とある科学の流動源力-ギアホイール-   作:まるげりーたぴざ

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第三話、投稿します。


第三話:〈久方騒動〉の予感がする

真守はデパートで買い物をしてから垣根と一緒に、第八学区のとあるビルの最上階にある『スクール』のアジトに来ていた。

 

『スクール』とは、垣根帝督が率いていた学園都市の統括理事会直轄である暗部組織の名前だ。

 

学園都市から離反したり、暗部組織が一方通行(アクセラレータ)の手によって解体されたり様々なことがあって組織的な権限はもうないのだが、構成員は暗部組織として活動していた時と同じ四人構成だ。

 

暗部組織として機能しなくなっても彼らが『スクール』という枠組みを保っているのは学園都市から離反したからという理由もあるが、大きな理由は朝槻真守のおかげだ。

 

真守のことをなんだかんだで気に入っている心理定規(メジャーハート)

能力を向上させてくれた恩人であり、友人として真守のことを大事に想っている弓箭猟虎。

誉望万化に関しては垣根に逆らえない立場にいるという大きな理由もあるが、それでも真守に能力を十分に発揮できる戦術を教えてもらった。

そして垣根帝督にとって真守は恋人であり、大切な女の子だ。

 

真守によって強い結びつきが生まれた『スクール』。

 

そんな『スクール』のアジトに入ると、構成員である誉望万化が頭に土星の輪のようなゴーグルを装着した状態で真守と垣根を待っていた。

 

「お疲れ様です」

 

「情報は集まってるか?」

 

垣根が問いかけながらソファに座ると、誉望は頷いた。

 

「ハイ。今お持ちします」

 

誉望が去っていく中、真守は垣根の隣にちょこんと座る。

垣根は真守が隣に座ったと同時に足を組んで、忌々しそうにため息を吐く。

 

「ったく。それにしてもムカつくな、アレイスターの野郎。暗部組織の権限が無くなった俺が秘密裏に調べて突き止められるくらいだ。()()()()()を隠すつもりなんてないらしい」

 

「わざと隠してないんだと思うぞ」

 

真守が自分の髪の毛を()きながら告げると、垣根は怪訝な顔をした。

 

「隠してたらその技術がアレイスターにとって重要なものだとバレてしまう。だからわざと扱いをぞんざいにしているんだ」

 

「……そういうモンか?」

 

「うん。そういうもの」

 

垣根の問いかけに真守はコクッと頷く。

 

朝槻真守は学園都市の手によって作り上げられた絶対能力者(レベル6)だが、その本質は別にある。

 

ここではないどこかの世界。

そこで息づく形のない『何か』たちに必要とされて、神として祀り上げられたのだ。

その『何か』には形を与える必要がある。それだけでは力の塊でしかないからだ。

 

垣根帝督はその『何か』に形を与えることができる未元物質(ダークマター)を生み出せる。

 

だからこそ垣根帝督は朝槻真守に出会うことが運命づけられていて、そしてそこに統括理事長、アレイスター=クロウリーが変に介入したから面倒なことになってしまったのだ。

 

だがアレイスターは元々複数のプランを並行して進めており、いつでもスペアを作るようにしている。

 

そのためアレイスターは垣根に何があっても大丈夫なように、垣根の未元物質(ダークマター)に代わる技術を数種類用意しているはずなのだ。

 

自分の代わりとして用意されていた技術に興味がある。

 

そのため垣根は自身の配下でネットワークに強い誉望にここ数日『新しいものを生み出す』技術を片っ端から調べさせていた。

 

対して垣根がいればそんな技術に興味がない真守は誉望を待っているのが暇なため、ごろっとソファに寝っ転がった。

そして垣根が未元物質(ダークマター)で造り上げた人造生命体のカブトムシを呼びよせて遊んでいた。

 

垣根はパタパタと足を振る真守の短いセーラー服のスカートに自然と目が行く。

 

嫌な予感がした垣根は次の瞬間、ぴらっとスカートをめくった。

 

