この素晴らしい文豪に祝福を!   作:ぴんくのあくま

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 あらすじの通り、このすばと文ストのクロスオーバーです。妄想百パーです。
 ダクネスは次回から出てきます。


序章
第1話 この奇妙な出会いに爆炎を!


 俺の名は佐藤和真。

 元・日本の引き籠もり高校生、現・魔王から異世界を救った勇者の中の勇者である。

 そう、勇者。勇者になったからには、チート魔剣士のミツルギ以上の待遇が必要だ。あの男はいつもいつもパーティの女二人を誑しているので、俺もパーティの女三人を誑かさなければならない。

 

 いや、パーティの女三人が俺に惚れなければならない!

 

 「カズマさーん、顔がキモイんですけど。イヤらしいこと考えてる顔してるんですけど」

 「いっ、イヤらしいこと……!? さてはカズマ、私の熟れた肢体を見て、脳内でこの身体を好き勝手する妄想をしているのだな! なんてけしからん、やれるものならやってみろ! 私はそんなものに屈しはしない!!」

 「ダクネス、私の男に色目使わないでください。というかそんなドMアピールじゃ、色目にすらなってませんけどね」

 「ダクネス、今お前、やれるものならやってみろって言ったな?」

 「「えっ」」

 

 何故かめぐみんとダクネスが引いている。いや、ダクネスに関してはお前が言い出しっぺだろ。本人が引いてどうする。

 俺が手をワキワキさせながらダクネスとの距離を詰めると、ダクネスは段々と顔を赤くし、めぐみんも別の意味で顔を赤くした。

 

 「カズマっ! 私という女がありながら、貴方は一体いつまでクズマでいるつもりなのですか!」

 「よーしめぐみん、それならいい方法がある。ダクネスを突き飛ばして俺に抱き着いて、『好き勝手するなら、私の身体を――』」

 「エクスプローーーーージョン!!」

 

 ……消し飛んだ屋敷を建て直すために、悪魔とリッチーに大金を支払ったのはまた別の話である。

 

                     ☆

 

 「ん……?」

 

 うららかな春の陽光が瞼をチリチリと焼き、俺の意識がゆっくりと覚醒していく。

 えーっと……確かめぐみんが俺のセクハラに激昂して屋敷内で爆裂魔法をぶっ放して……それで、どうなったんだっけ?

 この感覚……まさか、俺死んだ系!?

 

 勢い良く上体を起こすと。

 目の前に広がっていたのは、懐かしき日本の公園だった。

 

 「うお……おおお……!?」

 

 間違いない――西洋感が消え、無機質な高層ビルが建ち並び、その隙間に植物が植えられていたり、今俺がいるここのように公園があったりと、文明九割自然一割の先進国。

 で、俺の格好は元のままだ。

 

 「はあ……?」

 

 どういうことだ? 俺は死んで、日本に戻ってきた?

 しかしだとすると、エリス様との恒例の会話が無いのは違和感がある。死んでいないが、日本に来た――

 

 「あっ」

 

 ……閃いてしまった。

 推測だが、俺はあの時、めぐみんが撃った爆裂魔法の衝撃で、日本に飛ばされてしまったのではないだろうか?

 狭い室内で撃ったのだから、受ける衝撃の威力は並大抵のものではないはず。

 というわけで、早速試してみることにする。

 

 「『クリエイト・アース』」

 

 呪文を唱えると、掌にざらりとした感触が生まれた。……スキルは健在、か。

 懐をいじってみれば、冒険者カードも、武器も健在のようだ。

 しっかし、どうやって帰ればいいんだ? 傍にアクア達がいるわけではないから、アクア達が飛ばされた可能性は低いと見える。

 暫し熟考した俺は、ぽんと太腿を打って立ち上がり。

 

 「……スキル使って憂さ晴らしでもするか!」

 

                     *

 

 「よーし君達、俺と勝負しよう」

 「何してんだよーにーちゃん」

 「やばい人だー!」

 「おい、今やばい人だっつったの誰だ」

 

 公園のガキ共を集めた俺は、片手に『バインド』用のワイヤーを持って勝負を持ちかけていた。

 勝負内容は至って簡単――「俺に捕まれば負け、捕まらなければ勝ち」である。

 

 「えー、にーちゃん足遅そうだけどいいの?」

 「おれ、大人のプライドを傷つけちゃいけないっておかーさんに言われた」

 「なんでお前らはさっきから俺の扱いが荒いの? そろそろ泣くよ?」

 

 煽ってくるキッズ達に簡単なルール説明(この公園内から出たら失格の鬼ごっこ)をし、十秒数えてやる。

 ……ふっ、全員俺のスキルの前にひれ伏すがいいわ。

 え? 大人気ない? 大人のプライドは傷つけちゃいけないけれども、子供のプライドを傷つけちゃいけないなんて聞いたことありませんね。

 

 遊具の上から、ベンチの上から、各々煽る体勢を取っているそいつらに向けて。

 

 「『クリエイト・ウォーター』!」

 「「!?」」

 

 俺は遠慮無く、勝負開始と同時に水流を子供達に浴びせかけた――!

