ミサトの伯母がミサト家をたずねに来た。
シンジとミサトは自分たちの関係についてどのように語るのだろうか?


私の作品である「ミサトさんを好きになってしまったシンジ君のお話」と世界間を共有しております。


https://syosetu.org/novel/255916/

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ミサトさんの伯母さんが尋ねに来た話

第三新東京市。

使徒もすべて倒し、世界の終焉の危機は去った。

シンジは平和な世界で安心とともに生きていた。

アスカはドイツに帰っていった。

シンジも高校生になっていた。

緑色のエプロンをつけた彼は愛するミサトのために、ごはんを作っていた。

 

「今日はミサトさんが当番の日ですけど。」

「そうだった?」

「わかってて忘れてるでしょ!」

 

ミサトをにらんでシンジは言った。

 

「もうずぼらなんだから!」

 

そして、目の前の作業に集中した。

すると、ミサトは後ろからシンジを抱きしめてきた。

 

「わわ!」

「ごめんね。」

 

彼女は後ろから強く強くシンジを抱くと、その頬にキスをしてきた。

 

「ちょ、ちょっと!」

「何、何かダメなことでもあるの?」

「いや…なんでこんなこと!」

「だって、エプロン姿のシンちゃんはスペシャルかわいいんだもん。」

「やめてよ!離して!恥ずかしいよ!」

 

っていうか、ミサトさんブラしてないよね!

ノーブラでこんなスキンシップは流石に恥ずかしいよ!

 

 

 

ピンポーン。

 

ベルの音が鳴った。

 

「鳴りましたけど。」

「このまま抱きしめたまま迎えにいく?」

「も、もう離して。」

 

ミサトはようやくシンジを解放した。

 

「も、もう!やめてよね!」

 

 

 

誰だろう。

こんな時期に…。

 

シンジは急いでドアを開けに向かった。

そこには赤く染めた中年女性が立っていた。

 

 

「どなたですか?」

「あら?ミサトちゃんはいる?」

「え?」

 

ミサトちゃん?

大体の場合、ミサトさんのことを呼ぶ時は「ミサト」「葛城さん」だけど「ミサトちゃん」は初めてだな。

 

「えーっと、あの…。」

「ミサトの伯母でございます。」

 

 

え?!おばさん!?

ミサトさんに伯母さんがいたのか!

なんだかミサトさんと雰囲気が違う。

落ち着いているというか、リツコさんみたいだ。

 

「ちょっと待っててください。」

 

シンジはパタパタと音をたてると、ミサトの方に向かっていった。

彼女はいつも通り、恐らく下着なしのタンクトップ状態でビールを飲んでいた。

 

「なんだった?」

 

明らかに僕を誘惑しているか、からかって反応を楽しんでる。

凄く楽しいけど、ちょっと恥ずかしいんだよな。

シンジは顔を染めながら、ミサトに告げた。

 

「伯母さんがきてらっしゃいますよ。」

 

すると、ミサトは飲みかけていたビールを壁にぶっかけてシンジの方をみていた。

 

「え!?マジ!?」

「マジです。」

「ごめん、シンジくん。ちょっと待っててもらってて!」

 

そう言い、ミサトはすぐさま自室に入っていった。

余りに突然のことでびびっているようだ。

呆れて笑うと、ミサトの伯母を迎えにシンジはドアに戻った。

 

「すいません、中でお待ちください。」

「ちょっとお待ちなさいな。」

「え?」

 

ミサトの伯母はカバンからウェットティッシュを取り出し、シンジの頬を拭いた。

 

「口紅で汚れておりますわよ。」

 

げっ!ミサトさんだ!

あの時、頬にキスマークがついたんだ。

 

「あ、あの…。ごめんなさい。」

「こんな坊やにこんなことをしちゃって。だらしない娘よね、本当迷惑かけて申し訳ないわ。」

「あ、どうも…。」

 

 

ってちょっと待って!

まさか、ミサトさんと僕の関係がわかってる!?

