永遠なる皇帝とストイックモンスターメスガキが、主人公を大岡裁きするお話 作:ぐっちSKG
かなりの難産でした。読めばこの話はイメージと違う解釈違いですねとなるかもしれません。石を投げるのなら私に投げろ!
わたしは自分のファンクラブメンバーに密かに指示を出し、事細かに情報を集めていた。ルドルフちゃんのファンクラブがこんな事態になるのは予想外だったけど、なんとか先手を打てた。
わたしのファンクラブがある事を知った時は驚いたが、こういう時には率先して働いてくれる。本当にありがたい限りだ。ラリーにはあまり興味を持ってくれないのはマイナスだけど。
これからする事はミカドちゃんとルドルフちゃんには内緒だ。もし知られたら・・・あまり考えたくはない。
わたしが学園に来た目的はラリーチャンピオンになる事、そして日本でラリー文化を根付かせる事、この2つだ。
その為に必要なピースは揃いつつある。設備に資金、わたし以外のスター選手になれる逸材。そしてラリーチャンピオンの夢に賛同してくれるトレーナー。
最初はトレセン学園ですんなりと手に入るとは思ってはいなかったけど、わたしはそれらを見つけることができた。デビュー前に目処がつくなんてわたしは実についている。
けど一つ足りないものがある。それをなんとか手に入れようとしていて今回のこの事件。棚からぼた餅とはまさにこのこと。
新旧ルドルフファンクラブのぶつかり合い。ミカドちゃんはなんとか和解させようとしているけどとんでもない。これは絶好の機会以外の何物でもない。うまく立ち回れば足りないピースを埋められる。
学園のファンクラブは大きく分けて3種類ある。ウマ娘個人のファンクラブ。チームのファンクラブ。そして生徒会ファンクラブだ。
旧ルドルフファンクラブ。今はルドルフちゃん個人を推しているとのことだが、元々は生徒会ファンクラブから派生したものだ。
生徒会ファンクラブは代々の生徒会を応援する、おそらく学園で最も長い歴史を持つファンクラブだ。生徒会が代替わりしても次の生徒会を応援する形になっている。
だからこそあそこまで新ファンクラブに怒っているのだ。旧ファンクラブは生徒会ファンクラブの伝統を引き継いでいるに違いない。その伝統を踏みにじられたと感じているのだろう。
外部への情報が漏れにくい学園という閉鎖された空間で、生徒会ファンクラブはかなり変わった役割を持っている。
生徒会は学園でも選りすぐりのメンバーが選ばれることが多く、当然そういったウマ娘は学外のファンも多い。そこで生徒会の学外ファンに向けた情報発信は生徒会ファンクラブから発信される。
他のファンクラブとは違い自分がキャーキャー言うだけでなく、外部のファンをキャーキャー言わせるという役割がある。つまり学園外部への影響力が大きい。しかも特別なコネクションを代々引き継いでいるという噂もある。
旧ルドルフファンクラブの会長も大人しそうな見た目に反して会長を任される程の人。それにあの人は元々生徒会ファンクラブのメンバーだった。そこから派生のルドルフファンクラブ会長を任させるのなら、まず間違いなく見た目通りの人ではない。
会長に選ばれたのは最もルドルフちゃんを推しているからではない。メンバーから尊敬されているからでもない。彼女が最も組織運営能力と情報発信に長けているからだ。
その証拠にあの会長は生徒会ファンクラブでは元々纏め役の1人だったという情報がある。おそらくそこで培った能力だろう。まず間違いない。
わたしやミカドちゃん、沖野トレーナーでは埋められない穴。それが情報発信能力だからだ。わたしはそのノウハウや人員が欲しい。
いずれわたしがラリーに飛び込んだ時、わたし個人用にバックアップができるようにしておかなければならないからだ。あの時母さんのメディアに活躍が報じられなかったのは発信力がなかったからだ。あの時と同じ轍は踏まない。
あのファンクラブにはそれを叶える力がきっとある。でも外部の干渉からは鉄壁でなかなか機会がなかった。メンバーには鉄の掟があるから個人へのアプローチも厳しい。
何故かミカドちゃんがあそこであんなに重用されているかは謎だけど・・・まぁミカドちゃんだからなぁ。でもこれは絶好の機会。ようやく隙を見せてくれた。
ごめんねルドルフちゃん、わたしは欲張りなんだ。わたしは・・・ルドルフちゃんのファンクラブにスパイを送り込むよ。
僅かに良心が痛むがやらなくてはならない。これはちょっとした裏切りみたいなものだ。勿論親友のルドルフちゃんを追い落とすとかそういうつもりはない。彼女の応援は是非続けて欲しい。
だけど最終的にはラリーを布教することに繋がるようにさせてもらうね。この騒動はうまく収めるし、最終的にわたしも恩恵に預かれる。
ありがとうルドルフファンクラブの皆。いただきます。
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もはや地獄絵図と化した生徒会室で緊急対策を練る。この現状を上にバレる前になんとか沈静化させないと・・・。
もし上にバレたら、ファンクラブを解散させられるかもしれません。これからルドルフはメイクデビューを控える身。最初からこんな所で転ぶのは災難すぎますわ。
とはいえファンクラブをこのままにしておくわけにはいかないのも事実。うーんルドルフなんかいい案ありませんか?貴方ならこう、スパー!と解決するナイスな案があるのではないですか?