 

 「……うえーん……うえーん……服びしょびしょ……」

 「目が……目が痛いよう……」

 「にーちゃん、このワイヤー取れないんだけど!?」

 「はっはっは、安心しろ。俺を散々馬鹿にしたことを謝ったら取れるよ」

 「っていうか最初に勝負仕掛けてきたのお前だろー! ジゴウジトクだろー!」

 「『クリエイト・ウォーター』!」

 「「うわあああああん!!」」

 

 そう、こいつらは子供といっても中学生程度の歳はある。だから、傍から見たら俺がショタをいたぶっているなんて光景にはなっていないはずだ。仲良く遊んでいる兄弟のように見えるだろう。

 リーダー格の少年のワイヤーを解いてやると、ガキグループは「イノウシャだ、イノウシャだ」などと泣き叫びながら一目散に逃げていった。ざまあみろ。

 

 それにしても、ここに来た時には朝十時頃だったはずが、遊びに夢中になっている内に正午になっていた。

 ……腹減ったなあ。

 

 空腹を訴えてくる身体に鞭打って公園を後にする。さあ、一体どうしたものか。

 「エリス」なら少し持っているが、生憎「円」は持っていない。……腹ごしらえができない。

 どうしたものかと再び熟考モードに入ったその時。

 

 「キミ、ちょっといいかな?」

 

 ポンポンと肩を叩かれ振り向くと、そこには――!

 

                     ◇◆◇

 

 「ちょっとちょっと、そこの白髪のアナタ!」

 「……?」

 

 白。それは日本人の髪の色としては珍しく、僕自身、自分以外に白髪の日本人を見たことがない。だからそう呼ばれた時、間違い無く僕だと確信して振り返ることが出来たのだけれど……。

 

 「ここって日本? ねえ、ここ日本よね?」

 「そうですけど……」

 

 そこに居たのは、僕なんかよりもっと珍しい格好をした女の子だった。

 長い青髪は、一部を頭の上でクルリと輪の大きなお団子に。青いノースリーブシャツに、水色のとてつもなく短いフリルのスカート。

 女の子は外国から来たのかもしれない。大きな瞳をキラキラ輝かせながら尋ねるその姿は、まるで年端もいかない幼い子供の様で。綺麗な顔立ちとのギャップも相まって微笑ましい。

 

 「よし、決めたわ。貴方、女神であるこの私に出会えた幸運を噛み締めながら、私を家に連れて行きなさい」

 「……ん?」

 

 微笑まし……微笑まし、い?

 思わず彼女の顔を二度見すると、女の子は両腕を組んでふんぞり返り、ニンマリと自信気な笑みを浮かべた。

 

 「私の名はアクア。水の女神アクアよ。……汝、私を家で養えば、やがて大きな恩恵を受けられるでしょう」

 「すいません、そういうの間に合ってるので」

 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 水の女神よ!? こんなの、養わない手は無いでしょ!?」

 

 ツッコミどころが多すぎてどこからツッコめばいいのか分からなくなっていると、女の子――アクアちゃんはとうとう地面に寝転がって暴れ出した。

 

 「お巡りさああああああん!! この白髪のガキが女神を虐めましたああああ!!」

 「ああああああもう!! いいですよ、いいですからちょっと来てくださいっ!!」

 

 ……周囲の視線が痛い。

 こうして、僕と女神(自称)の同居生活が始まったのだった。

 

                ◇◆◇

 

 「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りし者!!」

 

 両手をいつもの形にして決めポーズ。声の大きさ、高さ、角度――完璧だ。

 その台詞から少し間を置き、私は目の前の少年の顔を見て、

 

 「……その格好、とてもかっこいいですね」

 「……は?」

 

 黒い帽子に、肩に羽織っただけの大きな黒いジャケット。黒のベストにスキニーパンツという全身黒ずくめの少年に賞賛の言葉を述べた。色の配分はあまり良くないかもしれないけど、黒一色というのも中々いい。今度私も赤一色にしてみようか。

 私の言葉を聞いた少年は、青い瞳を大きく見開くと。

 

 「……最近徹夜漬けだったしな。疲れてるのか……家帰って寝るしかねェな」

 「いやいやいやちょっと待ってくださいよ!!」

 

 心做しか若干引いた表情で背を向けようとした少年のジャケットの袖を捕まえた。

 

 ――屋敷の中で爆裂魔法を撃った直後、いつもの通り気を失ってしまった私。しかし、目が覚めると薄暗い路地裏にいた。

 もしや、どこかの男が魅力溢れる私を攫ったのでは……!? と動揺していると、向こう側から誰かが歩いてきて。それがたまたま、私と同じくらいの歳の外見の、それもとてつもなくかっこいいファッションの少年だったので、同族意識から思わず名乗りを上げたという訳だ。

 

 「ンだよ……悪いが、手前みたいな格好の餓鬼に服のセンスを褒められたくはねェ」

 「どうしてですか! 私の服と貴方の服……系統は似ているでしょう!?」

 「脚に包帯巻いて杖持ってる奴に言われたかねェわ!! お前は餓鬼だからまだいいが、大人になってまでンな格好してたら引かれるぞ?」

 「おい、さっきからガキガキ言っているが、誰のことを言っているのか聞こうじゃないか!」

 

 掴みかかるもするりとかわされる。くっ、中々の手練!!

 暗い路地裏でジリジリと睨み合い――ふと、彼が表情を緩めて言った。

 

 「……やめだ、やめ。餓鬼相手に喧嘩なんざみっともねぇ」

 「だからっ、私も貴方も同じくらいの歳じゃありませんか!」

 「次言ったら埋めるからな。……まァ、もう出会うことも無いだろうが。じゃあなクソガキ」

 「ちょっと待ってくださ……!」

 

 少年の背を見ながら、頭に馬鹿な考えが浮かんだ。

 魔力が漲っている感覚。……まさか、魔力が回復した?

 

 そうと分かれば一か八かだ。私は少年の上空に杖を向けると――!

 

 「エクスプローーージョンっ!!」

 

 本日二度目の爆裂音が大気を震わせた。




 作者は結構忙しいのです。投稿は不定期になることが予想されます。
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