とある科学の流動源力-ギアホイール-   作:まるげりーたぴざ

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第八一話、投稿します。


第八一話:〈懸命事態〉を引き起こし安全確保

男として立派になるために、たった一人の大事なお嫁さんを決める。

 

その指令は上里翔流にとって無理難題だ。

何故ならはっきりと気持ちを告げられれば、上里翔流の周りに一〇〇人以上の女の子たちが集まってくることはなかった。

 

だが女の子からしてみれば、大切な男の子にお嫁さんにしてもらうことは究極の夢だ。

誰もが夢見る、平凡で幸せな一つの愛のカタチ。

誰もが夢見ながらも、簡単には叶えられない夢。

真守は上里翔流に人生最大の難題を押し付けると、去鳴の後ろに回って去鳴の肩に手を置いた。

 

「去鳴は上里のお嫁さんになりたいんだって」

 

上里翔流と上里勢力の女の子たちがぎょっと目を見開く。

去鳴は最初、きょとんとしていた。

だがすぐに真守の言葉の意味が分かって大声を上げる。

 

「にゃ、にゃにゃにゃにゃにゃにを言ってるんだ!!」

 

去鳴は真守によって突然矢面に立たされて、わたわたと慌てる。

 

「た、確かに私はお兄ちゃんのクソバカハーレムを終わらせるために、朝槻ちゃんがお嫁さんを選ぶって言う無理難題をお兄ちゃんに吹っ掛けるのはめちゃくちゃ良いって思ったけどぉ!!」

 

真守は慌てている去鳴をじとっと睨む。

 

「思ったけど、なんだ?」

 

「わ、わわわ私はお兄ちゃんを本気で尊敬してるだけだっ! だからお兄ちゃんを腐らせてるクソバカハーレムが目障りで全員死ねばいいって思ってるだけで! 別におおおおお嫁さんになりたいわけじゃ!!」

 

去鳴は顔を真っ赤にして激しく慌てる。

真守はそんな去鳴を見て、不満そうに口を尖らせた。

 

「じゃあ去鳴は上里が他の子をお嫁さんにしてもいいのか?」

 

「いいわけないでしょぉ!?」

 

思わず反射的に叫んでしまった去鳴は、叫んだ後に自分が失態を犯したのだと気が付く。

 

「……………………あ」

 

女の子らしく、かーっと顔を真っ赤にして俯く去鳴。

それを見て、女の子たちは理解した。

というか、なんとなく分かっていた。

 

義理の妹である去鳴が上里翔流のお嫁さん、つまり一番になりたいのだと。

 

この場にいる上里翔流を慕う女の子たちはつい先程、朝槻真守によって短いながらも長く感じる、本当に幸せな夢を見ていた。

 

上里翔流に愛されて、たった一人のお嫁さんとして選ばれる夢だ。

本当に幸せな気持ちだったのだ。

それを現実にしたいと思うのは、当然のことである。

 

「わ、わらわだってお嫁さんになりたい……」

 

誰かが、ぽそっと自分の気持ちを吐露する。

すると。そこから女の子たちに火が付いた。

 

「私だって上里はんのお嫁に!!」

 

「つまりアレか?! 去鳴は自分を大将に選んでもらうために昨日今日って暴れ回ってたって事か?!」

 

「私の胴体真っ二つにしたのも自分がお嫁さんになるためだったんですね?!」

 

怒りを見せ始めた女の子たちを見て、硬直から復帰した上里は慌てて声を掛ける。

 

「み、みんな落ち着いてくれ! 僕は別に今すぐお嫁さんを決めようなんて、」

 

「「「思ってない?! じゃあお嫁さんについていつ考えるのよ!!」」」

 

火が付いた女の子たちの一斉の追及に、上里は答えられない。

 

当然だ。

きっぱりなんでもはっきり決められれば、女の子たちはこんなに増えなかった。

しかもはっきり言う事ができれば、女の子たちが好き勝手することもなかった。

上里はもう、火がついてしまってバチバチと火花を散らす女の子たちを舵取りできない。

 

そんな中、垣根は真守の腰を引き寄せて笑った。

 

