やがて妖銃の弾輝《はじき》   作:トナカイさん

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異能3 あの日

Side マリナーゼ。

 

あの日のことは一生忘れません。

 

遠い香港で起きた『悲劇』を失くす為、私は姉と共に沖縄に眠る妖怪『獏』と『淫夢』を起こし、彼女達の手を借りて生きてきました。

二匹の妖怪には本当に助けられましたが、それでも信じられるのは己と姉だけ。

姉さまには悪いですが妖怪たちは信用できません。

彼女達は『何か』を隠しています。

それも私達の感情にまつわる何かを。

 

 

『悲劇』から救うため私達は伝説の化生、『鳳』を復活させなくてはなりません。

鳳は生と死を繰り返し、死後その身を64の欠片にして東西に散らばせる。

それを再び集めると鳳は甦り、甦らした者の願いをどんな願いでも叶えてくださる―――そう彼女達化生のものはいっていました。

―――未来永劫その死と再生はくりかえされるとも。

 

 

 

私達はなにがなんでも欠片を集めないといけません。

今持っている欠片も様々な異能達や自衛官、DA(武偵)達から奪ってきたものです。

多くの敵対者がいる私達はもう後には引けません。

やらなければやられるのが戦場に立ったものの運命なのですから。

今日、ここ居能町の居能海岸で私達は欠片を持つものたちの存在を感知しました。

敵は『魔法少女(マッキーナー)』と『先端科学兵装(ノイエ・エンジェ)』の鎧を纏った少女。

相手に不足はありません。

私達二人なら勝てる。

二人だけでいい。

そう思っていました。

 

 

 

 

今日この日、彼らと出会うまでは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side アリスベル。

 

まず最初にいっておきます。

私が静刃君と行動を共にするのは、命を救われた恩返しと、彼の異能を見込んでのこと。

断じて、れ、恋愛感情を持ったとかそういう理由ではないのです。

モーレツに違うのです。

 

 

 

Side マリナーゼ。

 

私が彼らに彼と出会ったのもきっと『欠片』を集めていたからでしょう。

もし、欠片を集めてなくて普通の人生……生まれた家が家なので普通かどうかは微妙ですが、もし普通の少女としてあのまま香港で暮らせてられたらおそらくこの出会いはなかったでしょう。

だから不謹慎と知りつつ私は私達を『鳳凰戦役(フェニケ・ロワイロ)』に出るきっかけを作ってくれた宿敵たちに少しだけ感謝をしているのです。

あなた達のおかげで私は心から信用できる人や仲間、そしてなにより彼、当導弾輝君と出会えたのですから。

彼とは(まだ)恋人ではありませんよ。

いずれ、近いうちに恋人以上になりますけど。

ええ、断言します。

彼は私にメロメロです。

私以外の女なんか目もくれません。

当然です。

私以外の女が彼に近づいたら容赦なく刺しますからね。

ええ、刺します。

ザクザクです。

彼は私だけを見ていればいいんです。

浮気はキョ―レツに許しません。

 

 

 

 

……話が逸れましたね。

 

 

あの日私は彼と、姉は静刃君と出会いました。

誰も入れないはずの『絶界』、異能で作り出した異空間に彼らは迷いこんできたのです。

そして見ず知らずの私達に向かっての第一声が……。

 

 

 

『―――おい!逃げろ!』

 

本当におひとよしですよね?

自分がどれだけの危険に陥っているのかわかっていながら……。

あきらかな異常事態に陥っているのに自分のことより私達の心配をするなんて。

でも、だからこそ私達は……。

 

少なくても私はこう思ったのです。

 

 

 

 

 

 

 

『うれしい。

ありがとう、って―――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未来からの伝言。(おまけ)

 

Side 弾輝

 

2013年4月。ある休日、俺の元にある奴からメッセージが届いた。

それはブルーレイに入っていた。

セットしてテレビの伝言を入れるとそいつは語りはじめた。

 

 

 

そこには―――――。

 

 

 

『あの時の俺は自分でもどうにかしていたと思う。

危険が身に迫っているのにわざわざ危険の渦中に飛ぶ込むなんて馬鹿まるだしだろう。

普段通りの俺なら決してあんなまねはしなかっただろう。

否、できなかっただろう。

だけど、何でなのかはさっぱりわからないがああ思ってしまったんだ。

『逃げてはだめだ、助ける、女の子を守るのは俺しかいない』ってな。

今思い返すと死にたくなるほど恥ずかしい台詞だが後悔はしていない。

だって、そんなことは気にならなくなるくらい大切なものができたんだから。

あの日、きっと巻き込まれたのだって理由があるんだろう。

最初ははっきりいって嫌だった。

こんな『異能』なんか失くしたい―――そう思った。

だけど時が経つにつれてこう思えるようになったんだ。

この力をつかって身の周りの大切なものを守りたいって。

彼女を守りたい、って、な』

 

 

『おい、弾輝いくぞ?』

 

『あ、先輩が呼んでる。

そろそろいかないと。

 

「先行ってください。

昴先輩」

 

もしこれを昔の俺が見てたら、一つだけ守ってくれ』

 

 

 

 

「女には気をつけろ。背後にも気をつけろ、そして女を、マリナーゼを守れ!

3つになってしまったが気にすんな。

おっと、怖い怖い、0課の先輩が呼んでるからな、またな。

過去の俺……ってなんだよ、これ?」

 

 

そこには少しだけ大人になった俺が映っていた。

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