とある科学の流動源力-ギアホイール-   作:まるげりーたぴざ

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第四一話、投稿します。
※次は少しお休みをいただきまして、八月二五日木曜日更新予定です。


第四一話:〈親愛存在〉の興奮と収束

AIMジャマーによるAIM拡散力場の乱れと、薬味久子という異物混入で意識を失っていた源白深城。

無事に目を覚ました深城は真守たちが帰ってくるのを待っており、幼女真守の姿を見た途端に顔を輝かせた。

真守と垣根の、想像通りである。

 

「いやあああああああ何この真守ちゃぁあああん!!!!」

 

今の幼女の姿をした真守は深城ほどではないにしろ、誰もが愛らしいと思うのは当然だった。

ぷくぷくとした頬にあどけない表情。そして柔らかで小さな肢体。

それに加えてヘーゼルグリーンの瞳が可憐だし、真っ白で猫耳ヘアに結い上げられた髪の毛はふわふわとしてて、見るからに触り心地が良さそうなのだ。

 

そんな誰もがかわいいと思う今の真守に、真守大好き人間である深城は興奮したまま即座に詰め寄る。

真守は詰め寄ってきた深城へと、垣根に抱き上げられたまま小さい手の平を向けた。

 

「みしろ。おちつ、」

 

真守は深城に冷静になるように告げるが深城は真守の言葉を途中で(さえぎ)り、垣根から真守を強奪して大きく(かか)げる。

 

「真守ちゃんかわいい!! 何コレ何コレ!! あたしが気絶している最中に何があったの!? かわいい!! かわいいぃぃぃうおおおおおおお!!」

 

興奮のあまり、何故か雄たけびを上げる深城。

そんな深城に高い高いをされた状態の真守は、小さなおててとあんよを重力に逆らわせることなくぷらーんと垂れ下げ、観念したように口を開いた。

 

「もう、すきにしたらいいと思う……」

 

「かわいいっかわいいよ垣根さん! 真守ちゃん一生このままでいいよね!?」

 

深城が興奮した様子で告げると、垣根は即座に声を荒らげた。

 

「いいわけねえだろ、そんなちっこい真守! 俺が抱き上げなきゃよちよち歩きしかできねえんだぞ!」

 

真守の現在の体は元々実験的に造られたため、あらゆる細胞が未成熟のままである。

そんな未成熟の体を真守は能力を駆使してなんとか頑張って動かしているのだが、頑張っても足取りがふらふらとおぼつかないのだ。

だから垣根は『博覧百科(ラーニングコア)』に真守を連れて行きたくなかったのだが、幼児真守を放っておくわけにもいかずに連れて行ったのだ。

 

垣根がそのことについて言及(げんきゅう)すると、深城は顔を輝かせた。

 

「えーよちよち歩きしかできないのぉ!? かわいい!! もう一生このままでいい!」

 

深城はきゃーっと歓喜の悲鳴を上げて、幼女真守のぷくぷくとした頬に優しく頬ずりをする。

 

「だからダメだっつってんだよ!! 真守の人権考えろ!!」

 

「でもでも垣根さん! この状態の真守ちゃんだったら勝手にどっかに行かないよ!?」

 

「……、」

 

垣根は深城の言葉に思わず無言になる。

確かにこれだったら真守は自由にどこかに行くことができない。

手元で愛でておくことができる。

 

しかも真守が自分の顔に似せて肉体を整えたことによって、真っ白だとしても垣根は自分の知らない真守の幼少期を見ているようなのだ。

 

真守は深城に揺らがされている垣根を見て、小さい拳を振り上げてぷんぷん怒る。

 

「おいかきね、ちょっと揺らぐな。このからだのわたしとえっちがしたいのか! ろりこんかおまえ!?」

 

「!! よくねえ!! 源白、真守を返せ!! 早く元に戻す!!」

 

真守とそういうことが致せないのは大問題だ。

垣根は真守を取り戻そうとするが、深城は真守のことを抱き上げたまま叫ぶ。

 

「いやあああちょっとだけ、ねえちょっとだけこの状態でいさせてええええお願いぃぃぃ!」

 

深城が真守のことを絶対に離さないと叫ぶので、垣根は苛立ちを込めて顔を歪ませる。

 

