この国には昔から伝えられる伝承がある。
満月の夜には精霊が訪れる。
満月の夜に最後に来る客は精霊であるかも知れないので、閉店の準備をしたくても邪険にしてはいけない────と。
ルナリア王国首都セイレナ。
伝承に語られる精霊姫の名前を持つこの都市は、今夜は特に活気に溢れていた。
これまで、飲み潰れるような事は自粛しなければならない状況だったからだ。
始まりは近隣の遺跡から調査団が帰ってこなくなった。
そして、再度送り出した調査団からは、遺跡には機械の化け物が大量に溢れかえっているとの報告が来た。
地面を滑るように飛行する円盤は、触れた生物を
紫色の機械のフクロウや、モノトーンの機械犬が襲い掛かって来る。
恐らくは古代文明の自律機械が復活したのだろう。
それでも、人々は機械の軍勢と戦う事を決意した。
しかし、遂に最悪の事実が発覚した。
古代遺跡ハローグルーグ自体が巨大な
その大きさ故に、物見台や王宮の様な高所から見れば、湖を迂回し森を抜けようとしているのが見えるほとだ。
迫りくる巨大な脅威に対して、人々は国を捨てて逃げる事を選ばなかった。
セイレナっ子はセイレナで死ぬ。
その気概を持つ彼らは、王宮より巨大なゴーレムから見れば爪楊枝程でしかない剣を研ぎ、最後の決戦に備えていた。
男達が戦いを決意する中、女達は精霊姫に祈った。
人間の前に精霊姫が現れたという話は、もう百年以上も聞かれていない。
そもそも、その百年以上前に精霊姫が人前に現れたという話さえ本当かどうかは分からない。
更に言えば、ルナリアを助けてくれるとも限らない。
それでも、祈るしか無かった。
それ以外に出来る事は無かったのだから。
進行速度と距離から予測される到着時間は、満月の夜。
街はゴーレム撃退の為にと、完全に自粛ムードだった。
しかし一石を投じたものがいた。
どうせ滅びるならと、地域の管楽団は敢えてその日に無料屋外リサイタルを開催。
日頃貴族相手にしかコンサートを開かない文化エリートである彼らは、死する街にこそ、
声楽家やピアニスト達の様な、他の音楽家達もまた、それに賛同し、滅び去る街へのBGMを作り出す事にした。
続いて多くの居酒屋も、この夜に限っては無料で店を開ける事を決断。
遂に民意は自粛という言葉に反逆した。
国や貴族も、生き残れたら今年の税は半額にすると発表。
自暴自棄以外の何物でも無いセイレナっ子達は、死ぬならはしゃぎ切る事にした。
無料祭りで最初から超インフレを起こしている為に、暴動や略奪は起きていない。
無料の物を買い取るのと、無料の物を奪い取る事に差異は無いのなら、敢えて人に嫌われる必要も無いからだ。
しかし、全ての民が自暴自棄になってどんちゃん騒ぎをしている時点で、それは暴動とは紙一重だった。
だが、状況は一変した。
超巨大ゴーレムの進行が突如止まったのだ。
物見台からの監視員は見た。
超巨大ゴーレムの身体に木が絡み付いているのを。
ゴーレムが無許可で破壊しながら進む森は、獣王ラタトスカルの治める森。
獣王ラタトスカル。
その姿を知る者はいないが、精霊姫セイレナの三大従者筆頭である事は、ルナリアの民なら誰もが知っている。
更に言えばゴーレムが迂回した湖は、同じくフレイスベルという猛禽の王が治めており、竜種最弱種族のレッサードラゴンでありながら、全竜最強に上り詰めた竜王ノズホグと合わせて、精霊姫の忠実な配下であると。
ラタトスカルの姿こそ確認出来なかったが、絡み付いた木に拘束されたゴーレムに対して、巨大な
その時点で首都セイレナは完全にぶっ壊れた。
いや、ゴーレムが何かしたという訳でも、竜と鶚の攻撃の余波が来たとかでもない。
死を意識して自暴自棄になっていた国民が、生存に安堵し、その安堵により気持ちが振り切れてぶっ壊れたのだ。
まだ昼前であったにも関わらず、上から下まで大騒ぎだ。
貴族にばかり演奏していた楽団も無料で音楽を街に開放した。
今日ばかりは不労貴族も浮浪者も関係なく無料飯を食う。
凄まじい活気が昼から続き、夜になっても続いた。
そんなセイレナの町外れ。
森近くにある居酒屋では客足は大して変わらなかった。
どうせ無料ならば、安居酒屋よりも高級料亭に行った方が得だと考える者が多かったからである。
