阿伏兎(不死者)に転生したサラリーマンの物語   作:アルトリア・ブラック(Main)

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はい、Pixivの方には告知してませんでしたが二話目でございます。

他のシリーズも書くつもりはおりますが、こちらは息抜きでございます。

神威誕生〜神威が春雨に入る期間までの話を書きたいと思います。


第2話『阿伏兎(アルタナ)と江華と神威』

ー阿伏兎ー

 

数年ぶりに洛陽にやって来ると、江華が出迎えてくる。

 

「………」

「……」

 

何やら警戒している星海坊主と、ちんまりと江華の服を握っている可愛い坊主。

 

(神威やっと生まれたか、にしても随分でっかくなったな)

 

「おー、元気にしてたか、江華…「はーい!ソーシャルディスタンス!密ですよ!家族間の密接は良いとしても他人は入ってこないで下さいね…ブベラッ!!」うるさい」

 

江華の拳が星海坊主の腹にクリーンヒットする。

 

「嫉妬は見苦しいよ、神晃。ほら、神威、叔父さんに挨拶しな」

 

そう言うと神威が戸惑い気味に「よ、よろしく、神威…です」と言っていた。

 

(あー!可愛い、マジで可愛い…!)

 

「おう、よろしくな坊主」

 

良い子良い子すると「何するんだー!」と素の神威が出る。

 

「にしても、お前さんが子供を産むなんてなぁ〜天変地異もあるもんだな」

 

「そういうアンタも、一丁前に部下なんて持って、そっちの方が驚きだよ」

 

「……」

 

阿伏兎と江華が話しているのを星海坊主がなんとも言えない顔で見つめていた。

 

阿伏兎はその顔を見て笑う。

 

「んじゃ、俺はこれで失礼するわ、いつまでも野郎が人妻と話してる訳にはいかないしな」

 

そう言って立ち上がって江華達に他の星のお土産を渡す。

 

 

 

 

 

 

 

〜数ヶ月後〜

 

地球に行った鳳仙の代わりに代理団長を務めることになった阿伏兎は山のようにある仕事と、他の師団の団長達と話し合いやら、侵略戦争やらいろいろやってて最早疲れた。

 

「………」

 

原作に突入する前に自分が死ぬ

 

いや、正確に言えば侵略戦争辺りで数回死んだかもしれないが、アルタナのおかげで死んでないだけかもしれないけど。

 

なんで生まれ変わっても仕事というものが着いてくるのだろうか

 

「はっ、いっそのこと全部破壊しちまえば何もなくなるのでは!!」

 

「阿伏兎!考えが飛躍し過ぎてるぞ!」

 

ツッコミを入れてくれる云業

 

「いーじゃん。俺、頑張ってるよ?無理だよ、故郷帰ろうかなぁ」

 

「それは辞めてくれ、アンタが辞めたら仕事が全部こっちにくる」

 

「俺たちも手伝うから頑張ってくれ」

 

「部下達が辞めさせてくれないよぉ!!」

 

テーブルに頭をガン!とぶつけると…

 

「副団長!!艦隊に何かが突っ込んできました!!」

 

「あぁ?敵襲かぁ?」

 

もうやる気のない阿伏兎に云業が『敵襲なんだから動いてくれ』と言っていると…

 

「よぉ、義弟。きてやったぞ、この星海坊主様が」

 

そう言ってやってきたのはすっかり老けている(髪の毛が徐々に後退している)星海坊主がいた。

 

(速●さんの声最高…耳に良いわぁ)

 

自分の声も良い方だったが、何分聴き慣れてしまった分、他の低音には耳が癒される。

 

「人の艦隊に穴開けておいてよ、始末書増えただろうがこのすっとこどっこい…」

 

テーブルに突っ伏したまま言うとズカズカと星海坊主がやってくる。

 

「おい、バカ義弟。教えて欲しいことがある」

 

「……え?何?シリアス空気なの?そういう展開なの?」

 

「テメェはさっきから何言ってんだ」

 

「…副団長、仕事のし過ぎて疲れ果ててるんだ。一回叩けば直る」

 

云業がボカッと叩いてくる。

 

「イッッテェ!!俺は映らなくなったテレビじゃねぇんだよ!」

 

頭をさすりながら起き上がる

 

「義弟。徨安にあるアルタナの結晶石の場所を教えろ」

 

ドンっとテーブルに手を乗せて言ってくる星海坊主の表情は実に真剣だった。

 

「アルタナの結晶石…あぁ、江華のやつ、徨安に戻ってなかったのか」

 

立ち上がって付いて来いと言うと部屋に向かうと、大人しく後ろを星海坊主がついてくる。

 

なんか、すごい違和感だなと思いながら進んで部屋に入り、室内の冷蔵庫を開ける

 

「テメェはこうなるって分かってて何も言わずにいたのか」

 

「アイツはてっきり知ってるもんだと思ったけどな、あの星から出る前に言ってなかったか?アイツ」

 

「………」

 

「その様子じゃ言ってたが、テメェがその意味を理解しなかったんだろ」

 

冷蔵庫からアルタナの結晶石を一つ出す。

 