いつもなら泣かしてでも言うことを聞かせる垣根だが、深城に対しては大きく出られない。

深城には絶対に勝てないと、垣根は理解しているからだ。

 

真守は自分のぷくぷくとした頬に深城が頬をすり寄せてくる中、完全に死んだ目をしていた。

 

「みしろ。まだあとひとつ、しまつが終わってないからあとにして……」

 

「! じゃあじゃあそれが終わったらぎゅってして、なでなでしてぇ、すりすりさせてくれる!? それで一緒にお風呂に入ってぇ髪の毛乾かしてぇ、あ! 先にお夜食食べさせてあげた方が良いよね!?」

 

「うんわかったからおねがいはなして……」

 

やったぁぁぁ!! と叫ぶ深城を前にして垣根は今一度思う。

 

やっぱり源白深城には誰も勝てない、と。

 

 

 

──────…………。

 

 

 

「こっちの方に飛ばしたんだけどな」

 

元の体に戻った真守は、第一三学区の路地裏に戻ってきて辺りを見回していた。

 

「ここに濃淡コンピュータの技術を代わりに使える気体や流体が本当にあるのか?」

 

垣根は真守と同じように、普通の裏路地と変わらない辺りを見回して呟く。

薬味久子は濃淡コンピュータの理論をAIM拡散力場に当てはめていた。

だが真守がフレメアの力を借りて弾き飛ばした時、他の流体力学の何かに当てはめて自身の存続をしたと真守は感じたのだ。

 

力を封じられていたとしても、朝槻真守は流れを読むことに長けている能力者だ。

だから確実にこの路地裏辺りに薬味久子の存在は飛んだはずなのだが、気配が全くない。

 

「真守ちゃん」

 

真守と垣根が辺りを見ていると、暗い方から声がして振り返った。

 

「クロイトゥーネ?」

 

真守が振り返ると、そこには白いワンピースのフロイライン=クロイトゥーネがいた。

 

「どうした。()()()()()()()()()?」

 

真守がクロイトゥーネの傷一つない体を見てすぐにそう告げると、クロイトゥーネは嬉しそうに笑った。

 

「大丈夫です。問題なし」

 

真守が齧られたと言ったのだから、垣根はクロイトゥーネが本当に何かに齧られたのだろうと、理解する。

そんな垣根の前で真守はクロイトゥーネの前で腰を下ろし、目線を合わせてクロイトゥーネの頬に触れる。

 

「二つ星。不味くはなかったです」

 

「もしかして薬味久子の存在情報を食べたのか?」

 

真守がクロイトゥーネが何をしたか即座に理解して問いかけると、クロイトゥーネは頷いた。

 

フロイライン=クロイトゥーネは真守が方向性を調整したとしても、本来の機能として情報を食べることができる。

 

おそらくクロイトゥーネは、流体力学に当てはまる何かを自身の体とした薬味久子の情報を食べたのだろう。

 

「お仕置きしました。私の友達を傷つけた、お仕置き」

 

「お仕置き?」

 

真守が問いかけると、クロイトゥーネはコクッと頷いた。

 

「長い長い時間をかけて、本当に自分を見つめることができたなら、その時は最後の一切れも食べてあげる。そう約束しました」

 

どうやらクロイトゥーネの説明を聞くに、薬味久子がこれ以上悪さできないように彼女を弱体化させるために薬味久子の存在情報を食べたらしい。

だが食べられることすら、薬味久子にとってはさらなる高みへと臨めるものだった。

それを与えるのは(しゃく)だったため、クロイトゥーネはわざと思考が少しだけできる状態で食べ残したらしい。

 

「偉いぞ、クロイトゥーネ。殺すのは良くないからな」

 

「えっへん。真守ちゃんに教えてもらいましたから。命があれば何度だってやり直せるって」

 

真守に褒められたクロイトゥーネは得意気に胸を張る。

そんなクロイトゥーネを真守が頭を優しく撫でると、嬉しそうに目を細めた。

真守がクロイトゥーネの頭を撫でていると、垣根は甲斐甲斐しい真守に声を掛けた。

 

「薬味久子の件は大丈夫って事だな」

 

