次は一〇月二一日木曜日です。
「え。一〇〇四六号がDAの人質に取られた?」
真守が垣根たちと一緒に昼食を摂り、これからDAの施設を襲撃してDAのどこかの施設にいる菱形を探し出そうとしていると、ミサカ一九〇九〇号から真守の携帯電話に着信があった。
電話に出てみるとDAが病院を襲撃、それを
DAが逃走するために人質に取ったのがミサカ一〇〇四六号で、彼女はそのまま誘拐されてしまったらしい。
〈はい。あの異国の少女が追っています、とミサカは事後報告をあなたにします〉
「それで
〈手術の方に問題はありません。夕方には目覚めるとあのカエル顔のお医者さまは仰っていました、とミサカは報告します〉
「……私はDAを襲撃してミサカを取り戻す。だからお前は
〈了解しました、とミサカはあなたからのお願いを引き受けます〉
「ありがとう」
真守は通話を切ると、少し離れたところにいた垣根たちへと近づく。
「ちょっと野暮用ができた。垣根と誉望は林檎と深城のことよろしく頼む」
「野暮用?」
「……DAだな?」
誉望は真守の野暮用という言葉に首を傾げるが、垣根は事情を知っているので真守に問いかける。
「うん。ミサカが人質に取られたらしいんだ。ちょっと行ってくる」
「誉望、調べろ」
止めても真守が行くと分かっている垣根は隣にいた誉望へと顎を動かして指示をする。
「はい」
「……いいの?」
特に
「俺のモノを俺がどう使おうが俺の勝手だろ」
「……誉望、お前の人権は一体どこにあるんだ? モノ扱いされてるケド」
「懐柔されて『スクール』に入った時からですからもう慣れました……」
真守は垣根の言い分を聞いて誉望に憐憫のまなざしを向けると、誉望はフッと寂しそうな笑みを浮かべて目を逸らした。
「懐柔というか隷属じゃないか?」
誉望から放たれた悲しい言葉を聞いた真守は、思わず垣根を横目で見ながら呟く。
垣根がチッと舌打ちする中、林檎は誉望の服の裾を引っ張って
女児と年上に慰められた誉望はなんだかみじめな気持ちになりながらも、DAを殲滅するために動き出した。
──────…………。
『オマエ、DAを潰して回って
『うん。でもDAに目をかけていたスポンサーが見限ったらしくて、
真守は現在、
その間に統括理事会メンバーの亡本裏蔵がDAを見限って
垣根たちは暗部組織で表の組織である
『DAと
『そォか。俺も行く、ヤツらの拠点を教えろ』
真守が自分のこれからについて
『お前、手術したばかりだろ』
『あァ? やられっぱなしじゃ終われねェンだよ』
『……バッテリーを手の届かないどっかに置いていってやろうか』
『ンなことしたら這ってでも行く』
真守がムッとした表情で
『……分かった。心配だから一緒に行こう。それに私がいたら電気エネルギー生成できてバッテリーの充電無限にできるし』
真守がため息を吐きながら折れると、
『至れり尽くせりだなァ第一位様よォ』
『…………いじわる』
真守が第一位の座を望んで手に入れたわけではないと
『ったく。早く慣れやがれ。そンなンじゃ学園都市最強の名が泣くぞォ』
『……分かった。お前がそう言うならちゃんと胸張る』
真守は最強の座に君臨していた
『ンじゃまァ行きますかァ、第一位?』
『うん。行くぞ、第二位』
真守は
──────…………。
エステル=ローゼンタールは死霊術師だ。
彼女は
だが禍斗の定着が終了し、後は回路を閉じればいいだけだったところにDAが人皮挟美の死体を処理しようと現れ、
その最中、
禍斗の身を犠牲にすれば追いつく事もできたが、万全の状態で追うために一度態勢を立て直し、
彼女たちが人質に取られた一般人と彼女を連れ去ったDAの匂いを辿って向かったのはDAのアジトの一つである第一四学区にあるスクナビコナ食品のサプリメント工場。
そこにはDAを殲滅するための
そんなDAと
統括理事会所属でDAのスポンサーだった亡本裏蔵の始末屋であり、その命令を受けてDAを殲滅に来た暗部組織の
その四人は
そして
エステルは彼女と応戦するために禍斗に土でできた『死者の鎧』を
禍斗はその掘削機を持って特攻してくるナルから逃げ続ける。
「ちょっ逃げるなぁ!!」
ナルは悔しそうな声を出して禍斗を追って何度も掘削機を振るが、禍斗は疑似魂魄らしく表情一つ動かさずに避け続ける。
「逃げるなぁって! 今度こそ──っ!」
しびれを切らしたナルは掘削機を持ったまま飛び上がると禍斗に向かって掘削機を上から垂直に振り下ろす。
だが禍斗はその掘削機を難なく避けて、ナルは地面に回転して土を削る掘削機を当てた事で自身がぐるぐると回ってしまい、目が回ってふらふらとする。
「ナル! 金髪を狙え!」
エステルは標的にされると思って逃げようとするが、そこで思い至ってバッと振り返った。
エステルの後ろには死体袋に詰められたミサカ一〇〇四二号と黄泉川が気を失って倒れているのだ。
(ダメだ……今は動けない!)
