とある科学の流動源力-ギアホイール-   作:まるげりーたぴざ

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一一〇話、投稿します。
次は一二月七日火曜日です。


第一一〇話:〈一寸未来〉は希望で満ちて

蒼閃光(そうせんこう)の輝きを放つ柱から莫大なエネルギーが迸っているのを感じ、それがだんだん大きくなって自分たちを呑み込もうとしていると感じた垣根は、林檎を抱き寄せて未元物質(ダークマター)の翼を展開して身を守った。

 

未元物質(ダークマター)の翼を焼き尽くさんばかりの凄まじいエネルギーに対抗するのが精いっぱいで、垣根は何が起こっているか解析できない。

 

それでも垣根は耐え続け、ビリビリと空間が震える中でそのエネルギーが収縮していき、翼の羽根の間から蒼閃光の光が漏れなくなった。

 

そっと垣根が翼から顔を出すと、何の変哲もない学園都市の公園が荘厳な雰囲気に包まれていた。

 

木々が呼応するようにまばゆく輝き、空気が清浄なものに浄化されて透き通っている。

辺りには真珠のように淡い輝きを放つ光の泡と、黒真珠のように(にぶ)い輝きを放つ光の泡が乱立し、きらきらと相乗効果によって煌めいている。

 

 

その中心には、自らの天使を抱きかかえた神が片膝を立てて鎮座していた。

 

 

蒼閃光でできた後光は蝶の翅の翅脈(しみゃく)のように空間に縦横無尽に走っているが、その一つ一つの線は目をこらして見れば、小さな歯車が噛み合うことによりできている線だった。

その小さな歯車は全て連動するように回っており、数万もの歯車の相乗効果によってごうん、ごうんと機械が作動する音のように聞こえて低く辺りに響いている。

 

そして、蒼閃光で形作られた六芒星の幾何学模様の天使の輪は輝きを放ちながら転輪しており、時々ぱちぱちとその表面が不規則に(またた)く。

その天使の輪が浮かんでいる猫耳ヘアに整えられた艶やかな黒髪は色が抜け、()()()()()()()()()()()()()()へと変化しており、この世の人工的な染色では不可能な色味になっていた。

 

極めつけは、そのジャージを着込んだ背中から伸びる五対一〇枚の翼。

 

真守から見て右側の五枚の翼は上から数えて一番目、三番目、五番目が漆黒であり、それ以外が純白の羽根に包まれている。

その反対側の左側の五枚は、上から数えて二番目、四番目の翼が漆黒に、それ以外の翼が純白の羽根に包まれていた。

 

以前真守が広げた三対六枚よりも明らかに量が増えている互い違いの色の翼。

 

醜悪さと荘厳さと神々しさが増した、その翼。

 

その翼を(たずさ)えた真守のエメラルドグリーンの瞳は酷く無機質な輝きを帯びていた。

 

その瞳がゆっくりと垣根を射抜いた。

 

真守の瞳にはいつだって豊かな感情が乗っていた。

それなのにその瞳からは全く感じられない。

 

いつもと違う真守の瞳に射抜かれて、垣根の精神は凍り付いた。

 

何が起きたか理解できない。

先程まで幸せな世界の中にいたはずだ。

だが。──世界はこうも簡単に終わりを告げて、静かに狂い始める。

 

「大丈夫」

 

絶望に落とされた垣根に、真守はそっと声を掛けた。

その声は酷く冷静で、無機質で。そして真守はその声を発してゆっくりと微笑んだ。

 

その微笑みを見て垣根は少し安堵したが、ちっとも大丈夫なんかじゃない。

何故なら真守が明確に組み替えられて、絶対的な力を有しているからだ。

 

「まだ間に合う。だからお願い、垣根。話を聞いてくれないか?」

 

垣根は真守の言葉に顔を悲痛で歪ませながらも、腰を下ろして林檎を抱きしめるのをやめて真守へと近づいた。

林檎もきゅっと垣根のジャージを掴んだまま、、呆然とする垣根を心配しながら真守に一緒に近づく。

 

「俺が…………()()()()()?」

 

