才能無くて首吊ったら美少女に憑依したけどこいつも才能無くて首吊ってた 作:小中高校道徳の成績5でした
ゆっくりと目を開ける。椅子の脚が縦に見える。足から肩まで床に張り付いている感覚がする。と言うことは見えてる椅子は倒れているんだな。
当然か。俺が倒したから。
頭痛がする。首から下が軽く痺れている感覚がある。立ち上がれない事はない。上を見る。
天井に貼り付けられている紐は垂れ下がってはいるが途中で切れていた。
「………あ〜〜」
新品なのにクソみたいな耐久性だな。おかげで
…………今声おかしくなかったか?
「あ〜、あ〜〜〜」
発声練習をする。明らかにおかしい。声が女の子みたく高い。首吊った影響で喉仏が上にいったか?
酷く喉が乾いた。なにか飲もう。とは言っても冷蔵庫の中は殆ど無かった気が、麦茶ぐらいはあるだろ。
痺れで違和感ある体を起こす。
俺の部屋じゃない?
椅子と天井しか見えてなかったが壁にはビッシリとアイドルらしきポスターが所狭しと貼ってある。よく見たら天井にも何か貼った跡があった。ポスターに混じってむしろ白い紙に黒い大きな文字が目立つ。
【目指せアイドル!!】
近くにあったパソコンを開き黒い画面を鏡に自分の姿を見る。思った通りだ。俺は俺じゃなくなってる。映ってるのは女の子だ。
心からおかしく思うよ。小説と同じ事が起きるなんて。だけどつまり俺は無事に曲を完成させることが出来た証明でもある。時間が経っているなら確認の機会が得られることは喜ばしい事だ。
早速確認したい所だがどうせパソコンにはロックが掛かってるだろうから付けるだけ付けて部屋を物色するか。
引き出しの中、カバンをひっくり返し、ベッドの下やタンスの奥に何か隠してないか引きずり出す。目に映るモノ全てに目星をつけて部屋中に撒き散らしともかく漁る。
見つけた学生証やらでこいつの事がわかった。
まあいい。こいつの素性はわかった。次はこいつの生活だ。
【日記】
丸月罰日
今日から本気でアイドルを目指す! だから日記もつけることにしました! まずは体力づくりから! と、思ったけどスマホじゃ動画見にくいな。仕方ない。頑張ろう。夢に向かってファイト! オー!
「中学のときからはじめたのか」
如月缶日
アイドル目指して今日で丁度一年! 頑張ってるね。お父さんも応援してるよ。て、パソコンを買ってくれた! パスワードは私の好きなグループの【消した跡がある】! と、書いちゃ駄目だ。これで大画面で練習ができる!
「死ね。俺はバイトして買ったぞ」
三日月王我日
初めてのオーディション! 〇〇事務所で受けた! とっても緊張したけど楽しかった! 受かってるかな〜。
嘘月火日
オーディション落ちちゃった。悔しいけど「良かったよ。後少しだった」と言われた! ようし! 次も頑張るぞ!
望月茄子日
オーディションまた落ちた。これで5回目。何が駄目なんだろう。どこも後少しだったって言ってくれるけど、何が後少しなの?
〜ここからネガティブが続いた〜
韓月反日
わからないわからないわからないわからない! 何が駄目なの? どうして受からない? どれだけ頑張っても、どれ程受けても、何一つ成功しない! どうして? ダンスだって下手じゃない。先生から太鼓判を押されてる! 歌だって音程も完璧だった! なのになんで!
終月輪日
後少し、何か足りないって言われた。だから聞いてみた。これだけ頑張っても足りないならどうすればよいか。
そんなに頑張ってこれなら残念だけど才能ないよ。
そっか、私、才能無かったんだ。
何日
一緒に目指した友達は全員、どこかの事務所に所属がきまった。私だけだ。
なん日
夢を追いかけるのが辛い。でも辞められない。だって、私はアイドルになりたいから。才能が無くても。
何にち
母親からついに諦めることを提案された。受け入れたくない。でも、私を受け入れてくれる所はない。
私には才能がないから。
無い分何かで埋められれば。
なんにち
どうすれば足りないものを埋められる? どうすれば? どうすれば? 誰に聞いてもわからない。
まだ途中だがもう充分だ。
才能が無くて、代わりを見つけられなくて絶望したんだ。
だがそんな事はどうでもいい。それよりも重要な事が書いてあった。
有名、大手のアイドル事務所が複数日記に書かれていたがどれも聞いたことがない事務所だった。
「ざけるな」
【消された跡】からパスワードを拝借してパソコンに打ち込む。無事にログインできたので検索エンジンで色んな事を調べる。
結論から言えばこの世界は俺の知ってる世界じゃなかった。
ふざけるな。俺の曲はどこにいった。ここが別世界ならそんなものは最初っから存在しない。それどころか合成音声の歌すら存在しない。
【
俺はまた無名だ。俺の曲は消え去った。
そんなのは許さない。
菜野乃至。
才能無いから考えた名前。