とある科学の流動源力-ギアホイール-   作:まるげりーたぴざ

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第三四話、投稿します。
次は九月一二日日曜日です。


第三四話:〈正義支援〉はお手の物

上条当麻は第一〇〇三二次実験の実験場となる第一七学区の操車場へとやってきていた。

 

ここに来るまでに自分の命を犠牲にして実験を中止させようとする御坂美琴を止めるために身を犠牲にして電撃を浴びたり、心臓が一瞬停まったりしたが、なんとか実験開始前に辿り着く事ができた。

 

「よお、御坂妹」

 

上条は操車場でこれから実験のために準備をしているミサカ一〇〇三二号へと声をかけた。

 

「お前を助けにきた」

 

上条はそうはっきりと宣言した。

 

「何をやっているんですか、とミサカは問いかけます」

 

「実験を止めにきた」

 

「意味が分かりません。ミサカは必要な器材と薬品があればボタン一つでいくらでも自動生産できるんです、とミサカは説明します。作り物の体に、借り物の心。単価にして一八万円、在庫にして九九六八人も余りあるモノのために『実験』全体を中断するなど、」

 

「──うるせえよ」

 

上条はミサカのつらつらとして言い訳を途中で切るように声を上げた。

 

「な、に?」

 

「そんなもん、関係ねえんだよ。作り物の身体とか、借り物の心にボタン一つでいくらでも自動生産できるとか、単価一八万円とか。お前がどういう風に作り出されたとかそんな小っせえ事情なんかどうでも良いんだよ!!」

 

上条は激情を口にしてミサカ一〇〇三二号が自分に言い聞かせるように呟く、彼女の存在価値を真っ向から否定した。

そして高らかに宣言する。

 

「俺は、お前を助けるためにここに立ってんだよ! 他の誰でもない、この世界でたった一人しかいないお前のために戦うって言ってんだ!」

 

ミサカはそれに応えずに、ただ呆然と感情の乗っていない目を見開かせているだけだった。

 

「今からお前を助けてやる。お前は黙ってそこで見てろ」

 

上条はそこでミサカから目を離して前を見た。

そこには白い髪に赤い瞳。整った顔立ちをしながらも線の細い、男か女かも分からない人物が怪訝そうな表情で立っていた。

いきなり始まった押し問答の行方がどうなるか静観していたのだ。

 

「お前が、一方通行(アクセラレータ)か?」

 

「あァ? なンだ、テメエ?」

 

一方通行がいら立ちを隠さずに、突然実験に割り込んできた上条を睨んだ。

 

「この実験を止めるためには、無能力者(レベル0)の俺が超能力者(レベル5)のお前を倒さなくちゃなんねえそうだ。だから──俺に負けてもらうぜ、三下」

 

上条が自分の事を三下呼ばわりしたのでぴくッと頬を動かすと、一方通行(アクセラレータ)は鼻で嗤った。

 

「オマエ、ナニサマ? 誰に牙剥いてっか分かって口聞いてンだろォなァ、オイ。学園都市でも七人しかいねェ超能力者(レベル5)、更にその中でも唯一無二の突き抜けた頂点って呼ばれてるこの俺に向かって……三下? オマエ、何なンだよ。カミサマ気取りですか、笑えねェ」

 

「勝手に頂点(かた)ってろよ、三下ぁ!!」

 

上条は誰よりも強い超能力者(レベル5)の少女がいる事を知っている。

それは何も能力だけが最強だというわけではない。

 

自分のするべき事を、守るべきものを。それをきちんと見定めて進もうとしているその()り方が、他の超能力者(レベル5)の誰よりも強い輝きを放つのだ。

 

確かに朝槻真守は普通の女の子とは言えない。

上条当麻が錯乱(さくらん)して警備員(アンチスキル)を呼びに行くために半分逃げるように駆け出したあの路地裏で、彼女は平然と立っていたし、その後公衆電話に入って躊躇(ためら)う事なくハッキングしていた。

 