自分に声を掛けている時点で真守が自分を認識していることは分かっている。

それでも問いかけなければ垣根はやっていけなかった。

 

真守は垣根のことを無機質な瞳で見つめながらも目を細めて笑う。

 

それでも垣根は目の前で起こっていることに呆然としてしまう。

 

「分かる。大丈夫だぞ。少し感情が希薄になっているだけだから。制御権は私の手の内にあるから問題ない」

 

垣根は真守から大丈夫と聞かされてもどうすればいいか分からなくなってしまう。

 

感情が希薄になっているということは、真守の存在が確実に組み替えられている証拠だ。

 

垣根がそっと真守へ手を伸ばそうとした瞬間、学園都市を(おお)っていた厚い雲から突如ゴロゴロと雷が鳴り響く。

 

垣根は身が怖気(おぞけ)だつほどの威圧感を覚えてバッと空を見上げた。

 

 

次の瞬間、公園の近くに建っていた『窓のないビル』を凄まじい雷撃が包み込み、地面を揺らすほどの落雷を叩き落とした。

 

 

空気を裂く音と共に落雷が『窓のないビル』に落ちたことにより、『窓のないビル』を煙が包み込む。

煙が黙々と上がる中、『窓のないビル』の壁面がバチバチと青白い閃光を迸らせるが『窓のないビル』は無傷で建っていた。

 

「……なッ!?」

 

垣根は『窓のないビル』が核の直撃にも耐えることができる建材によって作られていると知っている。

だからこそ、あの凄まじい雷撃が振りかかっても変わらずにそこに建っているのだと推測できた。

だがそれでも驚かない理由にはならない。百聞は一見にしかずと言うが、見るのと聞くのでは明確に違うのだ。

 

「あの建材。雷撃に最適な振動を当てて威力を相殺したのか」

 

垣根は呆然と『窓のないビル』を見上げていたが、真守の何の気もなさそうな声を聞いてハッとして真守を見た。

 

「真守、何が起こっているか分かるんだな? だったら説明してくれ。どうすればお前を助けられる? ……それとも、もう無理なのか?」

 

垣根は絶対能力者(レベル6)になった者は世界の真理を知る術を握った者だと真守から聞かされている。

そのため今の真守ならば何が起こっているか分かるはずだとして、垣根は真守に問いかけた。

 

「まず、結論から言う」

 

垣根は真守の言葉に心臓が握り潰される思いだった。

手遅れと言われたら一体どうすればいいか分からないからだ。

 

「私は絶対能力者(レベル6)進化(シフト)していない。未だ途中の状態だ」

 

「……途中?」

 

垣根が問いかけると、真守は薄く頷く。

 

「流れからしてみるに、おそらくミサカネットワークに何者かがウィルスを打ち込み、ミサカネットワークの力を暴走させている。その暴走がAIM拡散力場に影響を及ぼしてるんだ。深城はAIM拡散力場を自分の体としているし、私は深城と特殊なパスで繋がっている」

 

真守はそこで言葉を切って冷静に、ここからが重要だとして続きを(つむ)いだ。

 

「だからAIM拡散力場である深城を通して、私もミサカネットワークの暴走に巻き込まれたんだ。だから私は暴走しないために()()()()()()ここまで自らを組み替えた」

 

「ミサカネットワークの暴走がAIM拡散力場を媒介にしてお前に……?」

 

真守は垣根の困惑している様子を無表情で見つめながら、コクッと頷いた。

 

「どうやらミサカネットワークはAIM拡散力場に干渉するために作られたネットワークらしい」

 

「どういうことだ?」

 

最終信号(ラストオーダー)入力装置(コンソール)として造られたのも、ミサカネットワークを媒介にしてAIM拡散力場を意図的に操作するためだ。ミサカネットワークも、お前のネットワークも能力を媒介にしているからAIM拡散力場に干渉できる。ここまでは分かるか?」

 

「……ああ。AIM拡散力場を利用してるなら、そこからAIM拡散力場にハッキングする形で干渉することは確かにできるな」

 

