とある科学の流動源力-ギアホイール-   作:まるげりーたぴざ

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第九二話、投稿します。


第九二話:〈協力者達〉と前を向く

現在、木原唯一のエレメントから学生たちを守るために引き起こされている大熱波。

朝槻真守は上里勢力によって大熱波を引き起こされた際、この学園都市にいる超能力者(レベル5)たちに声をかけていた。

 

もちろん我の強い超能力者(レベル5)たちが徒党を組むわけがない。

第五位の原子崩し(メルトダウナー)、麦野沈利と第七位の藍花悦、そして第八位の削板軍覇は、それぞれが守るべき者や手を差し伸べるべき者たちへと手を差し出している。

それでも真守は彼らと一度連絡を取って、自分たちの動向を伝えてある。

とはいっても藍花悦はこの学園都市に無数に存在する。そして本物の藍花悦は接触されるのを嫌うので、窓口的な男に伝言を残したくらいだが。

 

その他の超能力者(レベル5)である第四位と第六位である常盤台中学校のコンビ──御坂美琴と食蜂操祈と真守は直接的に協力関係を築き上げている。

第三位の垣根帝督はもちろんのこと。となると残りは超能力者(レベル5)第二位、一方通行(アクセラレータ)なのだが、一方通行は真守に『お願い』されて、『施設(サナトリウム)』の防衛をしている。

『お願い』の代わりに、一方通行は真守に電極のバッテリーの安定供給を行ってもらっていた。

既存のインフラ設備が壊滅した現状、現在のインフラ設備を掌握している真守から電力を供給してもらうのが一番良いのだ。

 

「……オマエたちは外が暑かろォが何だろォがいつでもくっついてンだな」

 

一方通行(アクセラレータ)は真守と垣根のいる会議室に入って、思いきり呆れる。

一方通行の前で、水着姿の真守は同じく水着姿の垣根に後ろから抱きしめられていた。

真守の表情は不満そうだ。そして垣根も真守を抱きしめていても不機嫌そうだ。

一方通行は真守がお昼ご飯を一緒に食べたいと言ったから、会議室に来たのだ。

真守は大変不服そうにしながら、口を尖らせたまま一方通行に声を掛ける。

 

「垣根が離してくれないんだ」

 

「いつものことだろォが」

 

「いつものことだけどお前の前ではイヤっ! バカップルだと思われるっ」

 

(だいぶ周知の事実だろォが。何をいまさら)

 

一方通行(アクセラレータ)は重すぎる愛を互いに抱いている真守と垣根を白い目で見つめる。

 

「垣根、お願い。暑苦しいしもういいだろ。離して」

 

真守は呆れる一方通行(アクセラレータ)の前で、自分のことを抱きしめている垣根の手をぺちぺちと叩く。

垣根は自分から離れようとしている真守のことをじろっと睨む。

 

「嫌だ。お前は俺のモンだし、そいつには特に見せつけるべきだ」

 

「めんどくさ」

 

真守は自分の気持ちをはっきり口にする。

垣根はむっと顔をしかめると、真守の首筋にキスをした。

 

「ヤメロっ人前でちゅーしないでっ!」

 

真守は本気で嫌になって、垣根から離れようとする。

ばたばたと暴れる真守。だが天使に近い完璧な肉体を持っている垣根帝督を前にして、女の子としての力しか出さないようにしている真守は無力だ。

 

「源流エネルギーで焼くぞ、この痴漢っ!」

 

「痴漢じゃねえよ。どうして自分(テメエ)の女に手を出すのが痴漢になるんだよ」

 

ぎゃあぎゃあわーわー騒ぐ真守と垣根。

一方通行(アクセラレータ)はそれを見て、大きくため息を吐いた。

 

「……痴話ゲンカしてンなら、俺は食堂で飯食うからな」

 

「えーやだ。垣根、後で埋め合わせしてやるから離せ! 一方通行(アクセラレータ)とご飯食べたいっ。おねがいっ!」

 

