はるけき世界の英雄譚-召喚されたら女になってんですけど元の体どこですか!- 作:白澤建吾
「
魔力を込めて炎の矢を解き放つ。
思ったより力が入ってしまったか思ったより高い熱量で出現した炎の矢を
着弾地点の砂が爆ぜ、砂を溶かして石になった。
「炎に弱いか?!」
大発見したと思いハビエルに言うと
「あんな威力で魔法ぶち当てられたら誰だって怯むと思うぜ」
じゃあ、と
「やっぱり火だな、松明でも投げたらどうだ?」
「かもしれねえが松明如きじゃ一瞬で消えて終わりよ」
色々試してみようと
「リーダー、やっぱり火だな」
「そうですね」
もう攻撃は任せて傍観するつもりか、ハビエルは大盾を背負い、ヨン達は武器を納めて腕を組んで
当のカオルは彼らの後ろを歩きながら伸ばしてこようとする手(?)に
カオルは口には出さないが
表面が爆ぜ、溶けて固まった塊が脱落しその場に取り残される。
こちらの位置をどうやって見ているのかわからないが、それが匂いなのか体温なのか目が見えているのかはわからないがずりずりと這ってくる様子をみながら早くしないとオケアノが死んでしまうと焦ってくる。
火力を間違えても中でやけどを負ってしまうし酷いことになれば焼け死んでしまうかもしれない。
そういって手を下さないでいれば窒息してしまう。
こまめに削るしかないかと次の
破裂音をさせながら
時間をかければいいんだろうが、それでは窒息してしまう。
一か八か強めに吹き飛ばすかと思案する。オケアノに
「
聞こえるかわからないが中のオケアノに向かって叫ぶ。万が一気を失っていれば防御する暇もなく焼かれてしまうが見殺しにするよりはましだろうと思った。
悲鳴でも上げてるのかと思い、いよいよダメかと
思わず
光はだんだんと強く、赤くなり
突然の閃光で目がくらんだ瞬間、何かが空へと飛び出したのが見えた。
「あちち、よいしょっと」
閃光で目がくらんでいるので見えないがオケアノは無事の様だ。
「なんかすごい光で目がやられちゃって前がみえないのだけど」
出てきたと思われるオケアノに声をかけると、無事そうな返事が返ってきた。
「熱量上げて中から核を焼いたからすごいことになっちゃって」
眩んだ眼が元に戻るまで動くこともできないのでその場で座ってオケアノから何があったか聞くことにした。
あの時、テントで寝ていたら変な音と辺りが騒がしくなった声で目が覚めた。
起きろという声を聞いても髪とかぐしゃぐしゃなのでちょっと整えてから出ようと思ったらテントの後ろ側が何かに乗られるように傾き始め、うろたえているとそのまま飲み込まれてしまったということだった。
外から
弱点はどこかにある核、テントの厚手の生地と骨組みが守ってくれているから今すぐ破られたりはしないが、何とか耐えてくれているうちに脱出しなければ。
そう思いつつテントが破壊されて飲み込まれ皺々のミイラになってしまった自分を想像して胃を押さえた。
何もしなければそうなるのも遠い未来ではない、
密度が高く、効果範囲が狭い魔法、今、この状況に適した魔法を1つだけ持っている。
心の海に住まいし現身よ 原始より生きる幻の獣よ
我は牙 我は羽 我は爪なり 我が声を聞き生まれよ
我が魔力を糧に育てよ育て 共に手を取り我らが敵を討ち倒さん
「
今にも潰されそうな真っ暗なテントの中で両手の上に生み出されたのはどうやら
この魔法はその時の体調や心境に影響されて色々な属性の動物が生まれる魔法。
意識を共有しつつ、独立した意識をもって自由に戦ってくれる魔法生物を生み出す。問題は何が生まれるか選べないことなのだけど、今回は
伝説では火山から生まれ溶岩に食べ育ち、触れるだけで燃え上がる羽は人に炎の使い方を教えたという。
手の上の炎の卵すぐに雛に孵り、伸びをするように首をもたげ羽を広げた。
いつ見てもこの魔法はいい。今が命の危険が迫ってるので無ければこの子が大きくなるのを眺めていたい。
ギシギシときしむテントの骨が今にも壊れそうな中、早く育てと身をよじりながら待つ。
「早く育って
わたしの魔力を餌に
魔力操作に不慣れなことと焦りのせいで優しく魔力を食べさせてあげられなかったかもしれない。
どこかには動物に無理矢理食べ物を押し込んで太らせてから食べるという食べ物があるらしい、魔法生物も無理矢理押し込んだら太って動けなくなるのかしら。
丸々と太った
不謹慎な想像をしながら押し込んだのが悪かったかもしれない。
あっと思ったときにはすでに
触れないようにしながら放射熱に
燃えさかる
私としてもあっけにとられていたかったのだけど、炎の鳥がオケアノの頭の上を旋回するのを見て思わず声をかけた。
「──で、この子が
降りてきてオケアノの肩に止まった炎で作った様な真っ赤で大きなミミズクがオケアノに頭をこすりつけた。
「そ、これがわたしが教えられる最後の魔法、魔法生物の召喚よ」
手首に乗せて頭の上に掲げてみせると大きなミミズクは誇らしげに羽を広げて見せた。
大きな鳥を触ってみたくなり、じわじわと手を伸ばしながらオケアノに聞いてみる。
「触っても?」
「だめよ、わたしは自分の魔力だから大丈夫だけど、他の人は火傷しちゃうから」
私は火傷をしちゃうと聞いて伸ばした手を引っ込めた。
「残念」
「カオルちゃんは自分で作ったら良いじゃない、何が出てくるかわからないけど」
「そう言われると確かにそうなんですが」
「あんまり強そうな感じしないからネコとかハトなんかいいんじゃないかしら?」
「せめて猛禽類とか豹とかにしてください」
「かわいくても小さくても強いから大丈夫よ」
「かっこいい方がいいじゃないですか」
オケアノが頭を撫でた瞬間、ボッと一瞬燃え上がると大きなミミズクは消えてしまった。
何が起きたかわからず驚いているとオケアノがぐらりと傾いてきた。
膝の力が抜けるように倒れ込んできたオケアノが倒れないように抱えると地面の上に横たえる。
頭を地面に置くのは気が引けたので正座をして私の足の上にのせた。
まだ暗いせいで顔色がよく見えないが容態を見るために
「ちょっと魔力を多く使っちゃっただけよ。ちょっとわたしの鞄からポーションとってくれる?」
頼みを聞いたハビエルがオケアノがいた潰れたテントから鞄を掘り出して戻ってきた。
私が受け取り鞄を開けると白い陶器の小瓶が2本入っていた。
「そう、その白い瓶」
コルク栓を抜いて渡すと一気に飲み干した。
「魔力回復
「念のために持ってきて良かったわ。もう少しこうしていさせて」
正座している私の足があまり長くはもたないのでなるべく早くどいてねと思いながらオケアノの額の汗を拭いてあげながら「いいですよ」と答えた。