この素晴らしい文豪に祝福を!   作:ぴんくのあくま

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久々の投稿です。土日も投稿出来たらいいんですが……( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

あ、あと、活動報告モドキでも言ったのですが、ここでも言います。


 文スト四期だああああああああああああ!!!!!


第29話 歪んだ門

 カズマ君が社員寮に帰って来なくなってから三日が経った。

 

 「ちょっとやめてよアキコ! 何も私は変なことしようとしてる訳じゃ……!」

 「アンタが淹れた珈琲ってのは全部水なんだからアンタに淹れさせる訳にはいかないねェ!」

 

 今日はアクアちゃんと与謝野センセイが喧嘩している。カズマ君とは音信不通、毎日午前十時きっかりに探偵社を襲撃してくるバニルさん、日に日に殺気立っていく探偵社の皆……。カズマ君が来てから探偵社の平和は明後日の方向へ飛んで行ってしまった。

 

 「敦。この書類は貴方のもの」

 「え? あ……ありがとう鏡花ちゃん」

 

 けれど、殺気立っていく探偵社員達とは対照的に、鏡花ちゃんは何だか機嫌が良い。何かいいことでもあったのだろうか。

 

 「……カズマが居なくなってから、探偵社が少し静かになった。あとはアクアを消すだけ」

 「鏡花ちゃん……」

 

 この子はどうしてそんなにアクアちゃんのことが嫌いなんだろう。……いや、まあ、あの子がとてつもなく変な子なのは分かってるけど。迷惑噴霧器を他称されている太宰さん以上に迷惑を振り撒いてるのは分かってるけど!

 ……あれ。太宰さんと云えば……。

 

 「国木田さん、今日は太宰さん居ませんよね?」

 「『カズマ君が居ない内に自殺してくるね』と云いながら出ていった。今頃川の中かビルの屋上か拘置所か……」

 

 相変わらず太宰さんの社内評価は異常だ。

 

 「はーあ。あのヒキニートったら何処行ったのかしら。いたら邪魔だけどいなかったら私の仕事が増えるわね」

 「貴方は何もしていない。いつも仕事を私達に押し付けて遊びに行っている」

 「はあー!? なーに言ってくれちゃってるんですかー! 私は近所の人と親交を深めるために、八百屋のおじさんと魚屋のおばちゃん連れてカラオケ行ってきただけなんですけどー!」

 「それを遊んでると云ってるんだこの小娘があああああああああああ!!」

 

 いやああああああああ私の羽衣返しなさいよ童貞メガネー! アクアちゃんの情けない悲鳴が響き渡り、国木田さんの怒号が社を震わせ、他の皆は何も見ていないフリをして無言で仕事にとりかかる――そんな、カズマ君達が来てからの『いつも通り』の日常は、一瞬にして崩れ去ったのだった。

 

 「あのう、すみません。此処に私の駄目な恋人は居ませんか?」

 

 控えめな声と共に社内に足を踏み入れたその人物を見た瞬間、社内に緊張が走る。

 

 「賢治! もしもの事があったらあの小娘の杖を奪え!」

 「了解です国木田さん!」

 「与謝野女医(センセイ)、手段は選びません。あの小娘を解体しても構いませんから……!」

 「死ぬ気で社を守れって云うンだね国木田! 望むところさ!」

 「国木田さん、矢張り此処はボクの異能で……!」

 「ちょ、ちょっと待ってください! どうしてそんなに怯えるのですか、私が来たというだけでそんな……」

 

 傍から見れば、黒髪の女の子に向かって失礼な発言を連発している異能力者達という世にも奇妙な構図が出来上がっているのだが、この子の正体を知っている者ならこの状況がよく理解できるだろう。……この子を甘く見ていると、終わる。

 

 ――カズマ君の冒険者仲間だと云う、魔法使いの女の子。名前はめぐみん。厨二病じみたノリが謎なこの子だが、一応カズマ君の彼女……らしい。

 そして、ここ数日間にわたって探偵社上空で『爆裂魔法』と云う名の凄まじい威力の破壊攻撃を炸裂させ続けている張本人でもある。

 

 「私が来たというだけ!? 貴様、次そんな台詞を云ってみろ! 本気で刑務所に連行するぞ!」

 「なんなんですか、私には正当な理由があると言うのにその態度は酷いじゃないですか! ええいいでしょう、喧嘩なら買いますよ! ――黒より黒く、闇より暗き漆黒に、我が真紅の混交を――」

 「めぐみんちゃん落ち着いて! お願いだからそれだけはやめてええええええええええ!」

 

                    ◆◇◆

 

 「なんだ、探偵社の人々は知らないのですか。何だか私が無駄に情報を漏らしたみたいではないですか」

 

 僕の必死の説得が功を奏し、僕は今、国木田さんと一緒にソファに座ってめぐみんちゃんと話し合いをしています。

 ちなみに、めぐみんちゃんの隣に座っているのはアクアちゃん。「あの芸はダメね……やっぱりビー玉を……」とか意味不明なことをブツブツ呟きながら白湯を飲んでいる。

 

 「異能触手生物、か……名は聞いたことがあるな。何でも、ある異能者をモデルに作ってみたら案外上手くいったらしいが」

 「その辺の事情は知りませんよ。私マフィアって言っても形だけですし。最近の仕事はロリっ子の世話です」

 「めぐみんめぐみん、その呼び名はただのブーメランだと思うの」

 「ぶっ殺」

 

 ……まあ、簡単に言えば、太宰さんとカズマ君の暴走のせいで、異能触手生物の種が風に乗って飛んで行ってしまったしまったらしい。

 このことを知るのはマフィアの研究部の一部のみらしいけど、情報はどうしても噂となって広まってしまう。これでも抑えられた方だろう。マスコミには取り上げられてないし。

 

 「じゃあ、今ダザイとカズマが居ないのは……」

 「カズマは恐らくそうだろうな。だが太宰は違う。さっき拘置所から『この男をどうにかしてくれ』と連絡がきた」

 「なんか、太宰さんって知れば知るほど失格人間ですよね」

 

 太宰さんのあの性格はどこから来ているのだろう。いつも気になっているけど、未だに理由は不明だ。

 

 「いえ……カズマもいないのですか……実は、ここ数日……三日ほどでしょうか、チュウヤが居なくてですね……爆裂散歩に付き合ってくれる人がいないのです」

 「待ってめぐみんちゃん、君はマフィアの幹部をそんなものに付き合わせたの?」

 「おい、そんなものとはどんなものなのか聞こうじゃないか!」

 

 瞳を赤く光らせて掴みかかってくるめぐみんちゃんを必死にいなす。もうやだ、この子本当に怖い!

 

 「ねえ、私とってもいいこと思いついたんだけど!」

 

 瞳を輝かせながら、アクアちゃんが立ち上がり――危険を察知した僕達が耳を塞ぐよりも早く、アクアちゃんが言葉を零してしまった。

 

 「みんなでカズマとチュウヤを探しに行きましょうよ! それに、異能の触手っていうのもなんか消しといた方がいいっぽいし! ね、そうしましょう!」

 

 僕達はこの一瞬だけ思考を共有していた。――多分、この子がこういうこと云う時はロクな展開にならない。

 

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