真守は一方通行(アクセラレータ)とお昼を一緒に過ごしたくて、垣根に好条件を出す。

垣根は大変機嫌悪そうにしながら、言質を取るために真守を睨む。

 

「なんでも許してくれなきゃ許さねえ」

 

「分かった分かったっ。えっちなこと以外はなんでもいいっ!」

 

垣根は条件を限定されて少し不服そうだったが、真守を離す。

真守はほっと安堵すると、垣根の隣にちょこんっと座る。

そして向かいのソファに一方通行(アクセラレータ)を手招きして、手元のベルで繚乱家政女学校の生徒を呼んだ。

生徒によって、会議室には丁寧に昼食が並べられる。

一方通行はメイドに昼食を用意されながら、眉をひそめる。

メイドに世話されることなんて、早々にないからだ。

 

「ふふ」

 

小さく笑ったのは真守だった。一方通行(アクセラレータ)はご機嫌な真守を見て、顔をしかめる。

 

「どォしたンだよ、愉快な顔しやがって」

 

一方通行(アクセラレータ)が私のお願い聞いてくれたのが嬉しい」

 

真守は一方通行(アクセラレータ)の服装を見て、にこにこご機嫌にする。

一方通行は彼がいつも好む入ブランドのパーカーに、薄手のシャツ。そして長めの海パンという、他の学生よりもちょっと厚着をしている。

真守が着なきゃダメ! と声を大きくしたからだ。

 

一方通行(アクセラレータ)は着ているものなんてどうでも良かった。だが、真守がきつく言ってきたのだからしょうがない。

垣根はチッと舌打ちをして、葉物サラダへと手を伸ばす。

 

「別に男か女か分からない体付きしてるんだから気にする必要ねえだろ」

 

「良いわけないだろ、垣根。世の中には頭が悪いバカどもがたくさんいるんだ」

 

真守は一方通行(アクセラレータ)のことを軽視する垣根をじとっと睨む。

世の中には色々な人間がいるという。

そんな人間に大切な一方通行の柔肌を見せるわけにはいかないのだ。

垣根はいつもより過保護な真守を見て、眉をひそめる。

 

「どうやったら超能力者(レベル5)第二位のことをヤバい人間がそういう目で見られるんだ。見た時点でこの世とさようならだぜ」

 

「それでもダメ。ぶっぶー」

 

真守は大きくバッテンを作って、NGを出す。

一方通行(アクセラレータ)はため息を吐きながらも、昼飯のハンバーガーを口にする。

このハンバーガー、どうやらすべてが手作りらしい。

ジャンキーだけどジャンクフードではない。

そのため一方通行は食べていて、なんだか微妙な気持ちになる。

そんな一方通行の横で、真守は小さいお口を大きく開く。

 

「ん。おいしいっ」

 

真守はおいしい食材をふんだんに使ったハンバーガーを頬張って、微笑む。

そんな真守の横で、垣根はクーラーボックスの中を確認した。

 

「真守。デザートはシャーベットだってよ」

 

「シャーベットっ」

 

真守は冷たいアイスに目を輝かせる。

そんな真守と垣根の前で、一方通行(アクセラレータ)はアイスキューブという溶けない氷が入ったアイスコーヒーを口にする。

 

「……外は大熱波で暑いってェのにアイスか」

 

一方通行(アクセラレータ)はキンキンに冷えているアイスコーヒーを見つめて、少しちぐはぐな感じがして呟く。

真守はもぐもぐと食べていたハンバーガーを呑み込むと、付け合わせのポテトへと手を伸ばす。

 

「そうは言っても、人工的な大熱波だし、私がエネルギーを供給してるからな。学校の子たちも普通に水とか氷とかふんだんに使えてるぞ」

 

「安心安全なサバイバルってことかァ。そォいう触れ込みになってやがるし」

 