途端に(あら)わになるやたら大事な部分を隠す布が少ないレースの黒の紐パンツ。

 

しかもいつぞやのようにお尻の割れ目が少し見えているわけではなく、がっつり半分くらい見えている。

 

「!」

 

スカートをぴらっとめくられた真守は体をびくんと跳ねさせながら起き上がり、垣根を見上げて顔を赤くしてしかめる。

 

「恋人でも人のスカートを突然めくるのはどうかと思うぞ」

 

「今はそんな文句聞いてる場合じゃねえ。お前どうしてスパッツ穿いてねえんだよ!!」

 

朝槻真守は超能力者(レベル5)であり絶対能力者(レベル6)であるため、空を飛ぶなんてお手の物だ。

本人も移動のために空をよく飛んでいる。

当然のことだが、空を飛べばスカートの中は丸見えである。

 

だが真守はまったく気にしない。垣根がいつ注意しても『自信のない下着を穿いてないから大丈夫』と言うのだ。

 

何が好きで自分の女が下着を大衆に見せびらかすのを黙認しなければならないのか。

 

そのため再三に渡って垣根はスカートの下にスパッツか超電磁砲(レールガン)娘のように短パンを穿けと言っているのだが、真守は嫌だとはっきり拒絶する。

 

恋人がいちいち下着のチェックをするのもどうかと思うが、自分のパンツを見られることに何の抵抗もないこの女の場合は絶対にチェックしなければならないと垣根は思っていた。

 

だがすっかり忘れていた。

 

垣根が自分の失態に顔を歪ませていると、真守はスカートを持っている垣根の手をぺいっと猫パンチするように叩いた。

 

「垣根のえっち」

 

「うるせえスパッツ穿けっつってんだろォが!!」

 

「やだ」

 

真守は断固拒否して猫のように軽やかに身を(ひるがえ)し、ソファから降り立って垣根と距離を取る。

 

「待て真守! お前いまがっつり見えたぞ!!」

 

「今のはわざとだ」

 

「わざとすんじゃねえ!!」

 

垣根はパンツを見せびらかすかのように駆けていった真守に怒鳴り声を上げる。

その時、丁度誉望が部屋に入ってきた。

 

「誉望。垣根がセクハラしてくる」

 

真守は誉望のことを味方に付けようと、タイミングよく部屋に入ってきた誉望に近づく。

 

「セクハラですか?」

 

「うん。突然スカートぴらっとめくってきたんだ。セクハラだろ?」

 

「……………………垣根さん」

 

誉望は真守から垣根にされたセクハラについて聞いてドン引きの目で垣根を見ると、垣根は誉望のことをギッと睨みつけた。

 

「そいつがスパッツ穿かねえから怒ってんだよ!!」

 

「スパッツ?」

 

垣根の怒りを聞いて女子の下着にあまり詳しくない誉望が小首を傾げると、真守がぷんぷん怒って誉望へと抗議する。

 

「垣根、スパッツ穿けってうるさいんだ。別に見られても構わない下着穿いてるから大丈夫なのに」

 

「見られても大丈夫? そんな種類の下着があるんスか?」

 

誉望がきょとんとして聞いてくるので、真守はスカートに手をかけ、ゆっくりとたくし上げながら頷く。

 

「別にそういうの穿いてないけど、私のは自信があるから見られてもだいじょ、」

 

「オォイ真守! 誉望に見せようとするんじゃねえ!!」

 

それ逆にセクハラだぞ! と垣根が怒鳴ると、真守は持っていたスカートを渋々と降ろす。

 

思春期男子的には女子の下着を見たい欲があるが、それでも上司の恋人なんで見たらマズいことになるだろ、と誉望は考えながらも思わずドキドキしてしまっていた。

 

そして真守が垣根に『ちょっとした冗談だ』と言ってブチ切れられて頬をつままれる様子を、色んな意味でドキドキヒヤヒヤしながら見ていた。

 

 

 

――――――…………。

 

 

 

「ベースセル、汎用性人工素体。新造細胞技術……ふーん、結構あるんだな」

 