この店も今日においては無銭飲食可能であったが、そこまで客の数に変化は無く、日が変わる少し前、店主はそろそろ店を閉めるかと考えていた。
「まだ、開いているかしら」
安居酒屋には決して似つかわしくない絶世の美女が戸を開いた。
月の光を落とし込んだかのようなプラチナの髪。
清純さを感じさせる白魚の様な肌。
透き通る鈴の様な声。
肩に乗った猫程の大きさのリス。
明らかに普通の人間では無かった。
店主も従業員も残っていた僅かな客も、その容姿に目を奪われつつも、ある結論に達して慄いていた。
この女性こそ────精霊姫セイレナだと。
「お金、持ってないんだけど大丈夫かしら?」
継ぎ目の無い艶のある蜂蜜色と深緑を重ねたドレスを着た女性は、資産に困っている様にはとても見えない。
だとすれば、人間の社会とは違う所から来たと店主が悟るのは早かった。
「……ええ。もう出せるメニューは残り少ないですが、それで宜しければ。
街の中心部であればもっと豪勢な料理が朝まで出せますが」
店主は自分の店で精霊姫が機嫌を損ねるのを恐れた。
少ないメニュー、安い食材、みすぼらしい店内。
精霊姫が満足されるとは思わなかったのだ。
しかし、精霊姫はそうは思わなかった様だ。
「迷惑なら帰るけど…。遅い時間にお金も無しに来たこっちも悪いし…」
遠回しに断られたと感じた。
彼女は基本的に人間との意思疎通経験が少なかったのだ。
「いっ、いえ、そんな。
お客様は皆、神様精霊様王様です。迷惑だなんてそんな」
店主は申し訳なさそうな精霊姫(?)と、「ピャー」と不快そうにするリス(?)の機嫌を損ねてしまったのだと判断して、咄嗟に取り繕った。
その為に口走った事に女性は顔を背けて答えた。
「べっ、別に私自分の事精霊様とか言ってませんけどー。
まあお金とかよく分からない私でも迷惑じゃないっていうのなら、有り難く頂こうかしらー」
「ンピャー」と相槌を打つリスに話し掛けると、女性はカウンター席に座った。
近くで見れば尚の事、人外の美を誇る美女であった。
しかし店主は、それ以上に不興を買って祟られる事を恐れていた。
「…取り敢えずタラ鍋とかどうでしょう?」
「タラ? 山菜かしら」
美女はタラというものを知らなかった様だが、店主はそれも仕方ないかと思い出した。
精霊姫セイレナの治めるとされる地域には海は無いのだ。
「海の魚です」
「見たことも聞いたこともないわね」
周囲の客も、タラを知らないとか嘘だろと思っているが、そんなツッコミはしない。
先程まで潰れかけていた酔っぱらいのサイモン爺さんでさえ、すっかり醒めた目に戻っているが、先程から目線を明らかに外している。
「味は保証しますよ。
それとお酒は何にされますか?」
「…えっ、酒の種類って何があるのかしら」
酒といえばウイスキーからワインまで様々なものがあるのは子供でも知っている。
にも関わらず美女は、ラッタちゃんという肩乗りリスに問いかけていた。
「…ええ、うちは居酒屋ですから、エールでもワインでもウイスキーでも馬乳酒でもありますよ。他には──」
店主がそう言いかけていると、酔っぱらいのサイモン爺さんの声が横から入ってきた。
「店長、コレがあるじゃねぇか。コレ」
サイモンが小さなコップを揺らしながら店長に話しかけた。
サイモンはフォローのつもりだった。
恐らくは、カウンターバーに座っているのはルナリアから見て海とは真逆の方向にある広大な森を治める精霊様。
ならば海の向こうにある店長の実家から送られてくるこの店でしか飲めない酒を振る舞えば良いと考えたのだ。
それに何と言ってもタラ鍋にはコイツがよく合うのだ。
「何かしら」
女性は興味を持った目付きをしていたが、基本的にその美貌自体が一種の冷たさを兼ね備えている。
サイモン爺さんは「コイツぁ、ライスワインでさぁ…へぇ…」とビビってしまっているため、店長もフォローを入れた。
「うちの実家が送ってくれるんです。
コッチのブドウで作ったワインを送る代わりに、向こうの黒米で作ったワインを貰ってるんですよ。酵母は桜という花から…」
「…悪いけどワインという時点で分からないわ。ラッタちゃんは知ってるかしら」
店長の話に理解をギブアップしてリスに話し掛ける美女。
するとリスは「ピッピッピャー」と鳴いた後、肩から下りて立ち上がり、右前足を上げた。
「…へぇ、腐敗…発酵…醸す?