安心安全なサバイバル。

学生たちは人工的な大熱波とエレメント襲来をそのように捉えている。

理由はやはり真守の存在が大きい。

インフラ設備が崩壊して外が大熱波で五五度以上になっていようとも、室内はそれなりに快適になっている。

しかももし何か困る事があれば、トンボ型の携帯電話である『帝察さん』に連絡を取れば真守が解決することになっている。

しかも高位能力者や一芸に秀でている学生たちは自分の力を思う存分発揮できる。

朝槻真守の統治。それは隙がどこにもないほど優れたものだった。

 

「統括理事会の奴らや『大人達』はどォしてやがるンだ」

 

「統括理事会の一員の親船最中なら直接会いに来たぜ。礼儀がなってたから俺が相手してやった」

 

垣根はフライドポテトに手を伸ばしながら、一方通行(アクセラレータ)の疑問に答える。

 

「あの女、『この際だから学生に対して理不尽な制度を取っ払うのはどうか』って言ってきてな。統括理事会の弱みやらなんやらの証拠を提出してきた」

 

「親船ならやりかねねェな……」

 

一方通行(アクセラレータ)は意外と狡猾な女性である親船最中を思い出して目を細める。

そんな一方通行を見て首を傾げた真守は、もぐっとハンバーガーを呑み込んでから口を開く。

 

一方通行(アクセラレータ)は親船さんと知り合いなのか? ……上条と土御門に手を貸したり貸してもらってたのは知ってるけど。一方通行も関係があったとはな」

 

「あァ? ヤツらにも手を貸してただとォ?」

 

一方通行(アクセラレータ)は思わず声を上げる。

第三次世界大戦が勃発する前。ローマ正教はC文書と呼ばれる霊装によって、世界各地で学園都市は悪者だとして信仰者たちに暴動を引き起こさせていた。

そのC文書を巡った際、親船最中は土御門と上条に手を貸していたのだ。

ただ親船最中と上条当麻の接触は学園都市上層の意図していないものだった。

そのため親船は土御門元春に粛清されたのだが、それはさておき。

親船が手を貸したことで上条と土御門は天草式十字凄教と共に、アビニョンの問題を解決することができたのだ。

 

「私は親船さんと上条たちの活躍を直接は知らない。あの時『施設(サナトリウム)』にこもっていたからな」

 

真守はちまちまハンバーガーを食べながら何の気なしに告げる。

すると、真守の横で垣根がそっと目を細めた。

 

(そォいや暗部抗争の時、この男は消えたコイツを探してたんだっけかァ)

 

一方通行(アクセラレータ)が垣根を見て目を細める。真守も垣根の様子に気が付いて、苦笑した。

 

「ごめん垣根、トラウマだよな。でも必要なことだったから」

 

「……分かってる」

 

垣根は真守の言葉に頷いて、ハンバーガーを口にする。

真守は垣根の腕をパーカーの上から優しく撫でながら、一方通行(アクセラレータ)を見た。

 

「それで。一方通行(アクセラレータ)はいつ親船さんと仲良くなったんだ?」

 

「仲良くなってねェよ、利害の一致だ。……塩岸の野郎を追い詰める時にちょっとなァ」

 

「塩岸?」

 

真守が聞いたことのない人物に怪訝な顔をすると、気を取り直してアイスコーヒーにミルクをいれていた垣根が口を開く。

 

「統括理事会の一員で、エイワスのクソ野郎のことを知ってたヤツだ」

 

一方通行(アクセラレータ)の言葉に真守はミルクアイスコーヒーを飲むのを止める。

 

「……そうか。一方通行はエイワスに直接会っているんだよな」

 

エイワス。

聖守護天使と呼ばれるかの存在は、召喚方法が確立されているためアレイスターが呼べばすぐに光臨するだろう。

これから真守はアレイスターに挑む。もしかしなくとも対峙する事になるだろう。

 

「エイワス、か……」

 

真守は超越存在のことを、考えてぽそっと呟く。

あれは並大抵では敵わない相手だ。

それを一方通行は理解しているし、夢を媒介にして接触された真守も良く知ってる。

 