「おら、貸し一つだ」

 

そう言って星海坊主に投げ渡す

 

星海坊主はそれを受け取ると、マジマジと見つめていた。

 

「いいのかもらって、こいつはアンタの…」

 

「予備は用意してある。それに、教えるにもかなり大変な場所にあるしなぁ〜めんどくせぇことになる前にさっさと持って帰れ」

 

「…礼をいう」

 

「へいへい」

 

手を振って艦隊から星海坊主を追い出すと、云業がやってきて

 

「…良かったのか副団長。アレが最後の結晶石だったんじゃないのか?」

 

冷蔵庫の中に保管してあったアルタナの結晶石はアレで最後だった。

 

なんと言うか、あの場で渡したのは少しでも早く、あのハゲを江華達の元に返して家族団欒を過ごさせないといけない。

 

「問題ねぇ、それに、明日はお偉い方がここに来るんだから隠さなきゃならんかったしなぁ?」

 

不死者だと知っているのは云業ぐらいで、後は悪運が強い副団長という認識しかないだろう。

 

「さぁてと、明日に備えて一眠りしますかぁ」

 

「おう、後のことはこっちで片付けておくから先に寝てろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ー云業ー

 

春雨第七師団副団長にして現在は代理団長を務めている阿伏兎は、あの夜王と呼ばれていた鳳仙の片腕として扱われていた。

 

本人はいかにもモブです。みたいな感じでいるが、あの夜王鳳仙の全力の拳に耐えている化け物のモブなんていてたまるものか。

 

「あー…終わった終わった」

 

「お疲れさん。阿伏兎」

 

「副団長!手当はしないで大丈夫なんですか?」

 

「んー?自分でやっとくからお前らはさっさと艦隊戻って飛ぶ準備しとけ〜」

 

部下が前を歩いていて気づかないが、阿伏兎の隠してる方の腕が緑色のような煙を出しながら再生しているのが云業には見えた。

 

部下達がいなくなったのをみて

 

「相変わらず便利な能力だな、それ」

 

そう言うと「隠すのめんどくせぇからクソ不便だぞ、これ」と言う。

 

「確かに」

 

春雨に不死者だとバレれば面倒なことになるのは他ならない。

 

肉の一片まで、体をバラバラにされるのがオチだろう。

 

「死ぬ手段間違えたらただの拷問になるからな、これ」

 

「そうだな、生き埋めになんてなったら永遠に生き地獄だな」

 

そう言いながら完全に再生した腕を動かしてみている阿伏兎

 

 

 

 

 

 

ー洛陽ー

 

星海坊主がアルタナの結晶石を取りにきてから数日後、阿伏兎達春雨第七師団は洛陽に私用のために向かっていた。

 

以前とは違い、一人で来たわけではないので、部下達がぞろぞろといる。

 

(モブだと思ったけど…俺、どう考えても鳳仙の位置にいない?大丈夫?俺死亡フラグ立ってない?)

 

阿伏兎がいる位置には云業がいるし、自分の未来が怖くなる今日この頃。

 

洛陽に来たので江華の家に訪問すると、江華が出てくる

 

「あら、久しぶりに顔を見せたわね」

 

あの頃から変わらない江華だが、一つだけ違ったのは弱々しくなっている点だろう。

 

(…あの結晶石飲んでねぇのか…いや、飲んでても星から離れてるから効き目が薄くなってきてんのか)

 

まぁ、なんとなく分かっていた展開だが

 

「すまないね、来てくれたというのに、何も用意してないけど」

 

「いいから病人は休んでな」

 

江華がベットに座ったのを見ると、隣には小さい女の子がいた。

 

「紹介するのが遅れたね、この子は私の二人目の子・神楽だ。怪我して休んでるからあんまり大きな声で騒がないでくれたら嬉しいよ」

 

「あたりめぇだろ」

 

椅子を持ってきて座ると、江華が笑いかけてくる

 

「アンタはちっとも変わらない。元気なままだね」

 

しんみりとした空気に頭をガシガシと掻く

 

(…こういうのは好きじゃないんだけどなァ…)

 

「お前さんの言う通り定期的に帰ってるからな」

 

そう言うと江華は笑う。

 

「確かに、言いつけを守る良い子で良かったよ」

 

そう言って頭を撫でてくる

 

なんか気恥ずかしいが、その笑顔を見て目線を逸らす。

 

(……あの星に居た時はこんな満面の笑顔は見たことなかったからな)

 

こんな笑顔を向けるようになったのも、あの星海坊主や夜兎兄妹のおかげなのだろう。

 

「んー…マミー?おきゃくさんアルか?」

 

神楽が目をこすりながら起き上がる。

 

「あぁ、神楽起こしちゃった?」

 

「ううん、ふつうに目がさめたアル、そのお兄ちゃん。誰アルか?パピーの知り合いアルか?」

 

「私の弟だよ」

 

そう言うと神楽は笑顔で『似てないアル〜』と言う

 

「兄弟が全員そっくりだと思うなよ〜嬢ちゃん」

 

そう言って頭を優しく撫でると神楽が『えへへ、撫で方がマミーとそっくりアル』

 

