのなら今すぐにでも収められるって言ってたもの。許可を出して収められるなら安いものでしょう?私もマルゼンスキーファンクラブ員だし、ファンクラブの申請のやり方くらい知ってるわよ」
その言葉を聞いてシンザン会長はうぐぅ!と呻き声を上げて動かなくなった。ああ核爆弾スイッチの安全装置が外された。
なんてことですのこの学園はもう助からないゾ。
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「えぇ・・・」
わたくしの説明を聞いて、おハナちゃんトレーナーはシンザン会長と同じようにドン引きしている。
おハナちゃんトレーナーが聞きに行ったのは新しい方のファンクラブだけ。まさかまさか古い方のファンクラブがそんな状態だとは全く思っていなかったらしい。もはやまったなし。
「というかミカド・・・。お前旧ファンクラブはみんな大人しくていい子ばかりと言ってなかったか?話しと全然違うんだが」
ルドルフが目元を押さえながら最もな事を言ってくる。いやわたくしだって今日初めて知りましたわよ。いやぁ真面目でおとなしい子がキレるとヤバいって本当ですのね。勉強になりましたわ。あはは・・・。
わたくしもうどうしよう。ここももう少しで火の海ですわ。あはは!
「話しと全然違うんだが!」
けれども現実から逃げる事をこの皇帝は許してはくれないのです。ああ!やめてルドルフ耳をつねらないで!そこまで大きな声を出さなくても聞こえてますわよ!だからその対策を話し合う為に来たんですわよ!ああ痛い!
話が進まないのでひとまず離して貰う。ですが大丈夫ですわたくしにいい考えがあります。
「どうせロクな考えじゃないと思うが・・・言ってみろ」
失礼な!そんなことはありませんわ!殴り合って生き残った方が正規のファンクラブと言って、両ファンクラブを潰し合わせるのです。生き残るのは片方だけ。これで即効解決ですわね!
「なるほど素晴らしい良案だな。その真ん中にお前を投げ込んでやる」
・・・冗談ですわ!本気にしないでくださいね!
わぁおルドルフってば本気の目ですわ。と言っても良案なんてありませんわ。なんとか和解させる必要があるのですが、なんも思いつきませんもの。
シンザン会長はポンコツ化したしもはや頼れるものはおハナちゃんトレーナーとルドルフのみ。マルゼンスキー先輩?こう言う状況向けの人ではないですわね。
あれこれ手詰まりでは?こんなの薩摩と長州に和平を結ばせるくらい無理!坂本龍馬!どこですの坂本龍馬!
あとブルーどこ行ったんですの!さては逃げやがりましたわね!
ブルーは何をしているんでしょうね?ふふふ。