 

「あ、あの…。」

「お邪魔しますわ。」

 

気が付けば玄関に上がっていた。

マイペースな人だ。

ミサトさん以上にマイペースだなあ。

シンジは伯母を追いかけた。

ふと、伯母はキッチンまで近づくとペンペンに挨拶をしていた。

 

「お久しぶり、ペンちゃん。」

 

人見知りの激しいペンペンは伯母の足元にしがみつくとくえくえと鳴きながら甘えていた。

 

「ペンペンとも仲いいんだ。」

 

ふと、ミサトの部屋からミサトが出てきていた。

黒い正装であった。

シンジはそんなミサトをみると、顔がぼーっと赤くなっていくのを感じた。

 

「あ、すいません。お茶出しますね。」

「ありがと、シンジ君。」

 

伯母はため息をついた。

 

「まったく、だらしない娘ね。」

「・・・ごめんなさい。」

「私はあれほど電話をかけたのに、全くとらないんだもの。」

「すいません。」

 

ミサトさん謝ってばかりだ。

冬月さんを前にしたときのミサトさんにちょっと似ている。

 

「で、この子が今のあなたの『彼氏』?」

「あ‥その子は‥。」

「子供相手になんてだらしないことを。」

「すいません。」

 

ミサトさんの体が見る見るうちに小さくなっていくのがみえた。

シンジはテーブルに腰かける二人にお茶を入れもってきた。

 

「坊や、少し席を外してほしいの。ミサトちゃんと私の大事な話だから。いい?」

「え?あっ…はい。」

 

なんだよ、ヒトをコキ使って用済みかよ。

シンジは内心愚痴ると、アスカがいなくなったことで空いた部屋に入っていった。

そこはシンジ専用のTVルームになっていた。

 

でも、何の話をするんだろう。

シンジは耳を当て聞き耳をたてた。

 

「で、使徒はもう倒したんでしょ?あなたもいつまでも軍服をきて軍人をしているわけにはいかないのよ。女は男を娶ってナンボなのだから。」

「というと?」

「あら、あなた向けにお見合いを紹介しようと思ったのよ。」

 

 

お見合い!?

ミサトさんが!?

 

「アメリカのGaagle社で働いている、一流の人よ。」

 

あの天下のネット検索最大手の会社!?

嘘だろ。

 

「あなたもおどろくと思うけど、アメリカ人のハーフなの。すごくハンサムで上品な紳士よ。」

 

シンジは頭の中で想像した。

きっと金髪の髪を束ね青い目をしたイケメンなんだろうな。

勝てない。

そんなの下手したら加持さんですら勝てないかも。

 

「伯母様。」

「どうしたの、ミサトちゃん。あなたもこんなところにいるよりそのほうがいいわ。あなただけじゃない、ペンちゃんもそれにあの子も。」

 

僕のことか。

 

 

「それにあなたはあの子を家事手伝いか何かにしかみてないんじゃなくて。」

「それは違います、あの子は私の部下でもあります。エヴァパイロットです。世界で数少ない。彼は世界を守ったんです。」

「使徒はもう死んだのよ。エヴァなんていなくてもいいの。」

「いえ、まだまだやることはあります。」

「もう、復讐は果たしたでしょ。あなたの幸せを探しなさい。あなたの父も、私の兄も…それを望んでいるはずよ。」

 

 

ミサトは黙った。

きっと真剣に考えているんだ。

そりゃそうだ。

僕はあの人にとって所詮部下、それ以上でも以下でもない。

 

シンジはそう悲観していると、ミサトは意外な答えをだした。

 

「私の幸せは彼と生きることです。」

 

ミサトさん。

 

「彼がいない幸せなど考える気はありません。」

「ミサトちゃん。」

「縁談もお断りします。申し訳ありません。」

 

シンジは思わず、外に出てしまった。

その目には涙が浮かんでいた。

 

「シンジくん!?」

「ミサトさん。」

 

シンジはミサトの元に向かうと、その胸を強く抱きしめた。

 

「ありがとう…。」

 

シンジはそう言った。

ミサトも強く彼を抱きしめた。

伯母は呆れて笑った。

 

「あなたの石頭は相変わらずね。」

「すいません、伯母様。」

「まあ、遊びに来たのもなんだから…もっとよっていくわ。」

 

シンジはその表情をみた。

堅苦しい雰囲気はなくなっていた。

やわらかい表情だった。

やっぱり、リツコさんに似ている。

だから、ミサトさんはリツコさんと友人になれたんだ。

 

