忍びと灰と焚べる者と狩人とダンジョン   作:noanothermoom

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月の狩人編

 ああ、また聞きに来たのかい

 

 これで最後だよ

 

 一番おぞましい奴の話さ

 

 準備はいいかいしっかり気を持つんだよ

 

 

 

 闇派閥と言っても様々な理由でオラリオの秩序を破壊しようとする。例えば安定しているこの状況がつまらないからという面白半分の神のもとにうまくいかないのは秩序のせいだとするチンピラまがいの者らが集まってできた闇派閥もあれば

 自身の戦友や愛する者がオラリオを収める秩序の網から零れ落ちてしまった者らとその嘆きと怒りを聞かなかったことにすることができなかった神によって造られた闇派閥もある。

 

 男が身を寄せている闇派閥は後者であった、男と同じように例えば力を持たないから、或いは運が悪かったからそんな理由で自分の愛した者が永遠に自分のそばを離れてしまった。

 そのことに納得することができない者らが集まりその嘆きを聞き入れた神によって造られた。

 

 その被害を受ける被害者からすればどっちであっても知ったことじゃないのだろうが、それでも男たちは遊び半分で秩序を壊そうとする神と自身たちの主神を一緒にしてほしくなかったし

 自分たちとチンピラまがいの者らを一緒にされたくなかった、だからこそほかの闇派閥と足並みをそろえることなく自身たちだけでオラリオの秩序を破壊しようとしていたし

 ほかの闇派閥と情報を共有しようとはしなかった。

 

 

 

 

 男は闇派閥が持つ隠しアジトの一つで新たな計画を立てていた、かつて男の恋人がギルドの管轄外(危険の為立ち入り禁止になっていた所)で死んだときギルドは様々な言い回しをしたが言葉を要約すればこうだ

 「その地域までは手が回らないのです」

 オラリオの秩序を保つギルドが聞いてあきれる、ならば手の回らない地域で騒ぎ(テロ)を起こしギルドに秩序を保つ力などないことを知らしめる、それがこの計画の目標だ。

 

 ほかの闇派閥がこのところその活動を縮小しているその情報を手に入れていればこの後の出来事は起きなかったのか?或いはほかの闇派閥と情報共有だけでもしていれば避けられたのか?

 

 だが起きてしまった出来事は変えられないそれが男たちが嘗て思い知ったことだったはずだ

 

 

 

 

 

 

 「何の騒ぎだ、まさか団員同士のケンカじゃあるまいな、よその闇派閥じゃないんだぞ」

 

 ガシャンと何かが壊れるような音と同時にドタバタと暴れているような音が続く、最初はすぐに止むだろうと無視していた男も耐えかねて籠っていた部屋から出て叫ぶ

 だがそれに帰ってきたのは沈黙だった。おかしいと男は思う、さっきまでの騒ぎが嘘だったようにアジトは静寂に包まれていた。

 

 「おーい!何かあったのか」

 

 そう声を張るがむしろ静寂を強調しただけで、勢いがそがれた男の声は後半は普通の話し声よりも小さくなっていた。当たり前のように返事はない、何か起きたのか?

 男は音がした方向(アジトの入り口)に向かいながら考える、例えば喧嘩していた団員同士が両方ノックダウンしてしまってその介抱に大忙しだとか。

 男は一瞬あまりにも無理がある想像をしそれを否定する、むしろ忙しければそれこそ手伝いの催促の返事が返ってくるだろうに。

 

 気が付けば騒動があっただろう入口まで半分ほどまで来ていた、男はギルド或いはそれに与するファミリアによる立ち入り調査(ガサ入れ)が行われた可能性に思い至るが有り得ないそう否定する

 隠しアジトなだけあって入口からでも男がいた部屋がある奥までばれないように緊急事態を知らせる手段はいくつもある、最悪それができなくともさっきまでの男と反対のこと(奥に向かって大声を出す)を行えば聞こえない距離ではない。

 

 本当に立ち入り調査だとして何人で来る?突入前から大人数で押し入り刺激するとは思えない多くとも五人ほどだろう、逆にアジトには男を除いて団員はどれほどいた?十人は下らないだろうそう考えれば一人相手に二人で相手ができることになる、それなのにただの一人もアジトの奥にいた男に知らせることもできずに倒された?そんな馬鹿な。

 