真守から自分の作った人造生命体群のネットワークとミサカネットワークが同質であると今一度はっきりと聞かされて、垣根はこれまで真守から伝えられた情報を(もと)に疑問を口にする。

 

「だったらどっかのクソ野郎が最終信号(ラストオーダー)にウィルスを打ち込んだのか? ……つーことは、一方通行(アクセラレータ)が無力化されたのか?」

 

現在、打ち止め(ラストオーダー)一方通行(アクセラレータ)と共に入院しており、いつだって打ち止めの隣には一方通行がいる。

 

ミサカネットワークに代理演算を任せているのと、タイムリミットがあると言っても一方通行(アクセラレータ)は強い。

そう簡単にやられない相手がやられたかもしれないという事態に垣根が危機感を覚えていると、真守は首を横に振った。

 

最終信号(ラストオーダー)にはウィルスを打ち込まれていない。精神干渉系能力者がやったことだ」

 

「その根拠はなんだよ?」

 

真守の即答に垣根が問いかけると、真守はつらつらと説明する。

 

「精神干渉系能力者ならば、ネットワークを形作る能力者が人間だから精神面を媒介にして干渉できる。ミサカネットワークの流れにずっと()()()()()を感じるから、精神干渉系能力者がやったことに間違いはない。……でも、腑に落ちないことがある」

 

「それは?」

 

「ミサカネットワークを洗脳するなんて人間である能力者ができることじゃない。この学園都市の精神干渉系能力者の頂点に立つ精神掌握(メンタルアウト)ですら、こんな方法でミサカネットワークに干渉することなんてできない。だから何か絡繰りがあるはずだ」

 

「……精神掌握(メンタルアウト)が裏で糸引いているわけじゃねえってことか?」

 

垣根は超能力者(レベル5)元第五位、現第六位である常盤台中学所属の精神干渉系能力者の最高位に位置している食蜂操祈について思い出しながら問いかける。

 

「うん。もしかしたら利用されてるかも」

 

「……ミサカネットワークの暴走でAIM拡散力場が影響を受けた。AIM拡散力場を自身の体として認識している源白は自身の体をかき乱されたから気絶した。で、お前はそんな源白の本体とパスを繋いでいるから暴走に巻き込まれた。……媒介媒介っつってもまさかここまで影響が出るってことは……ミサカネットワークは相当強力で危険なものなんだな」

 

垣根が真守から聞かされた情報を簡潔に言葉に表すと、真守はコクッと頷いた。

 

「それでここからが本題。ミサカネットワークが暴走させられて生み出されたチカラ。これを注ぎ込まれ続けている人間がいる」

 

「人間、だと? ……まさか、さっきの落雷……御坂美琴か!?」

 

垣根が驚愕する前で、真守は再び頷く。

 

「そう。美琴は今、絶対能力者(レベル6)へと強制的に進化(シフト)させられようとしている」

 

「……待て、御坂美琴は確か絶対能力者(レベル6)進化(シフト)する前に肉体と精神が崩壊するんじゃなかったか? そいつが絶対能力者に仕立て上げられるってことは……」

 

垣根は以前に『絶対能力者進化(レベル6シフト)計画』の資料を真守から見せてもらったことがある。

そこには超能力者(レベル5)全員が絶対能力者(レベル6)へと到達できるかが書かれており、美琴は確か絶対能力者になる前に精神と体が崩壊して到達不可能とされていたはずだ。

 

それを思い出して垣根が問いかけると、真守は無機質に光る瞳で事実を淡々と告げた。

 

「このままいけばあの子は壊れる。そしてあの子が壊れるのと同時に、この学園都市が地図から消えることになる」

 

「……そんなイカれた実験しようってヤツは、木原しかいねえな」

 

垣根の呟きに、林檎がビクッと肩を震わせた。

木原相似に改造されたことがある林檎は木原一族が怖い。

そのため恐怖している林檎を垣根はそっと自分の体の側面に抱き寄せると、その背中を撫でて安心させる。

 

「とりあえず、ミサカネットワークの暴走をどうにか抑えればいいんだな?」

 

「うん。早くしないとあまりいいことにはならない」

 

「……これ以上の何が起きるってんだ」

 

