忍びと灰と焚べる者と狩人とダンジョン 作:noanothermoom
おや、また聞きに来たのかい
なら...焚べる者の話をしようか
なんで少し嫌そうなんだって?
あいつはある意味一番恐ろしい奴だからさ
オラリオにおいて最大級のファミリアであるゼウス・ファミリアやヘラ・ファミリアと比べればはるかに小さいファミリアであったがそれでもそのパーティは優秀なパーティだった。
そのことはダンジョン11層において怪物進呈(パス・パレード)
モンスターに襲われている或いは追われている冒険者がほかの冒険者にそのモンスターを押し付ける行為を受けてなお被害はあれど五人誰一人として欠けることなくそのモンスター達を捌ききったことからもわかる。
だがただ強いだけではダンジョン内では生き残れない
まるでダンジョンそのものに意識があるようなと称されるダンジョンの罠の数々を潜り抜けるためには悪意に対する敏感な感覚か
その悪辣な罠を踏み潰すだけの力が必要となる。
「だぁぁあ!!くそが!」
そう叫んだ狼人の青年に対して日頃口うるさく言う猫人の少女ですら何も言わずに頷く姿から、先ほどまでこのパーティが対応していた
パス・パレードを行った人物と押し付けられたモンスターへの怒りと戦いによる疲労がくみ取れる。
彼らは何度かダンジョンの11層に潜っていただがそれでもなおこの階層で気を抜くことが出来るほど強くなかった
にもかかわらず11層に下りてきてアイテムや装備の確認中にモンスターを押し付けられ少なくない被害を受けたのだその怒りは当然だろう。
「おいちび俺らにこんなことした奴の顔は見てただろうなぁ」
「いやフードを被っていてよく見えなかった」
「あぁ?てめえちゃんと視てたのかよ」
おさまらない怒りのままに後方...モンスターを押し付けた人物が来た方向を警戒していた小人族の男性へと狼人が叫ぶが
返ってきた答えはよく見えなかったというもの
小人族に怒りが収まらないまま狼人が詰め寄ろうとすると
「まあ待つにゃ、陣形が崩れるタイミングできたことといい、あらかじめフードを被っていたことといい、どー考えても胡散臭いにゃ」
「俺としても同意見だ、装備を整えている途中にフードを被ったままの人物からパス・パレードを受けるなんて偶然とは思えない」
猫人が二人の間に入り押しとどめさっきの男は怪しいと口にする、リーダーも同意し特にフードをかぶっているのが怪しいと意見を述べる。
「なんでフード被ってたら怪しいんだよ」
「馬鹿ね、フードなんて邪魔なもの本当にモンスターから逃げてる時ならとっとと脱ぐにきまってるでしょ。顔を見られたら困るからフードで隠してたのよ。あんたってホントバカ」
狼人が疑問を投げかける、それに答えたのはさっきまで頷きながら息を整えていた猫人の少女だ一言多い猫人の少女に狼人が怒りの矛先を向けようとしたとき。
「今回俺たちにモンスターを押し付けて行ったやつはどう考えてもわざとこちらに被害を出そうとしたとしか考えられん」
「いやフードをわざわざ用意していたことを考えると初めてじゃなく何度もパス・パレードを繰り返しているのかもしれん」
「あいつが闇派閥の人間で冒険者に対して被害を出すためにわざとしていると?」
リーダーが手を上げ注目を集めながら話をし怒りをフードの人物に向けさせる
そして続いた言葉に低い声で小人族が聞く
「それはわからん。だがあらかじめフードを用意してパス・パレードを行うほど手馴れているにもかかわらず噂になっていないということは、相当気を付けて行っているのだろう」
「モンスター倒す腕磨かねえで、人に迷惑かける腕磨くってか?なんでそんなことに努力するかね」
「あんたの言葉に賛成するわけじゃないけどなんでそんなことを...」
首を振りながらリーダーはギルドでもパス・パレードが何度も起きたなんて聞いてないだろうとつづけた
どこかうすら寒そうに狼人が理解できないと吐き捨てる、
いがみ合っていた猫人の少女も気持ち悪そうに言う。
彼らは強かった、そして何より善良だった故に嫉妬や劣等感から他人を傷つけるその気持ちが理解できず困惑の声が上がる