何か後ろ暗い過去がありそうだし、それに絶対能力者(レベル6)なんていう人を超えた何かに進化(シフト)する可能性が目の前の一方通行(アクセラレータ)よりも秘められていると頭の悪い自分でも分かる。

 

 

それでも全てを忘れた上条当麻の大切な友達である事に変わりなかった。

 

 

「……、へェ。オマエ、面白ェなァ──」

 

一方通行(アクセラレータ)は上条当麻を敵と定めた。

実験よりも一〇〇倍先決に潰さなければならない人間を見つめる一方通行(アクセラレータ)の紅い瞳に、殺意が灯る。

 

 

そして、無能力者(レベル0)超能力者(レベル5)の戦いが始まった。

 

 

「うおぉおおおおお!!」

 

上条が雄たけびを上げながら拳を振りかぶって一方通行(アクセラレータ)へと駆け出す。

一方通行はそれを見て獰猛(どうもう)に鼻で嗤って、その場で足を上げてつま先で地面を踏んだ。

 

その瞬間、一方通行(アクセラレータ)の足元の砂利が吹き飛ばされる形で、上条に向かって衝撃波が繰り出された。

上条はその衝撃波に吹き飛ばされて、砂利と共に飛んできた石に全身を強く打たれた。

 

その中でも一際(ひときわ)大きな石が、上条の腹に突き刺さるように打ち込まれた。

 

「……遅っせェなァ」

 

上条が(うめ)く前で、一方通行(アクセラレータ)がもう一度地面を踏みしめて衝撃波を放った。

 

上条は何度も体を縦に回転させられながら吹き飛ばされて、地面に投げ出されて仰向(あおむ)けになって転がった。

 

「全っ然、足りてねェ」

 

一方通行(アクセラレータ)は吐き捨てるように告げながら操車場に敷かれたレールの下へとゆっくり歩いていき、そのレールを軽く足で小突いた。

 

その瞬間、留められたボルトを全て弾きながら一本のレールが一方通行の前で直立した。

 

「オマエ、そンな速度じゃ一〇〇年遅ェぞ?」

 

一方通行(アクセラレータ)が直立したレールを拳で軽く叩く。

レールがくの字に何度も折れ曲がっていき、起き上がろうとしていた上条に鋭い速度で襲い掛かった。

 

上条は即座に立ち上がってその場から離れる。

さっきまでいたところにレールが突き刺さり、土埃と共に石がいくつも跳ね上がってその一つが上条の顎を弾き、そして腹を貫くようにレールが飛んできた。

 

そのレールが致命傷にならないように上条は間一髪のところで避けるが、左わき腹をかすめた。

制服が切り裂かれるのと、その衝撃が左わき腹に入って上条はごろごろと操車場の地面を転がって、痛む脇腹を押さえながら体勢を整える。

 

上条が上空を見ると、折れ曲がったレールが数本向かってきた。

それを視認すると、上条はとっさにその場から飛び退いた。

 

だがそれを予見していたかのように鋼鉄のレールが上条の背後に突き刺さり、飛び退いた上条の背中にレールが突き刺さった衝撃波で吹き飛ばされた数十もの砂利や石が打ち込まれた。

背中に不意の攻撃が入ったことによって息が詰まった上条は地面の上にうつ伏せに倒れ込んだ。

 

風切り音が聞こえて頭上を見上げるとレールが何本もこちらに飛来してきていた。

そのレールは上条自身を突き刺すことなく周りに突き刺さった。

 

そして再び巻き上げられた石が数十も上条の身体を打つ。

 

美琴の電撃で足がおぼつかないし、口の中は血の味で充満していて、全身を石で何度も打たれて上条当麻は満身創痍だった。

 

一方通行(アクセラレータ)からの一方的なレールと砂利や石の攻撃を受け続けながら後退する上条。

何度もごろごろと転がっていると、何かに背中をぶつけた。

 

「コンテナの壁……?」

 

一方通行(アクセラレータ)の攻撃から逃れようと動き続けた結果、操車場の周りに五段、六段と山積みにされていたコンテナの壁まで追いやられてしまったらしい。

 