垣根は誉望が持ってきたタブレット端末に入っている、自身の代替技術である人体の細胞に用いることができる技術の一覧を見つめながら一人呟く。

 

「他にもインディアンポーカーとして情報が保存されているものがあるそうです。そちらの準備は間に合いませんでしたが、必要であれば取ってきます」

 

誉望が進言すると、垣根は怪訝な顔をした。

 

「あ? ……ああ、インディアンポーカーか……」

 

インディアンポーカーとは他人が見た夢を体験できるという代物であり、既存の玩具を組み合わせて作り上げることができたカード状のものだ。

 

その仕組みはカード表面のフィルムをめくって封入されているアロマ成分を漂わせたまま眠りにつくことで、そのカードに封入された夢を見ることができるのだ。

 

九月の後半から一〇月中旬まで流行っていたものだったが、垣根が片手間に調べたところ、どうやら食蜂操祈と御坂美琴が共同して事態の収拾を行ったらしかった。

 

インディアンポーカーに苦い思い出がある垣根が顔をしかめていると、そんな思い出を知らない誉望が首を傾げた。

 

「? 何かありますか? 『ピンセット』の時に役に立ちましたけど」

 

『ピンセット』とは超微粒物体干渉吸着式マニピュレーターのことで、真守の居場所を『滞空回線(アンダーライン)』というナノデバイスから情報を得るために『スクール』が求めた代物だ。

 

その『ピンセット』の情報がインディアンポーカーに封入されていたため、インディアンポーカーが『ピンセット』入手の時に役に立ったことを誉望は言及したのだ。

 

「うるせえなんでもねえよ」

 

垣根がクワッと怒りを向けると、誉望はびくびくしながらも指示を仰ぎ見た。

 

「そ、そうですか。……で、どうしますか? 必要ならばインディアンポーカーの回収に向かいますが」

 

「そうだな。頼んだ」

 

「分かりました。では個人サーバーに保存されている情報についても回収しておきます」

 

誉望は垣根の指令を実行するために、情報を集めるためのサーバーがある部屋へと引っ込む。

垣根は誉望が持ってきた情報を読みふけっていたが、真守が自分のことをじぃーっと見ているのに気が付いて顔を上げた。

 

「なんだよ、真守」

 

垣根が怪訝な表情をして真守を見ると、真守は膝に乗せたカブトムシの背中を撫でながら、ぽそっと呟いた。

 

「飼いネコメイド」

 

「ぶっ!? テ、テメエなんでソレ知ってやがる!!」

 

垣根は真守の口から飛び出した言葉にあからさまな動揺を見せる。

 

飼いネコメイドとは、多角スパイで真守のクラスメイトである土御門元春が送ってきたインディアンポーカーの一枚に入っていた夢の内容だ。

 

その夢とは飼いネコメイドという猫人種(?)にされた猫耳と尻尾を生やした真守が垣根に飼われており、メイド服を着てにゃあにゃあ言って甘えてくるというモノだった。

 

あの時土御門が『朝槻の情報が入った大事なカードだぜ』と言って渡してきていたので、垣根は飼いネコメイド以外の得体の知れないシチュエーションのインディアンポーカーも複製してあった。

 

廃棄するわけにもいかないため、それらはすべて封印したはずだ。

 

インディアンポーカーの苦い思い出になったそれを何故真守は知っているのだろうか。

 

「土御門が教えてくれた。垣根に私のインディアンポーカー渡したって」

 

垣根が疑問に思って顔を引きつらせていると、真守はけろっとした表情で答えた。

 

「あのクソ野郎……!」

 

「他にも私の首にリードつけてお散歩できるのとか、何故か水着着た私にマッサージしてもら、」

 

「うるせえそれ以上言うんじゃねえ!!」

 

垣根は真守がどう扱われているか恐ろしくて飼いネコメイドのインディアンポーカー以外見ていない。

それなのに真守の口からどんなシチュエーションの内容だったか告げられて、垣根は思わず顔を赤くして叫ぶ。

 

