とある科学の流動源力-ギアホイール-   作:まるげりーたぴざ

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第一一一話、投稿します。
次は七月一七日月曜日です。


第一一一話:〈心配憂慮〉しつつそれぞれで動く

「朝槻、大丈夫かなあ」

 

上条当麻はとある部屋の椅子に座って、遠い目をしながら友人の心配をする。

上条がいるのは一面ピンク色の壁紙に、ガラス張りのお風呂と壁に埋め込んだテレビ、そして回るベッドがある部屋だった。

ベッドサイドにはティッシュの箱が二つあるし、もうなんか思春期以上の人間には用途がすぐに分かってしまうホテルである。

 

インデックスとオティヌスはこの場にいない。

彼女たちはカブトムシと共に、アレイスターに言われてドラッグストアとディスカウントショップに向かわされていた。

 

アレイスターがインデックスたちに頼んだのは、コーヒーサイフォンやら金属ボウル、ジューサーに塩と氷。圧力鍋や電磁調理器やとんでもない量の花粉症の薬など、およそ魔術には関係ないものにも思える品々だ。

だがアレイスターは魔術に使うものだから買ってきてほしいとインデックスに伝えた。

 

アレイスターの指示によって、上条当麻はインデックスたちと分断された。

そして上条は銀髪美少女魔術師アレイスター=クロウリーに、この忌々しいホテルに連れ込まれたというワケである。

 

何が嬉しくて性転換した元おっさんと、こんなところに来なければならないのか。

上条当麻の頭の中では、その疑問がぐるぐると回る。

遠い目をしている上条に、アレイスターは活を入れた。

 

「なに黄昏れているんだ。朝槻真守が心配なら、朝槻真守を守るために動けばいいだろう。ほら、何か適当なものでお湯を沸かしてくれ。量は多い方が良い。温度は微熱程度、そうだな、ひとまず三七度くらいにしておこうか」

 

「確かにそうだけどさあ……っていうか、俺の右手はそういうモンを壊しちまいそうだけど、この場にいていいのか?」

 

「心配ない。習熟の段において象徴武器(シンボリックウェポン)には専門性や純真無垢である事が求められるが、実践となれば話は別だ。どこにでもありふれたもので魔術の儀式は行える」

 

「分かるように言ってくれ」

 

上条当麻は頭を押さえながら、アレイスターに説明を求める。

するとアレイスターは電動でスイッチを押せば、くるくる回るベッドを興味深く見つめながら説明する。

 

「キミの右手は破壊しかできないが、それも良し悪しだ。使い方次第ではN極しかないモノポールや加速器、融合炉を守る強力な磁力線のように振る舞わせる事もできるのだ。何事も使いようだよ」

 

「な、なんかいきなり壮大な話になってきたな……」

 

「事実だ。だが肩ひじを張る必要はない。私の指示通りに働いてもらえばそれで良い」

 

アレイスターが自信たっぷりな様子を見せる中、上条当麻は辺りを見回す。

 

「えーと。とりあえずお湯だっけ? 電気ポットで用意すればいいか? あと温度調整をするためにボウルと冷たい水に、ええと温度計も……?」

 

「おいおい、バスタブのパネルを見てみろ。湯沸かしの温度設定くらいなんとかなるだろ。朝槻真守もバカじゃない。大熱波であろうともレトロな機材だろうが最新式だろうが、きちんと壊れないように守ってくれている。先程見たら普通に使えたぞ」

 

「やっぱり朝槻は色々ちゃんと考えるよなあ。……あのちっこい頭で全部考えられるなんて、超能力者(レベル5)はすごいなあ」

 

アレイスターは上条のボヤキを聞いて、即座に訂正する。

 

「おいおいキミは彼女が絶対能力者(レベル6)進化(シフト)しているのを目の当たりにしているだろう。最早彼女は普通の物差しでは測れない場所まで来てるんだ」

 

「朝槻は普通の女の子だよ」

 