「うん。これでおおよそ問題は片付いたな」

 

真守はクロイトゥーネのことを抱き上げて、垣根へと近づく。

垣根はそんな真守を見て、気がかりなことを口にした。

 

「お前の避難先を作れたのは良かったが、AIM拡散力場経由以外の枷についてはどうしようもねえな」

 

「うん。枷は私に認識できないものだからな、使われてみないと分からない」

 

真守は肩をすくめながら、それでも微笑んで垣根を見上げた。

 

「垣根が用意してくれた避難先の体をきちんと整備しておけば、後手だとしても対処可能だから大丈夫だろう。私のこの体を縛ることができても、垣根の造ってくれた体は縛れない。行き当たりばったりになるけど、対処できるだけマシなものだな」

 

真守は今回の騒動で自分たちに穴があると知った。

色々対策を構築しなければならなくなったが、とりあえず自分たちに穴があると知ることができて良かった。

そんな真守をクロイトゥーネが不安そうに見た。

 

「真守ちゃん、傷つけられました。大丈夫?」

 

「うん、大丈夫だぞ。クロイトゥーネも傷ついたのにありがとう。とても助かった」

 

「えへ。真守ちゃんのためになれてうれしい、です」

 

真守は柔らかく微笑むと、クロイトゥーネの顔に掛かっている髪の毛を優しく撫でる。

そしてクロイトゥーネのことを抱き直すと、垣根の事を見上げた。

 

「帰ろう、垣根。深城がお夜食用意して待ってくれてる」

 

真守が声を掛けると、垣根は頷く。

 

そして三人は後始末を終えて、帰宅した。

 

 

 

──────…………。

 

 

 

夕食、というか時間的に真守の言う通りに夜食の後。

真守は二階のラウンジのソファの上に座って、自分の膝の上に乗せた垣根帝督が未元物質(ダークマター)で造り上げた幼女真守の体に干渉しながら目を細める。

 

今の内に体を調整しておく必要があるのだ。

 

真守が自分の使いやすいように避難先の体を組み上げ直していると、トコトコと林檎がやってきた。

 

「朝槻」

 

「林檎。どうした?」

 

真守が声を掛けると、寝る準備が万端になっているパジャマ姿の林檎は手に持っていたマグカップを真守に渡してきた。

 

「お疲れ様」

 

真守がマグカップを受け取ると、中にはホットミルクが入っていた。

 

「ありがとう、林檎」

 

真守は自分の隣に座った林檎に目を向けて微笑む。

 

「この朝槻、私より小さくてかわいいね」

 

林檎は上機嫌で、幼女真守のぷくぷくとした頬をぷにぷに触りながら告げる。

真守は林檎の上機嫌ぶりを見て、ムッと口を尖らせる。

 

「……随分と嬉しそうだな」

 

「嬉しい。かわいい。朝槻、とってもかわいかった!」

 

真守は柔らかく微笑んだ林檎を見て、微妙な気持ちになる。

どうやら林檎は自分よりも小さい真守が大変気に入ったらしい。

真守は自分の新しい避難先になる体を落とさないように、ゆっくりとホットミルクを飲む。

 

すると真守を見習って、林檎もこくこくとホットミルクを飲んだ。

真守はマグカップから口を離して、林檎を見て告げる。

 

「牛乳ひげついてるぞ」

 

林檎は真守に指摘されて、舌で器用に舐めとって微笑んだ。

 

「ねえ、朝槻。今度ちっちゃい朝槻と一緒に色んなところ行きたい」

 

「ええー……。この体、少し成長させようと思ったのに。それはダメなのか?」

 

「絶対だめっ!」

 

真守は林檎に断固反対されて、顔をしかめる。

 

「……小さい姿だと、確かに色々得があるけど……でもなあ」

 

幼女というのは、無条件で誰もが優しくしてくれる存在だ。

避雷針に突入した際も真守の姿を見て警備員はほっとしていたし、信頼を即座に得られるのは良いことだ。幼女の姿をしている役得というものである。

 

(でも一五歳なのにわざわざ人を(あざむ)いて幼女の姿をするのって、計算ずくで気に入られようとするあざとい女みたいじゃないのか?)