エステルは焦った表情で心の中で呟くと、掘削機を構えて迫ってくるナルを見て、二人を守るために両手を開いて通せんぼをするように立ち塞がった。
エステルを
「禍斗!」
「お~初ヒット! じゃあこのまま~スピードアップぅー!!」
エステルが自分を守った禍斗が心配でとっさに名前を叫ぶと、その前でナルは
ナルのスピードアップしてより強力となったその攻撃によって、禍斗の腕に装着されている『死者の鎧』が掘削機によってどんどんと削られていってしまう。
「禍斗、やめろ!!」
「問題ありません。
エステルが叫ぶが、主を守ることを第一としている禍斗はその命令を拒んで逆に主に逃走するように
「禍斗、やめるんだ!」
「
「あ~あ~ヤだねえ。点取り虫はぁ。回転あげま~す!」
ナルは互いを思いやる二人の会話を聞いて心底嫌そうに笑ってから掘削機の回転速度を上げる。
その瞬間、禍斗が手に
それでも禍斗は
エステルの前で禍斗の腕から血が流れて雫となって吹き飛び、エステルの頬を赤く染まり、エステルはそれを受けてヒッと
「もう……やめてくれ……! お願いだ……やめてください……っ」
「「や」」
「だ」
「よ~!」
エステルが懇願するも、見ていた
「何故……何故、こんな事ができるんだ……!」
エステルが
「ん~セイギのためかなあ?」
エステルはそれを聞いて愕然とする。
正義とは人々を守るためにあるものだ。
人々を傷つけるためにあるものじゃない。
「こんなの……正義じゃない……っ!」
「あっそう」
自分が信じている正義と
そしてエステルを冷酷な瞳で蔑むように見つめた。
「キミの正義と僕たちの正義は違うから。まあどうでもいいことだ。仕事に戻るぞ、ナル」
そして自分たちの正義は『仕事』だと言わんばかりにナルという少女に声を掛ける。
「じゃあ! まずは『優等生』を殺して、その次は『センセー』!」
リーダーに命令されたナルは元気よく返事をしてから誰から殺すか順番を決めて、掘削機を回し続ける。
「そして最後はあんた……この世に絶望してあの世に行きな」
セーラー服の長身がエステルへと死刑宣告をすると、エステルは膝をついて涙をぽろぽろと零す。
「どうして……どうしてこの世界には絶望しかないんだ……っ」
自分は菱形蛭魅を救えなかったばかりか、蛭魅のフリをした
それどころか、多く人間の命を
自分がこれまで見てきた絶望を嘆くエステルを見て、ナルはにやっと無邪気に笑う。
「それはぁ、全部『センセー』が悪いんだよぉ? だからぁ──」
ナルはそう言いかけると掘削機の形状を変化させて、土を砕くためではなく肉を砕くためへと変貌させた。
「ちゃぁんと皆殺しにしてあげるから──!!」
肉を砕くための掘削機を巨大化させると、エステルと禍斗、二人同時に確実に殺すためににナルは迫る。
「これで、おしまいだぁ──!!」
エステルが目をぎゅっと閉じた瞬間、その場に降り立つ人間がいた。
彼は天から舞い降りた無慈悲な天使のようにそっと地面に降り立ち、伸縮自在の杖の先を持ち手にしまうと右手を前に出してベクトルを操作。
ナルが
「う、うわァッ────!?」
「ナルっ!」
髪の毛を帽子にまとめた少女がナルを心配するが、ナルは
「なんだ?」
リーダーと呼ばれるマスクをした少女はひらひらと舞う紙吹雪の中、自分たちを
「ったくよォ。学芸会ごっこは一人でやれ」
一方通行は心の底から面倒くさそうにそう呟き、首に手を当ててゴキゴキッ! と鳴らしながら
「そォしないと──俺みたいなのが寄ってくるからよォ!」
エステルは目の前に降り立った頼もしい
誉望くんの扱いが相変わらず垣根くんは雑です。
そして一方通行、あの屍喰部隊の目の前に現れて次回は蹂躙タイムです。