 そう考えながらもアジトの入り口からすぐの部屋の前に辿り着く、今まですれ違った団員(奥に向かった団員)はいない、或いはその逆の団員(入り口に向かった団員)も。

 息が荒くなっているのを自覚しながら入り口からすぐの部屋につながる扉に手をかけ...そして扉の向こう側に何かがいればぶつかるように押し開ける。

 

 だが何もない、扉の向こうにも部屋にも、いっそのことあまりにもいつも通りな部屋の様子に笑いすらこみ上げてきた男はその笑いを開放する前に背後から衝撃を受け意識を失う。

 

 

 

 

 

 

 「あ”...が...」

 

 不快なねばついた悲鳴が男の耳に届き目が覚めるこの部屋は...アジトの一室のはずだ、何があった?入り口すぐの部屋に何もなかったことを確認した後...後ろから衝撃を受けて...そこまで思考が進んだとき男の鼻に噎せ返るような血の匂いが届く。

 いったいどこからそう思い立とうとするが、手と足を椅子に縛り付けられているのか立つことができない、なぜだ?誰が?そう思い情報を集めるために視線をあちこちにやり血の匂いの元を探そうとしたがそれは叶わなかった

 

 部屋中に血が飛び散り血まみれになっている。

 

 こんな中から血の匂いの元を探すなんて無理だ、そんな間の抜けた考えが男の頭によぎる。だがそのまま目を動かしていると血まみれの部屋なんて比べ物にならないものが目に飛び込んできた、あまりの衝撃に怒りや恐怖を感じることすら忘れて男はただその光景を見た。

 

 部屋の中央黒いコートを羽織って羽のようにギザギザしたデザインの縁の帽子をかぶった人物とその人物の前にある団員だったもの(面影が残る肉塊)を。

 

 コートの人物が右手を上に掲げる、よく見れば右手に血と肉片がこびりついた大きな斧を持っており、あれなら団員を肉塊にできるだろう。そんな奇妙な納得を男がしていると掲げた右手否、振り上げた斧が肉塊に振り下ろされる

 それと同時に肉塊から聞くに堪えない悲鳴があふれる。悍ましいことに人体と言うよりは肉塊と言う方が似合いそうなあの団員はいまだ生きているのだ。

 

 そのことに気が付いた男の脳味噌は今更ながら膨大な恐怖を感じ取り、到底受けきれないそれは男の口からとめどなく悲鳴として体の外に出ていく。

 部屋中に響いた悲鳴に当然ながらコートの人物が気が付かないはずもなく、目の前の肉塊から斧を引き抜きそのまま男の元までやってくる

 斧を引き抜いたことが原因かはたまた元々限界だったのか先ほどまで悲鳴を上げていた団員は僅かな擦れ声を残し死体になった。

 

 だが男にそんなことを気にする余裕はない、近寄ってくるコートの人物から少しでも遠ざかろうと椅子に縛り付けられた足を必死に動かす椅子と床がぶつかりガタガタと音を立てるが当然ながらそんなことで逃げ切れるわけもなく、気が付けばコートの人物は男の前に立っていた。

 

 

 

 

 

 「あ...ひっ...わ...」

 何と言おうとしたのか男ですら分からない言葉は凍り付いた喉を通りひきつった音の出来損ないにしかならなかった。

 

 「無理に喋らなくていいぞ」

 「あ?...え?」

 「無理に、喋らなくて、いい、と言ったんだ」

 

 そんな男の様子を見てコートの人物は酷く疲れた様に声を掛ける。

 人間味あふれたその様子に男は自分ですら気が付かないまま垂れ流しにしていた涙と言葉の出来損ないを止める。

 一つ一つ言葉を区切りながらまるで幼子に話しかけるように分かりやすく喋るコートの人物。

 

 「あんたは一体...」

 

 その姿に先ほどまで支配されていた恐怖(理解できないもの)が消えていくのを感じ男はコートの人物に尋ねようとし

 

 体に受けたすさまじい衝撃によりそれ以上は意味のある言葉を喋れなかった。

 

 

 

 

 

 

 「ああ間違えた、正しくは無駄に喋らなくていいぞ、だな」

 

 右手に持っていた斧を男に振り下ろし男の上げた悲鳴を聞き流しながらコートの人物は訂正する。

 

 「大体お前らの言葉なんぞ、獣の遠吠えと大して変わらん」

 「知りたいことがあれば聞くさお前の《遺志》にな」

 

 そう言葉を続けるコートの人物。その間にも右手に持った斧を引き抜いては男に振り下ろすことを続ける

 男はその想像を絶する痛みの中小さくつぶやく

 