「余所見たァ余裕だなオイ! ンなに死にたきゃギネスに載っちまうぐれェ愉快な死体(オブジェ)に変えちまォかァ!!」

 

狂った笑い声が響いた時、一方通行(アクセラレータ)が思い切り地面を飛び上がってコンテナの壁に飛び蹴りした。

 

積み上げたコンテナがその一度の飛び蹴りによって山のように崩れ、上条へと向かって落ちてきた。

上条は息を呑んでそれを見上げて、即座に避けた。

 

「無様に這いつくばって逃げろよォ、三下ァ!!」

 

一方通行(アクセラレータ)は落ちてきたコンテナによって上条当麻を視認できなくなったが、周りにあったコンテナを彼は弾き飛ばして、上条がいるであろう場所へと落とし続ける。

 

それらのコンテナを上条が見上げた時、それは起こった。

 

コンテナが()()()()()()()()()落ちてくるのだ。

 

(──動かない方がいい!?)

 

上条はとっさに避けるのをやめて頭を(かば)うようにその場に立ち尽くした。

 

そして一方通行(アクセラレータ)が繰り出したコンテナ群は上条を避けるかのように周りに落下して、中に入っていた白い粉末を辺りにまき散らした。

 

(今何が起こったんだ? 俺にぶつからないようにコンテナが()()()()()()()()()()()()()()落ちた……?)

 

「デカい口叩いた割に、バカみたいに突っ込ンでくるだけとはなァ。無能力者(レベル0)でも雑魚中の雑魚じゃねェか」

 

白煙の中から一方通行(アクセラレータ)が上条に向かって声をかける。

 

「コンテナの中身は小麦粉みてェだなァ。今日はイイ感じに無風状態だし、こりゃあひょっとすっと危険かもしンねェなァ? ……空気中に粉末が(ただよ)ってて、ソイツに火が()くと酸素の燃焼速度がバカみてェに速くなって空間そのものが爆弾になるンだが」

 

一方通行(アクセラレータ)は上条へ丁寧に説明をしながら白煙を振り払う形でコンテナを上空へと打ち上げた。

 

そのコンテナは、白煙に呑まれてた上条でも認識する事ができた。

 

上条が打ち上げられたコンテナを見てその場から逃げようとして背を向けた瞬間、背後から一方通行(アクセラレータ)の声が響いた。

 

「粉塵爆発って言うンだぜェ、三下ァ」

 

 

──直後、小麦粉がまき散らされた空間全てが爆発し、巨大な黒煙と炎が噴き上がった。

 

 

上条は小麦粉が舞った空間から逃げて爆炎からは逃れる事ができた。

 

だが衝撃波が背中を叩き、それと共に小石が飛んで体に叩きつけられる。

 

 

()()()()()

 

 

その粉塵爆発の衝撃波は、上条の横を通り抜けるように繰り出された別の衝撃波によって吹き飛ばされた。

 

「な、ん……!?」

 

上条が驚愕の声を上げる。

 

おかしかった。

粉塵爆発は辺り一面の酸素を奪い取り、気圧を急激に下げると『知識』で知っていた。

その気圧の変化で上条は内臓を(しぼ)り上げられるような圧迫を感じるはずだった。

 

だが横を駆け抜けた衝撃波が粉塵爆発の衝撃波を相殺すると共に、気圧の変化をも調節したので上条の内臓は無事だった。

 

そんな芸当ができる能力者は上条が知っている人物の中で一人しかいない。

 

あらゆるエネルギーを生成する消えた八人目の超能力者(レベル5)流動源力(ギアホイール)。朝槻真守。

 

(そうか……っ! 朝槻はどっかで見て、そんで分からねえように援護してくれてるのか!)

