とある科学の流動源力-ギアホイール-   作:まるげりーたぴざ

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第五五話、投稿します。
次は一〇月二〇日木曜日です。


第五五話:〈平穏休日〉を迎えて

学校が終わった放課後。

真守と垣根は第六学区の商業施設で待っていた深城と林檎、そして白い少年へと合流した。

 

明日は休日だ。

そのため今日はみんなで第六学区にあるホテルに泊まり、朝を迎えたらホテルから直通で遊園地に行って遊びまくる計画なのだ。

 

ちなみにフロイライン=クロイトゥーネはこの場にいない。声を掛けると、『後で会いに行きます』と言っていた。

 

「待たせてごめんな」

 

真守は深城たちに謝って、深城が抱き上げている白い少年を受け取ろうとする。

だが深城は真守の行為に、ふるふると首を横に振った。

 

「あたしが抱き上げておくからいいよ、真守ちゃん。その代わり、林檎ちゃんと手ぇ繋いであげてくれる?」

 

「いいのか?」

 

真守はコテッと首を傾げて問いかける。

 

「だいじょぉぶだよ。それにちんまりした真守ちゃんはそれなりに大きい子を抱えるのは大変でしょ?」

 

「その言い方はちょっと気になるけど……ありがとう、深城。──セイ、深城の腕の中で大人しくしてるんだぞ」

 

真守は深城の腕の中でちまっとしている真っ白少年に声を掛ける。

ズボンタイプのセーラー服を着ている彼は、真守を神として必要とした存在だ。

世界が何度も再構築されたとしても変わらなかった人間の本質、人間の生きる意志を体現した存在である。

 

「朝槻真守に言われなくても大人しくしているぞ。源白深城はほどよく身長が高くてふわふわしてるから、抱かれ心地最高だしな」

 

少年は深城のたわわに実った胸にくっついたまま、満足そうに告げる。

真守はそれを見て、ムッと顔をしかめた。

 

「……私だって別に貧相じゃないのに」

 

真守は自分の胸を見つめながらぼそぼそ呟く。

確かに深城に比べたら真守の方が小さいが、真守の胸は女性の理想の大きさであり、それなりに大きい。ただ深城と比べたら劣るだけで、決して貧乳ではないのだ。

 

「そもそも私の身長は日本人女性の平均より一センチ大きいんだぞ。ほどよい高さなのは私の方だ、深城が大きすぎるんだ。……深城だって昔はあんなにちんまかったのに、私より背が大きくなるなんて……」

 

真守は自分よりも身長が五㎝強は大きい深城を見上げる。

垣根は半ば睨んでいるような真守を見て、ふと気が付いたことを口にした。

 

「そういや昨日食蜂操祈と会って思ったけど、お前って交流がある超能力者(レベル5)の中で一番小さいよな」

 

一方通行(アクセラレータ)、御坂美琴、何度か会ったことがある麦野沈利。そして食蜂操祈、大覇星祭の時に共闘した削板軍覇。ついでに垣根帝督。

御坂美琴と真守は二、三㎝の差だが、それでも超能力者(レベル5)の中で真守が一番小さいのだ。

 

「むぅ。学園都市の子たちだけで平均身長出したら、外の子供たちよりちょっと大きいんじゃないのか? 技術が発達してるから、それなりに栄養とか豊富だし……」

 

真守は自分の身長の事を思って顔をしかめる。

 

「……今からでも身長伸ばそうかな」

 

絶対能力者(レベル6)である朝槻真守にできないことはない。

そのため真守が身長を伸ばすことを本気で検討しているのを見て、垣根はため息を吐く。

 

「身長はいいから。まずは肉を付ける努力をしろ、肉を」

 

真守の伯母であるアシュリン=マクレーンを見れば分かるのだが、真守の家系は胸も身長もそこまで大きくなる方ではなかった。

それなのに真守は身長を平均まで伸ばし、胸を理想的な大きさにまで成長させたため、必然的に自然的にはありえないアイドル体型となったのだ。

 