「上里の好みは分からねえけどよ」

 

女の子たちは垣根が声を上げたのを聞いて、垣根を一斉に見る。

真守の隣に立っていてもなお相乗効果で輝く垣根帝督。

そんな垣根は女の子たちを焚きつけるように、挑発するように笑った。

 

「男はやっぱ、一番優秀でイイ女を選びたいよなあ?」

 

垣根は笑いながら、真守の顔をグイッと自分に向けた。

そしてこれみよがしに、真守のその小さな唇にキスをした。

 

「んぅっ!?」

 

真守は突然垣根に口を塞がられて、目を大きく見開いて固まる。

だがすぐにバタバタと暴れ、垣根から逃れようとする。

それでも垣根は絶対に離さないで、深いキスをする。

 

それを女の子たちは、食い入るように顔を赤くして見つめていた。

真守は恥ずかしくて涙目になって、動けなくていっぱいいっぱいになる。

そして垣根の気が済んで解放された真守は、ひっぐとしゃくりあげてから叫んだ。

 

「にゃ、なんでちゅーしたんだっ。そんなことしろって言ってないだろっ! こ、こんな公衆の面前でっ。も、もうお嫁にいけないっ!」

 

「問題ねえよ。俺がもらってやるんだから」

 

垣根はごちそう様だと言わんばかりにペロッと唇を舐める。

 

「わあああ垣根のバカぁああ言葉の綾ぁああああ!!」

 

真守は恥ずかしくて許せなくて、たしたし地団太を踏む。

だがそんな真守の事を抱きしめて、垣根は女の子たちを自慢げに睥睨した。

 

「たった一人の大事な女になれたらこういうコト、どこでも不意打ちでしてもらいたい放題だぜ?」

 

「頼んでないっ頼んでないの公開処刑はっ!」

 

真守が不意打ちを拒絶する姿を見て、女の子たちの中で炎がもっと燃え盛った。

自分も不意打ちしてくれるほどに、上里翔流に自分だけを愛してほしい。

その想いが頂点に達すると、少女たちは誰が一番優秀な女の子なのかを争い始めた。

わぁぁぁぁぁ!! と、途端に乱闘をおっぱじめる女の子たちを見て、上里翔流は愕然とする。

 

「ど、どうしてくれるんだ!!」

 

そんな上里を見て、垣根は吐き捨てるように告げる。

 

「本っ当にタマなしだなテメエ。テメエの女はテメエで管理しろ。これを止めたきゃテメエが気張れ。なあ真守?」

 

垣根は真守に笑いかけるが、真守はそれどころではない。

 

「うう……っ自信過剰。傍若無人。上条にも見られた……はずかしい……」

 

真守は涙目になって、ぐすんぐすんと泣く。

真守と垣根のキスを見てしまった上条は気まずそうにしながら、そっぽを向いている。

真守はそんな上条を視界の端で捉えて、恥ずかしくて恥ずかしくて、垣根の腕の中でひーんっと泣く。

垣根はそんな真守を抱きしめて、上機嫌に真守の顎に手を添える。

そして自慢するように、上里翔流を見て嘲笑した。

 

「かわいーだろ。これ俺のなんだぜ?」

 

真守は上機嫌になる垣根の腕の中で、ぷるぷると震える。

 

「かきねのばか…………もぅ、好きにして……っ」

 

真守はそう呟くと、観念したように垣根の腕の中でくたんっとなる。

その様子を見ていた去鳴はぽそっと呟いた。

 

「なんだかんだいって朝槻ちゃん、恋人に振り回されるのが好きなんだ……」

 

そんな去鳴の呟きが響く中、上里翔流は垣根を睨み続けていた。

垣根帝督はこれまで、暗部の殺気を肌に受けてきた。

それに比べて上里翔流の殺気はへなちょこなものだ。

だから垣根は嘲笑して、上里翔流を睥睨する。

 

「はん。勝手に身内で醜いコトやってろ。女の手綱握れねえ、この世で一番クソカッコ悪いふにゃ××野郎」

 