アレイスターは給湯器を操作する上条を見て、目を大きく見開く。

 

「自分の彼氏がすごくだいすきな、ふつうの優しい女の子だ」

 

「…………ふ。そういう風に見てくれる友人というのは、彼女にとって貴重なものだ。きちんと大事にしてあげろ」

 

「当たり前だろ」

 

上条は風呂の給湯器を操作して、バスタブにお湯を張る。

だがすぐに必要なお湯が溜まるわけではない。そのため上条はアレイスターを見た。

 

「お湯はざばざば出ているとして、この間に何したらいい?」

 

「準備は他にもある。私は目を瞑っているから、肩を掴んで北東に向けてくれ。方位が分からない? この部屋は南に窓があるので参考にしろ」

 

「え、ええと、こうか?」

 

上条は言われて窓を確認しながら、アレイスターの体をきっちり北東に向ける。

 

「余計な薬品が付着すると思わぬ怪我の原因となる。ひらひらしているものは合成実験の前に取り外しておくべきだ」

 

「となると、マントに、ブレザーも……よいしょ。えと、髪はまとめなくていいのか?」

 

記憶が無くても、上条当麻は腐っても高校生である。

そのため化学の実験で、教師が女子に気を付けるように言っているのを知っている。そのことを上条が思い出していると、アレイスターは目を閉じたまま頷く。

 

「髪の話は良い線を突いているな。私の背中に触れていいから、左右にかき分けて背中に注目してくれ」

 

「ああ」

 

「白い布越しに何か見えるな? 金属の小さな突起のようなものだ。そいつをゆっくりと、慎重に取り外してくれ。大丈夫、爆発するようなもんじゃない」

 

「これかごくり……ってブラのホックじゃねえか馬鹿野郎ッッッ!!」

 

上条当麻は叫びながら、汚物(体はまだ純真無垢)を突き飛ばす。

あれいすたんは上条に突き飛ばされて、回るベッドに倒れこむ。

その瞬間にアレイスターはスイッチをわざと踏み、ベッドを回転させた。

 

むくっと起き上がると、アレイスターは回転したベッドの上で上条当麻を見た。

ハンパに(上条が)着崩したブラウスとミニスカート。そしてニーハイソックス。

体を横に崩した状態で大変乗り気でアレイスターが誘惑すると、上条当麻の中で何かがプッチンと切れた。……そういう意味ではなく、怒りの限度が超えたのだ。

 

「ブラ紐の色で分かる……ッ。こいつこの野郎スケベオヤジのくせに清純派の白なんて選びやがって!! 何故だ!? 逆にスケベオヤジの夢と希望だからかッ!!」

 

「心配するな、きちんと上下は揃えているぞ」

 

そう言いながらぴらっとミニスカートをめくる美少女(おっさん)。それを見て上条当麻はわああっと叫びながら、ゲテモノから目を逸らす。

 

「なんて事だ……。もう基本の白からクソ野郎のイメージが離れない!!」

 

「安心しろ。朝槻真守も白か黒の下着を着ているぞ。清楚とエロを反復横跳びするなんて男のヘキに刺さりまくりだ、垣根帝督も喜んでいることだろう」

 

「テメエ俺の友達の下着事情を知ってるとかやっぱり変態だろ!! あと友達のそういうリアルな方向の男女関係はちょっと生々しく感じるから掘り起こすのやめろ!!」

 

「さて、そろそろ湯が張れたし本命といこうか」

 

「無視するんじゃねえ!! ……てか、本命?! 本命って何ぐわぁあああ脱ぐんじゃねえ!!」

 

アレイスターは上条の魂の叫びを聞きながら、服をいそいそと脱ぎ始める。

 

「お前は確かに乙女の柔肌だけど、元男は俺も論外だ!!」

 

「何を言うか。ここには男と女がいるんだぞ、この世で最も即効性の高い術式は昔から性魔術に決まっているだろうが」

 

「ぶ、ふぉっ!? せ、せいまじゅつ……?」

 