「さーそれはわからんにゃ、でも只にゃーんも考えずにやってたなら今頃檻の中にいるか、さもなきゃモンスターの胃袋の中のはずにゃ」
「その通りだ、あのフードの男はパス・パレードの常習犯とみてほぼ間違いないだろう、少なくとも無辜の冒険者が必要に迫られて最後の手段としてパス・パレードを行ったという可能性より闇派閥の人間である方が確率は高いだろうな」
猫人が下手な冗談を交えながら答える
パンと手を叩いたリーダーもまた慣れない冗談を言いながら今回のパス・パレードを起こした男についての話をまとめる。
一行の間に重い空気が漂うがそれを吹き飛ばすように明るい声でリーダーは語る
「だがあいつは大きな間違いを犯したそれは俺たちをターゲットにしたことだ」
「俺たちは無事パス・パレードを切り抜けた」
「その通りだおれらであいつぼこぼこにしてやろうぜ」
「まて、もうとっくに逃げてるだろう」
そう言って男が逃げて行った方向へ進もうとする狼人を小人族が止める
モンスターと戦っている間に逃げてしまっただろうと
「そうだな俺たちはこのままダンジョンを抜けギルドに報告する」
「そーだにゃ、居場所がわかんにゃいあいつを探すよりギルドに報告する方が確実にゃ」
「報告で闇派閥の人間が捕まれば報奨金も出るはずだ」
リーダーの言葉に猫人も同意する。
小人族がギルドの掲示板に張り出されていたはずと思い出しながら言う
「押し付けられたモンスターの魔石と合わせればむしろプラスだな」
「よし、あいつが闇派閥に入っていますように」
「闇派閥でありますようにってどんな祈りだ、普通反対だろ」
リーダーが周囲に散らばっていた魔石を集めながらつぶやくように言う
パス・パレードは冒険者にとって自分の身を守る最後の手段としてギルドより認められている
男が闇派閥に関係していなければギルドは介入しようとせず消費したアイテムはそのまま赤字となる
猫人の少女は報奨金目当てだろうどこかの神に祈っている
世知辛い話だが先立つものは必要なのだ
目を光らせながら猫人の少女が祈るのを見て狼人がにぼやくように言う
パーティの面々が朗らかな空気になり出口に向かおうとすると
「がっ!...」
いきなり狼人が倒れた。
「いやはやあのパス・パレードを切り抜けるとは大したものです」
そう言いながら先ほどモンスターを押し付けたフードを被った男が現れる
「ですが詰めが甘い。11層に来るときに気が抜ける時を狙って襲撃を受けたのに、帰る時には何もないとなぜ信じられるのです?」
「当然切り抜けられた後の備えもありますよ...罠です!」
フードの男が仕掛けた罠に狼人が引っ掛からなければ、男の仕掛けた罠に毒が塗られてなければ、毒が複数の毒を混ぜ合わせた特別製でなければ、パス・パレードによって回復用のポーションが消費されていなければ、長引いた戦闘で消耗していなければ、そもそもパス・パレードを受けた時点で逃げ出していれば多くのたらればがリーダーの頭の中をよぎる
だが現実は非情だ、倒れた狼人を癒すために使ったポーションは効果を示さず、メンバーを一人いやポーションを使った隙に倒された猫人の少女も含めて二人欠いた状態でパーティが勝てるほどフード男は弱くなかった。
「認めましょう、あなた方は強かった。ですがあまりにも...悪意に対して鈍感だった」
「ですが悲しむことはありませんみんな仲良くこのオラリオが生まれ変わるための贄として差し上げましょう」
フードの男がまるで舞台の上で役を演じるかのように芝居がかった動きで宣言する。
倒れ伏すパーティの面々へと近づくフードの男が手に持つはいびつな光を放つナイフ。
「やめ...ろ」
狼人が何とか声を絞り出すだが止まらない
そのまま猫人の少女のそばに立ちナイフを高々と掲げ振り下ろ〈コツン〉
「誰だ!」
フードの男が音のした方向へと振り向く、倒れ伏したパーティの面々も何とかしてそちらに目を向ける。
コツン、コツンそんな足音を立てながら姿を現した人物は柔らかな鹿革のズボンとグローブそしてハードレザーのベストを身にまとい大剣を背負っていた、だが最も目を引くのは頭にかぶる典礼用の帽子とそれに取り付けられた翁 の仮面だろう。
「闇派閥だ!パス・パレードをわざと何度も起こしている!!逃げて伝えてくれ!!!」