「こんなに泣いて抱きしめてくれる子がいるなんて、あなたは幸運だわ。」

「伯母様?」

「私の夫よりも、家事はできるしいい旦那様になりそうだもの。」

「ちょ、ちょっと!?お、伯母様!?彼はまだそこまで‥。」

 

ミサトは顔を赤くしていた。

 

「かわいいし、料理もできる。おまけに世界を救える。こんなにいい男はいないわ。」

 

シンジも気が付けば照れていた。

 

「前に付き合っていた、加持くんだっけ?あのふわついたヤツよりは恐らくこの子のほうが…。」

「加持さんはいい人だとおもうけどなあ。」

 

シンジは少し首をひねった。

伯母は目つきをキッとさせると、シンジに言った。

 

「坊や、いい人は必ずしもいい夫になれるわけではない。覚えておきなさい。」

「はい‥。」

「シンちゃん、うちの伯母さまは離婚してるの。私が子供のころからずっとシングルマザーなのよ。」

「余計な事をいわない。」

 

ミサトの伯母はムッとしていた。

ミサトは罰が悪そうな顔になると、別の話題をした。

 

「スズネちゃんはお元気?」

「ええ、結婚したわ。子供を産んだの。孫よ。かわいいんだから。」

「本当ですか?」

「ええ、ところで…あなたは早く子供をみせないの?私姪っ子甥っ子が欲しいんだけど。」

「あ、相手が…。」

「その子じゃダメなの?」

 

ミサトは思わずシンジと顔をみつめあった。

そして、二人そろって思いっきり顔を赤くした。

 

デリカシーがまったくない。

ミサトさんとリツコさんの悪魔合体みたいな人だと、シンジは思った。

 

「この子はまだ…未成年で…。」

「スズネの知り合いは15で子供を産んだのがいるわよ。」

「も、もうその話はやめてください!」

 

 

ミサトの伯母は彼女と酒を開いた。

そして、シンジの料理をつまみながら昔話に華を咲かせていた。

ミサトは気が付けば、酔いつぶれたおれていた。

そんな彼女を伯母は優しくみつめていた。

 

「さあ、もうお開きね。」

「泊っていかないんですか?」

「ワタクシ、そこまで図々しくなくてよ。」

「そうですか…。」

 

伯母は立ち上がると、タクシーを呼んだ。

シンジは伯母を見送ることにした。

 

「あの、最後に聞いておきたいんですが…。」

「なに?」

 

シンジはふと思った。

最後に聞きたいことがある。

 

「ミサトさんのお母さんはどうなったんですか。お父さんの話は聞くんですけど。」

「自殺よ、父さんの後を追いかけてね。」

 

 

自殺。

初めて聞いた。

そうか、ミサトさんにはもうこの人以外、親戚がいないんだ。

ミサトさんにとって、ずっとこの人が母親だったんだ。

 

 

「坊や。」

「はい。」

「その子はね、いっぱい辛いことを経験してきたの。だからあなたがこの子を支えてあげてね。」

「・・・はい。」

 

 

ミサトの伯母が呼んだタクシーが到着した。

とともに、彼女は去っていった。

ふと、シンジはミサトの部屋に戻っていった。

すると、ミサトはだらしなく起き上がっているのがみえた。

 

 

「伯母さんは?」

「帰りましたよ。」

「はー・・・。」

 

シンジはミサトの目を真剣な表情でみつめた。

そして、彼女の肩を抱き寄せた。

 

「なっ?シンちゃ…。」

 

そして、そのまま彼女の唇をふさいだ。

ミサトは対抗せず、黙ってその身を任せた。

数分後、ミサトを解放したシンジはミサトを見つめて言った。

 

「伯母さんにあなたを支えてくれと言われました。僕はあなたを支えます。一生…。」

「シンちゃん。」

「大好きです。」

 

ミサトは目の前にいる華奢な16歳の少年への胸の高鳴りを抑えられなかった。

そして、気が付くとシンジ以上に熱いキスをし始めた。

 

「もう、何をするんです!」

「うっさい、倍返しよ。」

「もーう!!!!」

 

 

 

ペンペンは二人のスキンシップをみて、呆れて笑うと自身の冷蔵庫の中へと入っていた。



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