「大丈夫だぞ。私たちはアレイスターと真正面から戦うわけじゃないんだから。いつものように話せば良い。何も問題ない」

 

「……そォだな」

 

一方通行(アクセラレータ)は笑う真守を見て、自分もふっと笑う。

この少女ならば、できないことはない。そう思わせてくれる頼もしさが、真守にはある。

垣根も同じ気持ちだ。だからハンバーガーを美味しそうに食べる真守を見つめて、柔らかく微笑んでいた。

 

「……で。オマエたちはいつこの状況を収束させるために動くンだ?」

 

「今日は私の誕生日だから、お祝いがあるし。明日以降に動こうと思ってる。一方通行も今日のお誕生日会は楽しんでくれ。最終信号(ラストオーダー)たちも呼ぶ」

 

初めての誕生日。初めてのお祝い。

それが嬉しくて真守が幸せそうに笑っていると、一方通行(アクセラレータ)は眩しいものを見るかのように目を細めた。

 

「…………おめでとォ」

 

「うんっ。ありがとう、一方通行(アクセラレータ)!」

 

真守が満面の笑みで答えると、一方通行(アクセラレータ)は気恥ずかしくなって目を逸らした。

垣根は真守が楽しそうにニコニコしている様子を見て、思う。

少し前だったら、今の状況は考えられない事だ。

全ては朝槻真守と出会った時から始まった。

垣根はそれが愛しくて。真守の頭へとポンッと手を置いて、優しく撫でた。

 

 

 

──────…………。

 

 

 

「むー……」

 

真守は会議室のソファに寝っ転がったまま、小さく呻く。

 

「どうしたんだよ、真守」

 

垣根は胡乱げな瞳でカブトムシのネットワークに接続していた。

だが真守が難しい顔をしていたので首を傾げる。

 

「……美琴のA.A.Aを駆動させる様子を見ていたんだ」

 

垣根は真守から放たれた言葉を聞いて、眉をひそめる。

A.A.A。

対魔術式駆動鎧(アンチアートアタッチメント)。それはアレイスター=クロウリーが科学と魔術によって作り上げた兵器であり、本来の用途は彼に接続して力を得るというものだ。

 

「伯母さまにあのA.A.Aの電子回路が描く魔法陣を見せたら、シジルの応用だと言っていた」

 

「……確かシジルって、別位相の力を限定的に呼び出すっつー絡繰りだったよな」

 

シジルとは近代西洋魔術の理論の一つだ。

別位相の『天使の力(テレズマ)』を引き出し、この世界の物品などに封入する技術。

それは大きなくくりで言えば、召喚術式と同じようなものだ。

この世界の力ではないものをこの世界に降ろすという場合では、ある意味で同じことなのだ。

 

「ある力を限定的に出力し、他の場所で行使する。『天使の力(テレズマ)』をこの世界に降ろすのもシジルの一種だ。聞くところによると、とある聖人が自らの強大すぎる力の出力を抑えるためにも使われているとか」

 

垣根はトンボのネットワークに接続して、真守と共に御坂美琴がA.A.Aを使う様をじっと見つめる。

 

「美琴は純粋な科学技術として扱っているけど、あれは明確にアレイスターに繋がるものだ。自分用にカスタマイズしたとしても、アレイスターの力を伝播することに変わりない」

 

「……何が自分を次のステージに連れて行ってくれる力だ。まるっきり借り物の力使って高みに至るとか、他力本願の塊じゃねえか」

 

垣根はそうぼやきながら、真守の髪を優しく撫でる。

 

「しかしまあ、この世界をアレイスターが認識制御で科学サイドと魔術サイドに分けたとか、壮大すぎる話だよな」

 

「垣根も私もついこの間までその認識制御下に入っていたからな。絶対能力者(レベル6)と無限の創造性を持つ二人を惑わすなんて、本当にすごいよな」

 