上条当麻は大きく噴き出して、アレイスターから目を逸らしながら動揺する。

 

「うむ、自分の口で反復するのは効率的な認識法だ。理解が追いついたなら始めるぞ、何しろこちらには時間がない。せっかく微熱程度の温度で整えたバスタブがあるんだ、このぬるぬるしたのが入ったペットボトルはお湯に浸して温めておこう」

 

アレイスターはどこからともなく、とろっとした透明なものが入ったペットボトルを取り出す。

そしてお湯が張ってあるバスタブに半脱げで近づこうとする。

アレイスターが歩き出した先。そこには上条当麻がいた。

 

「それ以上一歩でもこっちに近づいたらホントにぶん殴るぞキサマ!!」

 

「さっきも言っただろう? そういうのも悪くない。むしろ男と女の痛みの快感は違うし、先程朝槻真守に自分で作った快感を処理しきれずに気絶する体験談を聞き損ねた。試してみたい」

 

「もうほんとに土下座でも何でもするからそれだけは待ってぇ!!」

 

上条当麻は泣き叫びながら華麗に土下座を決める。

さすがにガチで泣きつかれると、萎えるモノがないが気持ちが萎えてしまう。

 

「……ッチ。男女の結合を使うのが手っ取り早かったが、まあ致し方あるまい。いまは信頼関係構築の方が大事だ。やはり禁書目録たちに買いに行かせたモノで代用するしかあるまいか」

 

「もしかしてインデックスたちに買いに行かせたのって、体よく追っ払うためじゃなかったの!? インデックス早く帰ってき……ッダメだここにあの純粋無垢シスターさんを呼びこんではいけないッ!!」

 

上条当麻は叫ぶと、泣かせたくない女の子ナンバーワンであるインデックスの事を想って覚醒する。

 

「おい変態親父! さっさとこんなところ出てもっと問題ないところに行くぞッ!!」

 

「仕方ない。夜も更けるだろうし、手ごろなカプセルホテルにでも行くか」

 

「なんでそこでまたホテルなんだよカラオケかネットカフェにしろ! ここよりも断然いいけどな!」

 

上条当麻はアレイスターに突っ込みを入れつつも、即座に動き出す。

こんなところにインデックスを招いちゃいけないし、そもそもこんなところにおっさん(美少女)と一緒に入っている事なんて知られたくない。

 

ちなみに上条当麻は知らないが、カブトムシ数体がラブなホテルに入った上条とアレイスターの様子をがっつり伺っていた。

そういった背景があるため、アレイスターと上条がいかがわしいホテルに入った事実を秘匿する事はできないのである。

 

 

 

──────…………。

 

 

 

第二学区にある神人、朝槻真守の神殿である『施設(サナトリウム)』。

その『施設』にある真守の寝所では、香が焚かれていた。

 

真守は現在コロンゾンによって『拡散』を打ち込まれ、霊格や霊媒に不具合が生じている。

不安定な真守の霊格と霊媒を安定させるために、アシュリンがケルトの魔術を使っているのだ。

そんな真守の寝所で、垣根帝督は最愛の少女の様子を見ながら眉をひそめる。

 

「烏丸府蘭が土御門を刺して逃げただと?」

 

垣根が眉をひそめて問いかけたのは、もちろんアシュリン=マクレーンだ。

アシュリンは真守の手を握って、密やかながらも魔術を使っていた。

 

魔術なんて不可思議なものに最愛の少女を預けるなんて、垣根帝督は普通ならお断りだ。

だが魔術を発動するのが真守の血縁者であるマクレーン家となると話は違う。

 

垣根はアシュリンが真守の手を握るのを見つめながら、アシュリンの邪魔にならないように配慮して話しかける。

 

「烏丸府蘭はどうやら霊媒として、ローラに乗っ取られたようなの」

 

アシュリンは真守に癒しの術を施しながら、垣根に説明する。

ケルトの民であるマクレーン家は、あからさまな呪文や魔法陣を使わない。

 