垣根の言葉に上里は反論できない。

そんな中、力が抜けて足がぷるぷる震える真守の事を抱き上げた垣根は、真守を横目で見る。

 

「やっぱり男だったらベッドの中で女を満足させなきゃ一人前じゃねえよ。なあ、真守? そこんところ俺は大丈夫だよな? なあ?」

 

「…………もうやだぁ……ひっぐっ。かきねのいじわるぅ……っ」

 

嫌だ嫌だと言っているが、真守はそれでも垣根にぎゅっと抱き着く。

なんだかんだ言ったってだいすきなのだ。惚れた弱みなのだ。

垣根は自分の腕の中でうずくまって、ぷるぷる震える真守が愛おしくて笑う。

そんな中、顔を赤らめていた上条当麻は頭の上に乗っているカブトムシに声を掛けた。

 

「これで一件落着ってことなのか……?」

 

『はい、おそらく。それでもあなたに直接的な被害が出るようならば、私が相手になります』

 

自分のことを守ってくれるカブトムシにお礼を言う上条は、ぐすぐすと泣く真守を抱き上げた垣根と共に学校へと戻る。

 

取り残された上里翔流。

そして誰が一番上里翔流に相応しいか、内部抗争を始めた女の子たち。

 

すでに上里翔流は女の子たちを完全に制御できなくなった。

 

そして最終的に、上里翔流は宣言する。

お嫁さんを決めるつもりはない。僕はずっとこのままがいいと。

そして真性のハーレム野郎として、名を轟かせることとなる──。

 

 

 

──────…………。

 

 

 

朝槻真守はそれなりに優等生である。

 

何せ真守は高校から学校生活を始めており、初めての事ながらも真守は頑張って、真剣に学校生活と向き合っていた。

 

学園都市の『闇』に関わって学校をサボらなければならない時もあったが、小テストはきちんと受けているし、頭も良いので普通教科も能力開発も優秀。

それに今年の九月に超能力者(レベル5)に認定されたので、それなりの好待遇を受けている。

 

対して頭も良くない、無能力者(レベル0)で欠席ばかりしている上条当麻。

上条は本当にマズい。もう一度一年生をしなければならない程度には、だ。

 

そのため垣根に弄ばれて意気消沈している真守は午後から学校に行くことにしたが、上条当麻は急いで学校へと向かって行った。

 

ちなみに午後から真守が学校に顔を出すのは、今日の夜にクラスメイトと知人でバーベキューをやるためである。

 

そんなこんなで朝槻真守は第七学区のとある高級志向ネットカフェにいた。

完全個室で防音完備、食事もシャワーも浴びることができる最高品質。

真守はそんな部屋のソファベッドに横たわり、束の間の休息に入っていた。

 

「疲れた……体は疲れてないケド、ここ数日忙しかったし、垣根に振り回されて精神的に疲れた……」

 

防犯オリエンテーションでは魔神僧正が暴れた。

その僧正をどうにかしたら、上里翔流が理想送り(ワールドリジェクター)で次々と魔神を新天地へ送っているし、夜にサンプル=ショゴスとバードウェイ姉妹の問題が降って湧いた。

サンプル=ショゴスの問題によって真守は次の日の午前中まで、魂を創るのにかかりきりになっていた。

 

真守を神として必要とする存在がもう一人増えた午後、学校に行くと上里翔流がクラスメイトを先導して、上条を孤立させようとしていたから少し話をして。

その夜は特に何もなかったが、今日は朝から去鳴が襲来して、現在上里翔流のお嫁さんを懸けたハーレム最強決定戦が行われている。

 

「色々起こる学園都市でも、ここまで過密スケジュールだったことあったかなあ」

 

真守はソファベッドでごろごろしながら遠い目をする。

ソファベッドに座っていた垣根は、真守の頭を優しく撫でた。

 

「本っ当にはた迷惑な野郎だぜ。台風みてえに襲来して来て、俺たちを引っ掻き回しやがって」

 

真守は自分の頭を優しく撫でる垣根を、むくれた表情で見る。

 

「垣根。私がなんで疲れてるか分かってるか」

 