「え?俺、女みたいな撫で方してた?」

 

「優しい撫で方が出来るようになったじゃないか、神威の時は思いっきり撫でてたけど」

 

「仕方ねぇだろ〜?初めてだったんだからよ」

 

そう話している二人を交互に見る神楽は実に楽しそうだった。

 

「そうそう、最近地球に行ったんだが、そん時に珍しいもんを見っけたから買ってきたんだ。ほれ」

 

そう言って袋に入った飴玉を渡す。

 

「うわぁ!きれいアル!!」

 

琥珀色の水晶飴玉で、かなり値は張ったが、綺麗だったので気まぐれで買って神威か江華に渡そうと思っていたのだ。

 

(神楽が生まれてたのは想定外だったけど)

 

「…本当に綺麗だね、金色?の飴玉なんて初めて見たよ」

 

「それ、琥珀色の飴玉だぜ、微妙に金色じゃねぇんだ」

 

「へぇ」

 

「頂戴アル!」

 

そう言って神楽が欲しそうにしたので、江華が『子供が舐めても平気なやつかい?』と聞いてくる

 

「おう、酒とかそういうのは入ってなかったから大丈夫だ」

 

江華から飴玉を渡されると神楽は早速舐め、美味しそうに舐め始める。

 

「ありがとうアル!!」

 

パァアア!と笑顔になる神楽に心の中で買ってきて良かった、と拳を振り上げる。

 

その笑顔を見て微笑み立ち上がる

 

「そろそろ帰るわ、また数日後に様子見にくるからな」

 

「あぁ、お土産ありがとう」

 

「おう」

 

そう言って手を振って背中を向けると…

 

「名前なんて言うアルか?!」

 

元気な声に少しだけ振り返ると

 

「…阿伏兎、よろしく頼むぜ嬢ちゃん」

 

「神楽アル!よろしくネ!」

 

手をブンブン振る神楽に笑って手を振り返す

 

 

 

 

 

 

 

 

江華の家から出て歩いていると、部下達がいる地点から騒がしい音が聞こえてきた。

 

「………ん?」

 

少し先に云業に喧嘩をふっかけている神威がいた。

 

(あー…やっぱりそうなるポジ?やっぱり俺死亡フラグ立ってるのかぁ〜)

 

ため息をつきながら歩いてそちらに向かう。

 

ある程度近付くと、蹴りを飛ばしてきた神威の足を軽く小突く

 

…うん。軽く小突いたつもりなんだよ?なんで吹き飛ぶの?

 

「なーにしてんだ、人の部下に手ェ出して」

 

「阿伏兎…」

 

シリアス空気をとことん破壊してやると決心した。

 

…無理だもんシリアスな雰囲気出すの

 

「…あ、アンタは…」

 

(あー…これはあのシーンに突入するかぁ〜)

 

「俺は強くならないといけないんだ…!強くなって…」

 

神威が走って向かってくる

 

軽く拳を振るうとまた吹き飛ぶ

 

「おら、帰るぞ、お前ら〜」

 

「は、はい!」

 

部下達がいそいそと立ち上がり艦隊の方に走っていく

 

「…母さんの弟なら…母さんをあの星に連れて帰ってほしい…」

 

足を止めると振り返る

 

「そいつぁお前さんの意思か?江華の意思か?後者なら聞いてやるけど、お前さんの意思なら聞けねぇなぁ」

 

「!」

 

そう言って手を振って歩き出す。

 

「俺は!あの男より強くならないといけないんだ!」

 

そう言って走ってくる神威の拳を避けると…

 

「!」

 

神威が避けるのを分かっていたように足蹴りを食らわせてくる

 

(イッッテ!!子供の蹴りじゃないくらい重いんだけど!?)

 

神威を思わず殴り飛ばすと

 

「…そうまでして母親を連れて行きたいのか?」

 

「ああ…」

 

「……明日まで待ってやる。それまでに母親を攫うなりなんなりしてくるんだな」

 

そう言ってその場から去る。

 

(原作救済なんてするつもりなんてなかったからな…)

 

今後どうなるかと思って待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

ー翌日ー

 

阿伏兎は結局、気になりすぎて徹夜してしまい、船の先に座り待っていると…

 

「!」

 

遠くの方から神威が荷物を持ってこちらに向かってくる。

 

傍らに江華がいないのを見て安心してしまう自分がいる。

 

船の先から降りると、神威の前に降りる

 

「母親はどうした?」

 

「……強くなって、また戻ってくる」

 

「そうか、なら頑張ることだな、言っとくがかなりキツイぞ、根ぇ上げんなよ」

 

そう言う阿伏兎の横を通り、船に乗り込む

 

その船に向けて阿伏兎も歩いていく

 

 




阿伏兎
自分はそんなに強くないとか思っているけど、鳳仙よりやや強めぐらいの強さ。
アルタナのせいでラスボスクラスにまで昇格しつつある。多分このまま吉原炎上編に突入したら、自分の相手が神楽と新八じゃなくて銀さん+百華になっちゃう。


阿伏兎の口調が安定しなくてごめんなさい。

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