元々スレンダーな家系だから、真守も例に漏れず足はほっそりと、そして触れれば折れてしまいそうな腰つきをしている。

しかも本人があまり食に貪欲ではないため、簡単に肉が付かないのだ。

大切な女の子が触れれば壊れてしまいそうなのは、垣根にとっては心配なことこの上ない。

 

「……確かに男の子はちょっとふくよかな方が柔らかくていいし、細いと心配になるって聞くけど……垣根もそうなのか?」

 

真守は雑誌で読んだ知識を思い出して、垣根を見上げる。

すると垣根は心配から、真守のことをじろっと睨んだ。

 

「俺が言ってるのはそういうことじゃねえよ、お前が細すぎることに問題があるんだ。ついでに言わせてもらえば、今のお前でも十分柔らかいからな」

 

「むう、分かった。ちょっと気を付けてみようと思う」

 

先日。食蜂操祈と話をして、食生活にもっと気を使った方がいいと真守は感じた。

そのためきちんと栄養学を学ぼうと一区切りつけると、真守は林檎に向き直った。

 

「では林檎。ハンドクリーム買いに行くか」

 

「うん」

 

林檎はキラキラと目を輝かせて頷く。

 

一端覧祭の前日。

真守は林檎に好きな匂いのハンドクリームを買うと約束してあり、今日この商業施設でその約束を果たそうとしているのだ。

そもそも遊園地に行くのは真守が九月三〇日、絶対能力者(レベル6)進化(シフト)する直前に林檎と約束したことだったので、一端覧祭の時の約束も一緒に果たそうというわけである。

 

「行こう、朝槻」

 

真守が頷いて林檎に手を差し出すと、林檎は嬉しそうに真守の小さな手を握った。

その様子を見ていた垣根は何気なく真守を見た。

 

「そんなチマチマしたモン買わないで香水の一つでも買ってやっていいんじゃねえの?」

 

「確かにそうだな。でも林檎はまだ小さいし、コロンが良いかな」

 

真守が垣根の言い分を聞いて提案すると、林檎が首を傾げた。

 

「コロンって何?」

 

「香水の種類の中で一番濃度が薄いものだ。すぐに匂いが消えるけど、それくらいが丁度いいだろ」

 

真守が説明すると、林檎は目を輝かせる。

 

「欲しい! 垣根と朝槻みたいな匂いでいっぱいになりたい!」

 

垣根は林檎が自分たちの香りが全力で好きだと言っているのを見て、柔らかく笑う。

 

「俺と真守の香水はまったく違うから。混ぜるとセンスが悪いって笑われるぞ」

 

「そうだな。林檎の気に入るものを買えばいい。──垣根。行こうか」

 

真守が林檎の手を引いて歩き出そうとすると、林檎は真守の隣に立った垣根を見上げた。

そこでちょっと考えた林檎は真守から一度離れて真守と垣根の間に入る。

そして林檎は真守と垣根と、二人といっぺんに手を繋いだ。

 

「真ん中」

 

林檎が満足したように真守と垣根と手を繋いで告げると、真守は小さく笑って垣根は呆れたまま、それでも柔らかく笑った。

 

そうして真守たちは明日から休みで夜更かししても問題ない、金曜日の夜を満喫すべく歩き出した。

 

 

 

──────…………。

 

 

 

学園都市でも有数の高級香水店。そこに真守たちは来ていた。

 

真守も垣根も超能力者(レベル5)だ。

そして真守なんかはイギリス貴族の傍系でもあるため、それ相応のモノを身に着けることができるし、身に着けなければならないのだ。

 

真守たちはテーブルに座り、タブレット端末で香水を選んでいた。

端末で申請すると、テスト用の香水が持ってきてもらえる仕組みである。

しかもこの店のコンセプトはゆったり香水を選べる空間を提供するというものであるため、真守たちはテーブルに座って飲み物片手にタブレット端末を見ていた。

 

真守はタブレット端末を操作しながら、ふと思い出したことがあって林檎を見た。

 

「そういえば林檎。お前は以前、お菓子みたいな良い匂いが歯科医からするって言ってたよな。そういうのが好きなのか?」

 