 

真守がしかめっ面のまま心の中で呟いていると、上条と連絡を取っていた垣根帝督がやってきた。

 

「真守。上条に後始末終えたって伝えたら、詳しい話を聞きたいっつってたぜ。どうせお前明日見舞いに行くだろ。だから明日話すって言っといた」

 

「ありがとう、垣根」

 

真守が自分の肩に柔らかく手を置いてきた垣根に感謝すると、林檎は垣根に視線を寄越した後、真守を見た。

 

「朝槻のクラスメイト、また入院してるの?」

 

林檎が首を傾げるので、真守は頷く。

 

「あいつは生身で戦ってるからな。生傷が絶えない。──そういえば垣根、浜面や黒夜も同じ病院にいるんだよな?」

 

「ああ。多分な」

 

真守が垣根に聞いて垣根が答えると、林檎は目を(またた)かせた。

 

「あの子もケガしたの?」

 

真守と垣根は二人して林檎を見て微笑む。

 

「気になるのか?」

 

真守が問いかけると、林檎は頷いた。

 

「うん。黒夜海鳥って子。一緒だったから。あんまり話したことないけど……でも、気になる」

 

黒夜海鳥と杠林檎は同じ『暗闇の五月計画』の被験者だった。

 

絹旗最愛もそうだが、彼女たちは被験者が暴れたことで計画が失敗に終わった後、散り散りとなっていた。

 

あの研究所では、多くの子供が使い潰されていた。

だから他人の命なんて気にしている余裕なんてなかった。

それでも林檎は今は亡き流郷知果に、優しくされたことを覚えている。

 

「あの時は優しくできなかったけれど、いまは大事にしたいって思うの」

 

林檎は真守と深城と、そして垣根と共に過ごした生活の中で、心にゆとりができた。

だから、今なら自分の気持ちを黒夜に伝えられると思う。

そう考えた林檎の頭を、真守はマグカップを垣根に渡してから優しく撫でた。

 

「行こう、林檎。自分の気持ちを伝えに」

 

真守が柔らかく告げると、林檎は幸せを感じて儚い笑みを浮かべた。

 

 

 

──────…………。

 

 

 

次の日の昼過ぎ。

浜面仕上が第七学区のマンモス病院にて車椅子の黒夜海鳥と休憩スペースで話をしていると、上条当麻に声を掛けられた。

 

「よお」

 

「……なんていうか、お互い酷いことになったな」

 

浜面と黒夜に比べれば上条はそこまでではないものの、やっぱり怪我を負っていた。

だが上条当麻は慣れている様子で、柔らかく笑った。

 

「生きているだけでもマシな方だよ」

 

浜面がその言葉に苦笑していると、新たな人物が加わった。

 

「上条」

 

「朝槻! よかった、ちゃんと戻ったんだな!」

 

上条は大切な友達である真守を見て、明るい声を上げて笑った。

 

「戻った?」

 

浜面は上条の言葉を聞いて首を傾げる。そんな浜面の横で、黒夜は目を丸くしていた。

 

真守が(かたわ)らに林檎を連れてきていたからだ。

かつて一緒に『暗闇の五月計画』という被検体になっていた少女。

林檎は真守のそばから離れると、テテテーッと走って黒夜に近づく。

 

「ん」

 

そして一つ(うな)って、手に持っていたフルーツの籠を黒夜の膝の上に置いた。

 

「…………私に、…………?」

 

膝の上に乗せられたお見舞いの品に黒夜が戸惑っていると、林檎は柔らかく微笑む。

 

「うん、お見舞い」

 

林檎がにこっと笑うので、黒夜は戸惑ってしまう。

 

黒夜海鳥は、フレメア=セイヴェルンを殺したという汚名をサイボーグの恋査に負わされそうになっていた。

 

そして巻き起こった戦闘。

その時共闘まがいになっていた浜面仕上のことを信じられずに、黒夜は反撃のチャンスをふいにしてしまったのだ。

 

この世界にも、踏みにじってはならない淡い光のようなものがあった。

それが浜面仕上で、黒夜はそれを踏みにじったことを後悔した。

そして全てが終わって。黒夜海鳥は信じたいと思った。

浜面仕上だけでもいいから、信じてみたいと。

 