超能力と魔術が実は、まったく同じ理論で証明されてしまうこと。

朝槻真守は垣根帝督にだけ、その真実を知らせていた。

垣根もアレイスターの認識制御の支配下にあったが、朝槻真守は絶対能力者(レベル6)である。

そのため垣根をアレイスターの認識制御から解き放つことができるのだ。

解放された垣根に、真守はA.A.Aがアレイスターの力を伝播するものだと話している。

だからこそ、A.A.Aの危険性をきちんと理解しているのだ。

 

「そういやお前の伯母やマクレーン家についてはどうするんだ? 認識制御から解放して、科学サイドと魔術サイドの均衡を保つ手伝いしてもらうの?」

 

朝槻真守の伯母、アシュリン=マクレーン。彼女を含めたマクレーン家。

垣根が彼らのことについて口にすると、真守は首を横に振った。

 

「……それについては保留してる。分からないからな」

 

「分からねえって?」

 

垣根は思わず、真守の言葉をオウム返しする。

 

「伯母さまは……というか、マクレーンの人たちは私よりもたくさんのことを知ってる気がするんだ。……私という存在がいるからこそ、もしかしたら伯母さまたちは気づいているかもしれない。この世の真実に」

 

かつて。エルダー=マクレーンは『黄金』の魔術師に予言をされた。

いずれマクレーン家には完全なる肉体に完全なる精神を持つ、永遠を司る者が生まれる。

朝槻真守は魔術サイドに息づくマクレーン家においても特別な存在だ。

そのため魔術と根っこが同じ技術である科学にも、真守の才能は適応される。

 

「伯母さまたちは誰よりも世界のことをきちんと見つめている。だから私は伯母さまたちが気づいていないとは思わないんだ。とはいっても、もしかしたら伯母さまたちはアレイスターの認識制御下に入っているかもしれない」

 

色々話をしたが、真守もマクレーン家も全てをきちんと話せたわけではない。

真守も深城に会う前、自分がどんなに非情な人間だったかはあまり知って欲しくない。それと一緒で、マクレーン家も真守に全てを話せるわけではないのだ。

 

「……伯母さまたちも大変みたいだし、この状況でゆっくり腰を据えて話ができてない。だからうかつに話ができない」

 

「イギリス清教がキナ臭いらしいからな。俺たちも学園都市を守らなくちゃいけなかったし、そりゃ時間はねえよ」

 

科学サイドと魔術サイド。この世界を二つに隔てる技術。

その技術が実はアレイスターに仕組まれたもので。魔術サイドは科学サイドの技術を利用することができると知れば、混沌を極めるだろう。

 

「科学と魔術が実は根本のところで同じだという事実。それは魔術サイドと科学サイドの関係性にもヒビを入れる真実だ。慎重にならないとな」

 

「お前なら大丈夫だろ」

 

垣根は真守の頭を優しく撫でる。

 

「学園都市の学生たちを守れるお前なら大丈夫だ。お前なら世界中の人間も助けちまうよ」

 

「ふふ。ありがとう、垣根。垣根やみんなが手伝ってくれるからできるんだぞ」

 

真守は垣根に勇気づけられて、ふにゃっと笑う。

 

「みんなが納得できる世界。誰もが神さまになる事でさえ許される世界。それが私の望む世界だ。それを実現したい」

 

真守は自分の願いを口にすると、垣根を見上げる。

 

「一緒に優しい世界で幸せに生きような、垣根」

 

「お前となら、どこだって大丈夫だ」

 

垣根は真守の手を握って笑う。

この少女が望む世界。誰もが幸せになれる世界。

その世界でなくとも、垣根帝督はこの少女がいれば大丈夫だ。

だがこの少女が優しい世界を望むのであれば、それを手伝うのは当然のことだ。

真守はどんなことになっても自分の味方になってくれる垣根を見上げて微笑む。

そして誕生日パーティーまでにすべてを終わらせるべく、学生たちのためになる仕事を再開した。

 

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