わたくしは期待を込めてルドルフに尋ねる。けれどもルドルフは腕を組み渋顔のまま悩んでいる。
「・・・手詰まりだな情報が少なすぎる。私は旧ファンクラブの人たちは殆ど知らないんだ。正直お前の話は全く当てにならないからな」
ぐぬぅ。ルドルフってばわたくしの事前のファンクラブの話と、今の実際の状況が噛み合わないのを根に持っていますわ。ちゃんと謝ったのに・・・。
それにしても旧ルドルフファンクラブがあそこまで怒るのは予想外にも程がある。確かにイキり新入生は面白くないかもしれませんが、それにしても普通ここまで大事になります?
あーでもないこーでもないと意見を付き合わせているとわたくしのスマホが着信音をけたたましく鳴らす。一体誰なのでしょうか?
断りを入れてからスマホを覗き込むと。むっ・・・逃げたブルーから連絡が入りましたわ!あんにゃろうめ謝罪の一つじゃすみませんわよ!はいもしもし。
『やっほー♡ミカドちゃん大変みたいだね』
こいつ・・・!わたくし大変なんですわよ!貴方は一体どこほっつき歩いてるんですか!ルドルフもいるので今すぐ生徒会室へ来なさい!ハリー!ハリー!
『生徒会室・・・じゃあちょうどいいか♡こっちも色々調べておいたんだよ。これから説明するからスマホをスピーカーモードにしてもらってもいい?』
ブルーはわたくしのスマホのスピーカー越しに概要を説明していく。現在の状況。ファンクラブメンバーの詳細。なぜここまで大事になったのか。簡潔ながら出来る限り正確に。
まるで事前に調査していたかのような・・・あるいはブルーはすごく情報通だったりするのでしょうか?
話が進むほど白い顔色のシンザン会長が少しずつ血色を取り戻していく。ルドルフは現在の状況に納得した顔になり、おハナちゃんトレーナーはブルーの行動力に感心した顔つきになる。
そして蚊帳の外のわたくしとマルゼンスキー先輩は、はえーブルーしゅごいという感想以外出てこなかった。
そして報告も終盤、ブルーはこれからどうするべきかの案を提示してくる。確かに・・・その案なら上手いことやれば丸く収めることができるかもしれませんわね。
ルドルフはその案を聞いて一人頷き、シンザン会長へ許可を求める。決意の籠もった瞳から覚悟の光が見える。
ルドルフの様子を見て、調子を完全に取り戻したシンザン会長の鶴の一声で全ての許可は通った。あとは事態を収めるだけの状態となる。
事態は混迷していますが、どうやらなんとかなりそうですわね!よしブルー!わたくしは何をすればいいのですか?えっ状況が混乱するから何一つ発言するな?!えーそんなー!
実は昨日書き上がっていたのですが、ブルーがなんか友人を利用してるみたいになって何度も書き直しました。親友は好きだけど、その上でそろばんを弾きます。
前回の話でブルーがルドルフを揶揄う場面が評判良かったので、彼女の株が落ちないか心配でなりません。本当にいい子なんですよ?
ブルーインプは可愛いだけのウマ娘だけではなく二面性を持っています。可愛らしい人情家な一面と、クールでニヒルな一面ですね。彼女は将来ほぼ孤立無縁で世界へと挑戦するんです。清濁を飲み干すくらいの覚悟はあります。