 

上条は一方通行(アクセラレータ)を警戒しながらもその考えに行きついた。

 

一方通行(アクセラレータ)が見ている前での上条への攻撃は一方通行に感づかれる恐れがあるため真守は手を出せなかった。

だが山積みになったコンテナや粉塵爆発によって一方通行(アクセラレータ)の視界が(さえぎ)られている瞬間を狙って、致命傷になるはずだったそれらの攻撃から真守は上条を守ったのだ。

 

朝槻真守は実験を中止に追い込むには一方通行(アクセラレータ)という最強を、最弱である上条当麻が倒す必要があると言っていた。

それに真守が実験を止めようとして一方通行(アクセラレータ)と衝突すると、逆に一方通行が絶対能力者(レベル6)進化(シフト)するのを短縮してしまう恐れすらある。

 

だからこそ朝槻真守は一方通行(アクセラレータ)に分からないように密かに上条当麻を援護していた。

 

(こっちには最強の超能力者(レベル5)がついてんだ……絶対に俺がアイツを負かす!)

 

上条は一方通行(アクセラレータ)がいるであろう方向を睨みつけていた。

 

「酸素奪われるとこっちも辛いンだなァ。こりゃ核を撃っても大丈夫ってキャッチコピーはアウトかなァ? ────で? 身構えてどォすンの、オマエ?」

 

一方通行(アクセラレータ)は目の前で体の痛みに(むしば)まれながらも構えたボロボロの様子の上条に近づく。

 

(器用に避けまくってェ運の良いヤツだなァ)

 

真守が援護していると知らない一方通行(アクセラレータ)は上条当麻が致命傷を負っていないのを『運がいい』という言葉で片付けた。そうするしか判断できなかったのだ。

 

「ポテンシャルの低さが逆に幸いしてるよなァ。そんな弱っちィンじゃ逆に『反射』が上手く働かねェ。ま、オマエはオマエで頑張ったと思うぜ。この一方通行(アクセラレータ)を前にしてまだ呼吸してンだ。だからまァ────」

 

一方通行(アクセラレータ)はそこまで行って手を薄く広げた。

 

「イイ加減楽になれ。好きな方の手に触れろ。それだけで血の流れを。生体電気の流れを逆流させて死ねるからよォ」

 

左手は血の流れを逆流させて、右手は生体電気の流れを逆流させる。

そういう風に一方通行(アクセラレータ)は『設定』した。

 

「どっちがいい? 苦手か、毒手か」

 

一方通行(アクセラレータ)は地面を蹴って衝撃波を繰り出しながら上条へと迫った。

 

「くっ!」

 

上条は(うめ)きながら右手を振りかぶった。

 

「それとも──両方かァ?」

 

そんな上条に、一方通行(アクセラレータ)は両方の手を伸ばした。

 

 

────……。

 

 

気づくと、一方通行(アクセラレータ)の視界には三日月と星が浮かんだ夜空が見えていた。

 

(つ……き? 何で月なンか見てンだ……?)

 

一方通行(アクセラレータ)はそこで自分が地面に手を付いたことに気が付いた。

 

(……俺が、仰向けになってるからか……じゃあ、何で俺は地ベタに寝転がってンだ?)

 

一方通行(アクセラレータ)が目を動かすと、目の前には拳を振りかぶった上条当麻が立っていた。

 

(!? アイツ……目の前にいたはずがいつの間に……イヤ。そもそもなぜヤツは五体満足で立っていられンだ? ……なンだ?)

 

一方通行(アクセラレータ)は異変に気が付く。

 

(痛ェ。痛て……ェ?)

 

顔が殴られたように痛い。

そう思って自分の顔に手を()えると、血がべっとりと付いた。

 

(痛み……だとッ!?)

 

「なっ……なンだコリャああァッ────!!」

 

(ぶっ飛ばされたってのか? 俺が? ありえねえッ。それならヤツの腕の方が折れているはず。俺に触れる事さえ……っ)

 

一方通行(アクセラレータ)は困惑しながらも嗤いながら立ち上がった。

 

(両手に集中して、全身の『反射』を無意識に切っちまったって事か? マヌケ過ぎんぞ、クソがっ!?)