「かわいかったか?」

 

真守がコテッと可愛らしく小首を傾げて聞いてくるので、垣根はそれを無視してタブレットを睨みつけるように内容を頭に入れていく。

 

確かに飼いネコメイドの真守は可愛かったが、当時は真守が自分のそばにいなかったのもあって、夢から覚めたら現実に真守が近くにいないことを強くに認識してしまい、とても悲しかったのを垣根は覚えている。

 

真守は当時のことを思い出して少しだけ苦しそうにしている垣根を見て、能力を開放した。

 

蒼閃光(そうせんこう)で作られた三角形を猫耳ヘアの上に一つずつぴょこっと、そしてセーラー服のスカートの上からぴょいんと尻尾を模した四角いタスキのような帯を現出させる。

 

「にゃあ、ご主人。真守のこと好きか?」

 

「ヤメロ!! 能力開放すんじゃねえ! 猫撫で声出すんじゃねえ!」

 

垣根が叫ぶと、真守は垣根の視線の先で右手を猫の手のように構えてコテッと可愛く小首を傾げ、そして尻尾をぴょこんと動かした。

垣根はそんな真守の破壊力抜群のかわいさにやられてウッと(うめ)く。

 

朝槻真守が性癖と言っても過言ではない程に傾倒している垣根はグラッと精神が揺さぶられてしまうが、次の瞬間真守の膝の上にいたカブトムシが淡々と告げた。

 

垣根帝督(オリジナル)

 

「あ?」

 

『第二二学区の地下街で大規模戦闘です』

 

垣根が声を上げるとカブトムシが淡々と告げたので、垣根は顔をしかめた。

 

「……情報寄越せ」

 

垣根はぴょこぴょこ尻尾を揺らす真守のことを視界の端で忌々しそうに捉えながら、カブトムシが作り上げるネットワークに接続して情報を受け取る。

 

「狙われてるのは金髪の幼女と大男か。男の方は身のこなしが武装無能力集団(スキルアウト)っぽいな。それを追ってんのは駆動鎧(パワードスーツ)……コイツは流用だな。ロシアの雪原で使われることを想定されてやがる」

 

「緋鷹に聞いてみよう」

 

真守は垣根の呟きを聞いてポケットから携帯電話を取り出す。

真守がこれから連絡を取る少女のフルネームは八乙女(やおとめ)緋鷹(ひだか)

霧ヶ丘女学院の生徒で先見看破(フォーサイト)という未来予知系の能力者だ。

絶対能力者(レベル6)となって学園都市に狙われることになった真守を(かくま)った『(しるべ)』という組織のトップで、真守のことを自らの神さまと仰ぎ見る少女だ。

 

「もしもし緋鷹?」

 

真守が電話をすると、ワンコールで彼女は出た。

 

〈あら。あなたから電話を掛けて来るなんて珍しいわね。どうしたのかしら、真守さん?〉

 

「上層部が何してるか教えて。どうして金髪幼女と大男をロシアで使おうとしていた駆動鎧(パワードスーツ)で攻撃してるのか」

 

〈……こちらでも帝兵さんで確認したわ。すぐに調べるわね〉

 

帝兵さんと緋鷹に呼ばれたのは垣根が未元物質(ダークマター)で造り上げたカブトムシのことで、真守が勢いで『垣根帝督(提督)が作った兵隊さん』を縮めて名付けた名前だ。

どうやら緋鷹はそばにいた帝兵さんの一体に事情を軽く説明されたらしい。

 

「フレメア=セイヴェルン……?」

 

真守が緋鷹と連絡を取り終えて携帯電話を片付けていると、垣根がぽそっと呟いた。

 

「誰だ?」

 

真守が問いかけると、垣根は顔をしかめた。

 

「あの金髪の幼女の名前だ。カブトムシ(端末)のログをさらって確認した。……フレンダ=セイヴェルン。今狙われてるのは、あの暗部抗争で死んだ元『アイテム』のフレンダ=セイヴェルンの妹らしい」

