阿伏兎(不死者)に転生したサラリーマンの物語   作:アルトリア・ブラック(Main)

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阿伏兎成り代わり4話目。

今回は吉原炎上編後半とそのあとの話です。

阿伏兎が新八・神楽達と戦わない選択肢を取りましたお陰で順調に物語の展開は進みます。早すぎるかも

最初だけ過去編です。


第4話『強キャラに身内判定されたら割と生き残れるもの』

ー神威ー

 

前を歩く阿伏兎の背中はいつまでも変わらなかった。

 

春雨に入ったのがまだ幼かった頃だったというのに自分の背丈はぐんぐん伸びていき、それなりに年をとる。

 

なのに、阿伏兎は身長も何も変わらなかった。

 

老けメイクしてまで年を取っていると偽装しているのは、母さんと同じ体質だから。

 

母さんは、あの星から出て行ったのは、あの男と添い遂げたいと思ったから。

 

それと違って阿伏兎は何が理由であの星から出て来たのだろう。

 

「阿伏兎」

 

「あん?またなんか問題起こしたかー?」

 

侵略した惑星の情報をまとめながらそう呟く

 

「…起こしてないよ」

 

「そうかそうか」

 

春雨に来た時は、第七師団団長(仮)・阿伏兎の甥っ子としてあんまり良い顔はされなかった。

 

何回か喧嘩を売られてはボロボロになって帰ったこともあった。

 

他の師団の構成員と戦闘になる分には構わないが、構成員を殺すと面倒なことになるらしく、その度に阿伏兎の拳骨を食らっていたのを思い出す。

 

「阿伏兎、たまには身体動かさないと鈍るよ」

 

「ちゃーんと動かしてるから平気だよ坊主」

 

「坊主じゃない、神威だ」

 

「はいはい、神威くん」

 

「………」

 

もはや、阿伏兎が父代わりのようになっていたのを薄々感じていた。

 

星海坊主の腕をもぎ取り、実質、絶縁関係に近い。

 

17歳になった時に、阿伏兎が団長に推薦して来た為、神威は強い相手と戦いたいこともあり、何も文句は言わず団長になった。

 

「阿伏兎、相変わらず書類多いねぇ〜」

 

「そうだよ?馬鹿みたいに仕事多いからなぁー」

 

ため息をつき仕事をしている阿伏兎にいつも通りの笑顔を向けて

 

「次の任務ってどこ?」

 

「確か、惑星ーーだったぜ」

 

二人で打ち合わせしていると、云業が入ってきて話しかけてくる

 

神威の視線がそちらに向くと…

 

「ゲホッ…」

 

阿伏兎が何か吐いていた。

 

さっきまで顔を上げていた阿伏兎が口に手を当てて下を向いていた。

 

「……阿伏兎…!」

 

口から血を吐いていたのが、かつての母に重なる。

 

「阿伏兎!!補給しなかったのか!?」

 

事情を知っているのか云業が阿伏兎に駆け寄る

 

「……無くなってた」

 

「馬鹿野郎!そこら辺省いたらお前が死ぬんだぞ!とりあえず徨安に戻れば良いか?!」

 

云業がテキパキと指示を出す。

 

 

 

 

〜徨安〜

 

阿伏兎を背負って徨安に降り立った云業と着いて行くと聞かなかった神威の三人で目標地点に向かって歩き出す。

 

「団長。阿伏兎の奴頼むぜ、アルタナの結晶石取ってくるから」

 

そう言って云業はそこから去って行く

 

「…阿伏兎」

 

「……生きてる…よ、団長様」

 

そう言って大きな手が頭を撫でてくる。

 

「阿伏兎…お前はこの星に残りたいと思わないのか?」

 

「この何もねぇ星に…一人でいろって?このすっとこどっこい寂しいだろうが」

 

阿伏兎は徐々に体力が回復しているのかだんだん悪態をついてくる。

 

「……寂しくても生きていたいと思わないのか」

 

その言葉に阿伏兎は笑う

 

「少なくともお前ら悪ガキが生きてる内は死なねぇつもりだけどな」

 

そう言って笑う阿伏兎は無駄に大人びていてムカついた。

 

どう足掻いたところで自分より先を歩くコイツ。

 

阿伏兎の求めるものは何か何も分からない。

 

自分のように強さを追い求めているわけでもない。

 

 

 

「団長?おーい、神威〜」

 

吉原の廊下にて声をかけてくる阿伏兎

 

「?何、阿伏兎」

 

隣にいた阿伏兎が声をかけてくる。

 