 

「面白れェハハハ。イイぜ。最っ高にイイねェ。愉快に素敵にキマっちまったぞ、オマエはァ!!」

 

一方通行(アクセラレータ)は狂ったように嗤いながら叫んで右手を上条へと伸ばす。

 

上条は一方通行(アクセラレータ)の手に『設定』されていた、血液の流れを逆流させる攻撃を右手の幻想殺し(イマジンブレイカー)によって打ち消してパシッと軽く跳ね除けた。

 

そしてその右手を拳にして握り込む。

 

「歯を食いしばれよ、最強(さいじゃく)────俺の最弱(さいきょう)はちっとばっか響くぞォおおお────!」

 

上条は雄たけびを上げながら一歩踏み込んで一方通行(アクセラレータ)の顔を真正面から殴りつけた。

 

そして一方通行(アクセラレータ)が地面を何度もリバウンドして地面の上を舐めるように(すべ)っていき、止まる姿を見てから告げる。

 

「くだらねェモンに手ェだしやがって。妹達(シスターズ)だって精一杯生きてきたんだぞ。全力を振り絞ってみんな必死に生きてんだ! ……なんだってテメェみてえなのに食い物にされなきゃなんねえんだ!」

 

一方通行(アクセラレータ)は上条当麻の言葉が理解できなかった。

 

(生きてる?)

 

一方通行が視線を動かした方には妹達(シスターズ)がいた。

 

今夜の第一〇〇三二次実験で死ぬはずだった実験材料(モルモット)

 

(何言ってンだ? アイツらは人形だろ。そう言ってたじゃねェか)

 

一方通行(アクセラレータ)は動揺する中で強く願った。

 

(力がいる……コイツを黙らせる力。──いや、理もルールも全て支配する、圧倒的な力。……そォか。そこら辺にあるじゃねェか、これを全部支配すりゃァ────……)

 

一方通行(アクセラレータ)が夜空に向かって手を伸ばした瞬間。

 

 

その夜空に飛来する人影が見えた。

 

 

その人物は袖なしの黒いブラウスに、オーバーサイズの真っ白なパーカーを前開きのジッパーを閉じて肩がむき出しになるように着ていた。

その下にはハイウェストで白いリボンがポイントで取り付けられた黒いショートパンツを履いており、足元にはあの夜も履いていたストラップを編み上げるタイプの白いレースアップサンダルを履いていた。

 

「な…………っ」

 

一方通行(アクセラレータ)はその人物を見て、思わず言葉を漏らす。

 

一方通行(アクセラレータ)が夜のコンビニで会った朝槻真守が、昨日よりもきちんとした服を着て夜空を飛んでいたからだ。

服装はそんな感じだったが、その()()は違った。

 

猫耳ヘアに綺麗に結い上げた頭には蒼閃光(そうせんこう)で形作られた猫耳のような三角形が一つずつ浮かんでいて、その三角形には二つずつ小さい正三角形が連なっていた。

 

ショートパンツの臀部(でんぶ)からはタスキのような細長い尻尾が出ていたし、その根元にはリボンのように正三角形が二つ付いていた。

 

ネオンのような青い光で作られた猫耳と尻尾を身に(まと)うその姿で、朝槻真守は一方通行(アクセラレータ)(とら)えると、長い艶やかな黒髪と、尻尾のように伸びる蒼閃光の(きら)めきをひらめかせながら、夜空からそっと()ちてきた。

 

その姿を見て一方通行(アクセラレータ)の頭に過去の記憶が(よみがえ)った。

 

 

連れて行かれたどこかの研究所。

その隔離区画のとある部屋で(たたず)んでいた、人形のように無機質なエメラルドグリーンの瞳を持つ、不気味で美しい少女。

 

()()()()()()が成長した姿で自分の前に降り立った。

 

「──一方通行(アクセラレータ)

 

その少女は一方通行(アクセラレータ)の名前をそっと呼んだ。

 

ダウナー声でぶっきらぼうに。

 

それでも優しく穏やかに。

 

一方通行(アクセラレータ)の名前を、朝槻真守は昨日の夜のように親しみを込めて呼んだ。

 

 




真守ちゃんはどっちかって言うと、誰かが頑張ってるのを手助けする方が好きです。

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