その仮面の人物の姿が露になるとと同時にパーティのリーダーは叫ぶ、必要なことを最小限伝え逃げるように促す。
そうはさせまいとフードの男は襲い掛からんと走る、仮面の人物は事態がつかめていないのか叫んだリーダーと自分に向かって突進してくるフードの男を交互に見ている。
「何人来ようと同じこと!!ここで殺してしまえば済むだけの話!!」
フードの男は叫びながら襲い掛かる
その鋭い閃きに(もうだめだ自分たちの不始末で余計な被害者を増やしてしまった)そうリーダーが後悔した時
「キィン」
ナイフのはじかれた音がした。
「すっげぇ...」
ダンジョン内で回復する手段をほぼ持たず、体は毒に侵され、体力も消耗しきっているそんな危機的状況を忘れたようにつぶやかれた言葉にパーティ全員が頷く。
フードの男と仮面の人物の戦いは一方的だったフードの男がどれだけナイフを振り回そうと時に避けられ時に大剣ではじかれる。
ならば狼人と同じように罠にかけようとするがひらりひらりと軽やかな動きで躱されて距離を詰められる
「お前は一体何...」
そう言おうとした男の腹に大剣の柄の部分が刺さり男は意識を失う。
倒れたフードの男から目を離さずしばらくそのままの体制でいた仮面の人物はついに問題ないと確信したのか、大剣を背に背負おうとし...それと同時に狼人は僅かに動くようになった体を無理やり動かし仮面の人物のもとへ走る
その動きに反応し仮面の人物は大剣を向け振り「申し訳ねえ!!俺のせいだ!!!」上げようとしてそのまま固まる
パーティの面々がわずかに残ったポーションを使い何とか体を動かせるようになり最初にしたことは、自分勝手な真似をした狼人を極東に伝わるという謝罪の姿勢、土下座の姿勢に固めることだった。
ギルドまで戻ってきた一行。
荷物の中にあったロープで縛ったフードの男をパス・パレードをわざと行いそののちにこちらに襲ってきた人物であり本人の証言から闇派閥である可能性が高いと
ギルドに引き渡した(対応したギルド職員はパス・パレードの下りまでは「ギルドの介入することではないです」といった表情だったが、男が闇派閥であるかもしれないといったとたんやる気を取り戻していた)。
本当に申し訳もないと何度も頭を下げるリーダーと狼人の頭を下げさせるを通り越して埋めようとする残りの面子そして折れちまうと叫ぶ狼人を止め別れを告げようとする仮面の人物
「最後に...あなたの名前は?」
リーダーが名を聞いていないことに気が付きそう尋ねれば優雅に一礼をし答える
「ミラのルカティエルです」と。
目を開ければ見知らぬ場所よくあることと流しとりあえず近くにあった道を進めば
そんな彼らと別れ道を行く、|彼らの会話の中にいくつも出てきた聞いたこともない単語達《あまりにも多い未知》、知らないことは恐怖だ、だがそんなことはどうでもいい。
この姿を見て彼らは名前を尋ねたならばなさねばならぬことはただ一つ
友の名を世界に刻むただそれだけなのだから。
かくしてやつはこの地に現れた
正直あいつの話なんぞしたくないがね
あんたもそうじゃないのかい
まあいい私はあいつがどこからか現れる前に逃げるとしよう
じゃあね今度は別の人物の話をさせておくれ
お疲れさまでした
ミラのルカティ...もとい絶望を焚べる者編これにて終了です
以下は筆者の一人語り...後書きです
興味のない方は飛ばしていただいて構いません
長かった
本当に長かった書いている途中からどんどん伸びていって
正直終わりが見えなくて途方にくれました
本当はダンジョンから帰る途中で仮面が飛ばされて切れた焚べる者が
全裸になってラージクラブ二刀流でモンスターをぼこぼこにしてパーティがドン引きしたり
パーティの主神から感謝されて名前を聞かれて堂々とミラのルカティエルを名乗り
ドン引きしながら堂々と偽名を名乗ったああああああと主神が叫んだり
するシーンもあったんですが無理ですもう書けません
信じれますか構想の時点では闇派閥に追い込まれているパーティの前に現れて
闇派閥をボコるそして名乗りこれだけだったんですよ
調子に乗って五人パーティなんかにするから...