「とりあえず、晴太ってガキが追われてるのさっき見たが、どうすんだ?放置?」

 

「…助けようか、会わせてあげてみたいし、日輪に」

 

「へーい、了解したぜ」

 

そう言って神威に着いて行く阿伏兎。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー晴太ー

 

百華の手から逃げていた晴太の前に現れたのは、手練れの百華達をいとも容易く倒した夜兎の海賊だった。

 

「そんなに会いたいなら会わせて上げるよ?日輪に」

 

そう言って笑顔を向けながら血まみれの手で服を直してくる。

 

「さて、行こうか、阿伏兎子守頼むよ」

 

「え?俺?」

 

「阿伏兎なら得意だろ?そういうの」

 

「有無を言わせねぇじゃん…分かったよ」

 

そう言って「行くぞ坊主」と言って傘を肩に担ぎ歩いて行く

 

晴太は一瞬恐怖が勝ったものの、覚悟を決めて彼らの背を追う。

 

子供一人でこの戦闘が行われている中を走るのは危険だろう。

 

それから二人の背を黙って見ながら進む。

 

この二人、明らかに強いのは分かるが、団長と呼ばれた男はその後ろを歩く男より弱いというのが薄々分かる。

 

「ほら、そこにいるよ、君のお母さんは」

 

そう言って男が指差す方には一つの扉があった。

 

「母ちゃん…?」

 

中にいるのは母だ、と思い駆け寄る

 

「母ちゃん!!帰ろう!」

 

 

 

 

 

 

ー阿伏兎ー

 

晴太が必死で日輪に呼びかけている時、鳳仙がやってきて晴太の出生についての話をしていた。

 

そんな矢先に木刀が飛んできて扉を破壊する。

 

(こうしてみると、あの木刀の強さと耐久性異常じゃね?)

 

真剣に勝るとか、そして、その木刀を壊した次郎長とかやばくね?

 

他にもいたと思うけど忘れた。

 

「銀さん!!」

 

「俺の事はいいから行けよ」

 

こう見るとカッコいいなぁ銀さん。

 

(顔に出さないようにしとこう)

 

変な風に思われるのもめんどくさいし

 

「母ちゃん!」

 

「晴太ぁー!」

 

「お熱いねぇ」

 

感動的な再会に独り言を呟くと鳳仙に聞かれてたのか睨んでくる。

 

「阿伏兎!貴様、何が目的だ!神威をワシにけしかけて、坊主を日輪の元にまで手引きするとは!」

 

(え!?俺?!そのセリフ神威に言うはずだろ?!ここは一回…ってあっぶね!?)

 

鳳仙の手刀が飛んでくる。

 

大慌てで飛んで避ける。

 

「まぁまぁ落ち着いてくださいよ、鳳仙の旦那」

 

そう言って神威がニコニコ笑いながら鳳仙の肩に手を乗せる。

 

それに何かイラついたのか、鳳仙がまた手刀で攻撃する。

 

衝撃で柱が折れる。

 

「コワッ、そんな怒らないでくださいよ。心配しなくても手は出しませんよ」

 

鳳仙の怒りの矛先が神威に向き、阿伏兎はそそくさとその場から離れる。

 

彼らの戦闘は最初こそ鳳仙が勝っていたが、さすが主人公補正なのか徐々に銀時側が優勢に乗り出し、月詠達と一緒に袋叩きにしていた。

 

「なぁ阿伏兎。お前ならあの人数でやりあえる?」

 

神威の言葉に『うーん』と考え込む

 

「あの多さは面倒だな、まぁ、百華ぐらいならなんとかやれそうだけどな」

 

「あのお侍さんは?」

 

「(どうせ主人公補正があるから)難しいだろうな」

 

「へぇ」

 

何か納得している神威を訝しげに見つめると…

 

「あ、イテ!」

 

神威の頭に障子がクリーンヒットする。

 

一気に太陽光が差し込み、鳳仙が絶叫しながら焼けて行く

 

映像で見たときはアレだったけど、こう目で見るとなんか怖いな

 

「うぉぉおおお!!」

 

銀時が気合を入れて鳳仙に木刀を突きつけ吹き飛ばす。

 

あの木刀強すぎでしょ

 

「勝利したみてぇだな」

 

「そうみたいだね、やっぱり面白いね、侍って」

 

神威はそう言って立ち上がると

 

「さて、帰ろうか阿伏兎」

 

「もういいのか?」

 

「もういいよ、飽きた。それにお前が知りたがってた姪っ子の成長も見れただろ?」

 