 

真守は垣根の言葉を聞いて目を見開く。

 

「妹?」

 

「……ッチ。なんでアイツの妹が狙われてんだ? 姉の代わりってことか?」

 

フレンダ=セイヴェルンは『スクール』と『アイテム』が戦ったことで死んでしまった少女だ。

あの時、人的被害を最小限に抑えようと動いていた垣根だったが、フレンダ=セイヴェルンの命だけはどうにもできなかった。

何故なら垣根はフレンダに『闇』から足を洗うように忠告して見逃したからだ。

そんなフレンダの命を奪ったのは、仲間の麦野沈利だった。

 

「垣根」

 

真守はゆらゆらと蒼閃光(そうせんこう)でできた尻尾を揺らしながら垣根の頬に触れる。

 

「……なんだよ」

 

「垣根が苦しんでるのが哀しい」

 

垣根は自分の頬を撫でながら自分の気持ちを告げる真守を見て、顔を歪ませた。

垣根帝督はフレンダ=セイヴェルンを死なせてしまったことを気にしている。

 

だがどうやったってあの戦いを引き起こさなければ良かったという選択肢はない。

 

何故ならあれは垣根帝督が朝槻真守を取り戻すための戦いだからだ。

人的被害を最小限に抑えたことでさえ、褒められるべきものである。

 

しょうがなかった。あの流れを誰も変えることはできなかった。

だがそれだけで全てが済ませられるわけがない。

だからこそ真守は、決意のこもった瞳で垣根を見上げた。

 

「垣根は心苦しく思わなくていい。大丈夫。私が全部責任を取るから」

 

「……お前だけが責任取ることねえ」

 

垣根は真守が自分の頬に添えた手をぎゅっと握る。

 

「俺も一緒に責任を取る。お前の全部は俺のモノだし、そんで俺の全部はお前のモノだからだ」

 

真守は垣根に微笑み、そしてぎゅっと垣根に抱きしめた。

 

「一緒に分かち合っていこうな、垣根」

 

垣根は目を細めると、真守のことを優しく抱きしめ返した。

真守は垣根の背中を撫でながら告げる。

 

「緋鷹がすぐにでも情報を集めてくれる。でもそれまでにフレメア=セイヴェルンが死にそうになったら、帝兵さんで守ってくれるか?」

 

「ああ、そうだな。『(しるべ)』の方から上層部に圧力かけられるかもしれねえし、それが最善だな」

 

真守がコクッと頷くと、垣根は真守の小さな体を感じながら微笑む。

 

「ありがとな。真守」

 

垣根がお礼を告げると、真守は垣根の胸へとすりすりと頬をすり寄せながら柔らかな微笑を浮かべた。

 

「大丈夫だ、垣根。私だって垣根にいつも助けてもらってる。だから垣根はちょっとくらい私に甘えたっていいんだぞ?」

 

「…………いつだって俺はお前に甘えてるよ」

 

垣根は真守のことを優しく抱き寄せながら微笑む。

 

「いつだってお前は、俺のことをちゃんと見てくれてる」

 

朝槻真守は出会った時からずっと、自分のことを優しい人だと言ってくれていた。

優しかったことなんて、そんな温かいものが自分の中にあったことなんて過去のことだ。

それでも朝槻真守がありのままの自分を見てくれるから、だから様々なしがらみから解き放たれることができたのだ。

 

「お前が信じてくれるから、俺はお前に無条件で甘えられるんだ」

 

真守は自分のことを壊れ物のように扱ってくれる垣根にすり寄って微笑む。

 

「えへへ。なんかとっても照れてしまうな」

 

真守が幸せを感じてはにかむと、垣根は真守の柔らかな命を感じて目を細めた。

 

(くっ……入りづらいし羨ましい…………ッ!!)

 

そんな真守と垣根を見ていたのはもちろん『スクール』のアジトにいる誉望万化で、誉望は『リア充死すべし慈悲はない』と静かに歯ぎしりしていた。

 

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