才能無くて首吊ったら美少女に憑依したけどこいつも才能無くて首吊ってた   作:小中高校道徳の成績5でした

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誤字報告ありがとうございます×5。減ってる。悲しい。

長くなった。まあ、パピー視点だし。特別


内心嬉しん

4月の下旬。

 

「父さん。話があるの」

 

いきなりの事だった。娘がそう切り出したのは。とは言ってもたまにある事なのでいつものようにアイドル関連の話だろうと身構えずに真面目に聞こうとする。

 

だけど今回ばかりは身構えてしまう。

 

まるで娘が別人に見えてしまったからだ。

 

いや、それは今に始まったことじゃない。いつからか、そう春休みに入ってからだ。あんなにもアイドルアイドル言っていたのに、一切その話をしなくなった。まるで、()()()()()()()()()()()()かのように。

あんなに元気で落ち着きが無かったのに、今は静かで、落ち着いている。

 

「な、なんだ? 」

 

「アンノイズって知ってる?」

 

「え? ああ。なんか最近話題になってるな」

 

「あれ私」

 

「はへ?」

 

てっきりアイドルの話かと思ってた。だが切り出されたのは会社でも話題になってた謎の……なんて言えばよいのだろうか? 音楽活動家? の話だった。確か一切の情報開示がない謎に包まれた存在。私も一回聞いたが自分には合わなかった。だけどどこかで聞いた感じがしてするっと頭に入り忘れられなかった。

 

親しみを覚える違和感があったが、あっさりとその正体がわかってしまった。

 

「…………最近パソコンに齧りついていたのは」

 

「うん。曲を作ってた。今3曲目を作ってるところ」

 

「いやまて待って。作ってるって、そんなノウハウどこから」

 

「独学。春休みに徹夜で勉強したらなんか行けた」

 

「なんかって………」

 

「でも編集ソフトもパソコンのスペック自体も性能が低いから行き詰まってる。お金もないし。だから、有料音楽サイトで配信してお金を稼ぎたい。でも親のサインが必要だから」

 

「待て待て待て待て!! 話が全くわからない。アイドルはどうした? あんなに頑張ってただろ?」

 

「頑張ったからわかる。私にはそんな才能が無い。嫌でもわかる。仮に何とかなってもそれは最初だけ。周りに置いてかれるだけ。ならソロ活動したほうがまだ希望はある」

 

 

まるで簡単にアイドルの道を捨てたように淡々と述べる娘を見て言葉を失う。

 

 

『お父さん! オーデション! 頑張るね!』

 

『お父さん……落ちちゃった………悔しいよ』

 

『諦めない! 絶対にアイドルになる!』

 

『パソコンありがとう! よおし! アイドルを研究するぞ!』

 

『父さん! 弗愛高校に受かったよ!』

 

『父さん! 初めて一次審査受かった! やったよ! 』

 

『ちょ!? 父さん研究ノート見ないでよ! え? ………それ5冊目』

 

『また落ちちゃった………でもあと少しだって言われた。少しずつだけど成長してるんだ! ラストスパート! 頑張るぞぉぉ!』

 

 

 

 

「アイドルは諦める。私じゃ足掻いても無理」

 

 

その目はアイドルに一切の希望を見ていなかった。絶望も見ていなかった。

 

 

 

 

春休み前。娘は確かに絶望していた。もう無理なのかな……と。娘の努力は知ってる。熱意も。行動力も。私は娘を応援していたからだ。努力は必ず報われると。だからかける言葉が見つからなかった。

 

 

早霧()は言葉が見つかったみたいで声をかける。たび続く落選に別の道を提案していたから。それに成績の事もあった。

 

だから娘が本当に諦めた時、どうすれば良いかわからない。頑張れとは言えないし、他の道は? と言う権利もない。

 

だが今日切り出された話は母親に言われた道でもなければアイドルでもない全く違うモノだった。

 

活動期間が僅かにも関わらず、アイドルを目指していたときよりも成果を既に上げている事実。

 

 

「家にお金も入れる。今まで迷惑かけたし。勉強もちゃんとする。これ見て、この前の小テストの満点」

 

苦手の筈の数学で百点!? 

 

「ごめんな」

 

衝動で言ってしまった。

 

乃至はアイドルを諦めて勉強した。曲を作った。乃至は努力の全てをアイドルに注ぎ込んだ。なのに上手く行かなかった。その努力が別の方向に向いていたら、こんなにも才能があった。

 

私は乃至の父親として夢を応援したかった。でも、一人の父親として現実も少しは言うべきだった。本当に折れてしまった時、フードを深く被って顔を誰にも見られたくないほどに思い詰めて。

 

なのに言葉一つ……今だって別の道を進む決意をしているのに言葉が出ない。

 

 

父親として強く言っていれば。高校2年じゃない、もっと早く選択肢をあげられてた。

 

 

違う。もしかしたら過剰な応援が、乃至をあそこまで追い込んだのかもしれない。   

 

 

「私は父親失格だ」

 

乃至は驚いていた。そりゃそうか。いきなりそんなこと言われたから。

 

「どうして?」

 

「お前を知らずしらずに追い込んでいたかもしれないからだ」

 

「いや、今まで気づかない私がバカだっただけだよ…………………そう、気づかないぐらい、父さんの支えがあった………だから今まで頑張れたんだよ。むしろ、それで駄目だった私のほうが親不孝」

 

私を気遣うように、ある間が言葉を選んでいた。娘にそんなことさせるなんて、私は駄目な父親だ。

 

「ねえ父さん」

 

乃至がちょっと不安そうな顔をしていたが直ぐに取り消して真剣な目で見てくる。

 

「わがままだけど、私はまだ本気でやりたい。アイドルは無理だったけど、アンノイズとして。その為に、今の私だけじゃ限界がある。だから、お願いします」

 

その場で膝をついて床に手をつき頭を下げる。

 

『おとうさん! わたしのゆめはアイドルになって皆をえがおにすることです!』

 

娘は現実を見てる。夢も見てる。本当はやめてほしい。でも、やっぱり応援したくなるのが父親なのかな。

 

「わかった。ただし、次の中間テストで全教科80点以上を取ること!」

 

また乃至は驚いた顔をしていた。それはテストに対してじゃない。わかる、オッケーを出したことに対してだ。

 

ずっと乃至の父親をしてきたからわかる。これを断っても、説得を続けて諦めない。だけど、それを理由にはしない。

 

 

 

「成長したな。乃至」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




乃至「前の父さんなら、ぶん殴ってでも俺を止めたんだろうな」
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