「うんまぁ、遠目からだけどな」

 

そう言って鳳仙を茶化しもせず、去ろうとすると…

 

「!」

 

真後ろから殺気を感じ、思わず傘で防いでしまう。

 

「馬鹿兄貴!!馬鹿叔父!!何コソコソ逃げようとしてるアルか!!」

 

鳳仙にやられたのか片腕が宙ぶらりんの神楽が傘を振り回して攻撃しようとしていた。

 

「神楽ちゃん!!ダメだよ!!怪我してるのに!!」

 

新八が神楽を取り押さえる。

 

「頭を思いっきり殴り飛ばしたっていうのに生きてたんだ」

 

「……」

 

神威は神楽を見て先ほどと変わらない笑顔を向けると

 

「せいぜい強くなりな、馬鹿妹。弱い奴に用はない」

 

そう言って手を振る。

 

「待て!神威!神威ー!!」

 

阿伏兎は神威より先に屋根の上から降りる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー星海坊主ー

 

星海坊主は直射日光が直当たりする崖の近くにくると、大きな傘が刺さっている墓にくる。

 

「また随分と暑苦しい場所に眠らされたもんだな。ザマァみやがれ、鳳仙」

 

「遊女達がよォ、せめて死んだ後ぐらい日ィ沢山浴びさせてやろうってよ」

 

銀時が後ろにやってくる。

 

「良くもまぁ、夜王と言われた鳳仙を倒したもんだ」

 

「…冗談言うんじゃねぇ、あんなの袋叩きだ。一人じゃ何も出来なかった。で…?手前は何しに来たんだよ」

 

「警告だよ、お前、死ぬぞ」

 

星海坊主の言葉に「あ、そう」と返す銀時。

 

「吉原の事だが、引き続き第七師団が管理することになったらしい。どうやら春雨上層部も上手い具合に丸め込まれちまったようだな」

 

「…てことは」

 

「なんかあれば第七師団が介入してくるってことだ」

 

「……」

 

怪訝な顔をする銀時を見て星海坊主はため息をつき

 

「あの馬鹿息子は吉原になんざ興味ねぇよ、あるのはお前だ、まぁ、当分は問題ないだろう、管理してるのが俺の義弟だからな」

 

「義弟…ハゲに弟いたのか」

 

「ハゲじゃねぇ、俺のじゃねぇよ、俺の嫁の弟だよ」

 

「!確か、神楽が言ってたな」

 

「一応警告だ。俺の息子は目を合わせれば喧嘩ふっかけてくるような悪ガキだが、俺の義弟は怒らせると星一つが壊滅するから気をつけろ」

 

「……そんな強ぇのか」

 

「少なくとも鳳仙よりかは強い」

 

「…!」

 

そんな存在が神威を団長にして自分は副団長の職にいるのかは疑問だったが、不死者だという身の上を考えれば、少しでも隠れ蓑に出来る存在がいれば安心出来るのだろう。

 

「あんまり過ぎた事すれば消される、それだけ頭に入れておきゃいい」

 

そう言って銀時の横を通り過ぎる。

 

 

 

 

 

 

 

ー阿伏兎ー

 

「ファ…ブェックシ!!!」

 

(なんか…とんでもねぇ噂立てられてる気が…)

 

「風邪か?副団長」

 

「(不死者が)風邪引くかよ」

 

宇宙海賊春雨の本艦の廊下を歩きながらそう呟く

 

「あー…なんとか纏められたが…団長の奴はどうしてる?」

 

「確か、まだ地球にいるはずだな、会議終わった阿伏兎も来てとか言ってたな」

 

「…マジかよ、無理矢理にも程があんだろ〜」

 

「まぁ、そうは言っても行ってやるんだろ?可愛い甥っ子の頼みだしな」

 

「うるせぇ…アイツほったらかしにしてると問題しか起こさないから嫌なんだよ…」

 

頭をかきながら先を歩く阿伏兎を見て部下は呟く

 

「……阿伏兎の奴、歳取らな過ぎじゃねぇか…?俺より歳行ってるはずなのに俺の方が老けてるなんて…気のせいか?」

 




【神威と阿伏兎の関係性】
神威にとって阿伏兎は片腕的存在なのは原作と変わらないけど、原作と唯一違うのは身内判定で、家族の括りに入ってる。
神威が子供の頃に春雨に入り、面倒を見ていたので育ての親。


【云業が吉原炎上編で死ななかった理由】
神威から『阿伏兎の体調管理係』と思われていたので生存した。
心臓は貫かれない代わりに腹は貫かれた
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