真守が持ってきてもらったオレンジジュースを飲んでいた林檎へと声を掛けると、林檎は満足そうにオレンジジュースを飲み込んで思案顔になる。

 

「んー甘いのもお花のも好き」

 

「ふむ。じゃあ花で甘い匂いのするものを選ぶか」

 

真守はタブレット端末をイジッていると、それを横から見ていた垣根が口を出した。

 

「リンゴの花なんてどうだ? ぴったりだろ」

 

垣根が提案すると、コテッと林檎が首を傾げた。

 

「? 私?」

 

「ちげえよ。果物のリンゴのことだ。お前がよく食べてるリンゴ飴のリンゴだよ」

 

垣根が呆れて告げると、林檎は首を傾げた。

 

「果物も香水になるの?」

 

真守は食べ物が香水になるのが不思議そうな林檎を見て微笑む。

 

「果物からも香料はきちんと取れる。林檎系は爽やかなのに甘酸っぱくて、男女問わず人気があるんだ。花とも相性が良いし、とてもいいと思うぞ」

 

真守はタブレット端末を操作してリンゴの香水を選びながら、深城に声を掛ける。

 

「深城は何か欲しいものあるか?」

 

「あたしは真守ちゃんの気に入る香水を、ちょっと借りるだけでいいから別にいいよぉ」

 

真守はタブレット端末から顔を上げて深城を見る。

 

「お前は私の匂いがだいすきだからな。ちょっとは自分の好きな匂いも探せばいいものを。──垣根は何か欲しいものあるか?」

 

「お前の好みの香水がいいから、俺に合いそうなのをいくつか頼め。俺はお前が選んだのがつけたい」

 

真守は垣根のオーダーを聞いて、むーッと珍しく悩んだ表情をする。

 

「私はそもそも垣根の匂いが好きだから、香水はどれでもいいんだよなあ」

 

「あ? 俺の匂い?」

 

垣根は真守の言葉に目を瞬かせる。

人間にはもちろん体臭があり、その体臭によく合っている香水を選ぶなど相性を考えなければならない。

だが真守は垣根の元々の匂いが好ましいものなのだ。そのため垣根がどんな香水をつけようと、大抵許せるのである。

垣根はふーんと感心しながら、真守の髪を一筋掬って手元で遊ばせる。

 

「そういや良い匂いがする異性とは遺伝子的に一番遠い存在だとかで、相性がいいって話を聞いたことがあるな」

 

「うん、そういう話もあるな。その人間とは子供を作っても大丈夫だってことで、安心できる良い匂いだと感じるらしい。ちなみに遺伝子的に近い兄妹や両親なんかは普通なら本能的にちょっと嫌だなって感じるから、匂いが好みではないのだとか」

 

垣根は大層ご機嫌な様子で、真守の黒髪をさらさらと触る。

 

「体の相性ばっちりなのは、そこら辺もあるかもな」

 

「……えっちな方向に考えないで」

 

真守はじとーっと垣根の事を見上げた後、垣根の香水を慎重に選ぶ。

真守が香水を店員が持ってくるのを待っていると、ココアを飲んでいた真っ白少年こと人間の生きる意志を体現した存在、セイが口を開いた。

 

「気になったのだが、垣根帝督」

 

「あ? なんだよ」

 

「私はどんな匂いがする?」

 

垣根が怪訝な表情をする中、真守は少年の首筋に鼻を近づけてスンスンと匂いを嗅ぐ。

 

「垣根の匂いに近い気がする」

 

「俺の匂い? それ俺の匂いじゃなくて未元物質(ダークマター)の匂いだろ。つーか未元物質(ダークマター)に匂いってあるはずないけど……?」

 

垣根が首を傾げていると、真守は少年の首筋から顔を遠ざけて思案する。

 

「なんか、こう。それでも垣根に近い匂いがする。垣根がこの子の体作ったからじゃないのか?」

 

少年は小さな腕を組んで、真守の感じたことをそれなりに真剣に考察する。

 

「むーん。垣根帝督の体は未元物質(ダークマター)をあの世界から呼び込むことで天使の体に近くなっているからな。この体もそのようなものだから、同じ匂いなのかもしれない」