何で私に教えなかったかは今度聞かせてもらうわ」
リスは俯いたまま顔をそらすと、そのままカウンターに座った。
「ネクタール以外にお酒があるとは知らなかったわ。
私とここのリスにそのライスワインとやらを出してくれるかしら」
幼くも見える従業員の少女の手によって、美女とリスの前に、カップというには小さく取っ手も付いていない容器に入れられた、薄紅の濁り酒が出された。
注がれた勢いで、酒器の中をヒラヒラと待っている沈殿成分は、まるで酵母の元となった花のようであった。
リス?はすぐさま両手で容器を抑えて顔を付ける。
店長も他の客もリス?がお酒を飲んで大丈夫なのか気にもなるが、口に出すほどの勇気は無かった。
美女もリスに遅れて口を付ける。
一瞬目を大きく開き、そして閉じると、その中身を一気に飲んだ。
美女は「ピュイヤ〜」と叫ぶリスと話し込んだ後、従業員に注文した。
「また同じのを貰えるかしら。酒器はもっと大きいのをお願いするわ。
そうね、あちらのグラスとか良いわね」
従業員は店長に目線をチラチラと向けると、意を固めた表情で美女に近付いた。
「お客様」
「何かしら」
従業員の少女の声は震えているが、美女の声は美しくも平坦だった。
「と、当店ではこのお酒を飲む時には、こちらのお猪口で飲んでもらう決まりとなっております」
丁寧でありながら強い芯のある言い方だった。
冷や汗が止まっていないところ以外は大したものである。
美女は汗だくになっている少女の方から店長に表情を向けると、店長も顔を青くしながらも然りと頷いた。
「ならそうするわ。相手の礼儀の形に合わせるのもこちらの務めとママも言っていたから」
精霊姫にママなんているのか?
一瞬店の中は奇妙な空気に包まれたが、この様な見た目で人間という事も無いだろうとして、やはり精霊姫として扱う事にした。
無論、本人、もとい本精霊は隠しているつもりらしいのでそれに合わせる方向で。
「そ、そう言って頂けると助かります。
一応瓶ごと置いておきますね。
配分はご自由にどうぞ…。
…あっ、お兄ちゃんまだお通し出してないでしょ」
「はっ、俺としたことが。
干し貝ヒモを炙って出してくれ。そう、そこにあるやつ」
どうやら店長と兄妹らしい従業員は、「
香ばしさが口に含む前から、店内の空気を漂っている。
「これは食欲を誘う香りね。…ラッタちゃん貴方はリス扱いなんだからこういうの食べたら不自然でしょ。
だからこれは全て私が頂きま──ラッタちゃん待ちなさい全部私のなのにっ!!」
リスに半分ほど貝ヒモを奪われて美女は少々不機嫌なようだった。
リスは頬袋に貝ヒモを詰め込むと、安堵したかのようにお猪口と呼ばれた酒器を器用に持って口に付ける。
「ピッピ〜ヤ〜」
とても満足そうである。
先程からリス
美女は残された半分をちびちびと齧りながら、お酒を飲んでいた。
「そうそう、そこそこ。
ギリギリまで注ぐのよ」
お猪口に移す為の元の酒が入っている大きな容器からの酌は、美女自らの手酌ではなく隣のリスが注いでいる。
しかし最早誰も突っ込むものはいなかった。
「お待ちの間、ネギ焼きもどうですか?」
店長がネギ焼きを出そうとしたが、従業員が止めた。
「お兄ちゃん、リス?ってネギとか駄目なんじゃ無かった?」
「…そうだっけ。
ありがとうな、サクラ。知らなかった」
兄妹がそんな会話をしていたが、面白くないのは美女である。
その会話のせいで『ネギヤキ』とやらが食べられなくなってしまいそうなのだ。
「安心して。ラッタちゃんは特別なリスだから何でも食べるわ。
だから安心して出して」
最早、特別なリスとは何ぞやとは誰も問わなかった。
挙げ句、出て来たネギ焼きを口に含むや否や、「酒に合う」と連呼しだした美女は、
「駄目よラッタちゃんはリスだから、これを食べてはいけないのよ。