先程から真守の言葉一つ一つが、垣根にとって不穏なもので、聞かされたら聞かされただけ垣根の中で背中に嫌な感覚で駆け抜けていく。

真守だって本来ならば自分と同じように恐怖を感じているはずだ。

だがそれでも真守は冷静で淡々としており、何なら余裕を感じていそうだ。

どうやら絶対能力者(レベル6)へと限りなく近付いたことによってあらゆることが手に取るように分かる万能を手に入れたからだと、垣根はなんとなく理解したくなくても理解できた。

 

「美琴と私は今、共鳴関係にあるんだ。つまり美琴の暴走状態がこのまま続き、絶対能力者(レベル6)へと徐々に近づいて行ってしまえば、私も釣られるように進化させられる。──結果、絶対能力者が二人生まれることになる」

 

「…………共、鳴?」

 

垣根が真守の言葉に思わず(うめ)くが、真守は再び淡々と頷いた。

 

「どちらにせよ、学園都市が地図から消えることには変わりない。それに私は安定して絶対能力者(レベル6)へと進化(シフト)できるけど、美琴は半分くらいで人格が別次元のものへと変質してしまう。あの子がこの世のものではなくなる前に、どうにかしないといけない」

 

真守が危機的状況だと告げるので、垣根は顔を悲痛で歪ませながらも息を一つ吐いて、冷静さを取り戻そうとしつつ問いかける。

 

「今、御坂美琴の進化(シフト)がどこまで行ってるか分かるか?」

 

「ほんの数%程度」

 

「……分かった。行くぞ、真守」

 

早くどうにかしないといけない。

そうしなければ真守も御坂美琴も遠くへ行ってしまい、本当に戻れなくなる。

それに。

真守が絶対に全てから守りたいと願っている源白深城が自らの手の中でぐったりと気絶しているのに、不安な顔一つしない真守なんて見ていたくない。

 

「垣根、ちょっと待って」

 

「……なんだ?」

 

垣根が歯噛みしていると、真守が無機質な瞳で自分をじっと見上げてくるので、垣根はその瞳を一瞬見た後、見たくなくてすぐに()らして答えた。

 

「聞いて」

 

それでも真守がきちんと聞いて欲しいと訴えてくるので、垣根は真守に目を合わせる。

綺麗で澄んだエメラルドグリーンの瞳だった。

つい先ほどまで、そこには確かな感情の(いろど)りが見えていた。

それなのにその瞳には何も浮かんでいない。

垣根の胸が苦しくなる中、真守はそっと口を開いた。

 

 

「垣根への、気持ち。消えてないんだ」

 

 

真守のその一言に、垣根は息を呑んだ。

 

そうだった。

この少女は自分への気持ちが消えてしまうから想いを口にすることなんてできないと思っていた。

一緒にいても生半可な覚悟では一緒にいられなくなることを知っていて、真守は深城以外の人間に歩み寄ろうとしなかった。

 

自分が絶対能力者(レベル6)へと進化(シフト)して、人間を大事にできなくなったらどうしよう。

 

その恐怖にずっと(さいな)まれてきていたのに、今のところ感情が希薄になっただけで、あらゆるものを見据えるようになっただけで。

 

朝槻真守が誰かを想う気持ちは──消えていなかった。

 

「私、まだ垣根のことも。深城のことも他の人たちの事も大切に想えている。これなら少し希望が持てる。だから、良かった」

 

真守はそこで薄く、本当に薄く目を細めた。

垣根は深城を抱き上げている真守の両肩にそっと手を置いて俯く。

 

「………………何も」

 

垣根はまだ感じられる真守の体温を感じながら、(うめ)くように告げる。

 

「何も良くない。お前が怖い思いしてんのに、その怖い思いすら希薄になってんのに何もいいことなんてねえよ。……感情が希薄になってるって時点で、お前が自分が組み替えられたと自覚している時点で、何もいいことなんてないんだ……、」

 

垣根はゆるく首を横に振ってから真守の顔を見た。

エメラルドグリーンの瞳が少しだけ感情によって揺らいでいる。

それが見られただけで垣根は少しだけ安堵できたが、それでもすぐに逆になおさら切なくなって目を細めた。

 