代々受け継がれるその身に宿った神秘が、ケルトの民の魔術を発動する触媒となるのだ。

つまり体自体が、霊装や魔法陣として機能する。だから呪文や魔法陣を必要としないのだ。

ケルトの教えはケルトの人間ではないものに話してはならない。

秘匿性を求められるため、ケルトの人々は魔法陣や呪文、霊装を使わないのだ。

 

だからこそ、マクレーン家の魔術は血筋に依存する。血に混じりがある真守がケルトの民の一員として認められないのも、血に混じりがあるからこそだ。

 

「烏丸府蘭が最初から俺たちを裏切る目的で動いてたって線は? 」

 

「それはありえないと彼が言っていたわ。土御門元春は普段がふざけていても、きちんとしたプロよ。推測だとしても憶測だとしても、その勘は信じて良いと思うわ」

 

だから十中八九、烏丸府蘭はコロンゾンに操られている。

その事実を聞かされて、垣根帝督は頷いた。

 

「なるほどな。……烏丸府蘭はコロンゾンの直属の部下だ。確かに細工がされていても、おかしくねえ」

 

垣根は烏丸府蘭について思い出しながら、目を細める。

府蘭は上里翔流が幸せになれるように動こうとしていた。

そしてそんな烏丸府蘭に、土御門元春は上里翔流のためになる選択肢を取れと言った。

 

本当に上里翔流のことが大事だから、烏丸府蘭は土御門の手を取った。

もし土御門の事を最初から騙そうとして、上里翔流を心の底から愛しているフリをしていたら大変な女狐っぷりだ。

だが府蘭が女狐である可能性は限りなく低い。

 

何故なら烏丸府蘭の心に上里翔流を想う心が一ミリでも無かったら、上里勢力の女の子たちが気づくはずなのだ。

 

それに垣根は烏丸府蘭に会った事がある。だから確信している。

アレは分かりにくいが、誰かの事を本当に想うことができる人間だ。

会ってそう感じたからこそ、土御門も烏丸府蘭が霊媒としてコロンゾンに乗っ取られていると判断したのだろう。

 

「……コロンゾンは学園都市の乗っ取りを計画してる。一方通行(アクセラレータ)が『書庫(バンク)』の保護に走ってるが、もしかしたら烏丸府蘭とかち合うかもしれねえな。一応連絡しておく」

 

垣根は自身の端末であるカブトムシへと命令を出す。

 

「あ?」

 

そんな中、垣根は声を上げた。

どうしたのかとアシュリンが顔を上げると、垣根は一匹のカブトムシを呼んだ。

 

『む。これでお喋りできるのか、帝兵。もうこれ聞こえておるのか?』

 

カブトムシから出てきた声は若い貴婦人じみた声だった。

そしてなんとなくアシュリンや真守に近い声。

それにアシュリンが困惑していると、声の正体が自己紹介した。

 

『むむ。アシュリンがいるのだなっ。ワタシだ、ワタシ。オマエのひい祖母、エルダー=マクレーンだ。本物や偽物を断じる気持ちはないぞっ。今のワタシは「銀猫(ぎんびょう)祭祀秘録」という魔導書の「原典」をやっている』

 

「え、エルダーさま!? 本当にわたくしのひい祖母さまですの?!」

 

アシュリンは思わず大きな声を上げる。

そりゃそうだ、と垣根は思う。

突然すでに亡くなっている自分のご先祖様であるエルダー=マクレーンを名乗る存在が出てくれば、驚愕せずにはいられない。

 

「どっどういうことですか??」

 

アシュリンは突然のご先祖様らしき人物の到来に、目を白黒とさせる。

 

『ワタシは統括理事長アレイスター=クロウリーが造り上げた、エルダー=マクレーンを象った人工知能、問答型思考補助式人工知能(リーディングトート78)だ。その人工知能の核にはトートタロットが使われていてな。魔導書の「原典」としても機能する。そんなワタシをエイワスが動きやすいように一冊の魔導書にしてくれたのだ』

