インフィニット・ストラトス 最強と天才の幼馴染 番外編 作:灰崎 快人
お酒に溺れる 本編16の後
「そんなことで落ち込むな。ほらこれ飲んでさっさと忘れろ。」
そう言って冷蔵庫からキンキンに冷えたビールを取り出して千春に渡す。
「いや俺酒飲めない―――」
「いいから飲め!」
「モガッッ!」
無理やり口の中にアルコールを流される。千春はこれまでお酒の付き合いを全て断っていた、理由は彼自身が酒にとても弱いと理解していたからだ。
千春は倉持技研に所属していた、その時にもお酒の付き合いがあったものの、一度の参加を除いて全て断っていた。
「黒神君、今度の飲み会どうかな?」
先輩の
「飲み会ですか……自分お酒弱いですよ?」
「そうなのか?まぁお酒飲まなくても大丈夫だよ、飲むフリだけすればいいから。」
「まぁそれでいいのなら……」
飲むフリだけすればいいのであれば、好きなものを食べてさっさと帰るだけで済む。
「それじゃあ10時になったらこの居酒屋に集合だからね、それじゃあまた後で。」
お酒の付き合いか~そんなことよりこの打鉄弐式を完成させたいんだけどな……日本の生徒さんだって言うし、汎用性のある打鉄をしっかりとカスタムしておかないと……汎用性が薄くならないようにもしたほうがいいな。
「よし!取り掛かるぞ!」
「「「はい!」」」
他のスタッフにの声をかけて作業効率を上げていく、打鉄弐式には元となった打鉄の中でもっとも品質の良い部品を使うように指示をしている。流石に品質の悪いもので造るわけにも行かない、そうなってしまえば確実に信頼を失ってしまう。
この機体に搭載される予定の武装は2門の連射型荷電粒子砲、対複合装甲用の超振動薙刀、6機×8門のミサイルポッドだが……ミサイルポッドに関してはマルチロックオン・システムを採用しようとしているのだが、このシステムは未だ未完成の状態である。何故未完成なのかと疑問を感じる人も居ると思うが簡単なことである。
(あいつ絶対降格させてやる)
そんな事を思いつつも千春は作業を続けた。
「よし!今日はここまでにしておくぞ!」
「「了解しました。」」
ふぅ……疲れた。早くシステム完成させないと、あっ今日飲み会あったな。参加しておかないと。正直言って飲み会には行く気にならない、めんどくさいまである。上司来ないといいな~
「ここであってるかな……すみません、倉持技研の人たちが集まってる席ってありますか?」
「はい、ごあんないしますね。」
お店の人に案内してもらう、お店の中では既に出来上がっている人たちが多く見られる。
「おぉ~黒神君、先頂いてるよ。」
「構いませんよ、自分は飲まないので。」
どういうことだ?まだ時間前だがすでに何人か出来上がっている、なにかあったのだろうか?
「おいおい、飲み会なんだからちゃんと飲めよ。」
げっ……上司居る、正直関わりたくない。こいつ居ると空気悪くなるのに何で呼んだんだよ。
「自分飲めないんで良いです、ご自由にしてください。」
「チッ、いけ好かないやつだな。そんなんだから昇格できないんだぞ?」
「好かれなくて結構です。」
ダル絡みされたくないので、上司から1番離れた席に着いた。
「すみません、麦茶を一つと焼き鳥のもも、かわ、ねぎまを五本ずつください。」
「承りました~」
とりあえず満足するまで食べてさっさと帰ろう、先輩には悪いけどこの飲み会に長居は無用だろうな。
「お待たせいたしました~ドリンクとやきとりです~」
「ありがとうございます。」
上司がニヤニヤしながらこちらを見ているが……気持ち悪いな俺にはそういって気は無いからなおさら気持ち悪い。早く帰ろ、まずは麦茶から。
「ゴクッ……!?」
これお酒……上司がニヤついていたのはそういうことか、あいつ殺すわ。俺の隣には先輩が座っている、先輩も上司のことが嫌いで距離をとっているみたいだ。
「お前それビール……」
「あのクソはげ頭に変えられたみたいです、最悪です。」
「あの野朗……飲むのやめておけ、俺が飲んでおくから。」
「……ありがとうございます。」
先輩が気遣ってくれるのを察知したのか、上司がこちらに向かってくる。
「なんだよ、お前全然飲んでねえじゃねえか!」
完全に酔いが回ってる、今までの上司よりめんどくさい。こいつ殴り飛ばしてえな。
「しっかり飲めよ!」