 

「なるほど。垣根やお前の匂いは未元物質(ダークマター)そのものの匂いじゃなくて、天使の肉体に限りなく近づいているから似たような匂いがするということだな」

 

垣根は真面目に議論している真守と真っ白少年を見ながら肘をついて、ぽそっと呟く。

 

「……本当にそういうモンなのか? イマイチ実感ねえけど」

 

垣根が呟く前で、真守はココアを飲んでいた少年のことを抱き上げて膝に乗せると、後ろからぎゅーっと抱きしめる。

 

「まあ事実、垣根とセイの匂いは似てるってことだな。良い匂い」

 

真守が嬉しそうにスンスンと少年の匂いを嗅いで微笑んでいると、少年は少し迷惑そうな顔をした。

 

「くすぐったいぞ、朝槻真守」

 

少年が顔をしかめる中、垣根もムッと顔をしかめた。

 

「ソイツの匂い嗅ぐために顔近づけるんじゃねえ」

 

真守は嫉妬している垣根を見て、少年の首筋に頬を寄せる。

 

「なんで。垣根と同じ匂いで良い匂いしてるって言ってるんだから、別に良いだろ」

 

「いいわけねえだろ。さっさとソイツの首から顔を離せ、もっと顔を近付けてんじゃねえ!」

 

垣根は真守の膝の上から少年を抱き上げて、元の席に戻す。

 

「相変わらず独占欲が強いな、垣根帝督」

 

真守は少年がジト目をする中、大きく頷いてため息を吐く。

 

「本当にな。器の小さい男め」

 

真守がじろっと拗ねている垣根を睨むと、少年は真守を見上げて首を傾げる。

 

「でもそんな垣根帝督を朝槻真守は愛しているんだろう?」

 

「う」

 

真守は自分を神さまとして必要とする少年に直球で聞かれて顔を固まらせる。

答えないといけない雰囲気になった真守は、顔を俯かせながらもぽそぽそと告げる。

 

「………………だいすき」

 

真守は恥ずかしそうにしながらも自分の気持ちを正直に喋る真守を見て、深城は顔を輝かせる。

 

「かわいいっ。真守ちゃんかわいいっ」

 

深城は席から立ち上がると真守にぎゅーっと抱き着いて、すりすりと頬をすり寄せる。

深城に好き勝手される中、真守は恥ずかしそうに低く唸っていた。

拗ねていた垣根はその様子を見て柔らかく笑うと、気を取り直す。

そして店員に持ってきてもらった香水のテスター用品を手に取って真守に手渡し、みんなで林檎にぴったりな香水を選び始めた。

 

 

 

──────…………。

 

 

 

高級香水店で香水を買った真守たちは少しだけ他の店を回って、レストランで夕食を食べた。

心理定規(メジャーハート)に教えてもらった本格的なフレンチの店で、もちろん垣根が真守に食べさせても問題ないと考えたレストランだ。

 

「ふふー。料理、とってもおいしかった」

 

真守は満足そうにお腹を撫でながら微笑む。

絶対能力者(レベル6)へと至って内臓器官の退化が問題なくなった真守だが、そう簡単に縮んでいた胃が大きくなってたくさん食べられるようにはならない。

それでも前よりも食事を楽しめるようになったのは事実だ。だから満足感でご機嫌になった真守は垣根を見上げた。

 

心理定規(メジャーハート)がおすすめしてくれたお店、とってもよかったな。なあ垣根?」

 

真守が薄いお腹をさすりながら垣根を見ると、垣根はぶすっとむくれていた。

 

「そーだな。外の食材使ってる本格派だからうまかったな」

 

ツンッとして完全に拗ねている垣根帝督。

真守はそんな垣根を見上げながら、するっと垣根の手に自分の指を絡めた。

 

「垣根。そんなに気にしなくていいと思うぞ」

 

「何も気にしちゃいねえよ。なんか文句があるのか」

 

垣根はじろっと真守を睨んで、噛みつくように告げる。

 

「気にしてるだろ。スーパ・ロワニョン・グラティネって言えなかったことが本当に嫌だったんだろ」

 