 「どうしてこんなことに」血にまみれた部屋の中誰にも聞かれない嘆きの声はそのまま消えた。

 

 だが男は知っていたはずだ、理不尽な別れ()とは人の都合など知らずに急にやってくるもので決してそれを拒むことができないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どこもかしこも獣ばかりだ...だったか?」

 「いや或いは世界は汚物であふれている...の方がいいか」

 「穢れた獣、気色悪いナメクジ、頭のイカれた医療者共、みんなうんざりじゃあないか、...これも悪くはない」

 

 

 アジトの中にいた団員をすべて獣狩りの斧で叩き潰したコートの男は血まみれのままつぶやく

 嘗て終わらぬ夜を過ごしたヤーナムで投げかけられた言葉からこの状況に合う言葉を探す

 うんざりじゃないか、まさしく今の気持ちだ

 獣を狩り、頭のおかしい医療者どもを狩り、訳の解らないものも狩り、

 それでも悪夢は終わらず、それでも狩り続け気が付けばここにいた。

 最初は大いに喜んだ獣の病も上位者の呪いもない町をみて自分のしたことは無駄ではなかったのだと。

 だがそれもここにも(ナメクジ)がいて得た力を振りかざし他者を傷つける者()がいることを知るまでだ、これで頭のいかれた医療者がいればヤーナムと大して変わらない。

 いや闇派閥なんてものが蔓延っているのだこの街の裏には医療者どもの同類がいるのかもしれない

 ならもやはヤーナムとこの街との違いは滅んでいるか否かにすぎない

 

 ああまさしくうんざりだ

 

 そんな風に黄昏ていると闇派閥の血の遺志から得た情報を元に脳に蓄えた啓蒙と脳に得た瞳が次なる狩りの場所を囁く、その導きのままに狩りを行うとしよう

 そう目元まで覆うマスクの下の顔を抑えきれない愉悦にゆがませながら狩人は新たな狩場へと移動する。

 獣がいればそれを狩る

 どこであれ何であれそれが狩人のなすべきことなのだから。

 

 

 

 

 

 

 ああ悍ましい

 

 あれが本当に人によって作られたのかい

 

 だがあんなものに頼らなけらば終わることもできなかった

 

 そんなものがあったことが一番悍ましいのさ

 

 

 

 

 

かくして本来の物語の筋書きから外れた物語は始まった。

 

だが彼らの物語は悍ましいものであり故にこそ語られず。

 

誰にも知られることなく終わるものだ。

 

だからここではその後を語ろう。

 

オラリオより闇派閥は消え去り、暗黒時代と呼ばれた時代は終わった。

 

そしてとある廃協会をホームとするファミリアが生まれた

 

そのファミリアの名は...




お疲れさまでした

月の狩人編これにて終了です
以下は筆者の一人語り...後書きです
興味のない方は飛ばしていただいて構いません

驚いた分割した文章をハーメルンに投稿中に
操作ミスで完成していた狩人編が全部消えました

幸いハーメルンの自動保存機能に分割前の文章があったので
また作り直しました

びっくりしすぎて
もともと作っていた後書きに何書いたかも忘れました

思うがまま書いていきましょうもともとそういう文章だったはずですから

なんで自分ダンまちの二次創作でホラー映画を書いているんですかね
しかも被害者視点の
狩人様がハッスルしすぎましたね
これr-15で大丈夫ですかね
一応あらすじにグロ注意を書いてあるので大丈夫でしょうか

そんな心配をするこの章のやられ役男
ルビなしで書いていたらなんかそんなに悪い奴じゃ無くね
と思ったので無自覚系クズの味付けをしました
入るなと言われたのに入り被害を受ければ他者のせいにして
他人を理由をつけて貶めて仲間も無自覚に見下すそんな男を書けましたか?
それとも全部血の匂いしかしませんでしたか?
本文でも書きましたが被害者にとっては関係ないが真実ですので
うるせーしらねーとりあえず死ねの精神でつぶしてもらいました

狩人様読み直すとだいぶ疲れてましたね
書いてるときはうんざりなんて口だけの血に飢えた獣をイメージしてたんですけどね
まあそんなこんなで分割してちょこちょこ加筆したこのシリーズも終わりです

ここまで読んでくれた方は
おそらくこの稚拙な作品をすべて読んでくださった方なのでしょう
そんなあなたに改めて
ありがとうございました

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