「……………………でも、良かった……」

 

垣根は真守の肩に触れたまま心の底から安堵した。

真守はそんな垣根を見上げて柔らかく微笑を浮かべた。

 

「うん。垣根の恋人だって気持ち、消えてない。だから、大丈夫。……、垣根。こんな私でも愛してくれる?」

 

「当たり前だろっ!?」

 

垣根は真守の問いかけにカッとなって声を荒らげた。

 

「お前は俺の女だ! ずっと俺のモンだったが、やっと昨日俺のモンだって言える関係を築いたんだ! ……お前を……お前みたいな存在が……昔から……」

 

垣根はそこで言葉を切ってから怒鳴るように悲痛な叫びをあげた。

 

 

「昔から俺は、心の底からお前みたいなかけがえのないヤツがずっと欲しかった!!」

 

 

研究所時代に自分にとってかけがえのない命が自分の手から(こぼ)れ落ちていってしまった。

それからずっと、自分は大切な存在を作ってもこの悪意に満ちて、悲劇を(こととごと)く生み出す学園都市から守り抜くことなんてできないと思っていた。

 

この世界が自分勝手ならば、自分も自分勝手にしよう。

全部を利用して、自分の思い通りに生きよう。

 

そう思っていた。

そう思うしかできないように選択肢を奪われていたのだろう。

 

でも。

真守に会って。真守が笑いかけてくれて。真守がなんでもできると言ってくれたから。

だからもう大切な存在を作っても大丈夫だと、自分は何をしても守り抜けると。

信じることができた。真守が信じさせてくれた。

 

ずっと、一人で生きてきた。

ずっと、一人だった。

ずっと──辛いと知らないまま辛い思いをしていた。

 

それが真守と出会って、真守を大切に想ってしまって。

そして誰かにそばにいて欲しいと、ずっと思っていたのだと思い知らされた。

自分が知らない内からただただ欲していた存在が目の前にいる。

 

「やっと手に入れたんだ!! お前が人間じゃなくなったくらいで手放せるわけねえだろ!?」

 

きっと自分は大切なものを作って弱くなってしまったのだろう。

今まで一人で生きてこられたのに、大切な存在である真守がいなければ生きていけなくなってしまった。

真守だけじゃない。真守の周りにいて、自分に笑いかけてくれる人たちがいなくなったらきっと生きていけない。

 

もう一人では生きていけない。

だから──絶対に目の前の存在を手放したくない。

 

何があっても。

どうなっても。

もうなんでもいいから。

どうしても一緒に──いたかった。

 

「うれしい」

 

自分の情けない叫びに、真守は確かに幸せそうに笑ってくれた。

垣根はそれに胸が張り裂けそうになる。

それでも真守が笑って自分のことを想ってくれるから、垣根はまだ大丈夫だった。

 

「うれしいって思えるから、まだ大丈夫」

 

『まだ大丈夫』

その言葉が酷く悲しいけれど。

 

「……、真守。……愛してる」

 

垣根はそっとまだ自分のことをきちんと想ってくれている真守の頬へ手を添えて愛を告げる。

 

「ありがとう」

 

真守はすり、と垣根の手の平に頬を摺り寄せて垣根を上目遣いで見上げた。

その表情は垣根に触れてもらえたと、心の底から幸せそうな表情をしていた。

 

「私も垣根のこと、だいすき」

 

真守がふにゃっと笑うので、垣根は目を細めて肩から力を抜いた。

 

そして真守にそっと優しいキスをした垣根は、決意を固めて真守を見た。

 

 

「行くぞ真守。……全部、──救ってやるから」

 

 

大切な女の子の全てを奪わせないために。

大切な女の子の守りたい全てを守るために。

垣根帝督は行動を開始した。

 




自分の思いの丈を、真守ちゃんに垣根くんがぶつける回でした。
そして少しずつ絶対能力者(レベル6)に近づく真守ちゃん。
ついに五対一〇枚まで来ました。
後何枚増えるか……お気づきの方もいらっしゃると思いますがお付き合いください。

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