才能無くて首吊ったら美少女に憑依したけどこいつも才能無くて首吊ってた   作:小中高校道徳の成績5でした

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何故か設定が出来上がってるはずの智秋のキャラが安定しない。なんで?

馬グレよんでオグリキャップ推しになりました。


掴み

「ふんふんふふーん、ふんふんふふんふふーん」

 

「なんの歌なの?」

 

不意に声をかけられる。振り向くと智秋が気になるご様子でこちらを見ていた。俺の顔が見れたのか笑顔でおはようと言ってくる。

 

良いテンションが一瞬にして下がった。

 

「おはよう」

 

「聴いたことない曲だったけど、題名何?」

 

「○y ○ode。好きな曲」

 

「マイコード、うーん、同じようなタイトル結構あるから短いフレーズしか聞いてないし検索しても見つからなさそう」

 

「ならよかった」

 

「えぇ………にしても、乃至ちゃん機嫌良いね。いつもそんな感じじゃないし」

 

「良いことがあったからね」

 

「どんなこと?」

 

「企業秘密」

 

「企業!?」

 

どんな良いことかと期待して返ってくる言葉を聞こうとしたが教えてあげない。秘密だと。だがそれよりも企業と言う言葉を優先的に反応する。

 

企業って事はバイト? と新たに生まれた疑問をぶつけられる。そんなもんだと返す。

 

朝から練習するアイドル部のなにかのユニット。短い時間の朝練はブースより外のほうが都合が良いのだろうか。何かの曲が流れる。

そのうちの一人がこちらに気づくと智秋さんに声をかける。

 

本場の声を聞こうとするなんてご苦労、努力家な人達だ。

 

「乃至ちゃんもいいかな」

 

「は?」

 

どうして俺に? いや乃至か。

 

乃至に声をかける理由が見つからな………いや、研究ノートの執筆者である乃至はアイドルの知識だけはいっちょまえだ。乃至によって実力を上げたユニットも複数存在する。

 

当然無視しようとしたが、智秋に襟を掴まれる。彼女を睨むと困った顔で、申し訳無さそうにしている。

 

はあ、このやろう。

 

 

仕方無しに練習する子たちの方へ向く。ユニット名は【トウメイダイバー】。結成してから数回学園内で活動を行っていたが、今度初めて一般客(学園外の人)の前でライブをすることになったらしい。それに当たり、より自分達らしさを知ってもらう為にユニット名と同じ曲名を披露したい。だから何か意見を貰えないかとの事だった。

 

 

ようするに【トウメイダイバー】を歌いたいってこと。

 

「うーん、ちょっと難しいわね」

 

智秋の4Season'sは四人の個性が割れている事もあり四季の題材の歌は明確に四人に役割がある。【トウメイダイバー】は全員が全員透けるような歌声の似たような声質なのだ。

 

つまり、自分達を覚えてもらう歌なのに、このままではユニットでしか覚えてもらえない。

 

彼女達は本気で悩んでいた。ユニットらしさは出せても自分らしさを出せないことに。

 

ユニットの個性=一人の個性になる智秋からしてみればなかなか答えづらい。考える仕草をする。

 

「ユニットとしても、個人としても覚えてもらう為の歌………」

 

智秋は考える。期待と緊張を込めた眼差しで見る彼女たち。

 

 

 

答えが返ってくる。予想外だった。

 

「ちょっと欲張りじゃないかな」

 

「欲張り、ですか?」

 

「うん。前提としてその歌はユニットを覚えてもらう。一人ひとりを覚えてもらう。ってことだよね」

 

「はい」

 

「後者は無くすべきだと思う」

 

「ええ?!」

 

彼女達は困惑する。それもそうだ。そもそもの根底が崩れた返し。たとえそれが最善策だとしても、それについて本気で悩んでいた者からすれば酷い理由で、反論もしたくなる。

 

智秋はそれを許さない。

 

「言わば一曲めに聴いてほしい曲。掴みの曲。文字通りにとらえてみて。両手で掴めるモノには限度がある。それなのに一人一人の事も分かって欲しいなんて言ったら、余裕で掴み溢れる」

 

反論できない。できる方法は一つ。それでも覚えてもらいたいと強欲を晒すこと。

 

「なら何を掴ませるか。それはユニットそのものの存在」

 

「そのもの………」

 

「そう、だからこそ一人一人は後回し。ユニットと言うものを大きく見せて、両手で掴んでもらう。名前なんて、後で覚えてもらえばいいの

 

 

相手は何も知らない。どんなユニットか、どんな歌を歌うか。誰なのか。だからこそ、アイドルにとって看板とも言えるのは全体像。その全体像に惹かれて初めて相手はファンになる。ファンになって深く入って初めて名前を知るの

 

いきなり目に入った看板を見ても、店名は覚えられても一緒に記載されている店長の名前なんて覚えられないでしょ」

 

「…………」

 

彼女達の悩みは弾けた。解決したからではなく無くなったから。弾けた先に見つける答え。その道はまだ作られていないが、それは彼女達の技量次第だ。

 

 

「ありがとうございます! 私達は客観的に、考えてませんでした! ファン目線で考えられても、初めての人達の気持ちになれてませんでした! ありがとうございます!」

 

【トウメイダイバー】は頭を下げる。示し合わせた訳でも無いのに声も下げるタイミングも合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掴み…………か。

 

看板になる歌。そう言えば俺はまだそう呼べる歌を作ってない。一番最初に作らなきゃいけないのに。

 

いや、人気になり始めた、話題になり始めた今こそ必要な歌だ。だがそうなるとなかなか思いつかない。俺………アンノイズを背負う歌。

 

 

 

 

 

 

丁度よい。この子達には少し実験に付き合ってもらおう。俺も案を出して、上手く採用されれば俺の作曲の参考になる。

 

幸い、乃至のおかげで話はよく通るみたいだしな。

 

 

 

 

 

 

 

 




オグリキャップを愛でるので投稿頻度落ちます。

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