才能無くて首吊ったら美少女に憑依したけどこいつも才能無くて首吊ってた 作:小中高校道徳の成績5でした
帰ったあと。世の中の仕組みは大体把握できた。幸い今弗愛高校は春休み。ならばすべき事はただ一つ、
パソコンを睨みつける。所詮は安物、どんなに効率化しようともその処理能力は俺が求めているものには到底届かない。
ドラム、ギター、ピアノ、効果音、ベース、その演奏達を音楽ソフトで作っている。
しかし、それを再生すると彼らの音が同時に重なる所で処理落ちが起きて演奏は雑音へと変わる。
それらを防ぐには出力をしてその演奏を保存すれば良いのだが、一度の出力にかかる時間はざっと5分以上。しかも一度保存した奴は調整も変更もできず、するには再度出力する必要がある。
それだけじゃない。出力された音はあまりにも規則正しく一定すぎる。この世界ではボカロPの文化が無いために音楽ソフトも大した調整ができない仕様になっている。用途としてせいぜい作曲するときに演奏する為の基盤程度の用途でしか無い。音階や音量は設定できても強弱はつけられない。
ピアノなんかは一つの一音に一つの弦が用意されてるので単体で鳴らせる。
しかしギターとかは弦は6つしかないので指で抑えたりピックで揺らしたりで音を変えている。しかし、この世界の音楽ソフトは一つの音に一つのプログラム。単体で音が出る仕様なのでピアノなら一つ一つの音が独立しても違和感はないがギターとかはそうは行かない。音が独立してしまえば音階が繋がらないのだ。
ドからレに、ミからファに、まるで切り取って貼り付けたような演奏になる。
ならどうするか。
否。何もしない。
何故なら逆に言えば音が独立した演奏ができるからである。それがつくる違和感、不気味さは初期の合成音声作品においてよくある事だから。そして、それを世界観に落とし込めて作品に仕上げる事がボカロPの腕の見せ所。あちらでは技術が発達してその限りではなくなったが。
だが強弱は必要だ。
全てが一定な曲を聴いたことがあるか? 少なくともそういう意図が無い限りそんなものは存在しない。BGMならあるがこれはあくまでもVocalが要る。サビでの盛り上がりは絶対に必要だ。転調するのもあるが。
今の音楽ソフトじゃ強弱はつけられない。何度も思う。苛つく。だけど方法はない訳じゃない。
別の編集ソフトで音を直接弄る方法だ。MADとかでキャラクターの声などを使って演奏したり歌わせたりするときによく見る方法だ。それで無理やり強弱をつける。
とは言っても任意の音階はあるのでたいして音は崩れない。むしろ電子音が良い味を出してくれる。
だがあまりにも手間だ。
複数のソフトで一度出力したモノを無理矢理弄って再度出力するものだから低スペックのパソコンじゃ時間かかるし途中で止まるし。
死ね!
最初っから完成形が頭に入ってなかったら一夜漬けじゃ済まなかっただろう。
カ〇リーメイトとウイダーインゼリ〇を胃袋に流し込みながら音楽をきく。最終確認だ。
だがこれだけでは終わらない。曲が完成したら次は映像だ。電子音による世界観は実写じゃ合わない。絵を動かした映像がよく使われる。
出来た。
そんなもの世界観にあった一枚絵の静止画で良いや。そんなもん作る技術も外注する金もない。動画作る時間が無い。一枚目で曲の全てを説明する程の絵にするしかない。幸い絵は練習してた時期があった。
ペンタブ無いから書きづらい。
後は歌だけだ。しかし合成音声ソフトが無いから自分で歌うしかない。だが幸い自分の歌は何も見なくても完全に頭に入ってる。しかし家じゃまともなのは撮れない。
レコーディングスタジオを借りよう。乃至の俺がどれだけ声が出るかわからないが日記を見る限り相当努力してきた筈だ。
すぐにノートパソコンを手に取り出かける準備をする。低スペックだが唯一の利点は持ち運べることだ。
レコーディングスタジオに着いて受付を済ませる。
「3時間で15000円です」
「たっけぇ!?」
高校生の財布事情じゃ大金だよ!