「上里翔流のバカ野郎がお前を引っ掻きまわすからに決まってるだろ」

 

垣根が何を当然のこと聞いてくるんだという顔をしていると、真守は拳を握って主張する。

 

「ちがうっ垣根が公衆の面前でちゅーするから余計に疲れたんだっ!」

 

真守は大声を上げて体を起こすと、ぷんぷんと怒る。

 

「どうしてあそこでわざわざちゅーしたんだ! しなくてもよかっただろっ」

 

「ムカついたから」

 

けろりと答える垣根。そんな垣根を見て、真守はむーっともっとむくれる。

 

「ムカついたからって憂さ晴らしで公衆の面前で私にちゅーするなっ」

 

「しょうがねえだろ、お前は俺のだ」

 

垣根は真守の頬に手を添えて、心底不愉快そうに声を上げる。

 

「あのクソ野郎は自分の事を女なら無条件で近寄ってくるコバエホイホイだと勘違いしてやがる。どうせ恋人持ちのお前が僕に惹かれたらどうしよう、なんて思ってたに違いねえ」

 

「そんなバカな……と思うけど、あの男ならそう考えるに決まってるか」

 

真守はある意味想像力が豊かな上里翔流を考えて遠い目をする。

垣根はそんな真守の頬を優しく撫でる。

 

「お前が俺にベタ惚れしてるって分かったら考えなくなるだろ」

 

「う。……でも、上条の前でちゅーしなくていいだろ……っ」

 

真守は友人である上条の前でキスをされた事が本当に恥ずかしくて、ぽそぽそと呟く。

 

「上条、ちょっと気まずそうだった……っ」

 

「そんな事気にするんじゃねえ。だいたいアイツは普段から女なら気まずくなるラッキースケベぶちかましてるじゃねえか。気にするな」

 

垣根は真守の頭を優しく撫でる。

そして寄り添うように抱きしめて、その小さい背中を優しく撫でた。

 

「強引で悪かった。でも上里翔流とかいう勘違いクソ野郎に分からせるにはあれしかなかった。分かってくれるか?」

 

ぽんぽんっと、優しく自分の背中を撫でる垣根の手。

少し強引だったと、恥ずかしい思いをさせてしまったと少し申し訳そうな声。

真守はしおらしい垣根を見せられて、思わず動揺してしまう。

 

「た、確かに事実を突きつけるのがアイツにとって一番効くと思うけど……」

 

真守は垣根の言葉にも一理あると呟き、そしてため息を吐いた。

 

「まったく。……しょうがないひとだな」

 

真守は笑って垣根にすり寄ると、自分のことを宥めてくる垣根に体を預ける。

 

「私は心が広いからな。許してやる」

 

「良かった。やっぱりお前はイイ女だな」

 

垣根は笑うと、甘えてきた真守の背中を優しく撫でる。

真守は本当に欲しい垣根の手に背中を撫でられて幸せそうに目を細める。

そうして真守は垣根と甘いひと時を過ごして一息つくと、気持ちを切り替えた。

 

「帝兵さん」

 

真守が呼ぶと、窓をカラカラ開けて待機していたカブトムシがやってきた。

 

「ん」

 

真守はむぎゅっとカブトムシを抱きしめると、カブトムシを見つめた。

 

「アレイスターの動向は?」

 

『今のところ確認されておりません。静かなものかと』

 

「木原脳幹が撃破されたことが布石なのだと思うが、動きがないのか」

 

真守はカブトムシのネットワークに接続しながら、ふむと頷く。

 

『ええ。木原脳幹周りも監視していますが、動いていないようです。木原脳幹を冷凍処理した女性も姿を見せません』

 

「あの女は言動的におそらく木原だ。木原は隠れるのが上手いからな。探しても意味がない。……どちらにせよ今アレイスターが敵視しているのは上里翔流だ。曲がりなりにも一緒の学校にいるし、対処はおおむね可能だろう」

 

真守がカブトムシと状況について話し合っている中。

垣根は真守がそろそろ何か食べ物が欲しくなってくるころだと思って、真守にメニューを手渡す。

 

「ちょっと腹ごしらえしておけ、真守」

 