仕方ないから私が全て頂くわ」
リス?のラッタちゃんは咄嗟に手を伸ばそうとして美女にガードされると、リスながらに絶望を表現した顔を作った。
そして店長や従業員に、リスとは思えない圧を放ったり、つぶらな瞳で媚びたりした。
だが結局、ラッタちゃんはネギ焼きにありつけなかった。
「あーっ美味い。もうこれだから人里ってもっと早く行くべきってノズくんには言ってたのよ。
ママの言いつけとか真面目に聞いてたら、あと百年は
気分が乗ってきたのか、やたらスケールの大きな会話をリスにする美女。
一方リスの方は、従業員に出されたナッツを夢中で頬張っていて聞いているようには見えない。
しかしそれを気にしないあたり、美女もだいぶ酔っているのかもしれない。
店長が恐縮しながら、「実家の酒造で作った試作品の清み酒なのですが」と言って美女に渡したのが悪かったのかもしれない。
「まだ改善の余地はあるけど悪くないわ。ええ、本当に悪くない」
異国の字で書かれた容器から酒盃に注ぐペースは、明らかに先程より加速していた。
リスも美女へのお酌を止めて自分の酒を飲むのに専念し始めてから、美女の手酌が止まらない。
「そもそもあのデカブツが悪いのよ。
私の森壊しておいて、グルーグマップにのっていませんとか、あれ草ァとか尻ではありませんとか、会話にならないのよ。
だからやっちゃえノズくんって命じた私は悪くないの。
ねえラッタちゃん聞いてる?」
店内は庶民が聞いてはいけない伝説の裏側を聞いてしまった事で、少し空気が固まっていた。
空気が流れているのは美女とリスだけであった。
故に、店長は空気を動かす事にした。
「サクラ、持っていってくれ」
「お客様、出来ました。タラ鍋です」
グツグツと煮えるそれは、店に染み込む夜風が湯煙を揺らす奥に見えた。
魚の切り身と白菜やキノコなどが遊ぶ極小の湖。
澄んだ焦げ茶色の上に薄いクリームが蓋をしている。
そのクリームはサクラと呼ばれた従業員に救い取られて取り払われてしまったが、それも食べ方なのだろうと美女は判断した。
「早速頂くわ」
美女はその後話さなかった。
少しのコメントもリスとの会話も無しに、ただただ鍋の中身を小皿に装っては食べていく。
リスは抗議する様に、美女の腕をフニフニとつつくが、美女は全く意に介さなかった。
リスは我慢の限界になったのか、『鍋からすくうものをもう一つ欲しい』と近くに置いてあった紙とペンで達筆に書いた。
最早店長も従業員もツッコまない。
いや、最初からツッコむ不敬は行う気も無かったが。
かくしてお玉とお玉による具の争奪戦が行われた。
スープの一滴まで飲み尽くされた空の鍋が、その不毛さを示していた。
「あ~良かったわラッタちゃん。
今日はお金とか分からない私でも人里に来ていいってラッタちゃんが教えてくれなかったら、ネクタール飲んで寝るだけだったかも。
ふぁ〜あ、眠くなってきたわね…」
美女は欠伸をすると、そのままカウンターに顔を伏せて眠り出した。
リスがその肩を揺するが起きそうにもない。
店長のウメも従業員のサクラもどうしようかと悩んでいた。
サイモン爺さんは今の内にと帰ろうとしていた。
その時だった。
「お邪魔する」
戸を開いて現れたのは、2メートルを軽く超す日焼けした大男。
筋骨隆々という言葉を形にした様な男は、パツパツに張った豪華な執事服を着ていた。
その重圧に帰ろうとしていたサイモン爺さんは固まった。
サクラも固まった。
ウメは店長の意地で意識を保ち、笑顔で「いらっしゃいませ」と答えた。
「うちのお嬢様が世話になった。
薄々気が付いているだろうが、他言無用で頼む。
お嬢様は金とか持たぬどころか知らなかっただろう。
これは謝礼だ。受け取れ」
そういって置かれた袋の中から出て来たのは、竜王山にしかない筈の熱黒鉱や大量の金貨。