 

自信たっぷりな様子に困惑しているアシュリンの代わりに、垣根が声を上げる。

 

「お前は元々『窓のないビル』に搭載されてた、大規模並列演算装置だった。……本当にエイワスがお前を助けて、動けるようにしたのか?」

 

『うむ。人間、頑張っていれば最後にはちょびっとイイコトがあるという典型だなっ』

 

「いやそうは上手くいかねえと思うけど……」

 

垣根が思わずツッコミを入れる中、アシュリンは押し黙る。

垣根はアシュリンの様子を伺う。

真守の伯母はエルダー=マクレーンのことを受け入れられるのか。

もし受け入れられなくても仕方ないことだ。

 

まさか自分のご先祖様が科学サイドで使われていたなんて、死んだ双子の妹の娘である真守が学園都市に流れついたのだと知った時に匹敵する衝撃だ。

垣根は真守が大事に想っているエルダーのために、助け舟を出す。

 

「エルダー=マクレーンは『窓のないビル』で味方になってくれたんだ。ガイドとして、真守や俺たちにアレイスターの過去に何があったか教えてくれた。……もちろん、彼女は真守がアンタたちケルトの民の望んだ『永遠』を体現する少女だってのも教えてくれた」

 

「……そうなの」

 

アシュリンは垣根のざっくりとしながらも、間違いがない正確な説明を聞いて、一つ頷く。

 

「真守ちゃんは、いまのエルダーさまを認めているのね?」

 

「ああ、それは確かだ」

 

アシュリンは垣根の返答を聞いて、伏せていた目でカブトムシを見た。

 

「分かりました。わたくしは真守ちゃんのことを信じています。あなた様のことも、わたくしはエルダーさまだと信じます」

 

「……無理に信じなくてもいいんだぜ?」

 

垣根が一応の配慮を見せると、アシュリンはたおやかに微笑んだ。

 

「以前のエルダーさまと今のエルダーさまは確かに違うのでしょう。でも今のエルダーさまをわたくしは否定したくありません。……それに、お父様からエルダーさまのことについては聞き及んでおります」

 

アシュリンは胸に手を当てながら微笑む。

 

「きちんとした貴婦人であらせられながらも、上品さが崩れない程には型破りな方であったと。エルダーさまならなんでもありえる。そう思わせる自由な方だったと」

 

『ふふっ。ランドンがオマエにそんな事を言ったのか。……マクレーンの中にはワタシを認められない者もいるだろう。ワタシはそれでも構わない。だがそれでも一通りが落ち着いたらそちらに顔を出す。楽しみにしていてくれ』

 

「分かりました。お待ちしておりますね」

 

アシュリンは真剣な表情をして頷く。

そんな中、カブトムシのヘーゼルグリーンの瞳がきょろっと動いた。

 

『ところで真守はどうした?』

 

「真守ちゃんは体調を崩してしまったの。霊格に揺らぎが生じて、霊媒に影響が出ているみたいなんです」

 

『むむっ。……そうか、コロンゾンによる「拡散」でダモクレスの剣と共に貫かれたのが原因か。本当に長引くようであればあやつの元へ行くと良い。ケルトの秘術だけではどうにもならぬかもしれないからな』

 

「あやつ、とは?」

 

アシュリンが問いかけると、エルダー=マクレーンは自信たっぷりに告げる。

 

『ワタシが懇意にしていた男でな。ソイツは今も学園都市にいる。イギリスの辺境(ウェールズ)でくたばりそうになっていたアレイスターを治療して、日本に逃がした時に共にこの地へとやってきたのだ』

 

垣根はエルダー=マクレーンの言葉を聞いて目を見開く。

 

『かつて真守と源白深城の事を保護したカエル顔の医者。第七学区のマンモス病院を拠点としている男、──冥土帰し(ヘブンキャンセラー)。あやつなら、ヒトの枠組みに収まっている真守をどうにか快方へと進める事ができよう』

 

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