「ありがとう、垣根」

 

真守は自分のことをどこまでも気遣ってくれる垣根からメニューを貰うと、ふにゃっと笑った。

 

「垣根は疲れてない? 大丈夫?」

 

真守はメニューを見ていたが、気になって垣根をちらっと見上げた。

 

「問題ねえよ。さっきお前から元気貰ったしな」

 

垣根はニヤッと笑って真守を見る。真守はそんな垣根を見て、きょとっと目を見開いた。

 

「さっき? ……!!」

 

真守は首を傾げていたが、先程垣根に公衆の面前で深いキスをされたことを思い出して顔を真っ赤にする。

 

「か、かきねのばかっ」

 

真守はぷいっと顔を背けて、メニュー表に視線を落とす。

垣根は真守が愛らしくて、くつくつと笑う。

そんな垣根の前で真守は口を尖らせると、ジャンクフードを幾つか頼む。

 

真守は立ち上がって受話器でオーダーして、戻ってきた垣根にそっとすり寄る。

 

「ちょっと疲れた、垣根」

 

「そうだな。上里翔流の取り巻き女たちは内ゲバしてるし、ちっとは休めるだろ」

 

上里翔流のお嫁さん。

たった一人の枠を奪い合って乱闘を繰り広げている女の子たちを、上里翔流は必死に止めようとしている。

だが根本的に。上里翔流に止められるほどの器量があれば、一〇〇人以上の女の子たちが集まっているはずがないのだ。

 

「おーおー醜い争いしやがって。学園都市壊して発生した負債は上里翔流に吹っ掛けてやろうぜ。俺が補修業者にタレコミいれてやる」

 

「垣根、見世物じゃないから」

 

真守は女の子たちの死闘を、カブトムシのネットワークから観客視点で見ている垣根をじろっと睨む。

 

「あの子たちは本気で上里のお嫁さんになりたんだぞ。エンターテイメントじゃないんだから」

 

「でもアレだけ普通じゃなさすぎる戦闘してたら見世物になるだろ。それに俺たちは被害に遭ってんだ。楽しんだって罰は当たらないだろ」

 

平凡な男子学生を自称して狂いに狂ってる男と、そんな男を好き勝手振り回す女の子たち。

そんな集団が突然襲来して来て、ここ数日は本当に迷惑しているのだ。

垣根がその事実を口にすると、真守はカブトムシを抱き寄せて眉をひそめる。

 

「まあ上里たちは本気で天災みたいなモノだけど。……あいつらがいなくても学園都市では問題なんて日常茶飯事だし。気にしすぎちゃダメだぞ」

 

「お前は学園都市の日常に毒されてるんだよ。ちょっとは平穏に暮らしたっていいだろ」

 

垣根は真守の頬に手を添えながら、目を細める。

 

「俺はお前といつでもどこでも、好きなだけ楽しい時間を過ごしていたい」

 

「突然欲望を口にするんじゃない」

 

「なんで。別に良いだろ」

 

垣根はじとっと真守を睨むと、優しく抱きしめる。

 

「本当に大切にしたい女だから。俺はお前のことをずっと考えていたい」

 

「……かきねの、ばか」

 

真守は垣根の腕の中でごそごそ動くと、ぴとっと寄り添う。

 

「あんまりいちゃいちゃするのはアレだけど。……みんなが幸せな時間を過ごせるような学園都市を造るぞ、垣根」

 

「そうだな。俺はそんな学園都市で一日中お前を愛でてたい」

 

「仕事とか学校とか、やらなきゃいけないことはやらなくちゃだぞ」

 

「安心しろ、真守」

 

垣根はにやっと笑うと、ちょっと怒っている真守に笑いかける。

 

「ちゃんとヤることはヤッてやる」

 

「それちょっとあんまり良くない方向のやる気だろっ!!」

 

真守が声を上げる中、垣根はふっと笑う。

 

真守は垣根に呆れながらも、垣根の腕の中で束の間の休息をとる。

そして午後になって学校に向かい、クラスメイトと合流して。

今日の夜のバーベキューの食材調達の話をしていた。

 

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