需要はないでしょうけどパーティの面々の設定を書きますね
リーダー
ヒューマン
他の面々と比べて実はキャラが薄いんじゃないかと日々苦悩しておりできるだけ
存在感を出すため日々努力している
小人族
寡黙で落ち着いた雰囲気の人物...を演じている小人族に共通する威厳がないという悩みのため
日々寡黙で冷静沈着ないぶし銀の男を目指している
実はぎりぎりまでドワーフにしようか悩んでいたんですが
リーダーを書いているときロキファミリアの団長のフィンのイメージが頭から離れず
そこにドワーフを入れたらロキファミリアの幹部の面々にしか思えなくなるとの判断から
リーダーにラウルのキャラ性を入れ小人族をこっちに入れることで中和しました
ん?ロキファミリア成分はむしろ増えてないか?
狼人
正直に白状しますベートさん(薄味)です
話を回すのに無茶苦茶便利なので動くたび出てくるたびに何か失敗する可哀そうなキャラ
一応女の子が気になるお年頃で猫人の少女にいいところを見せようとしては空振りばかり
という設定がありました。体が動くようになって真っ先に謝りに行った理由を吐かされて
少女にほんとバカなんて言われるシーンも予定していたんですが無理です書けません許してください
猫人の少女
後書き書いてて思いますベートさんと漫才してる時のティオナだこれ
いや書いてるときは何とかロキファミリアの幹部の面々から離れようとして
よし幹部にいない種族にしようと思い猫人にとりあえずキャラが一目でわかるようにと
ツンデレ味に頼りました一応弟のように思っていた狼人が本音を口にしたり
守られたりしていつまでも子供じゃないんだ...みたいなシーンの予定もあったんですよ
なんですかねなんでキャラの設定なのに書いてないシーンばっか出てくるんですかね
猫人
ほんともう必死に書きながらわかりやすい強烈なキャラ...にゃ口調だ!
畜生もう猫人いる!!いやこっから新しいキャラ考える余裕ないぞそのままいけえええ!!!
という切実な事情によりまさかの猫人二人目です
実はパーティで最年長であり飄々とした性格故にともすれば重くなりすぎるパーティのムードメーカー
を気取っているが実はもうにゃ口調はきついんじゃないかと思っているという設定があります
こう狼人の思いを知って猫人の少女がぎくしゃくするのを見て若いニャーなんて言って
小人族に年より臭いぞなんて言われて年寄りじゃないまだ○○歳!!と答えて
え...俺より年上..?なんて場面が...なんで自分もう書きたくないって言ってたのに
新しいシーン書いてるんですかね
まあとにかく以上がパーティの面々の設定です
はっきり言います初めて小説書くのに五人は多すぎた
いやほんと...
間違いなくこの章が一番難産でした
読んでいてうすうす感じた方もいらしゃると思いますが
パス・パレードを受ける→あいつ闇派閥じゃね→ダンジョンから出てギルドに報告だ→フフフそこまで気が付いていたとは逃がすわけにはいかなくなりました闇派閥登場
という流れがとにかく滑らかにいかない
特にあいつ闇派閥じゃねのシーンが
リーダーに言わせる→むしろ断言してるこいつが怪しい
他のキャラを出して総合的な意見にする→この流れ強引じゃね
もっとキャラを出す→キャラが...キャラが多い!!となりました
たいていの場合ダクソシリーズを語るときに飛ばされる2の主人公を入れた理由は
自分がミラのルカティエル怪文書ファンだからです
後書きだけでちょっとした文章になっているので短くまとめると
2で出てきたルカティエル装備が3でも出てきたときに
これを着てルカティエル名乗って暴れたやつがいるからこの名前だよと説明文にあり
2のDLCで不死の呪いの進行を止めるアイテムを手に入れたことから
あいつ火継ぎ投げ捨ててソウルとアイテム持ち逃げしやがった説が生まれたんです
怪文書の形式に沿ってミラのルカティエルですで〆たかったんですが
一応主人公以外の視点で話を進めて最後に主人公が何を考えていたのかを明かしながら
オラリオでの方針を一言で表すこれをこの話の形式にしようと決めていたので無理でした
本編だけでなく長い後書きまで読んでいただきありがとうございました