だが。

かつて共に地獄の底にいた少女も、自分へと淡く光り輝くものを手渡してくれるらしい。

 

黒夜はその優しい温かなものに柔らかく笑うと、滑らかな手つきでフルーツの籠に触れた。

腕だけが滑らかに動くのは彼女が腕をサイボーグ化しているからだ。

 

自分が劣等感を抱いて捨てた腕で。

温かかった物を捨ててしまった手で。

黒夜海鳥は林檎からの優しさを受け取った。

 

「………………ありがと」

 

黒夜が柔らかく微笑むと、林檎はにぱっと笑顔を見せた。

 

「うん。お医者様から聞いた。少し長引くって。何かあったら呼んでね。手伝いに来るから」

 

林檎が柔らかく告げると、黒夜はそっぽを向く。

 

「……両手が動きゃ入院生活で困ることはない。全身も後遺症が残らないって話だ。けど………………時々、話し相手になってくれると嬉しい」

 

「分かった」

 

上条たちは黒夜の変化に首を傾げていたが、真守だけは微笑を浮かべていた。

 

「なあ。結局、今回の件はどうなったんだ?」

 

真守は薬味久子と恋査が起こした『人的資源(アジテートハレーション)』プロジェクトと、その真の目的にも関わる濃淡コンピュータについての説明を簡単にした。

 

そして事態は収拾し、コストの関係で学園都市に一体しかいない、恋査の中身として使われていた視床下部だけにされた人々も垣根が現在進行形で助けようとしていること。

 

濃淡コンピュータに自らを落とし込めた薬味久子も、フロイライン=クロイトゥーネの協力があって弱体化させることができたと真守は説明した。

 

真守の説明が分かりやすく、浜面も上条も納得いった様子だった。

 

それと真守は幼女になった理由と自分が学園都市によって施されたあらゆる枷と、その対策についてもきちんと考えていると話した。

 

だが真守は垣根がカブトムシのネットワークの強化をして、その他に濃淡コンピュータという技術を未元物質(ダークマター)に活用しようとしていることは浜面たちに伝えなかった。

 

今でさえ垣根は軍勢を率いることができているのに、さらにパワーアップしようとしているなんて浜面が知ったら戦々恐々とすると思ったからだ。

 

「後始末は大体終わったし、対策もした。だからお前たちはケガを治すことだけを考えていてくれ。大丈夫だから」

 

真守が心強い言葉を伝えると、上条が顔をしかめた。

 

「でも何かあったら俺も手伝うから、言ってくれ」

 

「第一位や第三位に手助けは要らねえと思うが、世話になってるからな。できることがあったら言ってくれよ」

 

上条と浜面は真守に強大な力があるのを知っている。

それでも二人は真守のことを大切な一人の少女として見て、助けようとしてくれる。

 

「ありがとう」

 

完成された人間だとしても、どこにでもいる普通の女の子として見られるのは幸福な事だ。

真守がお礼を言うと、二人は柔らかく笑った。

 

「よお。話は終わったか?」

 

垣根は遅れてやってきて、談笑している真守たちに声を掛ける。

 

「うん。垣根は先生と話は終わったか?」

 

真守が問いかけると、垣根は「一応な」と頷く。

 

垣根は恋査を動かすために視床下部にされた人間について、冥土帰し(ヘブンキャンセラー)と話をしていたのだ。

 

『無限の創造性』を持つ垣根帝督でも、流石にリハビリやその後については医療専門の冥土帰し(ヘブンキャンセラー)に相談するべきだと思ったのだ。

 

カエル顔の医者と垣根が何を話していたのか気になった浜面仕上と上条当麻は、垣根へと声を掛ける。

 

二人と垣根が話す姿。

良く見る光景となったがその様子を見られるのが真守は嬉しくて、ふふっと小さく笑いながら見守っていた。

 

そして黒夜は人を気遣う気持ちが理解できるようになったため優しく微笑み、林檎もそれが嬉しくて小さく笑みを浮かべて話をする垣根を見ていた。

 




『人的資源』プロジェクト篇、これにて終了です。
次回から、世界終焉篇が始まります。
この辺りからオリジナルのタイトルになりますが、お楽しみいただければ幸いです。
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