真守がぽそっと告げると、垣根は片眉を跳ね上げた。

スーパ・ロワニョン・グラティネとはフランス料理の名前で、オニオングラタンスープのことである。

垣根は真守が明確に言葉にしたので。ぎゅぎゅーっと真守と繋いでいる手に力を込める。

 

「痛いよ、垣根。前言えなかったブフ・ブルギニョンがちゃんと言えるようになってたから、よかったじゃないか」

 

「テメエはいちいち俺の神経逆なでしてくるんじゃねえよ」

 

垣根は真守と繋いでいた手を離すと、思いきり真守の両頬を思いきり引っ張る。

 

「へう。ふぁひね(かきね)わらひへつに(わたしべつに)おひょふってないほ(おちょくってないぞ)

 

「話題に出すだけでおちょくってきてんだろうが、ああ?」

 

真守がきちんと話せなくても何を言っているかよく分かる垣根は声を荒らげると、ぎりぎりと真守の両頬を引っ張る。

その様子を見ていた深城に抱き上げれられた白い少年は呟く。

 

「……垣根帝督って舌ったらずなんだな」

 

深城の隣を歩いていた林檎は、白い少年の言葉に頷く。

 

「垣根。私の名前も噛んでた。朝槻の名前も噛んだんだって」

 

「ほう。源白深城はどうだったんだ?」

 

白い少年が問いかけると、深城はくすくすと笑って告げる。

 

「あたしの名前は言いやすいから特に問題なかったよ」

 

深城たちがのほほんと会話している中、真守は垣根から解放されて痛む両頬を押さえる。

 

「うぅー……垣根のそんなところも私はだいすきなんだぞ」

 

「うるせえもう喋んな」

 

完全にへそを曲げた垣根を見上げた真守は顔をしかめる。

 

「垣根」

 

真守は垣根の服の裾をちょんちょんっと引っ張って、垣根の名前を呼ぶ。

垣根は真守に名前を呼ばれても黙っていたが、反応だけはしようと不機嫌なまま真守を見た。

 

「なんだよ、!」

 

垣根が真守に顔を向けると、真守は頑張って背伸びをして垣根の頬にキスをした。

 

「これで機嫌直して」

 

真守は深城たち以外、人が見ていないことを確認しながら告げる。

垣根は真守にキスをされてびっくりしていたが、思いついたことがあってニヤッと意地悪い笑みを浮かべた。

 

「これだけじゃ機嫌直さねえ」

 

真守は悪いことを考えている垣根を見上げて、ムッと口を尖らせる。

 

「えっちなお願いはダメだぞ。それ以外なら聞いてあげる」

 

「なんでだよ。心が狭いな」

 

「私の心が狭いわけないだろっ」

 

真守は声を上げてぷんぷん怒りながら、垣根と再び手をぎゅっと繋ぐ。

そんな真守が愛らしくて、当然としてやっぱり機嫌が直っている垣根はご機嫌に目を細める。

そんな二人を見ていた白い少年は小さく笑った。

 

「本当に想い合ってるんだな」

 

「うん。そぉだね」

 

深城は真守と垣根が恋人らしく話をしている姿を見て、幸せを感じて目を細める。

これが、自分の欲しかった光景だ。

真守が素敵な男の子と結ばれて。そして多くの人に囲まれて、学園都市で幸せな毎日を生きる姿が。源白深城は、本当に心の底から欲しかった。

 

「人が人を想うことは奇蹟に近い。……朝槻真守も垣根帝督も幸せだな」

 

「うん。……だからあたしは真守ちゃんに好きな男の子ができたことが、本当にうれしかったの」

 

深城は柔らかく微笑んで、真守と垣根を見守る。

真守は深城に見られていることに気が付いて、ふにゃっと安堵の笑みを見せた。

 

「深城」

 

深城は愛おしい少女に名前を呼ばれて、柔らかく微笑む。

本当に欲しかったもの。朝槻真守が本当の意味で幸せになれる世界。

それが目の前に広がっていることが嬉しくて、源白深城は満面の笑みを浮かべた。

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