「ムグッッ!!!」
無理やりアルコールを飲まされる、冷たい液体がグビグビと入っていく。それと同時に頭がらしていく感覚に襲われる。
「ちょっと!それはだめですって!」
「うるせぇ!上司の言うことが聞けねえのか!」
「上司なんて関係ないだろ!いい加減にしろ!」
先輩が上司を殴り飛ばす、しかし既にビール瓶は空っぽであった。
「―――遅かったか、黒神!大丈夫か!」
「……ぜぇ」
「黒神?」
「黒神!?しっかりしろ!」
「テメェみたいなやつが上司なんて納得できるか!第一てめぇが昇格出来たのは俺が開発中だったシステムを盗んで上に提出したからだろうが!それで使えなかったら俺に全ての責任を押し付けて、私は悪くありませんって態度とりやがって!テメェが碌な作業もせずに訳の解らない資料を押し付けてきて「これ造っておけ」の一言だけ!造っても「必要なくなったから廃棄しておけ」ふざけるな!」
「黒神落ち着け!誰だって同じ気持ちだ!」
「離せ!こいつは殴らないと気がすまねぇ!」
「黒神……そんなことしなくても大丈夫だ、ここには上司より上の方もいる。」
「チッ……」
「ゆっくりしておけ。―――ということで私達は上司を変えてほしかったのです。このままでは現場が悪化するだけです。」
「そうか……やはり君をスパイとして送ったのは正解だった、こちらで処置をしておく。今まですまなかったと彼らに伝えておいてくれ。」
「わかりました。」
「……千春?」
お酒を飲ませてから千春の様子がおかしい、流石にまずかったのか?
「千冬。」
「なんだ―――」
急に抱き着かれた、IS学園に入学してから千春はそこまで積極的に絡んでくることは無かった。こう抱き着かれると少し昔を思い出し、恥ずかしくなってしまうな。
「千冬はいい匂いがするな、それにやわらかい。」
「そ、そうか……着替えるから一度離れてくれるか?タオルのままと言うのはな。」
バスタオルを身体に巻き付けているだけの格好のまま抱き着かれるとは想定していなかった、さっさと寝間着に着替えなければ。
「このままでいい、このままのほうがいいから。」
「いや私が恥ずかしいのだ!ええい、離せ!」
私は毎日彼と居るときは下着姿の時が多かったがあれは羞恥心が無いというわけではない、下着姿を見られてもいいほどに心を許しているという表現だ。それにしても何を言っているんだ千春は!このままでいいだと!そんな恥ずかしいこと出来るか!くっ……しっかりしがみついている。こうなったら無理やりにでも離れるしかない!
「―――あっ」
バスタオルが外れ、床に落ちる。私の体を遮るものは何一つ無い、つまり彼の瞳には私の裸がしっかりと映っているのだ。
「こっちを見るな!」
私は恥ずかしさのあまり手で胸と陰部を隠す、その様子を見られているというだけでさらに恥ずかしくなってしまう。
「あっつい……」
私から視線を外した千春はいきなり服を脱ぎ始めた。彼の肉体が少しずつ露になっていく、私は彼の裸をじっくりと眺めるように―――ではなく主に露になってしまった下半身に戸惑いを隠せなかった。
「シャワー浴びよう。」
「あぁ冷水を浴びて来い。」
ささっとタオルを拾い上げて身につける、とりあえずもう二度と千春にお酒を飲ませることはやめよう。後悔することにしかならない、というか彼がここまで変わってしまうとは……私もお酒は控えるとしよう。
「一緒に入らないのか?」
…………今なんと言った?気のせいでなければ一緒に入ろうと言ったのか?懐かしいな、昔は私の家でお泊り会などしたものだ。お風呂に入ったり、市営プールに行ったりなどかなり充実していたな。いやそんなこと思い出している場合ではない!今の私たちではいろいろと問題があるだろう!
「昔は一緒に入ったのに。」
「昔の話だ、それに二人で入ると狭いぞ?」
だがそれはあくまで昔のことだ、今の私や千春が一緒になどと……想像しただけでも顔が赤くなる。
「別にいい。」
別に良いのか……そうか。ならば昔のように、羽目を外してもいいのかもしれないな。
「……まぁ私も湯冷めしそうだったからな、また暖かいシャワーを浴びるのもいいだろう。」
そう言うと彼は私の手をとり、シャワー室へと連れ込んでいく。
「じゃあ入ろうか。」
「あぁ……」
本編はもう少しお待ちください、番外編の続きもお待ちください