「いえ、今日は無料祭りですので受け取れません」
店長のウメがそう言うと、男は更に袋から追加の宝石を取り出した。
見たこともない竜鱗まで出て来た。
「この宝物を見てそれを言うか」
「はい」
見開いた男の瞳孔は、縦に大きく裂けている。
真正面から見たウメには、それがよく見えた。
その眼差しは──人というよりは爬虫類の様な何かに似ていた
「口止め料と言っても受け取らぬか」
「はい」
ウメは相手から放たれる重圧に倒れそうになりながらもそう答えた。
「…悪くない店主と店だ。フレイの奴にも教えてやらねばならん。
奴はナマ物ばかりで満足するから、人の食事を知らん。
それにしても師匠が付いていながら、姫様を人里で泥酔させるとはどういう事ですか」
マッチョな執事は頭を抑えながらリスに説教している。
リスは器用に紙とペンで、「あたしゃリスだからよくわからん」と書いて男に見せる。
「ああそういうていでしたね」
男は余計に頭を抱えていた。
そして、暫くすると諦めたように美女を横抱きに抱えると、「世話になった」と言って出ていった。
「いっ、今の人ってもしかして伝説の傭兵ヘイグ様!?」
再起動し始めたミーハーな妹に、兄は乾いた笑いと共に答えた。
妹はどうやら重圧よりも、パツパツ執事服という噂通りの一部の女性には堪らないフェチズムの塊の様な伝説の傭兵の容姿に感動していただけらしい。
パツパツ執事服のヘイグと、生魚しか食べないと有名なフリフリドレスを来た
重圧に潰されそうじゃなくて、多幸感で浮かび上がりそうだっただけだったとも。
それならちゃんと接客して欲しかったとウメは思った。
「うん、人だったらもっと良かったかもな。
流石にあの酒は出せないし」
カウンターにある『竜殺し』と書かれた空の酒瓶に目線を向けながら、結局押し付ける様に袋ごと渡された宝物を抱えた、居酒屋『フロムイースト』の店長、ウメ・クラモトは溜息をついた。
精霊姫セイレナ
最近(精霊基準)代替わりして、神界や精霊界と人が呼ぶ異界からやって来た比較的新しい精霊。
最近(精霊基準)未成年を脱却したものの、前任者である先代のセイレナママから、無銭飲食ダメ、絶対とか色々と教えられたせいで、人里は訪れなかった。
ラタトスカルの誘いで無銭飲食イベントがあると夕方頃に聞いて居酒屋フロムイーストにやって来た。
ラタトスカル
都合の良い時にだけ普通のリスのフリをする幻獣王。
可愛さとあざとさで許されているが、セイレナ配下三獣士の中では最年長。
ノスホグの師匠でもある。
ノスホグ
人化した姿はパツパツ執事服のマッチョ。
完全に作者の趣味を体現している。
レッサードラゴンという最弱の竜種であり、死にかけていた所を母の職場訪問に来ていたセイレナに拾われる。
その後セイレナは世話に飽きたのか、母の所にいるラタトスカルに預けた。
フレイスベル
虹色の猛禽類。
人化した姿は魔法少女な海賊オネエ。
ああ、虹色ってそういう…。
ハローグルーグ遺跡から出て来た野生化したファ■ビー軍団と猛禽類対決を繰り広げたミサゴ。
ミサゴ寿司で有名なミサゴだけあって、生魚への拘りは強いが酒はビールしか飲んだことはない。
ウメ
町外れの居酒屋フロムイーストの店長。
海の向こうの島から妹とやって来た。
実家の酒を広める為にルナリアで居酒屋を始めた。
実家は大家族で、他の兄弟達も各地域の酒を仕入れては実家に酒を送り、実家も彼等には酒を送るという商売をしている。
ウメは四男。
サクラ
ウメの次に生まれたクラモト家の娘。
発酵を生業にする家に生まれた為か、完全に掛け算に腐ってしまった。
最近のハマりは伝説の海賊×伝説の傭兵。
サクラの姉であるアオイも同好の士。
サイモン爺さん
実は偉い人
チャームとは:バーなどに見られるお通しみたいなもの
桜色の酒のイメージ元の一部:リセノワール